『ある酒場の風景』  手練の纏う空気、というものがある。  その日その酒場の扉が音を立てた瞬間、流れ込んだその空気に店内の者が一斉に振り向いた。  特に傭兵や冒険者と言った、腕に覚えのある者が特に多く集うこの酒場では、当然の反応だったかもしれない。  だが―― 「……?」  そこに居たのは、小首をかしげた少年だった。  少し汚れた仕立ての良い服、旅慣れた風なレザーマント、両腰に下げられた二振りの小剣。  それは明らかに旅装の冒険者を思わせるいでたちだった。  しかし、薔薇色の頬とさらさらとした金髪の――言ってしまえば、何処かの貴族が色小姓として囲っていても不思議ではないくらいの――あどけない少年だった。  客たちの訝しげな視線を一身に浴びながら、その少年はトコトコと店内へと進み入る。  そして、開いていたカウンター席のスツールによじ登るようにして座った。  カウンターの上に出るのは肩から上、両脚は完全に床から浮いてぶらぶらしている。 「……ご用向きは?」  カウンターの中に居た店主、クマのような巨漢――ガルド=イダルゴが、あくまでも平静を装いながらお決まりの台詞を投げかける。  その問いに、少年は物怖じする様子も無く、まっすぐに店主を見つめ―― 「『仕事』を斡旋してもらいたいんだけど…」  いかにも少年じみたアルトの声が、静まりかえった店内にこだました。 「……………」  しばし、静寂が店内を支配する。  返答を受けたガルドも、表情を崩さずにじっと少年を見つめていた。 「……?」  再び、少年が小首をかしげる。  その瞬間だった。 「………ぷっ」  ついに耐えきれなくなったのか、誰かが吹き出した。  それを皮切りに、店内に大爆笑の渦が巻き起こる。  少年は一瞬唖然とした表情を見せたが、すぐに目尻を吊り上げると、憮然とした様子で店内を見回した。  最後に、目の前で同じく腹を抱えているガルドを睨みつけ、ぷぅと頬を膨らませる。 「…はは…す、すまん、つい、な…」  その子供っぽい仕草に再び吹き出しそうになるのを堪えながら、呼吸を整えるガルド。  他の客たちは先程感じた空気が勘違いだったと判断したのか、店内は元の喧騒を取り戻していた。 「た、確かにウチじゃぁ『仕事』の斡旋もやってるぜ?だがな…」 「『子供には斡旋できない』?」  子供らしからぬ険しい目つきで見上げられ、ガルドは少したじろいだ。  見た目は子供だが、それは戦士の目つきに他ならない。 「い、いや、そういうわけじゃねぇ。『依頼』が無くちゃ『仕事』は発生しねぇ…わかるな?」 「……」  なおも疑うような視線を向ける少年に、ガルドは口ひげを撫でながら続ける。 「今は斡旋しようにも『仕事』が残ってねぇ状況なんだ。『依頼』さえ来ればすぐにでもお前さんに仕事を回すさ」  その言葉に、少年は大きなため息をついた。 「……わかったよ」  やっと納得した風な少年に向かって、ガルドは安堵したように嘆息する。 「とりあえず、名前だけ教えておいて貰えるか?」  言いながら、帳簿と羽ペンを差し出すガルド。  …と、そこで初めて、少年は逡巡した様子を見せた。  羽ペンをとり、帳簿に名前を書こうとして――顔を上げる。 「……おじさん、『旋風の双牙』って呼ばれてる剣士は知ってる?」  少年がその通り名を口に出した瞬間、周囲で二人のやり取りを聞いていた客がどよめいた。  新進気鋭の傭兵で、各地で既に十件近い盗賊狩りを完遂している魔法剣士。  その姿をはっきりと見たものはおらず、捕らえられた盗賊たちも口を揃えて「風に襲われた」と証言する。  風のように疾駆し、教会の尖塔よりも高く翔び、二本の剣を巧みに操るというその噂から、『旋風の双牙』と呼ばれる謎に包まれた存在。  