魔道商人記 5話目 〜二対の矢〜  「ついた…やっとリバランスに」 ゴブリンとの戦闘から一夜明けて、数度の休憩を繰り返し、ブレイブ達はついに リバランス王国の国境の町であるポントマリーの街にたどり着いた。 辺りはすっかり夕焼けに染まり、人々は夜を迎える準備に忙しそうだ。厳密に言 えば、この街を越えてようやくリバランス王国に入る事となる。リバランス王国 の城にある蔵書室には、古くからの書物が大量に置いてあるはずだ。 魔法国家ミュラスを追放されたブレイブにとって、『矢』の情報を集めるには、 リバランス王国に頼るしか方法が無かったのである。 ポントマリーは人の出入りが多い事もあってか、数々の人間ドラマを生む街でも ある。つまり、モチリップ本市に輪をかけて、酒と女と、それにまつわる男と涙 の多い街なのだ。 モチリップとリバランス王国との関係は、歴史上長くて深いものである。小王国 ノストと同様に交通の要衝であるモチリップ市は、諸国から商人が大量に集まり 肥大化する事によって誕生した都市国家である。 そのため近隣諸国からは誕生時から疎まれており、軍事的に占領しようとする国 もあった。そんな折に、最初にモチリップを正式に国と認め、国交を持ったのが リバランス王国であった。 リバランス王はモチリップとの貿易を推奨し、王国の体制をとらないモチリップ を王国連合の一国として推挙し、自国の盟邦として扱ったのである。 現在のモチリップの主流通貨は『モチリン』であるが、これは実は国家成立の時 のリバランスの尽力を記念して作られた『モチリップ=リバランス国交記念共用 通貨』なのである。 ちなみに、ほぼ全国家で通用するのは『共通金貨』と呼ばれる大国同士で取り決 めた貨幣であり、王国連合内では、おおよそ『ガロッポ』と呼ばれる貨幣が主流 である。共通金貨の中でもランクがあり、ボレリアの物が最も価値がある。 リバランス王国は辺境に立地し、他国に比べて軍事・外交的にノンキだったせい もあってか、その後の発展は遅れ、大きくはないが小さくもなく、豊かでもない が貧しくもない小国となってしまったが、モチリップ市民、いやブレイブ自身も この愛すべき隣国を敬まい続けているのである。 「あー、そンじゃオレはちょい情報集めに行ってくっから、  お前ら先に宿を探しといてくれ」 着いて早々に、ブレイブはそう言い放った。 ローラローラはキョトンとし、マオはあからさまに不満げな表情となったが、彼 にまっさきに抗議の声をあげたのはハンナであった。紫色の瞳を大きく見開き、 ほっぺたをプウと膨らませてまくしたてた。 「もう!また自分だけ楽しよ〜としてへん?  情報集めとか言いながら、どうせ酒場で飲んだくれるんやろ!」 「いいからさっさと探しといてくれ…」 ブーイングを背中に浴びつつ、ブレイブはその場を後にした。 旅立ってなお、ブレイブはハンナを同行させるのを渋っていた。出来ることなら ポントマリーで戦士を見つけ、ハンナをモチリップに帰らせようと考えている。 冒険の基本心得の一つ、冒険者や情報、仕事の依頼は酒場に集まる。ブレイブは そう都合良くいくハズは無いとも思っているのだが、現実にはどこの街でもそう なので、この世の仕組みはそういうものなのだと、最近では割り切って考える事 にしていた。とりあえずは、という事で、ブレイブはポントマリー最大の酒場で ある『寡黙亭』に足を運んだ。 『寡黙亭』の店内に入ったブレイブは、まずカウンター席に向かった。そこで、 ホットミルクを飲んでいる所を「おい、兄ちゃん。ママのオッパイをしゃぶって た方がいいんじゃねぇのかい?」などとイカツイ男にからかわれている、一見す ると冒険者には見えない優男を探した。そういうのが影の実力が高いのだ。 しかし残念ながらそういった人物はおらず、けして他人には背中を見せない凄腕 ハンター風の男などもいない。屈強な戦士の姿も無い。 