■ 第18話 Scorching Gold AND The longarm  ■  実の所、城門の近くにいた兵士は、門が切り裂かれるその瞬間までジュバの存在に気づいて はいなかったが。中央にある王宮からならまだしも、角度の関係上門のすぐそばにいた彼らに とって剣は見えにくかったし、何よりも「上」を見ている余裕などありはしなかったからだ。  突如として始まった火災、暴動。誰かが扇動でもしているのか、市民の間にまたたくまに恐 慌は広まった。あちこちで二次災害が発生しかけている。幸いにも、民家や集合所に火がかけ られることはないものの、つい数分前に武器庫の火薬に飛び火がかかり――という最悪の状況 を迎えたばかりだった。  門のそばでもそれは変わらない。混乱の中で逃げようとする市民と、『数日前の暗殺者が再 びきたのだ』という思考が頭にあるせいで殺気立っている兵士の間で衝突すら起きようとして いた。  混乱をあおられた民衆ほど統率のとれない集団はない。内壁の向こう側ならまだしも、門近 くの市民はもはや暴動といってもさしつかえないほどの有様だった。 「落ち着け! いいか、間違っても一般人に武器を向けるな――不振人物が中に混じっている としてもだ!」  ケルツ兵卒長――皇国の階級で呼ぶのならば准尉――は、自分でも無茶だと思う命令を大声 で怒鳴った。無茶だとはわかっている。しかし、それでもそれ以外に彼は方法を知らなかった。  よりにもよって王都の守備隊が民衆に剣を向けてしまえば、それは内乱……革命といわれて も間違いではない状況だ。けっして、守備隊のほうから手を出してはいけないのだ――王宮へ 攻め入ろうとしているならまだしも、彼らはただ外へと逃げようとしているだけなのだから。  その一方で、数日前に城へときた暗殺者がこの騒動の原因であることは疑いようもなかった。 おそらくは間諜を送り込み、内側から混乱をあおっているに違いない。  明らかな、組織的な、ファーライトへの挑戦。  ――まさか、兵の中にも?  隊列を組み、盾で民衆を押さえ込んでいる兵たちへとケルツは知らずに視線を向けていた。 この敵が組織だった行動をするというのならば、兵の中に間諜をもぐりこませることすらでき るかもしれない。いや、そこまでしなくてもいいのだ。ただ兵士の格好をした人間が、民衆へ と手を出せば。  ――暴動が起こる。  背筋に冷たいものが走るのを、ケルツは否定できなかった。ことここにいたって、自分たち が圧倒的な後手に回っていることを自覚せざるを得なかった。そもそも、この暴動が始まる前 からすでに混乱は広がりきっていたのだ。よりにもよって皇国が攻めてきて、反抗に出るため に多少無理をして騎士団を作り上げ、補給線を確保し、どうにかこうにか出立した――それか らまだ数日とたっていない。  両者が絡んでいるのは疑いようもなく、けれど証拠もなかった。今は、できることをやるし かない。 「ケルツ兵卒長! このままでは抑え切れません!」 「わかってる!」  悲鳴のような部下の言葉に、ケルツは悲鳴のように怒鳴り返す。いわれずとも見ればわかっ た。このままいけば、特に煽られることもなく、民衆の誰かは下に落ちている石を拾うだろう。  ――今は、民衆の非難が先か。  内心でケルツは覚悟を決める。首謀者を逃がす可能性も高いが、この状況、まずは民衆の避 難を優先するべきだ。どのみち暴動が起これば門は開いてしまう。その前に、外へと逃がすべ きだ――  そう考えた瞬間に。  まさしく門は開いたのだった。ただし、彼の手ではなく、そもそも内側からですらなく―― 外側からの斬撃によって。 「……」  轟音とともに光が上から下へと走った。誰もが一瞬言葉をなくした。空は快晴だというのに、 雷が門へと落ちてきた。大半の人間はそうとしか思えなかった。  ごく一部の人間は『雷は暁のトランギドールの怒りだ』と信仰心をあらわにして地に伏せた。 さらにごく少数の人間は、それが雷などではなく、不可解なまでに強力な斬撃だと気づいた。  ケルツもその一人だった。  40を超える彼は、幼き日に見たことがあるのだ。落雷を素手でつかみとり、そのまま剣と して振り落とした、『白』の二つ名を受けた聖騎士の姿を。その技を。  今の斬撃は、それを思い出させる何かを含んでいた。  その、全ての人たちの前で、平等に。   都市を守る門は――外側から斬り開かれたのだった。閂や支えを一撃のもとで叩ききられ、 門は音を立てて開いていく。外側にいる誰かを、内へと迎え入れるように。  帰郷を祝うかのように。  門は開いた。門を閉じようとしたものはいなかった。誰かが『何かをしよう』と思うよりも 早く事態は進行した。扉が開き、開いた扉の向こうには。  ――黒き旋風が立っている。  誰もが――誰もが、息を呑んだ。