前回のあらすじ 闇黒連合とディオールが襲撃してきたカリメアを追い払った、めでたしめでたしと行かない。 ヒースは主人公なのに勘違いで、戦場に置き去りにされて、ヴェータは思春期真っ盛りだった。 ヒースはいろいろあったけど元気です。 暇だ、町に以降にも俺はまだ怖がられてる、きっとそうに違いない。 「・・・・」 夜まで・・・寝れるか?日の光をゆりかごに、俺は寝てみることにした。 大丈夫きっと寝れる・・・日の光が優しく俺を照らす。 心地いい・・・旅をしてる時、干草の上でこうやって眠ったな・・・ やっとの思いで気が静まった、暗黒英才教育の戦士の心、精神を統一して心の乱れを防げ。 それを思い出しながら、僕は静かに本を読んでいた。 「おーいヴェータいっかー?」 「・・・なんだバルス?」 呼んでいた魔術の入門書(この程度全部使えるが、暇つぶしにはいいだろう。)のしおりを挟んで。 開いたドアを見ると、バルスが手紙のようなものを持ってきた。 「いやな、お前のねーちゃんから伝言だ。」 「姉さまから?」 姉さまからか・・・なんだろう?これは嬉しいぞ、やっと迷いが払えた時に大好き姉さまからだ。 「えっとだな、要約すると以下のとおりだ。」 「ヴぇーくん、この前カリメアの攻撃があったと聞いてびっくりしました、ディオールの被害は大きいと聞きます。 ディオールで羽を休めて、クラゲさんで帰ってくるのは大変だろうけど、頑張ってテレサさんを連れてきてください。」 「姉さま・・・」 クラゲさんは恐らくダークネス・フォートレスだろう、戦艦ダークネス・フォートレスはその姿のせいで ダフォまたはくらげと言われてる、僕も姉さまと同じクラゲ派だ。 「まだあるぞ?」 「他にはなんて?」 少し嬉しくなってきた、がすぐに後悔した・・・ 「友達のヒーくんとウェンディちゃんとは、仲良くしてますか?テレサさんがウェンディちゃんのドレス姿が 似合ってたと聞いて、お姉ちゃんも見たくなりました、ウェンディちゃんにお願いして置いてください。」 「姉さま・・・」 「俺の親父もだから、人の事はいえねーが・・・闇黒連合の上は俺と、一部のヤツ以外真っ白だな。」 またウェンディの事を思い出してしまう、ちょっと苦しくなるが姉さまの笑顔を思い出して、少しはましになった。 頼んでおいてか・・・しょうがない、けど姉さまがドレス着てるほうが似合う、姉さまのドレス姿が頭に浮かぶ 「まったくだな、これにディオールのテレサ女王が来ると、灰色だったのが白色に近くなる。」 「その上お前まで白くなり始めて、こりゃ近いうちに闇黒が純白連合になっちまう。」 「なっ!?僕がいつ白くなった!」 僕はいつだって冷徹で、それでいて闇黒連合のために非常な、暗黒帝国の皇子・・・決して白くない! 白くて純白なのは姉さまの優しい心だ! 「前にあったときは、まぁ灰色だったが・・・今じゃ白よりの灰色だぜ?」 「それじゃあ何で今は白いんだ!」 「ダチつれてるからだろ?挙句、シスコンのおめーが女つれてたからな、もう笑っちまうぜ。」 クハハハハ、と独特の笑いをする、周りから優しくなったと言われたりしてるから、言い返したいが言い返せない。 何か反撃できないか考えたが、長い間あってないから、なかなか見つからない。 「お前だって昨日、テレサ女王に頼んで、転移魔法使ってミグレビッチつかったじゃないか!」 「そりゃそうだろ?一国の王子が指加えてみてるなんざ笑い種だ。」 「うっ・・・」 反撃の手段が完全に消えた、僕が俯くとバルスがポンっと頭を撫でた。 「まぁ、お前が友達できて、優しくなったのは嬉しいぜ?」 「・・・」 連合を組んでから、しばらくバルスとは付き合いがあるが、あの頃はお互い周りに恐れられてそれでか そりが合ってた、その時バルスが兄貴分だったが、それは今も同じらしい。 「あーお前も大人になるんだな」 「余計なお世話だ。」 「膨れてやんの、やっぱ変わったなお前。」 「うるさい!」 膨れっ面らしいが、今は怒鳴るってごまかす事にした・・・けど、ごまかせないのが ウェンディの事だ・・・、イヤになる、この感情がもしも好きだったら・・・考えたくない。 