■私立言霊学園第3話■ -------------------------------------------------- ◆登場人物紹介◆ 一本槍魁子(いっぽんやり かいこ)【武道家】 霧々麻衣(きりきり まい)【剣士】 戦木零(おののき れい)【自信家】 阿修羅崎眼九郎(あしゅらざき がんくろう)【チンピラ】 【前回までのあらすじ】 『海に遊びに来た魁子・麻衣・零の3人は零の親戚の家に泊まる事になったのだがそこで3人を待っていたのはチンピラだった! 殺気をビンビン放つチンピラに戸惑う魁子と麻衣の2人は海に来た事を激しく後悔していた。』 阿修羅崎の屋敷での悪夢から一晩が経ち夏休み2日目の朝が訪れた。 昨夜の出来事など知らない雀がチュンチュンと鳴いて眠りの世界に朝の訪れを知らせている。 そしてここは阿修羅崎の屋敷の一室、一本槍魁子と霧々麻衣に与えられた客間である。広さは十二畳もあるので2人寝るには十分な 広さである。 昨晩宴会で無理矢理酒を飲まされた2人は死んだ様に眠っている。涎を垂らしてはいるがとても2人とも幸せそうな寝顔である。 だがそんな2人の幸せの時に終焉が近い事は当人達は当然知るよしもなかった。。 2人の眠る部屋の入り口である襖の前に2人の人物が立っている。 1人は戦木零、髪の長い彼女は今目の前の部屋で眠っている2人の友人。 もう1人は阿修羅崎眼九郎、隣に立つ少女の親戚でありこの屋敷の主。 2人とも昨晩の宴会で浴びる様に酒を飲んでいたのだが二日酔いに苦しむ様子もなく素面(しらふ)の様だ、なんと強靭な肝臓なのだ ろう。 それよりもどうしてこの2人が魁子と麻衣の眠る部屋の前に居るのかというとそれはある伝統を守る為であった。 『ザ・寝起きドッキリ』 現在の時刻は午前5時55分、そして2人が昨夜寝たのは2時過ぎ、当然2人だって眠くない訳がない。 今2人を動かしているのは寝起きドッキリにかける執念だけでそれが無くなればこの場に倒れこんでしまうだろう。 麻衣がこの様子を見たら伊良子清玄の様だと思った事だろうが現在麻衣は天国へと旅立っているのでそれは不可能な話であるのだが。 あれこれ説明している内に時刻はもうすぐ6時になろうとしている、その時ついに寝起き職人が動き出した───!! (考えるな、感じるんだ!それは月を指さすようなものだ。分かるか魁子?) (はい、リー先生!Don't think.FEEL!ですね!分かりました!!) (礼をするときにも敵から目を離すな!分かったか!?) (はい、すいませんでした!リー先生!) 一本槍魁子17歳、夢の中でブルース・リーと夢の共演中であった。 (藤木様、斬ってくださいまし、憎い憎い憎い伊良子を) (・・・怪物め) (種ぇ!) (貴方は虎眼先生!伊良子に斬られてうどん玉が出てしまったはずでは!?) (種ぇ!) (あぁ虎眼先生!三重に、三重にございます!) 霧々麻衣17歳、夢の中でカオスを展開中であった。 突然だが阿修羅崎眼九郎の義腕のギミックについて説明させて頂く。 眼九郎に取り付けられた4本の義腕はそれぞれ同じ造りをしていて全ての関節が360度どの角度にも動かす事が可能で義腕に対する 関節技を無効にするだけでなく、それを生かした独自の絡め技を可能としている。 加えて伸縮自在で約3メートル程の長さにまで腕を延長させる事が出来る為それによって眼九郎独自の間合いを築く事ができた。 勿論眼九郎自身の実力という事もあるのだがこの義腕によって眼九郎はどの得物を相手にしても近接戦闘では無敗を誇っていた。 が、しかし、今回義腕を使用するのは戦闘ではなく寝起きドッキリである。 零と眼九郎は音もなく襖を開けるとアイコンタクトで次の行動に移った。 まずは眼九郎がその自慢に義腕をギリギリまで伸ばし静かに魁子と麻衣の布団をめくる、そしてそれを確認した零はその手に持った水 鉄砲を剥き出しになった2人の股間目掛けて発射した。 この時要求されるのは2人が起きない程度に威力を調整する事だ、ここで起きられては全てが水疱に帰してしまう。 しかし寝起き職人戦木零にその程度の心配は無用の様でゴルゴ13の様に完璧に任務を遂行した。 そして再び眼九郎が捲り上げていた2人の布団をそっとかけ直した所で仕込みは完了である。 全てを成し遂げた寝起き職人達は幽霊の様に音も無く姿を消した。 ちなみに、零が持っていた水鉄砲には水の代わりにレモンジュースが入れられていた、芸が細かい。 (ォアチャァァァァァァァ!!!!!!!!・・・・あれ?) (考えるな、感じるんだ!) (みしり) (あの構えは!虎眼先生やばいです!うどん玉が・・・って、うん?) そして5分後、何食わぬ顔で2人を起こしに来た零と眼九郎は慌てふためく2人の姿を見て心の中でガッツポーズをしていた。 更に5分後、真実に気がついた魁子と麻衣は屋敷中を逃げ回る零と眼九郎を怒りの形相で追い回していた。 次の日零達が再び寝起きドッキリを仕掛けようとしたギリギリのところで魁子達は目を覚ます事ができたが、その時零が持っていたカ レーを見て顔を青くする事になるのだがその話は機会があればその時に。 ちなみに次回は魁子達でなく別のキャラの話になる予定です。 次回に続く