門が開いたことでもない。門を斬り開かれたことでもない。  開いた扉のその向こうに立つ男の姿を見て、彼らは言葉を失ったのだ。  黒き髪。  黒き瞳。  黒き鎧。  黒き剣。  黒に染まるその姿の中で、ただ一つ、右の手に握る名もなきロングソードだけが、白く輝い ている。ファーライトに住む人間が、その剣を知らないはずもなかった。名もなき剣。されど それは、その価値を下げるものではない。ファーライトを守ると誓ったもののみが、姫君より 授かる騎士の剣。  抜き身の二刀を携えて。 『黒き旋風』。聖騎士、カイル=F=セイラムが、そこに立っていた。  彼の死よりも数年をへだてて――正面から、戻ってきた。  還って、きたのだ。 「…………」  誰も、何も言わない。『侵入者』たるカイルにつかみかかろうとも、逃げようともしない。 戦火すらも近づいてはこなかった。北門の側にだけ、カイルの気配によって静寂がもたらされ た――そういわれても信じてしまいそうなほどに、静かだった。  口を開くことすらできない。  誰もが、カイルから放たれる雰囲気に呑まれている。 「――――」  カイルもまた、口を開くことはなかった。一文字に口を閉じ、黒き瞳で戦火の広がる街を見 据えて、一歩、また一歩と、急ぐことも逸ることもなく、歩いて、門を潜った。  ――騎士の凱旋。  姿を見る者のに、そう思わせる姿、佇まい。  騎士が戦から戻るかのように。  騎士が戦いに挑むかのように。   威風堂々と、カイルは歩む。 「…………ひ」  間近を通られた住民が、腰を抜かして地面へとへたりこんだ。睨まれたわけでも、斬りつけ られたわけでもない。ただ側を通られた、それだけのことで――気配に耐えられなくなった。  カイル=F=セイラムの存在感に、気圧される。  起こりかけていた暴動など、起こせるはずもなかった。あるものは腰を抜かし、そうでない ものは、口を閉ざしたままに道を譲った。古い物語のように、カイルの前に出来ていた人垣が 二つへと分かれる。  人が別れて出来た道を、カイルは突き歩く。  止まらない。その先にいるのは――この場の責任者である、ケルツ兵卒長だ。ケルツの姿を 正面に捉え、カイルは真っ直ぐに歩み寄る。  その進路上には――不運にも――三人の兵卒がいた。彼らもまた、カイルの雰囲気に呑まれ ていた。それでも、雄叫びをあげながら斬りかかったのは、カイルのことを『侵入者』と思っ たからではなく、ただ単に、目の前にいるモノを恐れてのことだった。ただ、恐怖を持って― ―警告もなしに切りかかった。  そうするだけの何かが、今のカイルにはあった。  彼にしては、珍しいことに。  彼は。  カイル=F=セイラムは――怒っていたのだ。 「――――――」  怒っていた。この有様に。開いた門の向こうに広がっていた光景に。愛すべき故郷に火が放 たれている姿に。守るべき民衆たちの怯える姿に。慌しく働く兵士たちの姿に。遠くから立ち 昇る煙に。近くで燃える炎に。崩れ倒れる建物に。  戦の気配に。  己の守るべき町が、戦火の中にあることに――そしてそれをもたらした人間に対して、カイ ルは、心の底から怒っていたのだ。  真の怒りは顔へは出ない。歩むカイルは、真顔そのものだ。青く強く燃える炎のように、た だその気配にのみにじみ出ていた。龍ですらたじろぎかねない重圧。  黄金の聖騎士とも本気で斬りあうカイルが――本気で、怒っているのだ。 「うおおおおおおおおおおッ!」  悲鳴ともつかないおたけびをあげながら、二人の兵卒が左右から切りかかる。  振り下ろされた剣を、  カイルは避けなかった。  カイルは受けなかった。  二人の兵卒がカイルへと剣を振り下ろしたとき――カイルは既に、兵卒たちの後ろにいた。 そのまま振り返りすらせず、カイルはケルツ兵卒長のもとへと、一秒たりとも足を止めること なく歩む。一拍遅れて、後ろで二人の兵卒が、剣を振り下ろしきることもなく地面に倒れた。  誰の目にも、何が起こったのかわからなかっただろう。  わかったのは――カイルの後ろに続く三人だけだ。カイルが兵卒の間をすりぬけ、その際に 首筋に剣の柄をあて、一瞬すらかからずに気絶させたのだ。  民衆は兵士には消えたようにしか見えなかっただろうし――当の兵卒たちにしても、自分が 気絶した自覚すらなかっただろう。  カイルは歩み、 「…………」  ケルツ兵卒長の前で、立ち止まる。  間近から黒い瞳に見竦められて、ケルツ兵卒長は全てを捨てて逃げ出してしまいたくなる。 それと同じ位に――自分のなすべきことをやらなければと、強く思う。カイルの黒き瞳には、 他人に意思を再確認させるような、真っ直ぐな強さがあった。  ケルツが逃げ出さなかったのは、『カイル=F=セイラム』という人間のことを知っていた というよりも、その瞳に見られたからだったのかもしれない。  ――俺は兵卒長だ。  ケルツは思う。  ――ファーライトを守る者だ。故に、俺は、  思考に重ねるように。 「ケルツ兵卒長」  カイルが、言った。  数年前。まだ、カイルが死ぬ前に。かつてファーライトで過ごしてたときに、二度、三度顔 をあわせただけだったけれど――それでも、そのときにそう呼んだように。  名前を忘れることなく、カイルは呼んだ。  反射的に――ケルツは姿勢を正していた。兵卒長という、兵をまとめる男が、立場だけでは なく――心の底から尊敬を表すかのような、かしこまった態度。下手をすれば親子ほどに年の 差がある青年へと向かって、けれどケルツは、ためらうことなくその態度をとった。  彼は知っている。カイルが、本当に国を愛していたことを。本当にファーライトを愛してい たからこそ――死んでしまったことを、知っていた。決して口に出すことはなくても、死んで しまった彼のことを、忘れた日はなかった。  そのカイルが、今、ケルツの前に立っている。遠い日と変わらぬ格好で。遠い日よりも、さ らに強い意思の灯った瞳と共に。  剣を重ねて、カイルは言う。 「皆の避難を頼む。敵は強い。下手をすれば、街中に被害が出る」 「貴方は――」  貴方はどうするのですか。そう言おうとした。  それよりも、早く。  カイルはケルツの側をすり抜け――すりぬけざまに、答えた。  誓いの言葉を。 「この国を――守ってきます」      †   †   †  カイル=F=セイラムが兵卒たちを一瞬で黙らせるのを、そして、ソィル=L=ジェノバと 共に中央へと風のように駆けていったところを、ジュバとロリ=ペドは隣り合ってみていた。  暴発しそうな空気はもはやない。カイルと言葉を交わしたケルツが、民衆の非難を最優先し た。幸いにも――といっていいのかどうか――ジュバが斬りあけた城門から、民衆たちが逃げ 出していく。逃げても中央側から避難民がやってくるため、人の流れが途絶えることはなかっ た。 「ま。ここが戦場になるなら、区画ひとつくらい潰れるかもな」  順序よく外へと出て行く民衆を見ながらジュバが呟く。この町には聖騎士がいて、自分もい る。黄金の聖騎士なんてモノもいるし――何よりも。  皇国が送り込んできた『少数精鋭』が、ただものであるはずがなかった。  少なくとも軍団長クラス。あるいは、それ以上の何者か。  ――血がたぎる。  戦意に満たされ、ジュバは獰猛な笑みを浮かべた。戦場こそは彼の住処。加えて敵が、負け かねない強敵ともなれば――心が湧き踊るのを否定しようがなかった。  ジュバ=リマインダスは、戦いの中で生きる男なのだから。  けれども。  その隣に立つロリ=ペドは違った。どこか困惑したような顔で、行く場もなく立ちすくんで いる。  ――カイルの戦いを見ようと思った。  けれど、あんな風に怒っている姿など、見たことがなかった。彼が意思をむき出しにしてい る姿を見て、何も言えなかった。その戦いこそを見に来たはずなのに、足は動かなかった。  いや――一度だけ、見たことがある。怒りではなかった。ベクトルは違ったけれど、同じく らいに、意思のこもった戦いを。  それこそが――あの南の果て。島の中央、砂浜の上での戦い。   あれこそが、そうだったはずだ。  なのに、今は。  意思に満ちたカイルの姿を見て――追いかけることができなかった。  思ってしまったのだ。  彼の意志に匹敵するものが、自分にはあるのだろうかと。  彼の側に立つ資格が、自分にはあるのだろうかと――ロリ=ペドは、迷ってしまったのだ。  覚悟が、歪んだ。  あとについてかけることすらできなかった。即座に続いたソィルのようにも、平然とそれを 見送ったジュバのようにもなれなかった。  事ここに至ってなお、心が彷徨っていたのだ。 「本気になったあいつを見るたびに俺は思うね」  彷徨う心を見透かしたかのように、ジュバが口を挟む。見上げると、ジュバはロリ=ペドを 見ていなかった。去っていくカイルの背中だけを見ている。  口元には、微かな笑み。  笑みを隠そうともせずに、ジュバは言う。 「――あいつとだけは戦いたくねえ」 「…………? そうなの、ですか――?」  冗談かと思った。  ジュバ=リマインダスが恐ろしく強いことは、ロリ=ペドはその身で知っていた。先の一撃 からでもわかる。『二十四』に届くほどに、ジュバは強い。  その彼が、戦いたくないという。  何かの冗談か比喩だと思った。口に浮かぶ笑みがその思いを後押ししていた。  けれど、ジュバは否定しなかった。 「だってそうだろ」  笑ったまま、彼は続ける。 「攻撃が当たらないからな。戦いたいタイプじゃない」 「…………」 「本気になったあいつと、斬り合うことができるやつはそういねえよ。