「・・・・」 「あの・・・ウェンディ機嫌直してください・・・」 アリシアが私に煩かったから、少し機嫌を悪くするフリをしてみた、アリシアがおろおろしてて なんだか楽しい・・・そういえば、・・・アリシアって、恋とかした事あるのかな? 「あのね・・・ねぇアリシア」 「なんです?」 「アリシアって人を好きになった事ある?」 アリシアが青ざめた、その後に沸騰してた、その後に萎んだように俯いて、そのままボソボソと何か言ってた 「あるの?ないの?」 「・・・あります。」 あるんだ・・・もしかしたら、誰かを好きになった時って、どういうのか・・・分かるかもしれない。 「け、けど10歳の時でその・・・あの・・・」 「ねぇ、人を好きになった時ってどんな気持ちなの?」 「へっそれはその、あのえっと・・・あぅはぅ・・・」 あっ困ってる、ふふっアリシアかわいい・・・それに比べて、私・・・かわいげないなぁ 「胸が苦しくて、それでいて・・・何故かその人が浮かぶんです。」 私と同じだ・・・胸が苦しい、どうしよう・・・私、誰かが好きなのかも知れない・・・けど誰? 「ねぇ、その人が分からない時、どんな風にすれば分かる?」 「え?んー・・・好きな人がいるから、胸が苦しくなるんです、誰かは分かると思いますよ?」 「それが分かったら苦労しないわよ・・・あっ!?」 あっ・・・どうしよう、アリシア凄く嬉しそう・・・ 「ウェンディも好きな人が出来たんですねぇ〜、良きかな良きかなです♪」 「ち、違うの!だって私まだ好きな人が誰かも・・・うぅ・・・」 泣きそうになる、自分で墓穴を掘った上に情けない理由なんだもん。 「好きな人が分からない?誰かが好きなのにですか?」 「うん・・・胸が苦しくて、ドキドキするんだけど、誰が好きかわかんない・・・今まで戦いしかしなかったから・・・」 「なるほど・・・こういう場合、誰かに相談するべきかと。」 「そ、そんなの恥ずかしくて出来ないよ!」 アリシアが困った顔をする、恥ずかしいからちゃっかり聞こうとしたんだもの、本当に如何しよう・・・ やっぱりヒースかヴェータかな・・・?ヴェータ?なんでヴェータが?ヒース・・・かもしれない。 「あの、ウェンディ?なんだか目がグルグルですよ?」 「へっ?ごめん・・・ありがと、少し落ち着いた。」 「いえ・・・けど、好きな人が分からないなんて特異な。」 アリシアの言うとおりだ、好きな人が分からないなんて・・・けど、きっとヒースが好きだと思う。 だって今までからして、ヒースが一番劇的な出会いしたし、漫画みたいだったし・・・ 女の子はロマンチックに憧れる、そうだ・・・きっとそうだよ。 「悩むなんて私らしくないね、好きな人は・・・たぶん見当ついてるの。」 「んー・・・本当にそれは好きなんですか?」 「たぶんね、私らしくやってみるよ・・・ありがと。」 心配そうなアリシアの頭を撫でて、私は笑ってやった、きっと・・・きっとこれでいいはずよ。 「ZZZ・・・」 コンコンっと音がした気がする、誰か知らんがすぐに起き上がった、俺がドアを開けると・・・メイド?なぜ? 「失礼します、お洋服をお届けに参りました。」 「あぁ・・・なるほど、もうそんな時間か。」 「サイズが合わない場合、替えを持ってくるので・・・では。」 口早にいうと、メイドは部屋から出て行った、忙しいのだろうな・・・さて着るとしよう。 サイズが計ったようにぴったり、動きにくいが、まぁこれでいいだろう。 「剣はいいか、髪は・・・まぁいいだろう。」 さて、残りの時間は・・・誰かと過ごせるといいが、暇だ・・・リーゼロッテは帰ってきただろうか? 俺がリーゼロッテの部屋まで行く・・・途中で、マークに出会った。 「んぁ?・・・ヒースか?どこの貴族だと思ったぞ?」 「変か?」 まぁ貴族あたりが着てる服だが、似合わないよな・・・流石に。 「いや、似合いすぎて見間違えた、マジで貴族だと勘違いした。」 「んー・・・似合うか?」 「あぁ、その格好で敬語使ってりゃ貴族だな、よし今日のでナンパと行こうぜ?」 