PSIONIX GARDEN X'mas SS 「希と美砂のじゃんけんトリック」 --クリスマス当日 街で二人で買い物 楽しいクリスマスイヴも終わって、次の日。 あたしは 一ツ橋 希(ヒトツバシ ノゾミ) と一緒に街に買い物に来ていた。 希はあれだけ飲んでいたのに朝になるとケロっとしていた。 あたしはそんなに飲んでいなかったし、水を飲んでアルコールを薄めていたのに結構しんどい。 夜遅くまで麻生さんと喋ってたからかなぁ・・・。 「ねえ希」 「なに〜美砂ちゃん?」 「昨日さ、麻生さんにサンタの格好させるのにじゃんけんしたでしょ?」 「うん」 「じゃんけんなら麻生さんを負けさせる自信がある、とか言ってたけどさ、どうやって麻生さんをハメたの?  灯室くんの話とかの口裏あわせはしたけど、肝心なじゃんけんの方は出雲さんも私も何にもしてなかったし」 「あ、あれはね〜、桐島叉姫(きりしま さき) さんの任務の時に、千里眼を使えばモノがゆっくり見えるのが分かったから  じゃんけんの手の速度くらいなら見切れるかなーって思って」 「見切れるって言っても皆が手をだした瞬間に希だけスパっと手を変えられるの?  見えるのと体が動かせるのは別問題だと思うんだけど・・・」 「大概の人は“じゃーんけーん”で腕を振り下ろす時に半分くらいまで次の手を作ってるから、それを見るの。  完全に握ってればグー、人差し指と中指が緩んでいたらチョキ、全部の指が緩んでいたらパー。  絶対、っていうわけじゃないけど大体当たるし、このタイミングからなら私が手を動かすのも間に合うよ」 「う・・・という事は希は常に後だし出来るって事ね・・・。  でもさ、それは麻生さんと一騎打ちになってからの話でしょ?  どうやって私と出雲さんを先に抜けさせられたの?私たちは普通にジャンケンしてただけだしさ」 「簡単だよー。  力を使って皆の手を見るでしょ、奏詠さんがパーで美砂ちゃんとかがグーで奏詠さんが勝っちゃうような時は、  私がチョキを出してあいこにして、ちょうど美砂ちゃんとうさちゃんが奏詠さんに勝つ時に  私が奏詠さんと同じ手を出せば、美砂ちゃんとうさちゃんだけが抜けれるよね」 「ほんとだ・・・あんた、力をどうでも良い事に使うことに関しては頭が回るのね・・・」 「どうでもよくないよー!晶さんも元気になったし、奏詠さんも喜んでくれたもん」 「灯室が明るくなったのは認めるけど、麻生さんは喜んでたのかなぁ〜」 「喜んでたよ!私も着たかったもん!」 「なによ、その理由・・・」 私は、はぁ〜、とためいきをついた。 とりあえず、今回の件で学んだのは希相手にじゃんけんを挑んではいけないってことだ。 特に、重要な勝負の時には・・・ --END