前回のあらすじ ぬいぐるみの町でいろいろあったけど、ヒースはミストとシーリアと一緒に メガネポニテエディションで、過去に門前払いされた魔法大国へGO! 「えぇい!追いかけてくんな!」 「二人ともカーディナルで、モテただろ?彼らはきっと、お前達の熱狂的ファンだ!」 現在、俺達は馬車でせっせと逃げている、何から逃げているか?そりゃもちろん 「盗賊の人たちまだ追いかけてきます!」 盗賊だ、ドリモールF5機で、武装して追いかけてくる。ドリモールFはずんぐりとしてるが あぁ見えて中々早い、足のホバーユニットのおかげだろう・・・馬も全力で逃げるが 時間の問題か、ここは俺の出番・・・だと思ったが 「ちぃっ!!シーリア頼むよ!ぶっ飛ばしてやる!!」 「あっミスト待って!ど、どうしよう私、うまく扱えない!」 あわてるシーリアから手綱を取り、俺が変わりに手綱を握り馬車を止める ミストのほうを見ていると、シーリアが走ってミストの後を追って多少、遅れながら合流 二人が、ドリモールFの大群を前に立ち止まり、何か呪文を唱えている。 迫るドリモールFに、吹き飛ばされてしまいそうで、いくら禁忌でも間に合わない 「危ないっ!」 俺が目を閉じた時、二人の叫びと共に盗賊共の目の前に現れたのは、白と黒の魔女と 暖色系の色の女性型のロボ、それに付き添う5枚のプレートと小人、二人の機体か トラクタービームで二人が機体に乗り込み、機体の目に光が宿る、お手並み拝見か 馬車を少し動かして、安全地帯から戦いを見る事にした。 「どっせぇーい!」 ミストの魔女型は姿こそ魔女だが、思いっきり接近戦でドリモールFを投げ、蹴り飛ばしている ミストらしいと言えばミストらしい、シーリアのほうは迫りくるドリモールFが、ドリルを突き刺そうとするが それをプレートが防ぎ、小人が次々とドリモールに襲い掛かる、ドリモールFが回転で投げ飛ばすが 小人が何度も襲い掛かる、どうやら数で押し倒す無人機らしい。 「大丈夫だろうか・・・」 助太刀するかと思ったが、それはすぐに杞憂に終わった、どんどんシーリアの機体の小人が増えてる サーチアイを使って分かったが、当たりの土や岩を、物質変換でドンドン材料にしてるのか ドリモールFが数に押されて、一箇所に集められるとミストの機体が、一気に腕に魔力を貯め始めた 「ミスト今です!」 「OK!大地に眠る者よ、マナの報酬において汝の力を・・・ガイアスクラッシャー!」 馬が怯えてる、暴れないように近くで撫でてやっていると、多少安心したのだがそれも一時の事 次の瞬間に巨大な地震で、馬が悲鳴を上げ逃げようとしている、禁忌を出して何とか止めたが 揺れはまだ収まっていない、馬を宥めつつミスト達を見ると。 「なっ・・・山?」 小さな小山が、いつの間にか聳え立っている、ドリモールFは突如出現した山に 下から吹き飛ばされて、ほとんどがスクラップ状態で転がってる。 「ミストの魔法か!?」 そこにあった山は、地面の中に埋まっていき最後には完全に消え、残ったのはドリモールFの残骸 それとまだ怯える馬と、あっけに取られる俺と二人の機体、これほど威力があるとは 「よしっ!終わったー!」 「上級魔法は使いすぎると、マナがすっからかんになるって、いつも言ってるのに・・・」 「お疲れ、凄いな・・・」 馬をやっと落ち着かせて、手綱をミストに返すとまた馬車は動き出す、さっきのが少し気になる 「なぁシーリア、さっきのは何だ?二人の機体か?」 「あぁ・・・あれですか・・・話すと少し長いですね。」 馬車に揺られながら、暇つぶしの変わりにとでもシーリアが話し始める、まずシーリアの乗っていた暖色の機体 あれがアイアンドール、シーリアの父親が後に、戦場にシーリアが出陣するために作らせた高性能機。 