その『旋風の双牙』の名前を、このあどけない少年が口にしたのだ。 「ああ…それが、どうかしたか?」  だが、ガルドはあくまでも冷静に切り返す。 「…ボクは彼の代理人として来た。これを見せればわかる、と」  少年はそう言って腰から片方の剣を外し、カウンターの上に置いた。 「ほぅ…」  言われるままに、剣を手に取り品定めを始めるガルド。  大人の腕よりも少々短い程度のその剣は、ガルドの巨体と相まってさらに小さく、頼りなげにみえる。  剣と呼ぶには短く、短剣と呼ぶには長い半端な長さの刀身に、片手用であることを示す短い柄。  ガードとポメルの意匠が刃と垂直に伸び、柄全体が『I』の字を描く。  所謂バゼラードと呼ばれるタイプの小剣である。  さらにガルドはそのバゼラードを抜き放ち、刀身へと視線を向ける。  よく手入れされ、磨き上げられた刀身。  だが、自らも傭兵であったガルドは見逃さなかった。  細かなキズや小さな刃こぼれの跡、そして、人脂や血を吸った刃物が纏う、特有の『業』を。 「……なるほどな」  それが明らかにこの少年が持つような代物ではないと判断したのか、ガルドはパチンと音を立てて剣を鞘に収めると、少年に手渡した。  少年は無言のままでそれを受け取り、再びベルトに差し込む。 「…まぁ、正直、お前さんが誰だろうと関係ねぇ。こっちとしては『仕事』さえこなせりゃいいんだ」  ガルドの口ぶりは相変わらず軽く、それでいて視線はまっすぐ真剣に、少年を見つめる。  それは、彼の『客』に対する態度そのものだった。 「…で、さっきも言ったが今は『仕事』が無ぇ。残念ながら…な」  そこまで言うと、ガルドは少年にぐっと顔を近づけ、口角を持ち上げた。 「ま、そういうことだ、何か飲みながら気長に待っててくれや。最初の一杯は奢りにしとくぜ?」  少年はその言葉にもう一度ため息をつくと、迷いがちにガルドの背後の酒棚へと視線を滑らせた。  しばしの逡巡。  そして―― 「そうだね……ラムを、一杯」  少年の発したその台詞に、店内は再び爆笑の渦に包まれた。  ――面白くない。  酒場の奥のテーブル席に席を移し、ラム酒の代わりに出されたミルクのグラスと睨めっこしながら、少年は少し苛立っていた。  彼の名は、アルバン=フリューゲル。こう見えて今年22歳になる立派な成人男性である。  何を隠そう『旋風の双牙』とは、他ならない彼本人の事なのだが――  何分、その子供子供した容姿のせいでまともに取り合ってもらえた事は一度もない。  そんな事が何度も続くうち、彼は代理人を装う事で『仕事』を取る術を身につけていた。  そして、その『仕事』も、他人に姿を晒す事の少ない野盗の討伐などを選んでいる。  別に、子ども扱いされる事にはもう慣れていた。  ただ、一度子供と見られ、代理人を名乗ったからには、そこではもう子供に徹するしかない。  これまでもそうだったし、きっと、これからもそうなのだろう。  彼にとっては、そうやって自分を偽り続けなければならない事が苦痛だった。  ――もっと背が高ければ。  何度、そう思ったか知れない。  成長期を逸した彼の身体は、きっともうこれ以上の成長を望めない。  その事は、彼自身が一番よく知っていた。  もっとも、背が伸びたところでこの凄まじいまでの童顔はどうしようもないのかも知れない。  だが、一抹の希望にすがるように――  彼は今日も、勢いよくミルクのグラスを空けるのだった。 ――1日目――  アルバンが店に入ってからしばらく経った。  店内の喧騒は相変わらずだが、彼のほうに視線を送り、何やらひそひそと言い合う客も多い。  旅装とはいえ、十歳そこそこにしか見えない彼の姿は、酒場という空間において見事に浮いていた。  