酒場にいるのは自分と同じく商人風の男たちと、既に冒険団を結成しているであ ろう冒険者たち、それに酒場女と、イカツい店のマスターくらいのものだった。 ブレイブはやや落胆しつつもカウンター席に座り、注文がてらマスターに戦士が いるかどうか尋ねてみた。 「とりあえず腹の足しになるものと麦酒を。  なあ、オレはこれからリバランスを抜けて西へ向かうつもりなンだが、  手ごわいモンスターと張り合えるような、戦士か剣士は居ないモンかね」 マスターは、やや考えこんでから、クイっとアゴを店の奥に向けた。 やや暗がりとなっている店の奥には、二人の人物が椅子に腰をかけていた。 二人とも女性で、酷く落胆しているように見える。一人は信じがたいほどの美貌 でありながら、明らかに剣士と思われる格好をしている。もう一人はそこまでの 美貌ではないが、そこらの女は適わない、凛とした美しさを秘めている。 「あの二人は?」 ブレイブは思わず聞いていた。これ以上女性は連れて行きたくは無いが、二人は 明らかに只者ではない。興味が湧いたのだ。 「この国で最も強い方々だ」 強いのはわかる。身の内に秘めた気力のようなもの。満ち満ちた決意が、外見に 表れている。が、それと同時に焦燥感もにじみ出ているのだ。何かあったに違い ない。彼女たちはおそらく、重大な決意や使命感を持って何かにあたろうとして いるのだろう。 それに比べて自分ときたら、興味本位のお宝探しとは… ブレイブは少しだけ自分の性格に嫌気がさした。 「正直それなりの実力があればいいンだ。男で戦士。いないか?」 マスターは無言でかぶりを振った。 「そうか…世話かけたな」 ブレイブはここでの仲間探しを諦めた。いっそリバランス城下町の方が、人材は 揃っているかもしれないと、自分に言い聞かせたのだ。 それならば…少し休憩時間にしてもいいかもしれないと彼は思った。 ここは酒場。キレーなオネーチャンが山ほどいるじゃないか。 ブレイブはソワソワしながら辺りをキョロキョロと見回し始めた。 すると、小柄でちょっと浅黒い肌をした娘が、スッとブレイブの傍に来て、服の スソを引きながらこう言った。 「あの、それもう食べない?お下げしてもいい?」 「あ…ああ。悪いな」 「あの、これちょっと食べてもいい?」 「つまみ食いかよ。まあいいさ。結構美味かったしな」 「えへへ。マスターにはナイショにして下さいネ。ハム…ハク」 何だろうこの娘は。ブレイブは心底不思議そうに娘を見つめていた。 「ああ…至福の味なの。さて、アナタにおれーをします。  アナタの望んでいる人をご案内いたしますネ。さっきから話は聞いてたよ」 「(…うは、キタコレ)」 娘が来る直前までは、遠くの席にいたグラマラス姉ちゃんのオッパイにすっかり 見とれていたブレイブは、思考停止状態でホイホイと娘のあとに着いて行った。 彼女は、先ほどの二人組が居た部屋とは反対方向の奥部屋に向かい「ここの奥に アナタの望む人々がいます」と言い残し、再び他の客の接待に戻っていった。 が、段差に足をひっかけてハデに転んだのが見える。相当なドジだ。 「キレイどころがたんまり…か?」 ブレイブは部屋のドアをウキウキしながら開けた。 そこには3人の人影が見えた。 「ムホゥ゛!?何かしらアナタは?」 「ブッフゥゥン!ここはアタシたちガチムチ団の貸切部屋よ」 「…アラ?アナタもしかしてブレイブじゃなぁい?」 そこに居たのは、屈強な肉体を誇る戦士達であった。3人とも鍛え上げた筋肉が ハンパではない。そして、その熱気がムンムンしているのもハンパない。彼らは 酒場の一室を借り上げて、何やら宴を催しているようだ。 「(…ガ…ガチムチ団!?何で…?)」 ブレイブは一瞬で何が起こったのかを理解した。 「男で戦士は居ないか」の注文にマスターがかぶりを振ったのは「よしておけ」 の意味であり、娘が言った「望む人々」とは、彼らの事だったのだ。 「あらホント。ブレイブだわ。お久しぶりじゃないの。  ハンナちゃんは元気かしら?」 