それは、一時期でもあ いつとチーム組んでた俺が保証する」 「貴方も――負ける、と?」 「まさか」  ジュバは肩を竦めた。笑みが、さらに深いものへと変わる。 「戦いたくねえだけだ。俺の趣味はな、こう、ガーンとやってズガーンときめてバガーンと勝 つ、単純明快で格好いいヒーローなんだよ。ああいう奴とは、やりたくないだけさ」  ガツーン。ズガーン。バガーン。  まったくもって意味不明の言葉だったが、なんとなくイメージはついた。正面から力まかせ での斬りあい。そういう戦いを、ジュバは望んでいるのだろう。  カイルは、違う。  望む望まないに関係なく――彼はただ、全力を出すだけなのだ。守るために。戦うために。 全てを出し切る。  戦を楽しむ男と。   戦へ臨む男。  どちらが良いとか、どちらが悪いとか、そういう話ではない。それはただ、違うというだけ のことだ。  ――では。  ロリ=ペドは、思う。  ――私は、どうなんだろう。 「貴方は、」  思考から逃げるように、ロリ=ペドは無理矢理に話を切り替えた。隣に立つジュバへと問う 。 「彼らに――ついていかないのですか」 「行かん」  即答だった。  ためらいなく断定し――それから、ジュバは歩き出した。 「俺を待ってる奴がいるし――何よりも」  中央へではない。東区画の方へと、歩き出す。ロリ=ペドについてこい、とも、お前はどう する、とも言わない。  自分のやるべきことをやるために――ジュバは動き出す。 「俺を待ってる戦いがあるんでな」  声は、隠しようのない笑いに満ちていた。  答え、ジュバは飛ぶように駆け出す。カイルやソィルとは別の方向へ。自身の戦いが待つ場 所へ。  ロリ=ペドだけが、残された。 「――――――」  ただ一人になって立ち尽くし、ロリ=ペドは、止まってしまった。  何もできない。  何もいえない。  何もわからない。  意思が定まらない。  覚悟が、定まらない。  ――正義。  わからない。  ――正義は、何処に。  わからない。  わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない 。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない 。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない 。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない 。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない―――――――――――― 「私は――」  どうしてここにいるのか――わからない。 「私は――どうすればいいのでしょう、兄様――――」  答えの返らない問いに。 「決まっている。戦場では、誰もが戦わずにはいられないものだ」  返るはずのない、答えがあった。 「――――!」  弾かれるように振り向いた。避難する民衆の中で一人だけ、立ち止まってはっきりとロリ= ペドを見ている男がいた。左右がちぐはぐの奇妙な鎧姿。  男の名を、ロリ=ペドは知っていた。興味などなかったけれど――カイルと話している姿を、 何度も見ている。一時期は、仮とはいえ部下だったほどだ。  知っている男だったからこそ、困惑した。  その男は、こんなところにいていいはずがないのだ。中央で、陰謀の只中にいるべき男だっ た。 「何故、という顔をしているな。考えてもみろ――黒幕が中央でふんぞり返ってる必要など、 どこにもない。どこにいたって、情報は扱えるものだ」  即ち。 『長い腕の』ディーンは、ロリ=ペドを見据えて、優しく微笑んでいた。  敵対する気がないとでもいうかのように。  ――敵。  その言葉がロリ=ペドを無理矢理に動かした。背負っていた黄金色の大剣へと伸ばし、 「黄金色の聖騎士。勇者ガチ=ペドに従う騎士」  名前を、呼ばれた。  ロリ=ペドという個ではなく、その立場を示す名前を。  それだけで――動きは止まってしまった。自分が何者であるか、無理矢理に思い出させるよ うな言葉。今はそれではないと、暗に突きつけられているような酷い言葉を、むしろ優しげな 口調でディーンは言った。  ロリ=ペドの動きが止まったのを満足げに見て、ディーンは言葉を続ける。 「君のことは調べた。君が悩んでいることも。南での戦いも。だからこそ、いえることがある」  そして、ディーンは。  迷い、止まるロリ=ペドに対して。 「君はもう一度――あの男と戦うべきなのだ。『黒い旋風』の味方ではなく、敵として」  その長い腕を、差し出した。 ■ 第18話 Scorching Gold AND The longarm ... END  ■