能力はさっきのとおり、自立シールド「エリクシル」で防御と無人機「リトルレギオン」の生成。 単体では力がないらしい、ミストの機体はモノクロームトーン、見かけこそ地味だが見た目と違い 接近戦と魔法攻撃が得意、姿だけは地味だが、中はミストのイメージと同じ豪快な機体だそうだ。 「ふむ、二人ともロボ持っていたのか・・・」 「このご時勢だもの、けどあんなのが父親の忘れ形見なんて、なんだか皮肉」 まぁ父親の忘れ形見が、戦うための道具では、悲しくもなってくるな 急ぎ気味に走る馬車に、ガタガタと揺られ数十分、ちょっと気まずい雰囲気だ 「・・・すまん」 「気にしないで、なんだかんだでお父様の残したこれ、役立ってるもの。」 「シーリアは強いな、父親が死んで国がなくなったのに前向きだ。」 ちょっと感心してると、ミストが横から入ってきて、俺の考えてる事を正してくれた 「違うんだよ、シーリアは戦争好きな親父が死んで、地位こそ失ったけど・・・清々してんのさ」 「えぇ・・・お父様の望んだ戦いで、民は傷ついて・・・それが大嫌いでした。」 意外だった、シーリアがここまで父親が嫌いなんて、いつもの言動からか深い闇を見た気分だ 「すまん、いやな事を思い出させた」 「さっきも言ったけど、気にしないでください・・・それに私、昔の事でクヨクヨするほど弱くないです!」 これ以上シーリアの昔の事で、どうこう言うのはやめたほうがいいな、しばらく黙ってると シーリアのほうから喋って来た、そうだったな・・・俺の旅の話、まだ話してないのがあったか 「そうだな、どこから話そうか・・・」 「それで俺が捕まってな、あの時はどうなるかと思った・・・ま、夜中にこっそり逃げたんだけどな。」 「ヒースは災難が多いですね・・・今までのお話で、災難がない話って片手でも余ってる・・・」 思わず苦笑する、確かに俺が災難のなかった旅先なんて、片手で数えれるくらいしかないか コレット・ファヴァで昼食に買った、サンドイッチを食べながら、馬車は魔法大国ウィズラドへ走る 盗賊に邪魔されたが、この調子なら夕方には間に合うはずだ。 「あぁー盗賊のバッカヤロー宿屋がなくなるー」 「そんなに急ぐ必要あるのか?」 ウィズラドは確かに人が多いが、その分宿屋だって多いだろうし、探せば夜でもあいてると思ったが そうでもないらしい、いったい何があると言うんだ? 「明日お祭りなんだよ!」 「何だって!?聞いてないぞ!!」 「あっ言いませんでしたっけ?、明日はウィズラドの精霊祭って言うお祭があるんです、結構大きなお祭りで賑わうんです。」 間に合うのだろうか、少し不安になってくるなか、馬車は風を切り突き進んでいく 突き進んで、突き進んで・・・ 「えぇええい!なんてこーなるのさ!?」 あぁ、俺がいると運の悪さが、感染するのだろうか?さっきの盗賊が偵察だったらしい、本隊の盗賊が襲ってきた 数は7、ドリモールF3機とコングラム3機、そしてスカイーグルが1機か 配置からスカイーグルがリーダーだろう、火力こそ低いが数が多い、油断はできないだろう 「ヒースまた頼むよ!」 「お願いします!アイアンドール!」 俺に手綱を渡すと、二人とも行ってしまった・・・俺が行けばいい、と思ったがそうはいかないか 俺がヒースだと言う事が、もしかしたら誰かに知られてしまう、そうなると二人の旅に支障が出るか また馬車を少し離れた場所に休め、また馬が暴れないかと思いつつ、盗賊退治の見物と洒落込んだ。 「どけー!じゃないと宿がなくなるだろーが!」 目を疑った、コングラムのパンチをモノクロームトーンが受け止め、そのまま力任せに投げ飛ばしてる コングラムのパワーに打ち勝ち、挙句、投げ飛ばすなんて事、魔女型の機体は普通はできない ミストの操るモノクロームトーンが、魔法使い型でありながら、凄まじい力を持つのを見せてくれた 「ミスト!