「まさかアンタ、浮気なんてしてあの娘を泣かせてるワケじゃないでしょーね」 「アンタちょっとこっちに来なさい!  アタシたちの『嘆き岩』撃退記念祝賀会に参加なさい!」 言葉を放つたびに、上半身の筋肉がビクビクと脈打っているのがわかる。 冗談じゃない!ブレイブはすばやく逃げ出そうとした。 しかし、ガチムチ団はそれよりも速くブレイブを襟首で捕まえていた。 「お前ら、地属性斧戦士なのに、何でそんなに速く動けンだよ…」 「あら?知らなかったのかしら?  この世には決して逃げる事の出来ない存在もあるのよ?例えばア、タ、シ」 「細かい事はどうでもいいのよ!まずは飲みなさい!そして次に飲みなさい!」 「飲んで飲んで飲みまくりなのよー!」 これだから会いたくなかったんだ… ブレイブは自分の浅はかさに心底ゲンナリしていた。 こんなハズじゃなかった… 数刻ほどしてブレイブは、憔悴しきってカウンターにつっぷしていた。 今頃はキレイな姉ちゃんと、キャッキャウフフしながら楽しい酒を飲んでるハズ じゃなかったのか。それがガチムチ団に遭遇して酔い潰されて、こんなところで ダウンするとは。ていうかアイツらまだ飲んでんのか。信じがたい。 もう今日はここで酔い潰れて寝てしまおうか。ブレイブがグダグダとそんな事を 考えていた時だった。酒でかすんだ視界ながら、目の前に女性が立っていた。 ただの女性ではない。褐色の肌に、ルビーのように紅く燃えた色をした髪の毛。 同じ色をした瞳。ピンと立った耳。スラリと伸びた手足。何よりも、神話の女神 かと見紛うばかりの美しさ。間違いなくダークエルフか、先祖にその血が入った 女性だ。彼女も酒に酔っているのか、頬が夕焼けのように赤みがかっていた。 酷く酔ってグデングデンになったブレイブには、彼女が何を言っているのか耳に まったく届いていないが、エルフ独特の言葉に魔力を込めた声によって、彼女の 意図はブレイブの心に伝わってきた。 『大丈夫ですか?酷く酔っているようですが』 「ああ、だいじょうぶあ…うっぷ…あんたはよってないのか」 『私は平気です。アルコールには強い体質ですから。  それでも今日は少し、飲みすぎたかもしれませんね。  懐かしい友に偶然会ったものですから。  それよりも、こんなところで寝ていてはいけません。  旅は始まったばかりでしょう。わたくしが宿までお連れしますわ』 「あ…あんたのやど?」 『ええ。もちろん私達の宿ですわ。  同じ部屋でもかまいませんわよ。ウフフ』 「ああ、おなじへやね。うん。おなじへやがいい」 『あらあらまあ。ウフフ。  何なら一緒に寝てさしあげてもよろしくってよ』 「ぜひそうして…うぷ…くれ…  さすがにきょうは…しっぱいだ」 『そのようですわね。さあ、宿に行きましょう。  今宵はあなたと私、同じ閨で過ごしましょう…』 「ってマジか!?って夢かよ!」 朝、目覚めたブレイブの目の前にあった光景は、見知らぬ宿の一室だった。ただ 良く見知った顔が同じ光景の中にあったので、彼は夢であったと確信した。 彼のベッドの横には、ハンナがチョコンと座っていたのだ。 「よーやっと起きたん?お寝坊さんにも程があるよ。昨日の夜は笑ったで。  まさかガチムチ団の皆がこの街にいるとは思わなかったわ。  ブレイブ、ガチムチ団に運ばれてここに来たの、覚えとる?」 「あー、いや、全然覚えてねぇ…  覚えてるのは、っと、いや、何でもない」 「やと思ったわ。  ローラもマオちゃんも準備できとるよ。  出発準備できてへんの、ブレイブだけや」 「ああ、悪ぃ。今すぐ終わらせっから、外で待っててくれ」 「はいはい。酔い覚ましのスープ、テーブルに置いとくで。  ローラが作った特製品やよ?」 「ああ…アンガトな」 ローラローラ特性の酔い覚ましスープを速攻でかっ食らい、素早く身支度をして ブレイブが宿を出た時、街はすっかり目を覚ましていて、通りは色々な店で活気 付いていた。美味そうな匂いがただよっている。 