RPG SS 神々の黄泉 第二話「不安だらけの出航」 「はぁ……」 私は今途方に暮れてる。 理由は色々とある。 「全然、見つかりませんね……」 一つはこの私の傍にいる生活能力0なスライムマスター、ビギィが勝手に受けた依頼に関する事 人の許可無く勝手に依頼を受けてもらいたくないわ……まあ、一応前金は受け取ってあるからマシだけど。 「あんなヤツ相手にするのよ? ……相当の覚悟がなければ無理よ」 私は背中と両手に依頼に品物を持った状態で言った。 彼女が勝手にやった事はこのさいまあ水に流そう、それよりも深刻な事は―― ――誰も船を出してくれない事だ。 仕方ない事だろう、なぜなら今依頼された品を届けるにはあのロンドニア海軍を震え上がらせた 海賊『鮫』の相手をしなければいけない。 「無理に海路を使わなくて良いんじゃないの?」 この女まるで理解していない。 陸路という手段もあるにはあるが、それは必然的に山越えとなる。 只の山ならそっちにする手もあるんだが…… 問題はほとんどが標高数千メートルを超える物であり、しかも標高が高くない山も魔物が出やすいと 非常に危険なところだ、正直海賊は積み荷を奪うだけだから(中には違うこともあるとは思うが) そっちの方が安全と言えば安全である。 「ともかく、手分けして探すわよ?」 「は〜い、分かりました」 ――一時間後―― 「……」 結果は0……正直もう泣いても良いですか? 「はぁ……」 あのビギィが出してくれるような船を探す事は……ほとんど無理であろう。 (今日は無理かな?) だがその時、奇跡が起きた 「罷璃さん〜、船を出してくれる人見つかりました」 ビギィがハァハァと息をしながら、ダッシュで私の元に向かっている。 「ほ、ホント!? よくやったわ!」 今回ばかりは役に立ったわよ! ビギィ! 「向こうの港で待っているようです」 私はワクワクする気持ちを内心で抑えながら、彼女の案内の元港えと向かった。 ――数分後―― すまん、期待した私がバカだった…… 「はぁ……」 「どうしたんです? 疲れたんですか?」 いや、そりゃまあ疲れますよこんなんじゃあね…… 私が港まで行って見た物は確かに船はあった……けどね 「疲れてるなら早く休むといいニャ」 と、白い毛の猫……人が私に言った 「言い忘れたニャ、僕は船長のソテー・グリルですニャ」 ……船長(らしき)がこんなチビじゃあね、不安だらけよ全く 「おちびちゃん、これは遊びじゃないの、分かるわよね」 私は手の平、シッシッと言った感じで降った。 「失礼ニャ、こう見えても海賊団「シー・キャット」の船長ニャ、任せるニャ」 対するソテーは胸をポンと誇らしげに叩いた。 よくよく見ると船には猫の足跡を象った旗が掲げられており、一応は海賊団である事は証明してある。 しかし、団員はどう見たって全員猫人、しかもこれから下手したら軍隊クラスの海賊団とやり合うのに緊張感は全くない ……だめだ、早く何とかしないと 「まあ、泥船に乗ったつもりで安心するニャ」 (いや、そこは大船でしょ……) こうして不安要素たっぷりの出航となったのである