早くしないと宿どころかここで野宿です!」 ドリモールF2機とコングラム1機を、エリクシルを使いで進路を妨げながら、アイアンドールが空を向く もう午後3時、ウィズラドまでどれぐらいか知らないが、きっとまだ遠いのだろう 「えぇい!リトルレギオンまだ出来ないの!?」 「待って!あの数じゃ最低6機は必要だから、まだかかる!」 コングラムの手斧を、腕に結界を纏わせ防ぎつつ、ミストが悪態をついてそれを吐き捨てるように 手斧ごと力任せに殴り倒す、これでミストが戦ってたコングラムは全滅。ドリモールFは他の仲間と合流しようとしたが その前にモノクロームトーンの鉄拳が炸裂。自慢のドリルで抵抗する間もなく、得意分野の穴あけを自分にされた。 「よし!シーリアそっちは!?」 「まだ4機、ミストがやっつけて!」 やれやれとモノクロームトーンがリアクションすると、そのまま大きく飛び上がり、エリクシルで戸惑う敵の群れに飛び込んだ 前に進めず四苦八苦していた、3機を相手に奇襲的にモノクロームトーンの蹴りが、ドリモールFの装甲を蹴り壊し 遅れて対応した、コングラムが手斧のブースターを吹かしながら、モノクロームトーンを切り裂く・・・つもりだった その攻撃は、モノクロームトーン屈んだ事により、焦りで動けずにいたドリモールFに突き刺さった コングラムが斧を引き抜き、慌てふためいている所をミストは見逃さず、コングラムの顔面が鉄拳でひしゃげた 「いよっし!おわっみぎゃ!?」 「まだスカイーグルがいるよ!」 空中からスカイーグルのサンドワインダーが炸裂、ミストのモノクロームトーンが吹き飛んで、地面に倒れこんだ 迫撃でスカイーグルが、足のビームクローを展開し急降下するも、それはエリクシルの体当たりで防がれた 空中で体制を建て直し、今度はマシンガンが襲い掛かるが、今度はリトルレギオンが盾となり 2機が沈んだが、残り2機がスカイーグルに飛び掛って、何とか身動きを封じる事に成功した 「ミストとどめお願い!」 「っつつ・・・もう怒った!シーリアあれやるよ!」 シーリアは何か分かるらしい、すぐにエリクシルを横にして、それにモノクロームトーンが飛び乗った そのままエリクシルをサーフボードのようにして、一直線に突っ込んでいく、その間にモノクロムトーンは 腕に魔力を纏わせて、その強度を何倍にも増加させていき、スカイーグルに迫り行く 「止めだぁあああ!」 メキャッっとスカイーグルの顔が、跡形もなくなり戦いに終止符が打たれた 盗賊側は全滅して、それを確認するとミスト達は帰ってきた、さっさとウィズラドに行かなくては 「・・・そうだ、禁忌!」 一応残骸の一部を回収、禁忌に次元層へ持ち込ませておいた、時間が空いたらやるとしよう・・ 「あー!日が暮れるー!」 「間に合うといいけど・・・」 慌しく馬を走らせ、馬車はウィズラドまで走り続ける、がさっきの戦いの疲労のせいか ミストとシーリアがうとうとしてる、これで馬車を走らせるのは危ない、だがウィズラドに急がねば 「寝てろ場所を教えてくれれば、俺が馬車を動かす。」 「うっ・・・いいのかい?」 地図でルートを教えられ、もう眠たくて死にそうなミストを、荷台のほうにやると限界だったか 直ぐに横になってしまった。シーリアもミストに膝枕をしてるが、うとうとしてる、シーリアも限界だな 「シーリアも寝てろ、大丈夫、俺がちゃんとウィズラドまで到着させる。」 「でも・・・いいんですか?