どこかの屋台の名物料理だろうか。匂いの元を辿って見ると、何やら買い食いを している3人の娘がいた。串に刺した肉料理のようだ。タレを付けて火で炙った 物だろう。タレの焦げた香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。ただ、朝食にするには ややハードな気もするが。 「よーやっと出てきた。はよ行こや〜」 「遅い。グズ」 「…あの…スープの味…どうでした?」 「お前らなぁ。次はどこに行くとかわかってンのかよ。  つか美味そうだなオイ。どこで買ったンだよそれ」 ボグシッ! マオの鉄拳がブレイブの腹部に突き刺さり、彼はくの字に体が折れうずくまる。 マオは明らかにイラついていた。昨日の行為から既にイライラが積もっていたの だろう。 「遅れてスミマセン…次はリバランス城に行きます…」 「そか」 「…あの…スープ…」 「あ、うん。あれは美味かったぜ。  酔いがかなり引いた。助かったぞ」 「リバランス城ってあの城の事?もう目と鼻の先やん。  ここでモタモタしとったら昼になってまうよ。さ〜行くで!」 「おう!」 「…おー」 「(…昨日の夜から、いいとこねェな。オレ)」 勢いづいたハンナを先頭に、ブレイブ達はリバランス城を目指し、歩き始めた。 ブレイブ達は何だかんだで、昼前にはリバランス城に到着していた。 当然、城の門番には止められたのだが、ブレイブが何か耳打ちすると、門番は道 を開けてくれた。城の中の案内役に連れられて、ブレイブ達は何とリバランス王 の謁見の間に通された。ほとんど素通りのようなものである。 「ちょっと、いくら何でも気さくすぎやない?  ウチらなんて、どう見てもアヤしい冒険団でしかないやんな」 ここまで警備が甘い王が居ていいものか。ハンナが困惑するのも無理は無い。 しかし、ブレイブはそれがさも当然であるかのような態度を取っていた。 「あー、いいンだ。  現王のリオン=ドナ=リバランス陛下は、もの凄い善王でな。  貴族様だろうが平民だろうが、身分はあんまり関係ないって人なンだよ。  それに、以前ちょっとだけ、お宝の関係で手ぇ貸した事があってな。  それでオレは門番もパスできるってワケだ。  ちょいお人好し過ぎなトコもあるけど、実にいい王様だぜ?」 「殴っても?」 「いや、殴るな。頼むから」 「ツマラン」 「あ…あの…わた…わたし…その…こんな格好で…」 「そういうのも大丈夫だ。それに皆の格好見てみろよ。皆汚いぜ?」 「そ…そうでしょうか…いいのかな」 「私語はそこまでに!リバランス王の御前であるぞ!」 執事の声が謁見の間に響く。ブレイブもさすがに姿勢はピッと整えた。 そんな彼の前に「やぁやぁ、久しいな」と、やたらフランクな態度で話しかけて くる、貧相な中年男が現れた。だがそんな彼こそがリオン=ドナ=リバランス王 なのである。 しかし、何故こうまでに貧相に見えるのか。理由は単純であった。何故か王は、 王冠をかぶっていなかったのである。ブレイブはすぐに気づき、疑念を持った。 リバランス王の王冠は、ただの王冠ではないのだ。 その王冠こそが、ブレイブの言う『以前ちょっとだけ関係したお宝』なのだ。 それを戴冠していないと言う事は、自分に対する不信感の表れではないかと。 が、現実は違った。王はにこやかに彼に話しかけてきたのだ。 「ブレイブ、よく来てくれた。  まさか手紙を出して、こんなすぐに来てくれるとは思わなかったぞ」 「…手紙?」 「うむ?今朝方モチリップのお主の店に出したんだが」 「いや、陛下。さすがにそんな時間では届きませン。  今日は、たまたま陛下の下へ参っただけでございます。  ああ、あと出来れば王立蔵書室への立ち入りを許可願いたいのですが。  いや、そんな事よりも、手紙の内容は一体?」 「いや、たいした事じゃあないんだけどね。  城の宝物庫に盗賊が押し入っちゃって。  で、お主に売ってもらった王冠を盗まれてしまったんだよ。  