マークがふざけたように笑ってる、この笑いからして本気では・・・あっちから人が来る。 「グリフィスさ〜ん、あら?貴族の方ですか?」 「ローザか、俺だヒースだよ。」 やってきたローザのドレスは、恐らく中州国にあったドレスだろう、皆準備し始めてるな。 「ヒースさんだったんですか、びっくりですよ〜、あっグリフィスさん服着てください!」 「まだいいでしょう、タキシードって動きにくくて、好きじゃないんですよ。」 どうやらマークがタキシードを着たがらないらしい、ローザは早く早くとねだってるが、マークはぜんぜん乗り気じゃない。 「着たらどうだ?」 「ですよね!ほらほらヒースさんも言ってるし、多数決でも勝ちですよ〜!」 「ヒースお前・・・まぁしょうがない、んじゃ行ってくるぜ、パーティ会場でな。」 ローザがマークの手を引っ張り、どこかへ連れて行く・・・ローザが楽しそうだった、きっと楽しいのだろう。 さて、俺はリーゼロッテの部屋へ行ってみると・・・いた。 「よっナナミはどうだった?」 「あれ?あなた・・・ヒース?」 一瞬戸惑いながらも、リーゼロッテは俺が俺だと確認した、よっぽど印象変わったのか俺は 「あぁ、ナナミはどうだった?」 「今は寝てるの、どうやっても強化手術のあとは、戻せそうにないって・・・」 「そうか・・・残念だな・・・」 「けどね、心のほうは徐々に回復させていくわ、いつかナナミが普通に過ごせるように・・・」 リーゼロッテが、少し悲しそうだが強い意志を目にこめ、熊のぬいぐるみ・・・チャーリーを抱きしめた 「その日が早く来るといいな・・・」 「えぇ・・・(おい!苦しいってリーゼロッテ!!)あっごめん・・・」 「ふっ・・・今日のパーティは来るのか?」 「えぇ、行く気はなかったけど、お父様とお母様に言って来いって言われてね・・・」 恐らく息抜きのためだろうな、ナナミと戦ってから看病してるようだし、パーティで気晴らしもいいだろう。 「本当言えばね、ナナミも呼びたかったけど、今は無理なんだって・・・」 「そうか・・・残念だな。」 リーゼロッテの頭を撫でてやると、リーゼロッテが嬉しそうに目を閉じる、リーゼロッテは頭を撫でられるのが好きなんだな。 「(背伸びしてもリーゼロッテはまだ11だから、嬉しいんだね。)・・・・」 「そうか・・・っとそろそろ俺は行くよ、またパーティ会場で。」 一度ヴェータ達に合流しておこう、闇黒連合組みで何かあるかもしれん。 「・・・(プイッ)」 「はぁ・・・」 「・・・二人とも如何したんだ?」 何と言うか、そろったは好いんだが・・・ヴェータはウェンディを避けてる、ウェンディはずっと思い悩んでるし 「なんでもない・・・」 「うん・・・なんでもないよ。」 とは言うが、確実に何か悩んでる・・・何かしてやれないかと思ったが、迂闊に手出しはできまい。 二人とも時が解決・・・するか謎だ、だが手を貸してやるのも友人だ、何かあったら手伝うか。 「今日はパーティだな、えっと・・・ウェンディのドレスに合ってるぞ?」 「そう、ふふっありがと。」 「・・・・」 確実にヴェータはウェンディを見てない、ケンカでもしたか・・・、冷静な二人に限ってありえないと思ったが。 ありえなくないか、まぁ・・・時間がたてば直るよな、少し気まずい空気の中、俺が話題を切り出した。 「ヴェータはもうダルイのは直ったか。」 「あぁ、もう大丈夫だ。」 よかった、ヴェータはもう大丈夫らしい、俺の話を聞いてウェンディが、心配してヴェータの前に出てきた。 どうやらケンカしたわけじゃないらしい、よかった・・・ 「っ!?」 「ヴェータ?」 「な、なんでもない・・・何でもないんだ。」 いきなりびっくりして、ヴェータは如何したんだ・・・分からない、一体如何したんだろう、ケンカではないらしいが 「・・・ウェンディその・・・あの・・・」 「?」 「や、やっぱりなんでもない!」 何か言いたいのか・・・、いや俺が今関わってもお世話か・・・、パーティまで残り30分 「そろそろ会場へ行くか?」 「もうそんな時間か・・・行こう。」 