RPG SS 神々の黄泉 第六話「酒場での惨状〜ビギィ編〜」 「はぁ……」 私、罷璃=ニードレスベンチはため息をついた。 別に依頼が失敗したわけでは無い、むしろ成功してたんまりと報酬をもらったわ。 ただね…… 「どうしても帰らないの? ビギィ?」 「……」 ビギィは無言で首を横に振り答える。 さっきからずっとこの調子だ。 「……まあいいわ、それでも訳ぐらいは教えてくれても良いんじゃない?」 「……」 未だに無言のままである。 ……全く、考え事をするとこいつはいつもこうなるからホントやっぱこの子は根っからの学者ね…… 「ねえ、ってば!」 「……気になるの」 と、やっとの事でビギィはその重苦しい口を開いた。 「何が気になるの?」 「……あの依頼で仕入れた物に関する事なんだけどね……」 「……?」 「火竜石って知ってる?」 火竜石……、冒険者養成学院時代にその名は聞いた事があるわ。 「確か高純度の火属性の魔力がこもってる魔石でしょ? でもそれと何が関係しているの?」 「その火竜石なんだけど、アレって確か希少価値高い筈でしょ?」 「うん……確か滅多に出ないし、出る場所が大抵ドラゴンとかの巣窟だから市場価格がかなり跳ね上がってるって習ったわ」 「……それが大量にあるのよ、さっき依頼で仕入れた物の中に」 その事実に私は驚愕し、うかつだったと舌打ちをする。 商品がそんなに高価な物だったんだ、まだ依頼料をせしめる事がかのだったわ…… まあ私も実物を見た事ないし、これからも見ないと思っていたからそんなこと露にも思ってなかったんだけどね。 「で、どうするの?」 「……その事なんだけどね」 ゴニョゴニョ 「……ま、まあ現状情報を仕入れるにはこのやり方しか無いけど無茶じゃない?」 「でもこのまま帰るのはもったいないわ! 主に学者として」 はぁ……、こんな時には積極的になれるあんたが羨ましいわ。 ――酒場にて そこはにぎやかだった 嫌になるくらい筋肉と地属性がいっぱいいて吐き気を催したわ。 「や、やっぱり、ここはで、出直しというわけで……」 「いいえ、情報を仕入れるまで私は帰らないわ!」 私のそんな様子を意にも介せず彼女は一人の男性に声を掛けた。 その男はこの中ではまあイケメンでその上派手な衣装だから目立ったわ。 彼女の作戦、それは酒場で情報を仕入れる事。 まあ確かに可能だけど……、途方もない時間がかかる事は間違いない事になるのはたしかね…… 「ん〜? 火竜石? ああそれなら俺知ってるぜ」 っていきなりかよ! 「ほ、ホントですか!?」 「ああ知ってるぜ……だが只で教えるわけにはいかないね?」 ……嫌な予感 「……お金ですか?」 「いや……、それじゃない」 ――俺とつきあえ 「に、逃げろ、いろんな意味で危険だ、危険すぎる賭だ!」 そうだ逃げろビギィ、そいつは危険すぎる! いろんな意味で 「……」 考え込まなくて良いから、速く逃げて 「いいです……」 あっ、もうだめ……ビギィ、あんた多分お嫁には絶対にいけなくなるわね。 その時 「はぁはぁ……この野郎やっと見つけたわ……リーンフォンス!!」 店の扉が勢いよく開き中から一人の少女が顔を見せた ――ものすごい殺気を放ちながら