このままじゃ格好がつかないから、新しい王冠を売って欲しいと思ってね」 「たいした事あるじゃないですか!一体何があったンですか?」 「いやぁ、恥ずかしながらね。どうにも私はお人好しでいけない。  ゴブタニアからの観光客がいっぱい来たんで、  娘とファンに宝物庫を案内させたんだよ。、  ところがどうやらその連中は盗賊団だったようでね。  王冠もその時に強奪されてしまったんだ。いや、王冠はいいんだ。  またお主に売ってもらえれば済む話だからね。  問題なのは『剣』や『矢』も盗られてしまった事でね。  娘のエールが酷く心を痛めているんだよ」 「『剣』!?まさか魔剣アウラムですか?」 「ああ、知っていたか。そのアウラムだ。  娘と侍女のファン=ベル=メルは責任を感じてるのかねぇ  昨夜のうちに捜索に出たのだけれど、どうやら発見出来なかったようでね。  今朝早くに絶対に取り返すと言って、出て行ってしまったんだよ。  どうにも心配でね。せめて王冠だけでも、お主から新しく買っておこうかと。  王冠はある。剣は諦めてもいいから帰って来いと、そう伝えようと思ってね」 王が話し終えると、ブレイブは一瞬だけ深く考え込み、何やら決意して言った。 「陛下。新しい王冠はお売りする事はできませン。  私が商人として独立する事が出来たのは、名無しの私から、陛下があの王冠を  お買い上げくださったからです。私はその恩にむくいたく思います。  『王冠』と『剣』の奪還を、お命じください。  必ずやゴブリンどもから取り返して見せます」 「そうか…そうか。あい判った。スマンな、ブレイブ。  娘のエール達は、北の街道へと向かったそうだ。  ポーニャンドかシルバニアか、エルドクリアかといったところだろう。  もし賊が本当にゴブタニアの者ならば、そこからさらに西に向かうだろう。  ブレイブ、娘の事をよろしく頼む。  剣技は人並みはずれているのは判ってはいるのだが…  いかんせん私はあれの父親なのでな。心配なのだ」 「おまかせを。閣下。魔道商人ブレイブ。  必ずや閣下の息女と『王冠』と『剣』の全てを、無事にお売りいたします」 「うむ。それでこその商人だな。  頼んだぞ。出来るだけ高値で買い取ろう」 そう言うと、リバランス王は朗らかに大笑いをした。 そしてブレイブは、王とは何と辛い立場なのかと痛感した。 ブレイブ達は、さらに北へと向かう。 目指すのは、リバランス王女エールとの合流。 そして、王冠及び、魔剣アウラムの奪還! 6話目に続く <登場人物>     魔道商人ブレイブ 〜本名は不明。男性。年齢は20代半ばくらい。かつては悪夢の雷嵐公とも呼ばれた程の               魔道高位者だが、職業は商人。モチリップ市の町外れで嫌々ながら中古品販売をしている。   ハンナ・ドッチモーデ 〜田舎から丁稚奉公に出たはいいが、あまりの商才の無さに放逐されてしまい、               冒険の旅にでたら魔道商人に拾われた19歳の女性。多分ブレイブが好き。     マオ・ルーホァン 〜武闘家。通称『殴り姫』酷く口下手で、話したり考えたりするより、殴る事を最優先する女の子。         ナキムシ 〜本名ローラローラ。14歳の泣き虫魔女。 地味目のローブに押し込まれたオッパイは一級品。               火属性と水属性の魔法がそれなりに使えるので、炊事当番が多い。 リオン=ドナ=リバランス 〜リバランス国王。ともすると国王どころか貴族、王族にも見られないような質素な身形をした中年男性               愚かではあるが善王。娘と同様、人と人との繋がりを何よりも大切に思っている エール=バゥ=リバランス 〜リバランス王女。10人中10人が讃える美貌と並大抵の剣士に劣らぬ剣技を持ち、大胆不適な人柄    ファン=ベル=メル 〜リバランス王家に使える侍女。文武両道才色兼備と侍女にしておくには勿体ない人物