とっくにこんな事には慣れきっていた彼にとって、今更気にするほどの事柄でもない。  淡々とミルクを空け、本来ならば酒の肴として出されるべきチーズをつまむ。    そんな風にして三杯目のミルクが半分ほど減ったときだった。  重々しい金属質な具足の音が彼の席の真横で止まり、テーブルに影を落とした。  ふと顔を上げた先に居たのは――少女だった。  分厚い全身鎧に身を包み、巨大な片刃の戦斧を担いでいる。  その仰々しい装備とは裏腹に、柔らかそうな金髪のツインテールが揺れていた。  戦士とは思えない可憐な顔だち。少し彼の好みのタイプかもしれない。  年の頃は彼よりも少し年下――十代後半といったところだろうか。  もっとも、彼の容姿ではまず年上として見られていないであろう事は容易に想像できたが。 「貴方――私と同じ匂いがする……」  開口一番、少女は意味不明なことを呟いた。 「に、匂い…って?」  思わず、問い返さざるを得ない。  アルバンの台詞に、少女は傍にあった椅子を引き、腰掛けた。 「必要とされたい――でも、なぜかいつも置いてきぼり…一人ぼっち…そんな匂い」  歯に衣着せぬ少女の言葉が、アルバンの胸にちくりと刺さったような気がした。  誰かと共に旅をしたい――彼が駆け出しの頃、何度か夢見た事だった。  だが、やはり容姿が邪魔をした。  まるっきり子供にしか見えない彼を、好き好んで連れて行こうとする冒険者はほとんど居なかった。  何人かいた事は居たのだが――その目は明らかに彼の貞操を狙っていた。主に後ろの。 「同じ…って事は、キミもそうだって事?」  図星を突かれた事を悟られないように平静を装い、問い返すアルバン。  その問いに、少女の顔がパッと気色ばんだ。 『よくぞ聞いてくれました』とばかりに。 「そうよ、酷いのよ?魔法耐性が無いからっていつもいつも…あ、これ、貰っていい?」  アルバンが頷くと、皿の上のチーズが一切れ、少女に攫われる。 「……魔法耐性かぁ、ボクは逆に身体に合う防具が無くて…」  ここで勢いに押され、話をあわせてしまったのが彼の運の尽きだった。 「やっぱりそう?何かと特化した力を持ってると逆に損よね、やっぱり…」  よほど話し相手に飢えていたのか、彼女は凄まじい勢いで話し始めた。  彼女が強力な攻撃力と防御力を持ちながらも、それ以外に売りが無くて置いてきぼりを食らったこと。  そうされないためにいかに彼女が頑張ってきたか。  外された後、いかに寂しかったか。  アルバンは、それがとんだ藪蛇だったことを噛み締めながら、彼女の話に付き合わされる羽目になった… 「だからね、手始めにあそこの洞窟を…」  彼女の話は予想外に長引き、既に日が落ちかけていた。  もはや、九割方彼女が喋り、アルバンが時折相槌を打つ。ただそれだけだった。  積み上げられた皿の山が、時間の経過を感じさせる。  何について話していたのかもよく覚えていない。  いつの間にか、残り物同士パーティーを組まないかという話になっている。  突拍子も無い話だということは彼もよくわかっていたが、まんざらでもない話だった。  一度は夢見た、誰かと一緒に旅をすること。  それが少々アレな所があるとはいえ、可憐な少女とであれば尚の事。  その旅の中でいい仲になって、そして――などと、歳相応の事を考えたり。  しかし、彼のそんな妄想は突如として終焉を迎える事となる。 「それで、お宝を手に入れたら二人で……って、ちょっと待って」  彼女はいきなり立ち上がると、斧を担ぎ上げ、酒場の入り口の方へと向き直った。 「呼んでる……行かなきゃ……」  浮かされた様に呟くと、ふらふらと外へ向かって歩き始める。 「え、あ…行く、って何処にさ!?」  突然の出来事に焦るアルバンをよそに、少女の足は止まらない。 