■あとがき  三つの作品で文庫本一冊分くらい書いてしまいました。RPGSSは書くのは楽しいです。  とはいえ、読んでいて楽しいものを書くのは難しい限り。これらの作品を読んで楽しいと思 っていただければ作者としては嬉しい限りです。  三つの作品に共通するテーマは、『未絵化の人物大活躍』というもの。普段日のあたらない 良いキャラをいっぱい出そう――というテーマでした。達成できてたら嬉しいです。ついでに 絵化されたら(ry  自分のキャラと他設定あきのキャラは4:6くらいです。個人的に、人のキャラで書くのが楽 しい気がします。世界が広がるというか。  ともあれ、絵師あき、設定あき、ありがとうございました。 ・各作品別のあとがき ■選ぶべき道(43kb)  カイル=F=セイラムの、過去と未来のお話。  19歳のカイルが聖騎士の試練に挑み、因幡ましろの協力により35歳のカイルと戦う物語。  元々は「最近カイルの影薄くないか」というスレの発言を見て、「ディーンやジュバやロリ に完全に主役食われてるからなあ……」と思いこれはいかんと書こうと思った作品でした。  ところが一旦書き出すと元主役属性ということもあり、気付けばそれなりに長い『物語』に なっていました。過去が、未来と対峙する。そういう物語は結構好きです。  戦闘は思いっきりFSSの影響が出ているので笑ってください。というより、オマージュが 一部交ざってます。あの作品のわけのわからない格好よさは凄まじいので、一度読んでみて下 さい。  内容は、自己の確認。  なぜ剣を振うのか――問い直すための、作品。カイル=F=セイラムという在り方の物語。  裏テーマはカイルの危うさ。一見真っ直ぐのように見えて、その実かなり歪んでいるカイル 。何かをしなければならない、と決定する信念は、時には他人には恐ろしく取られてしまうこ ともある――という話。彼が将来味方に後ろから斬られるのも、その辺りに起因しそうです。 スレでも指摘してくれていたとしあきが居て嬉しい限り。カイルはこの先、よくもわるくも自 由奔放な学者や、一度死んだことによって、少しだけ視野が広くなり、傭兵として修行をつみ 、やがて世界有数の騎士になる――というのは、まだ遠い先のお話。少なくとも、ディシプリ ンを乗り越えた先の、物語。  NG集ことvs魔王ハロウドはまさに彼ららしい話。あののりで最後まで突っ切ってほしい です。 ■砂海の覇王(37kb)  砂海賊ジャン=H=サウスバーグと、若き教師エル=エデンスの物語。  いつもより少しだけノリの良い話を、ということをテーマに、妙にとぼけた海賊、自信に満 ちた小娘、おっとりした魔王に、バカ三人組という軽快な話をかければ幸い。  こっそりと『十三日戦争』と絡んでいます。wikiの年表を見れば分かるけれど、年代が微妙 に一致していたりします。誰か気付いていたら嬉しいです。  書き出した理由は、名前だけ存在していた『ジャン』について書きたくなったもの。その際 に他のキャラや年表ネタにからめて――と思っていたら、書いてて楽しい作品ができました。この先もエデンス先生はいくどか出したいです。  もっともこの作品、致命的な欠陥があったりします。 『砂漠の砂の一粒一粒は、砂漠で死んだ命だ』 『ジャン=H=サウスバーグは、かつて死んだ命を、あの世から無理矢理に強奪し使役する― ―彼は正しく『海賊』なのだ』  とか、そういった解説的な文章を、ラストシーンに入れ忘れました。急いでいたとは言え片 手間おち。かなり想像に任せるシーンになっています。  とはいえ、『砂で出来た、実態のない群体』というのはかなり好きな情景。砂の巨人とか砂 の城とかいっぱい作れるに違いありません。  いつかvs魔王を書いたりしてみたいところ。  ちなみに砂の事象龍、乾土いたホライズンで、サンドホライズン、なんちゃって、というバ カネタです。ごめんなさい。 ■ライオンハート・クロニクル(106kb)  三作中もっとも長くなってしまった作品。気合入ってます。  もとはといえばエロゲキャラ募集で出てきたキャラなのですが(まだ書けてなくてすいませ ん。エロは予想以上に難しい)、設定と絵が気に入ってしまったので、個人的に作品にしてし まいました。  時期的には皇歴2249年前後でしょうか。“ドクター”が十八歳の時に『那波』作製――南海 事件で裏で関わっています。所長入れ替えは2254年くらい。ああ、こういう年表妄想は楽しい ですね。  ともあれ、彼は脇役に過ぎず。  獣王と、人形の物語です。  テーマは「初初しく鈍いカップル」。クロナもライオネルも、その性質上「なぜ相手がすき なのかわからない」以前に「そうか、自分は相手のことが好きだったのか!」と気付くまで時 間がかかるという、喜劇のような悲劇。生き方が生き方なので仕方がないのだけれど。  ライオネル=クランベルクにとっての最大の悲劇は、他人に怖がられたことではなく――他 人を怖がって近づかなかったことでしょう。他人に怖がられるのが怖いから、人と距離を置き 、理性を捨てて戦う獣王。  そんな彼は、クロナと出合うことで、人生を大きく変えることになる――という話。  出来る限り、設定あきの元設定を遵守してみました。多少違うところはあるけれど。まとめ 掲示板での記述は助かりました。ラストシーンをどうするか悩んでいたので……  とはいえ、最後まで書けてよかったと思います。  魔刃ザーラスは設定が存在しません。ラストシーンで死んで魔同盟代替わりです。ある意味 、一番哀れなキャラ。道楽のマクラミンは誰かがぽっと絵化してくれるのを待っているキャラ 。辺境列伝といい、あちこちで顔だけ出してるキャラです。個人的には『善悪というものを持って いない人物』として書いている気がします。ヘイストが『自覚している悪人』で、ドクターは 『僕様は悪ではない』と思っている人。  ラストシーンではとある事象龍が出ていたり、三つ子月云々の話が出ていますが、まあ余談 です。月の欠片は、魂の欠片保管装置。ライオネルの肉体は滅び、彼の魂は文字通りクロナの 『中』にあります。そのために、最後彼女は自壊したのだから。道楽のマクラミンがそこまで 考えて最後の言葉を放ったのかどうかは不明。  ともあれ、獣王の物語はまだ続いています。彼が長い長い旅を終え、再び少女の下に戻って きたとき、一つの物語が終わって、新しい物語が始まるでしょう。  ……まあ、何十年かかるかわかりませんし、帰ってきたところで肉体はもうないので、カイ ル君以下の扱いになりますが。でも戻ってきてクロナシリーズと対決とか書きたいなあ。  悲恋と、一寸の希望を。そういうお話でした。 ■これからについて  現実生活が忙しくなる前に、プロットができあがった『ディシプリン』と『文化祭』を終わ らせようと思います。その合間で短編をちょこちょこ書いていけたらいいな、と。  上記二つが終わったあとは、短期集中で『ホツマ編』を書く予定。ファーライト動乱のラス トで起こる大きな事件によって世界は大きく動き、その一環として、あの学者がホツマへ突っ 込む――! という物語。ディシプリンが終わったら予告編書きます。  極東キャラと、愉快な魔王様と、二十四時が入り乱れる、ついに戦争開始の物語。  ようするに、RPG世界観での戦争編を書いてみようと思います。  FSSみたいに時空列飛び捲くる可能性もありますが、読んでいて楽しめるものに――そし て設定あきやSSあきや絵師あきが入り乱れで参加できるような――楽しいお祭りに出来たら 幸い。     さて、最後まで読んでくださってありがとうございました。  毎回の感想、楽しみに読ませてもらっています。あれは本当に書く力。そして絵化は喜びの 限り。次を目指して、頑張ります。  では、また。  ……ウィキの年表部分に妄想ネタ書いてくれれば、勝手にSSにします。