ヴェータが逃げるように、会場へ早足で行ってしまうから追いかける、ヴェータは軍服でまだ動きやすそうだが 俺はこの貴族風の服で、結構動きにくく、ヴェータに会場まで追いつけなかったりした。 人がいっぱいだった、流石と言ったところか・・・、兵士の労いが強いパーティらしくあまり和平ついて、話されはせず 開会の言葉も手短になってる、どうやら無礼講と言った所なのだろう・・・・ 「和平祝いのパーティは、闇黒連合で和平の証を貰ってからだそうだ、何貰うか謎だが。」 「そうなのか・・・それにしてもだ、なんだか目立つ気がする。」 周りの視線が俺やヴェータに集まってる気がする、いや理由は大体分かるが・・・何というか、少し恥ずかしいというか なんともいえない感じだった、ヴェータはヴェータで不機嫌そうだ。 「おっいたか、どうだいヒース。」 「マークかタキシードに合ってるぞ、ローザ達は?」 タキシード姿のマークが、大量に料理の載った皿を持ってこっちへやってきた、視線がさらに集まった気がする 気のせいだと思いつつ、俺はマークとしゃべり始める。 「ん?あぁあっちで、アリシア様たちと喋ってるぜ?」 マークが指差すほうを見ると、ローザやアリス、それにまだ合ってない機士団のメンバーか、ピンクのポニーテールの少女 褐色肌の女性がいた、いずれ挨拶はしておくべきか。 「ヒース、機士団の副団長と知り合いになったのか?」 「あぁ、言ってなかったな。」 「よっ皇子様、今回は協力感謝するぜ。」 皿をテーブルに置き、マークがウィンクをするとヴェータは軽く流し、近くにあった肉を小さく切り取り 皿の上に乗せていた、女性の視線がこっちに結構来てる・・・まぁヴェータなら仕方がないか。 「それにしても視線独占だな、皇子様と今回の戦いのMVPだからか。」 「っぐ・・・貴様とて機士団の副団長、視線が集まるのも当然だ。」 ヴェータが肉を飲み込み、突っ込みを入れるなるほど、マークと俺とヴェータに視線が集まるのはそのせいか。 「ん?おー・・・こりゃ視線釘付けか。」 「よっ、楽しんでっかお前らー・・・お、機士団の副団長じゃねーか、知り合いか?」 「王子様登場か、ヒースと知り合いなんでな。」 「そういう事さ。」 カカカ、とバルスが楽しげに笑っているどうやら以外だったらしい、串に刺さった野菜と肉を取り 一気に食いきると、バルスがヴェータの頭を撫でてた。 「何だヴェータ、浮かねー顔してよぉ・・・何かあったか?」 「うるさい、何もない。」 膨れっ面になって、ヴェータが今度は綺麗に彩られたサラダに、トングを突っ込んで大雑把に皿に取り フォークで口へ運んでいく、バルスはやれやれと言った感じに、持っていた杯を仰いだ。 「ヒース、暗黒帝国の皇子様は何か合ったのか?」 「知らない、たぶん何かあった・・・のかもしれん。」 マークがふーん、と海老に食いついてると俺も適当に、皿の上に肉を乗っけて食べていた。 闇黒連合側の兵士が、バルスに近づいて何か喋ってると、バルスが揚々と兵士とどこかへ行ってしまった 「何かあんのかね?」 「グリフィスさーん!」 ローザが話が終わったらしく、こっちに近づいてきてグリフィスの近くで 「きゃああ!」 こけかけた、皿を持ったまま、グリフィスが胸で受け止めた。 「危ないから走ったらダメですよ団長、後何もないところで転ぶのも。」 「ごめんなさーい・・・」 俺がフライドチキンを齧りながら、その光景を見てると後続してさっきの女性達と、もう一人は・・・少年か? 「おー、団長と副団長は熱いねー、んで副団長そこの貴族はだれよ?」 「・・・見た事ある、気がする。」 「誰かは分からないのですか」 アリスが俺を見間違えた、これで何人目だろうか?マークがすぐフォローを入れてくれたが 「へー、あんたが禁忌のね・・・ごっついのかと思ってた。」 「・・・間違えた・・・」 「ナオミには気をつけろ、お前みたいな若い男が好きだ。」 「あぁん?コラパラム、お姉さんが若い男に目を光らせて何が悪い?」 やれやれ、という感じにピンクのポニーテールの少女が俺の前に出てきた、着てるのは・・・バクフ国のドレスのようだ 「私はシオン=アマクサ、あっちの女性はナオミ=ブラットス、それとパラム=シュレイダーです。」 