一人だけ任せて・・・」 声から睡魔が漏れかねない勢いで、ウトウトとするシーリアに笑って答えると、シーリアも言葉に甘えて 目を閉じて眠りの中に入った、二人に振動が行かないよう、禁忌の掌だけをだして 寝心地は悪いが、少しはまともに眠れるようにした、二人ともしばらく起きそうにないな・・・ 「さっ頼むぞ?」 馬に冗談交じりに話しかけつつ、馬はウィズラドまでの道を走り始める、果たして間に合うのだろうか 日の暮れつつある空を見て、少し嫌な汗が流れながら、馬はひたすら走り続ける・・・ 「ついた・・・何とか日暮れ前か。」 ウィズラドが見えた、日が暮れかけた頃に何とか到着、俺の顔も変装のおかげかバレる事無く ウィズラド内に入国・・・したが、凄い人の数だ・・・周りも飾りつけだらけ、明日の祭りのせいか? 「凄いな・・・二人とも・・・まだ寝てるか、宿屋を探さないと。」 目立つ所は当然、女二人が寝れるような宿を探してるが、これがなかなか見つからない 清潔感がない宿では、せっかくの祭りなのに二人ともまいるだろう、日が暮れたが 魔法で暗くなると、明かりがつく光属性の魔法のランプが、道を照らしてくれ やっとの事で宿屋を探し出した、が悲しいほど小さい・・・まぁ、贅沢はいえないか。 「・・・先にチェックイン済ませて、それからでいいか。」 二人を置いて、先に宿屋のカウンターで部屋を借りると、雲のように軽い二人を抱えて部屋へと急ぐ 性格の豪快なミストもやはり女、軽いな・・・シーリアなんて、華奢な体のとおり本当に軽い。 二人をベッドに寝かせて、窓の外を見るともう祭りのような雰囲気、二人が見たら驚くだろうな。 「・・・明日の朝には起こす、まぁ夜には起きるだろうが。」 椅子に深く腰掛けて、幸せそうな二人の寝顔を見つつ、どちらかが起きるのを待つことにした 寝てる間に抱き合って、二人ともお互いを抱き枕の要領で抱き、なんとも微笑ましい 俺が思わずフッと笑って、その状況を見ているともぞもぞとミストが動く 「んっ・・・ん?」 「おはよう、ウィズラドについたぞ。」 少しポーッとしていたが、状況に気づくとビックリして、わたわたと周りを見回し 首をかしげている、状況を説明すると安心して、なんだと大きくあくびをしていた 「眠い・・・あれ?風呂入った?」 「いや、二人ともまだだし入ってきたらどうだ?」 今日は散々戦ってたし、明日の祭りに備えて汗を流したほうがいい、ミストが眠たい目を擦りつつ シーリアを起こすと、完全に寝ぼけてるシーリアは、周りに疑問を持たずに二度寝しようと また横になり、シーリアにペチペチと頬を叩かれ、何とか目を覚ます事ができた 「あれ・・・ここどこでしょう・・・」 ミストと同じ反応で、ついつい笑ってしまったが、直ぐに説明してやると半分寝てるが 直ぐに理解して、大きなあくびをして何とか目を覚ましてる、風呂の場所を教えると ミストがシーリアを連れて、よろよろと風呂へ向かっていく、大丈夫だといいが・・・ 「お互い面倒ですし、洗いっこしましょ〜」 「さんせー、さっさと寝よ」 二人が風呂場へ行って暇だし、俺は町の外を眺めてる事にした、特に変わった事もないが コレット・ファヴァと違う美しさは、時間を潰すのに不自由はしなかった それから20分くらいで、二人とも帰ってきた後は、俺も風呂に入ってくる事にした 「♪〜」 衣類を脱いで、危なく眼鏡をかけたまま入りかけたが、目の前が曇ってやっと思い出した 「シャンプーシャンプー・・・あった」 髪を濡らし、いつものように長い髪に泡を擦り、汚れを落とし始める。