「大丈夫……帰って来るから……」 「ちょ、ちょっと待ってよ!お勘定…」  積み上げられた皿も、そのほとんどが彼女が注文したものだった。  だが―― 「………急や…」  少女は謎の呟きを残し、店の外へと消えていった。  後に残されたのは、皿の山。 「何だったんだ、一体……」  お互い名乗る事すら忘れていた事に気付いたが、もう遅い。  アルバンは、嵐が過ぎ去った後のような虚脱感に、深いため息をつくことしか出来なかった。 ――2日目――  その日、アルバンが酒場の扉をくぐるなり、ガルドは申し訳なさそうな表情で出迎えた。  大きな争乱もなく、治安が悪いわけでもないこの辺りで、『仕事』がそうそう発生するはずも無い。  アルバンはそんなガルドに軽く手を振りながら、昨日と同じく一番奥のテーブル席に腰掛けた。  昨日と同じく周囲の客が彼の事をせせら笑ったが、彼はもう気にも留めなかった。 「ふぅ……」  程なくして運ばれてきたミルクのグラスを傾けながら、アルバンは嘆息した。  彼にとって『仕事』の無い日ほど退屈なものはない。  子供にしか見えない彼の容姿は、町の至る所でその制約を受けた。  まず、歓楽街では門前払いを食らう。  裏通りの娼婦も、話しかけたところで鼻で笑って相手にしてくれない。  酒場でも、ここのように多少なりとも相手をしてくれる所は稀だ。  だからといって、彼は宿でじっとしていられる性分ではなかった。  数少ない娯楽を求めて町へ繰り出し、ワンパターンな日々を送る。  退屈ではあるが、最も退屈でない過ごし方。  そんな、刺激の少ない日々にすら慣れつつある事を、彼自身は嫌っていた。  幸い、この酒場の料理は彼の好みに良く合った。  あとは、昨日の少女との出会いのように、何か刺激になるものがあれば―― 「はぁ……」  そんな事を考えながら、彼は再び深いため息をついた。  それは、彼が二皿目のチーズに手をつけた時だった。 「――!?」  酒場の入り口からただならぬ気配が流れ込み、振り向く。  手練の空気。  それも、禍々しく凶悪な、肉食獣のような――  本能的な危機感を掻き立てる、圧倒的な強者の気配。  他の客もその気配に気付いたのか、扉の方をじっと見つめている。  そして――  派手な音と共に、扉が乱暴に開け放たれた。  一層濃くなったその気配が、容赦なく身体を突き刺してくる。  まず現れたのは、腰に片手剣を下げた長髪の若者。  刃のような切れ長の瞳が、店内をぐるりと見回す。 「……チッ、しけた店だな、おい」  無礼極まる台詞だったが、誰もそれをとがめようとはしない。  店主のガルドも険しい表情こそ向けたものの、無言だった。 「………」  ずかずかと無遠慮に踏み入る青年のその背後から、明らかに装飾過多な金色の全身鎧を纏った人物が無言で続く。  顔をすっぽりと覆う悪趣味な装飾の兜のせいで、その表情をうかがい知る事は出来ない。 「どうも、お騒がせしてすみませんねぇ…」  さらにその後ろから、人のよさそうな、それでいて何処か裏のありそうな声が発せられた。  見れば、真っ黒なローブに身を包んだ魔術師らしき男が敷居をまたいでいた。  一瞬、アルバンと目が合い、にやりと嫌な笑みを向ける。  それだけで、アルバンは総毛だっていた。 『こいつらは危険だ』と彼の本能が告げる。  確かに刺激を求めてはいたが、こんな劇物は彼の想定外だった。  テーブル席に腰掛けた一行が纏う気配は、既に人外の域に達している。 「とりあえず――酒」  組んだ両脚をテーブルの上に投げ出すという、マナーもへったくれもない姿勢のまま、長髪の男がいい加減なオーダーを発する。  ――これは…色々とマズイかもしれない。  