『バースワーズ王国』  魔族と人間、その生存競争の最前線だった場所。  騎士団が居た。  聖騎士が居た。  賢者が居た。  剣聖が居た。  そこにはあらゆる『人の伝説』が集っていた。  そして、あの男も。  史上類を見ぬ超巨大傭兵団。  名も無きままに膨れ上がりつづけるそれはただ『群れ』(レギオン)と呼ばれた。  2256年の冬。  第四次東部魔族侵攻の最中、その王国は一瞬にして消滅した。  消し飛んだ空白を背に、燃える瞳の勇者が零した一言。  その一言故にあの傭兵は『伝説』と呼ばれている――――    ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  魔王が動き、二十四時が揺れた。  そして世界が震える。  人波の中で思惑が交錯し泥の如く事態は進む。  全てが選択を迫られる、シグナルゼロの鳴り響く時  それより躍り出る者がいる。  命を賭す戦いは、何時に始まったのか? 「私には私の戦い方ってものがあるわ」                             ローレンス=バークシャー 「良かろう、騎士らしく上で踏ん反りかえっておいてやる!」                                ライカ=メギトゥス 「見合う報酬の支払われる限り、私は貴様を裏切らない!」                                   ルカ=アテラ  やってくる鋼の軍団。  鉄は鉄を呼び、血は血を呼び、魔は魔を呼ぶ。  漆黒の闇の中で誰もが足掻き誰もが死に向かう。  その誰かの為に力を求める、それがゼロサムゲームと知った時  悪戯に絡む運命の糸が踊る。  剣の雨が降る中で、何を執ったのか? 「さあ、力をよこせ!悪魔の声よ!」                               ソィル=L=ジェノバ 「頼むぜ、俺は剣にしかなれないからよ……」                               ジュバ=リマインダス  西で輝く新たな光。  東の闇と同じく、それが本当にそれであるのか誰に判ろう。  勇士たちは絶望の塔へ挑み、灰色は静かに忍び寄る。  全てを平らげんとする三つの最後・ゼロ消去が為される時  塔の向こうで太陽が動き出す。  軋みをあげる世界は、誰を選んだのか? 「守るしか出来ない臆病者なら、意地ぐらいは守ってみせるさ」                                ガトー=フラシュル 「一宿一食以上の恩である」                                   エマニュエル 「なんだか俺が悪者みたいじゃねぇか。ホント、イヤになるぜ」                               ロボ=ジェヴォーダン 「アンタかアンタの後継者に対して、俺は一度だけ絶対に従おう」                        ?????????????????  そして例えば、裏で起きる何の関係もない戦い。  水面に石が落ちれば波紋が幾重も重なる如く、何事かは何事かを生み、終わらない。  皇国の都で龍頭と反逆者が剣交え、偽りの杖が心の臓を掴む。  終わりへ向けて銀龍が飛ぶ。  ゼロ時間へと遡る記憶が、忘れえぬそれを暴露した時  黄金の勇者がやってくる。  その結末を、何故に望んだのか?  forgotten 「忘れさられた……彼も、為した事も……だというのに何故貴様は……!」                                 “フォーガット” 「テメエらはいつもそうだ。テメェのことをすぐに投げて、イイトコ取りだ。なあ?」                                    ガチ=ペド 「来い!裏切り者……ッ!」                                  シャルヴィルト  いつか、追うものたちがグラウンドゼロを訪れる時  十二の勇士もそれを語りはしないだろう。  カウントゼロは、何処へ行ったのか? 「長い冒険になりそうだ」                                  『伝説の傭兵』    ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「…………なあハロウドさんよぉ」 「ハイド君か、何かね改まって」 「前の約束覚えてますかね?あ、いやいいよ言いますから。どうせ関係ない事まであれこ れ掘り返すに決まってんだからね」 「おいまだ何も……」 「ほら、結構前だけど天空城の時に道中でちょろっと言った」 「あー……あれかね、年代記の資料集めの話か。しかし君も幅が広いなその若さで……」 「どうも散漫な性分でね。とかく、それですよ。皇暦2256年……」 「……つまり五年前の顛末とその時に生まれた一つの伝説……か」 「アレに関わった十二人の勇士たち。その大半とアポは取り付けてあるんすから」 「しかしなあ」 「専門じゃないって言うんでしょ。判ってますよ、ここ見て、ここ」 「……む、本当か!彼女も探し出したのか!」 「会いたいでしょ?会いますよね?……じゃ、あとこんだけお願いしますよ」    ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  五年前。  それは大戦にならなかった。                   RPG小説                大  戦   零               GUERRE MONDIALE ZERO 「これが世界の一端か!」       「傭兵ディーンよ、24時はお前に力を貸す」 「破天“冥王”…………」       「遅かったな――――カイル=F=セイラム」          そして二人の男の、そこが試練のゼロライン