譚 月 (SS保管庫 胡蝶の夢、より改作)    ──それは、ある老人が、今際に見た夢である。  「お早う、ウォルっ!」  彼は、その箱庭の中で懐かしい声を聞く。  起き出した彼を出迎えたのは輝かしい日々。  楽しく、憂いを知らない楽園がそこにあった。  出会う人。懐かしい記憶。全てを忘れ、全てを得る。  「──だが、戦いたくなったから、しかたねぇよな」  だが、それは果たして本当に正しいのか?  「私はね。魔物たちの全てを記した辞書を作りたいんだ」  甦るは過日の記憶。後悔と失望と。  間違いを修正すべく迫りくる『世界』よりの刺客。  「お前は、もう死んでるんだよ」  ──しかし、それでも月はまた昇る。  Wheel of the World.  世界の車輪は回り進みたもう。  「──違う!!それでも、『生きる』と僕=私は叫ぶ!!」  結局の所、誰かがそう言った様に、世界は無意味で、その老人もまた、朽ちたベッドに躯をさらしているのかもしれない。  だが。  それでも。  第三の月は彼を照らしている──  ウォル=ピットベッカー  ツクヤ  トルゥシイ=アーキイ  リコ  『灰色の犬』  穢れ無きウォルヤファ  永久き灰色  『新たなる月』=『私』  and others  近日公開!! こう、ご期待!