「そうか、自己紹介が必要か分からないが俺はヒースだ、よろしくシオン。」 シオンに手を出すと、シオンも手を出して握手を交わした、なんだか俺は年下と仲良くな・・・あれ?俺は何歳なんだ? 「・・・それにしても見間違えた。」 「何と言うか複雑だ、服一つで変わるものなのか。」 アリスの言葉で深く考えた、今まで同じ服、しかも動きやすい黒一色だったのに、問題があったのか・・・ 「あっヒース君だよね、今暇?お姉さんとあっちに」 「すまんが、今ヴェータと一緒でな、それにウェンディがまだアリシアと話してる。」 チッと舌打ちが聞こえたが、それを周りの機士団がいつもの事か、と笑っていた。 「ねぇそっちのヴェータ君、私とあっちに・・・」 「断る、僕には姉さまがいる。」 「やめとけナオミ、ヴェータは筋金入りの姉バカって話だ。」 「あーあー・・・折角出会いがあると思ったが、こりゃダメだね・・・」 矛先をヴェータにしたナオミが、即効で振られてまた笑われてた、ん?パラムはいったい・・・ 「ババァが無茶をするからだ。」 「んだとパラム!もう許さないよ!」 あっ遠くにいる、ナオミがパラムをおって遠くへ消えていった、機士団はずいぶんと楽しそうだな・・・ 「そういえば、団長は何でこっちに?」 「そうだ、グリフィスさん飲み比べですよ、いきましょー!」 グリフィスが少し困惑しながら、やれやれとローザについていきながら、こっちに手を振った。 「一度手合わせを頼みたいが、今度になるな・・・頼めるか?」 「いいが、僕は手加減はしないからそのつもりで。」 シオンが俺達を見て、手合わせの予約をしてきた・・・俺はどうしよう、断るのは・・・失礼か。 「分かった、今度暇な時。」 「ありがとう、それでは次合う時を楽しみにしてる、」 シオンがそれだけ言うと、ローザたちの後を追っていき、アリスも無言でバイバイと去っていった。 「騒がしい連中だったな、まぁこっちも騒がしいが。」 「おーい、ヒースーヴェーター」 ヴェータがジュースを飲みながら、去っていく機士団を見てると、また誰かがやってくる 今度は見覚えがある、ドレスを着てて雰囲気が違うが、ウェンディだった。アリシアと話が終わったらしい 「っげほっげほっ」 「大丈夫かヴェータ?」 咳き込んだらしく、酷く咳をするヴェータ、ヴェータらしくもない・・・ 「ねぇヒース・・・あのね、聞きたいことがあるの。」 「なんだ改まって?」 赤くなってモジモジしつつ、ウェンディが俺に小さな声で聞いたこととは・・・ 「ヒースは私の事好き?」 「ん?あぁ好きだが?」 何でいきなり、俺は皆の事が好きだ。 「それじゃあさ・・・ヒースは、ヒースにとって私って何?」 「仲間だが・・・どうかしたか?いきなりそんな事聞いて。」 何故だろう、ウェンディが悲しげだった・・・俺がどうしたという前に、ウェンディが先だった 「そう・・・ありがとね、ちょっと外で星見てくる。」 そういうとウェンディは、風のようにベランダへ走っていった・・・ 「なんだったんだろうな・・・」 「・・・少し席を外す、すまんヒース。」 そういうと、ヴェータもベランダへと歩き始めた・・・さて、俺一人で如何しよう。 「ヒース、またあったな。」 「蒼紫か、どうした?」 俺が水を飲みながら、やってきた蒼紫に目を向ける。 「貴族だねまるで、楽しんでるかい?」 「あぁ。」 「それなら何よりだな、ヴェータ様は?」 「今は席を外してる、お前は・・・楽しんでるみたいだな。」 蒼紫の頬のクリームで、なんとなくそれを確認すると蒼紫が指で、クリームを取ってなめた 「恥ずかしい所見られたな・・・テレサ様が呼んでる。」 テレサが?一体なんだろうか・・・ 「来てくれ。」 ヴェータやウェンディが多少気になるが、テレサが呼んでるとなると重要な事かもしれん、急ぐとしよう 「はぁ・・・仲間かぁ・・・無理もないか。」 正直ショックだった、好きかも知れない相手が、自分を友人として以外見てないんだもん。 少し目を見たけど、あの目は本物だった・・・何期待してたんだろ。 