アルバンは、自分の容姿が酒場という空間においてやたら目立つ事を自覚していた。  こんな化け物に目をつけられたら命や貞操がいくつあっても足りない。  アルバンは手早く勘定を済ませると、その日は早々に宿へと引き上げた。 ――3日目――  その日のアルバンは、軽く心を躍らせながら酒場の扉をくぐった。  町で彼が聞いた噂によると、昨夜、町の有力者の館に曲者が押し入ったらしい。  盗賊によってかなりの金品が強奪され、自警団の警戒網を突破して町の外へと逃げ延びた。  それは、彼に『仕事』が来る確率が格段に高くなったということだ。  案の定、彼の姿を見るなり、カウンターの中からガルドが目配せする。  まだ『依頼』は来ていないがそのセンは濃厚、と言う事なのだろう。  アルバンは昨日と同じく奥のテーブル席に着き、その『依頼』を待つことにした。 「……ぷはぁ!」  心が躍ると食も進む。  既に5杯目のグラスを空けたアルバンは、上機嫌だった。  だがふと、昨日の三人組の事が彼の脳裏を掠める。  ――アレは一体、何者なんだろう。  昨日、三人の座っていた辺りのテーブルや椅子は、真新しいものに替えられていた。  きっと、彼等――特にあの長髪の青年――に破壊されたのだろう。  纏う気配、横柄な立ち居振る舞い。  どれも普通の人間とは一線を画す、規格外の代物のように感じていた。  と、その時―― 「おーい、『旋風の双牙』の代理人さんよ!」  ガルドの声が、アルバンを呼んだ。  アルバンが振り返ると、カウンターの脇に小間使い風の男が立っていた。  きっと、『依頼』を持ってきたのだろう。  カウンターの傍へと向かうアルバンは、少年らしからぬ不敵な笑みを浮かべていた。 ――4日目――  その日、町は『旋風の双牙』の話題で持ちきりだった。  先日、有力者の館から金品を強奪した盗賊団が、町外れの街路樹に全裸で数珠繋ぎにされていたという。  ご丁寧に、奪われた金品は館の庭に投げ込まれていたらしい。  自分が成した事が噂になる快感に打ち震えながら、アルバンはその日も酒場の扉をくぐった。 「おっ、来たな代理人さんよ。…流石『旋風の双牙』、仕事も早ぇな!」  入るなり、ガルドの豪快な声が彼を迎える。 「『また、ああいう仕事で良ければ受ける』ってさ」  他の客の視線を一身に浴び、ずっしりと重い金貨袋を受け取りながら、アルバンは次の『依頼』が来るまで待つことを告げた。  ――この金で、ここでもう少しのんびりするのも悪くない。  昨日と同じく、奥のテーブル席に腰掛けたアルバンは、ミルクのグラスを見つめながらニヤついていた。  まだ町に来て四日目ながら、彼はこの酒場も、この町も、少し気に入っていた。  料理も、ミルクも悪くない。  加えて、初日に出くわした少女の「帰って来る」という台詞が気になっていたのもある。  とりあえず、今回の『仕事』で腕は証明できた。  街を出るのは、もう何件か『仕事』を片付けてからでも遅くない。  それに、あの少女が戻ってくれば――  そんな、明るい未来像を妄想しながら、彼はいつもの調子でグラスを呷り―― 「…っぶ!?げほげほっ!!」  盛大に、むせた。  彼の舌には、ミルクの味に混じって独特の芳香と突き刺さるような異物感が残される。  それは、ラム酒の味だった。  彼がふとカウンターの方を見ると、ガルドがしたり顔でニヤけている。 「お見通し、か……」  そう一人ごちると、彼は再びグラスを呷り―― 「…っ、げほっ、げほっ!」  再び、むせた。 ■おわり■ キャスト ・アルバン=フリューゲル ・ガルド=イダルゴ ・更葉=ニードレスベンチ ・ガチ=ペド ・ロリ=ペド ・ヘイ=スト 〜オリキャラ大全より〜 何となくRPGなのが書きたかったので…