長い髪はこういう時大変だ だが切る気はない、泡を擦り終えてシャワーで流すと、髪を一纏めにして体をさっさと洗い始める 「祭りか・・・」 戻ったら二人ともぐっすり寝てるだろうな、起こしかねないし、俺も寝ておくか、そんな事を考えつつ 今日1日の汚れを洗い流し、体を拭いて髪を乾かすと、部屋に戻り寝ている二人を起こさないよう 静かにイスに腰掛け、二人を少しだけ見てた、起こす前と同じで抱き合ってる、だが 毛布を肌蹴て少し寒そうに、もぞもぞと体を擦り合わせていた・・・起きるかもしれないが 毛布を拾って、少し心配気味にかけると、二人とも無事起きる事無く、幸せそうに眠りの世界にいる。 「・・・いい夢見ろよ。」 またイスに腰掛けると、窓の外を見るのもそろそろやめて、少し眠くなってきたし寝ようと・・・ いや、その前にあれをするとしよう、俺は次元層に入り込んで禁忌を見ると 持ってきた残骸を見て、それを禁忌につける、カモフラージュという物だ そんな作業をしばらく続けて、寝たのは深夜3時・・・まっ少しでも寝ればいい。 「っ・・・朝か」 カーテン越しの太陽に目が覚める、外が朝だというのに騒がしい・・・祭りのせいか シーリアとミストは先に起きて、さっさと身支度を整えていた。 「おはようヒース、昨日はあんがとね」 「気にするなそれより、今日の予定は?」 シュコシュコと歯を磨いてるシーリアに、ミストが使ってたコップを渡しながら、櫛で髪を梳かしながら 今日の予定を話し始める、今日はしばらく町を見て回って、その後に何か見に行くらしい 「ふむ、分かった」 「絶対はぐれないでよ?はぐれたら、宿屋で待機しててね。」 ずいぶん大きな祭りらしい、はぐれたら合流は難しいらしいな、ミストから櫛を貸してもらい 少し爆発した俺の髪を、元に戻しつつ外を見てやる、まだ朝の7時なのに凄い人の数だ 「ずいぶんでっかい祭りだな・・・」 「まーね、1年に一回あるデッカイ祭り、これで人が来ないわけない。」 んーっと背を伸ばして、完全に目を覚ましていると、少しだけ疑問が浮かんできた もっと早くに聞こうと思ったが、忙しくてすっかり忘れていた 「そう言えば、この祭り何の祭りなんだ?」 「あっこれはですね、この国は精霊の恩恵を受けてるから、精霊に感謝の気持ちを表してるそうです。」 なるほどな、髪を梳かし終えると、シーリアも身支度を終えた、朝食はでないらしい ミストがパンを取り出して、熱魔法でパンを焼いていた、こんがりといい匂いが・・・ 「ヒースは食うかい?」 「俺はいい、それより早く食べたほうが良いな、これ以上増えると歩けるか・・・」 大胆なミストはともかく、細身のシーリアは押し流されかねない、それが心配だった いや、ミストが手をつないでれば何とかなる、それでも心配だが 「んー・・・私が危ないんですよねこれ」 「まぁ、何とかなるさ。」 バターを塗ったパンを頬張り、ミストが能天気な感じに答えてくれた、警戒心が足りない・・・が これもミストらしい、もしもの時は俺が何とかするか、出来る事があるか分からないが 「んぐ・・・ご馳走様でした。」 「シーリアそれだけでいいのか?」 パン一個で大丈夫かと思った、二人とももう一個ぐらい食べておかないと、昼まで持たなさそうだ 「あぁ、これでいいんだよ、少し腹減ってるほうが出店のもっと食える。」 「なるほどな・・・」 「ねぇミスト、細かいお金は用意してる?」 シーリアが財布の中身を見て、細かくした札束の確認をしてた、なるほど出店で払いやすいようにか なかなか二人とも、こういう行事は好きなんだろうな、シーリアもなのが意外だった 「大丈夫だよ、取られないようにベルトとチェーンで結んだ?」 「うん、ミストは?」 「こっちもさ、そろそろ行くかい?」 シーリアがうなずくと、ついに俺たちは人ごみの中へと足を進める、はぐれないようにミストが指示して 俺たちは固まって、手をつないだ状態で人ごみを掻き分けていく、こんな状況は初めてだ 「よし、目的地まで手放すなよー」 「はーい。」 