「ふふっ・・・」 夜空に輝いてる星が、やけにイヤに輝いて見える・・・。 「ウェンディ。」 あっ・・・この声は・・・、最悪のタイミング、こんな顔見せれないや・・・ 「何ヴェータ?」 僕がベランダに出ると、ウェンディが外を向いて返事をした、たぶんだが・・・ 「落ち込んでるか?」 「ぜんぜん、なんで?」 嘘だ、声が掠れてる・・・、いつもの強気なウェンディと違う。 「・・・そうか。」 今のウェンディは、誰かが助けないと泣いてしまう・・・、いや助けても泣いてしまうかもしれない。 「あのだ・・・ウェンディ、お前に頼みがある。」 「何?」 ぐすっとするウェンディに、正直恥ずかしかったけどこれは姉さんの頼み、僕は口を開いた 「そのドレス、暗黒帝国に帰ったら着てくれ・・・僕は見たくはないが、姉さまが見たがってる。」 「そう・・・分かったわ・・・」 まだ落ち込んでる、たぶん泣いてるかも知れない・・・このまま帰れない。 「ウェンディ、もう一ついいか?」 「うん・・・」 気丈なウェンディはまだ泣いてない、けどもうすぐ泣きそうだし・・・ 「お前に泣き顔は似合わない・・・」 ポケットからハンカチを取り出した、姉さまのくれたハンカチだが、後悔はしてない 「泣きたいなら、泣いてるといい・・・ここなら誰も気づかないさ。」 何を言ってるんだ僕は・・・、こんなヤツになんで姉さまのハンカチを渡して、しかも慰めるような言葉を・・・ 「ありがとう・・・ヴェータ・・・」 ウェンディの顔が月明かりに照らされる、愛おしいほどに美しくて、それでいて雫が落ちそうな瞳 震える唇、今頬を伝う悲しみの痕・・・絶えれなかった。 「・・・お前には笑顔のほうがずっと似合ってる・・・」 指で頬の涙を掃い、頭を撫でて・・・考えるより、体が動いてた・・・ウェンディを胸に抱きしめてた 僕は何をやってるんだ・・・バカか・・・ 自分のバカらしさに愛想が尽きる、胸に涙が染みるのを感じつつ、明日になれば忘れると自分に言い聞かせた。 「・・・・」 「空がカリメアの軍勢に覆われた時、彼は5分しか戦えないのに、空へと向かいました・・・」 昨日の戦いで、俺が自爆覚悟で戦った事をテレサが回りに紹介している、テレサが俺を連れた理由は どうやらこれにあるらしい、これで民の俺への不信感を消す、確かに俺への不信感は消えるかもしれん。 「どうか皆様、ヒースの勇気に拍手を」 テレサがそういうと、周りに拍手が起きる・・・正直恥ずかしいな、俺がテレサに小声で囁く 「ヒースはこの国のために頑張ってくれたんですもの、これぐらいしないと。」 ウィンクをするテレサに、なるほどと返した、ディオールで俺の扱いはよくなるといいが・・・ 話も終わり、俺がまた元の場所に戻る途中、見覚えのある小さな人影が・・・ 「リーゼロッテか。」 「ヒース、こんばんわだね。」 ずいぶんと遅くにきたリーゼロッテを、少し撫でてやるとリーゼロッテが周りを見回す。 「あれ?ヴェータやウェンディは?」 「今席を外してる、それより何か食べるか?」 リーゼロッテが言葉に甘えて、テーブルの上のショートケーキを見つめる、それを取って渡すと 小さくお辞儀をして、リーゼロッテが口に少しクリームをつけて、ケーキを食べ始める 「口にクリームついてるぞ?」 「あっ本当だ・・・」 平和だ・・・と思ったら、あっちじゃマークが酒を飲まされすぎて倒れてた、バルスは真っ赤になって勝ち誇り 機士団の皆がマークを団扇で扇いでる、蒼紫はタンカ持ってきて、ヴェータとウェンディは・・・まだ外か。 なんとも賑やかになりそうだ・・・テレサ女王は、明日ダーク・フォートレスで船出なのに、この祭りを・・・ いや、明日周航するから、こうやって楽しんでるのかもしれないな・・・、俺も楽しむか。 「リーゼロッテ、折角お菓子が大量にあるんだ、食べ歩くか。」 「うん・・・そうする。」 リーゼロッテが次の標的を決めて、取ろうとするが届かないらしい、俺がまた取ってやるとするか・・・ こうやって時が過ぎて、深夜になりそうで少し焦るのを、俺はまだ知らない。 続く