神の慈悲 注:この史料は倉庫整理の折に発見された覚書です。 署名も何もないですが歴史上の特定の人物の自筆のものと思われ、筆者の特定作業を進めるために公開された第一史料です。 俺の勇者としての最古の記憶はケツ穴の痛みと下水の匂いと恐怖だった。 これが俺の始まり。これだけは覚えている。 後ろでガシガシとケツを振る化け物の存在にただおびえ、鼻水とケツから血を垂らしていた。 10歳だった。 これより古い記憶はほとんど思い出せない。だから俺の誕生日は事実この日だった。 弱肉強食は世の常だから別に恨んではいない。俺が弱いだけだから。 だからこのネズミの化け物には特別な感情も沸かない。魔物には等しく死を与えるだけだから。 おびえ泣き叫ぶ俺の首筋にネズ公が2枚歯を突きたて血肉を貪る。 面白いぐらい血が吹き出た。 俺の体は血と精液と鼻水と涙と糞とその他の得体の知れない汚物で塗りたくられた。 そして、かじられた瞬間俺は間違いなく射精していた。 食われながら勃起し痛みと快感でスカルが満たされる。 そして何かが弾けた。次に気づいたときは、おれは血だらけになってネズ公の肉片を咀嚼していた。 この悪夢の名は<神の慈悲>。わが一族の淘汰装置。魔物が飼われている地下迷宮。 「悪を討つには悪を理解しなければならず、魔物を討つためにもそれは同様」 と標語を謳い、一族郎党がグルになり確信犯的な近親相姦や不義の末に出来た餓鬼、その他奇形児等の子供たちをそれぞれが それぞれの事情で子供を捨てる都合のいい場所として利用する。 同時に、その中から稀に生まれ出る強力な力を持つ「忌子」を選別するための場所 そして異常な力を持つ「忌子」を始末するか生き残るかは放っておくにまかせるという我が家の地獄 ちなみに俺の両親は、爺70歳とそのひ孫12才。その差なんと58歳、爺にとっては息子にしてひひ孫と言うわけだ。 生き残った「忌子」は「純粋な力」と「悪に対する憎悪」、「生命の大事さ」に間しての教育を自動的に身につける。 下級魔物の群の中に放り出され、生き残ればそれは当然、そこで俺は食料にも困らず、むしろ太って迷宮から脱出した。 迷宮から脱出した後、勇者修練の一環としてとして魔物討伐に向かわされた。 生と死の無限ループの始まり。 鉄パイプやバールのようなものを好んで振るうようになった。 手ごたえが気持ちよかった。 唯一の安息は、鉄パイプやバールのようなものを振る時と女を犯すときだけだった。 魔物すら犯すのにはそう時間はかからなかった。 湯気の出る内臓を引きずり出し貪り脳髄をすすり、脊髄を吸い取り、メスだったら犯す。 俺の存在理由のためと正義の名において、俺は鉄パイプとバールのようなものをふるう。 それだけがあの地下迷宮で死んだ者たちへの餞になるのだから。