人ごみを掻き分けながら、屋台の前に出ると早速ミストが財布を開ける、これは・・・ オーサカ民国の主食のたこ焼きか、店主は少し怖そうな感じだが、気前は良いらしい 「姉さんかわいいからサービスで2個追加したるわ!」 「おっありがと!えっへへ〜サービスしてくれたよ」 「わぁ、よかったねミスト!」 食べながら歩いていると、次から次へと屋台に回ったり、出店で精霊を模したお守りを買ったり 今までパーティに出た事はあった、だがこういう祭りは初めてだな・・・ 「ふぃ〜結構食ったわ。」 「ねぇねぇ、ポップコーンは買うの?」 「買うね、ついでにジュースも。」 二人が次の食べ物の話をしてる時、花火が上がる音がした、何かあるのだろうか?すると 「あっ!急ぐよヒース!」 「えっ?おいちょっと!?」 人がいっせいに花火の音がした場所へ動く、それはもう雪崩のようで、その流れはあまりに激しく・・・ 「うあっ!?」 「ヒースさん!?ミスト大変、ヒースさんが流された!」 「ヒース!宿屋で合流だー!あたしらは見たいものあるー!」 そのまま俺は流されていく・・・戻ろうとしたが戻れない、そのまま俺は、大きなグランドのような施設に流され その中でウロウロさまよっていた、どこだろうここは・・・ポニーテールが崩れてないか、確認してると 「あっ選手のかたですか?最後の登録ですね〜」 「え?いや俺は・・・おーい・・・」 あぁ、勘違いでまた何か悲劇が起きそうな予感だ、状況に流されながら冷や汗をかいた 選手?いったい何のだろう・・・スポーツか、スポーツのふれあい体験だな! 「第75回騎士団選抜戦へようこそ!あなたの番が来るのは最後です!それではあちらでお待ちください。」 「orz」 これはまた・・・何とも言いがたい、しょうがない出てすぐにやられれば・・・と思った だが、このごろ戦いから離れているし、戦いの感覚を思い出すのもいいか。 それに副賞は現金、シーリア達に渡せばしばらくは、路銀に困らないだろう。 「少し出てみるか・・・」 「久しぶりだね、こうやってこの大会見てるの。」 「だね、国が滅んでからしばらく忙しかったからなぁ・・・」 ヒースが大変な事になってる間に、二人は観客席で選抜戦の様子を眺め、懐かしいようにしていた 「優勝して騎士団入りする人いるかな?」 「どーだろうね?マジで騎士団のメンバーが相手だし、一人に勝てるかすら危うい気がする。」 この大会は魔力主義の魔法大国で、少し前から行われるようになり、祭りの見世物と少し腑抜けてる気もするが 大衆に戦いを見せて、勝者の実力を納得させつつ外から強者を迎え入れる、そんな目的があったりする が、ミストの言うように騎士団は強く、生半可な強さどころか、多少のやり手すれ蹴散らされてしまう。 「あっまた負けましたね・・・」 「これで8人連続か、騎士団は強いね〜」 ポップコーンを食べながら、挑戦者を倒し続ける騎士団の狼男型、魔道機ワーウルンを見て二人がため息をつく 今までワンサイドゲームな流れ、騎士団の強さを見せ付けるには良いが、戦いが面白くなかったりする 「次で最後だよ、閉会式でレイニア様、出てくるかな?」 「どーなんだろうね?挑戦者が弱すぎて、呆れて今年で打ち切るとか言うかもね。」 からからとミストが笑っていると、司会者の声が魔法であたりに響き渡る、大型魔法掲示板が 最後の挑戦者を告げ、挑戦者がやって来た、同時にミストとシーリアがポップコーンを噴出しかけた 「バンデット・ヒース選手の入場ー!!」 「「えぇええええ!?」」 機体こそ一部にマナスレイブのパーツをつけてるが、名前からしてヒースだ 二人が慌てる間にも戦いは近づいている、二人が止める方法を考え始めると同時に 戦いの鐘が鳴り響く。果たしてヒースはバレずに生き残れるのだろうか? 続く