異世界SDロボ・ショートSS 最終回間近の一コマ? 「おおおおおおぁーっ!!!」 「キヒャアアアァーッ!!!」 ガッキィィィンッ!!!!! 満身創痍から繰り出された蛮武ー丸とサイゾウの奥義「破竹閃」が 裏風刃とイゾウの秘技「撫斬旋」と真っ向からぶつかり合う。 互いに傷ついた両者は勢いに耐え切れず弾き飛ばされ倒れる。 が、先に立ち上がったのはサイゾウと蛮武ー丸であった。 「はぁっ…はぁっ…どうだ…まだ戦るか!?」 遅れて立ち上がった裏風刃に搭乗したイゾウは吐き捨てるようにこう返す。 「ぐ…抜かせ、わしはただの雇われ人斬り…負けの一つや二つで犬死は真っ平御免よ! ましてや上の阿呆どもと心中する気もないわ!! だが、覚えておけ…おまえはいつか必ずわしの手で殺すとな……」 路地裏に消える野良犬のように要塞から脱出する裏風刃とイゾウを見送った後、 蛮武ー丸は疲労とダメージに耐え切れず膝をついた。 いつもなら蛮武ー丸をどやすサイゾウも今回ばかりは悲鳴に近い不安の声を上げた。 「おいっ蛮武ー丸!? しっかり…しっかりしやがれ!!!」 「なに…ほんのかすり傷にゴザル…ぐうっ……」 そこへ自分をアニキと呼ぶ聞き覚えのある声が聞こえた。 最終決戦に駆けつけた各国の戦士達の中にちゃっかり混じっていたバクフ国の少年兵サスケである。 異常なまでにサイゾウを慕っており、彼が武者修行の旅に出る時も大きな瞳に涙をいっぱい溜めて 「アニキ、心配しないで…オイラ、アニキが戻ってくるまで浮気しないで待ってるからね!!!」と放言し、 サイゾウは同僚達の大爆笑を背に逃げるように城下町を飛び出した苦い思い出がある。 「おう、サスケか…そうだ! ちっともセーソでカレンでボインじゃないオチビちゃんとその正反対な姉ちゃんはどうしてる?」 「お姫様達なら、あのでっかくて真っ暗な奴とまだ戦ってるよ…」 「そうか…蛮武ー丸がこんな状態じゃなきゃ助太刀に行けるのによ…ちくしょう!!!」 すると… ガシッ 「!?」 蛮武ー丸に肩を貸したのは、サスケの操縦する紋鬼ー丸であった。 「サスケ!? てめぇ何考えてやがる!! 蛮武ー丸は…」 苛立ちと不安を抑えきれず怒声を上げるサイゾウに対し、 サスケは以前の彼からは想像もできない毅然とした口調で答えた。 「アニキ、こうでもしなきゃ蛮武ー丸は絶対に悔やむよ? それを一番知ってるのはアニキじゃなかったの?」 「…! サスケ、おまえ…」 「サスケ殿、かたじけない!! サイゾウ殿…もう何も言うなでゴザル……」 「……………」 蛮武ー丸は一度言い出した事は絶対に曲げない。 そう、真っ直ぐに伸びる竹のように……。 それを誰よりも知るサイゾウはもう何も言えなかった。 そして、このいい意味でも変な意味でも自分を慕う少年兵は、自分がバクフを出た頃とは確実に何かが変わっている。 もしこの戦いから生きてバクフに帰れたら、その辺をじっくり聞いてみようと思った。 「よし! じゃあ蛮武ー丸よ、もう一暴れしてくるか!!」 サスケと紋鬼ー丸も後れを取るんじゃねぇぞ!!」 「おおーっ!!」 「キッ!!」 こうして、二人の若武者と二体の機械人は全世界の命運を賭けた戦場へと向かう。 果たしてこの戦いの果てにあるものは…まだ、誰も知らない。 終