前回のあらすじ 騎士選抜の大会に出て、決勝戦で団長のウォルズと死闘を繰り広げ ヒースは倒れ医務室のお世話になった、ウォルズと友情を深める 偶然とはいえ、昔友達だったシーリアと、レイニアを再会させる事になる その後タガメからの連絡で、暗黒帝国へとヒースが久しぶりに戻るのだった 「すごいな少しの狂いもない、ウィズラドの女王レイニア・・・」 暗黒帝国、しかも城の前とは恐れ入った、驚きすぎて言葉も出なかった 懐かしい城の門番に、タガメにあわせてくれと言うと、俺もすっかり有名人か 門番が俺をエスコートして、タガメのいる整備ドッグへと、導いてくれた 「わっ!?ヒースあーたなんて速さ!」 「えっとだな、話すと凄まじい長さになるんだが・・・」 タガメが驚いている、無理もないと言うか驚かないが無理があるか 果たして俺への依頼とは、いったい俺に何が待ち受ける 「わー・・・またすごい事に・・・王族キラー!」 「何で王族とこうも縁があるんだろうなぁ?」 タガメと少しのんびりしてると、タガメが、タガメガロードの整備が完了して 俺をレヴィア閣下のいる魔王の間まで、一緒に連れて行ってくれた 「あー・・・グリムワルド行ったんですか?」 「あぁ、7王国機構で1番まともに見えたが、ぜんぜんまともじゃなかった。」 苦笑いをしつつ、タガメに俺は旅の話をしていた、結構短かったけど いろいろあったなぁ・・・出てから、数週間しかたってないんだよな 「それにしても、カーディナルの皇女様ですか・・・バカなのは皇帝で、娘はいい人だったんですね。」 「あぁ・・・いい人だったよ・・・」 それから、タガメから今の世界状況を聞いてみると、どうやらディオールの一件の後 ディオールと同盟していた、ウィズラドやらバクフやらスリギィとも連鎖的に停戦 現在は事実上、ほとんど戦争は終わった・・・らしいのだが 「国同士の戦いが終わったけど、これがやっかいで・・・別の所で悪が胎動してますよ。」 「NIか?」 NIだけではない、さまざまな組織が台頭し始めたらしい、戦争で国が消耗するのを狙った所もある 厄介な事だ・・・タガメの考えでは、暗黒連合が戦争を挑んだ意味は、暗黒大陸の3国の力の表示 過去に侵略戦争を仕掛けられたんだしあり得なくもないか、だが俺にはどうしようもないか そんな事を話しつつ、ついに魔王の間までやってきた、懐かしい感覚に襲われながら ノックをすると、レヴィア閣下の可憐な声が聞こえて来る、入る事を許され 大きなドアを開けると、何か走ってくるような音と、目の前には・・・ 「ヒーくーん!」 あれ?レヴィア閣下がいきなり飛び掛って・・・ごつん!! 「きゃー!?ごめんなさいヒー君!ヒー君!?」 「わー!ヒースの上にひよこがグルグルしてるー!?レヴィア様なんつーことを!?」 俺、今日2度目の気絶である!!俺、主人公だよな!?このごろ碌な目にあってな・・・ ヒースが倒れた頃、ヒース帰還の報は続々と城内へ広まり、それだけではなく 闇の国の大暗黒八武将へも、この報は届いていたのであった 「ふむ・・・ヒースが帰ってきたか」 「何っ!?よっしゃ!行くぞ狗威!!おい蒼紫も来いよ!」 「むっ・・・まぁ今は安定して平和だし、いいかな?」 「楽しそうじゃないかい、私もいくよ!」 そしてもちろん、ヒースの親友のヴェータ・スペリオルとウェンディも、この報告を聞いて いても立ってもいられなくなり、医務室へと駆け出した訳ですねぇ 「医務室までの道のりがこんなに遠く感じたのは初めてだ!」 「私も!早速、レヴィアさんに抱きつかれて、気絶なんてヒースの運の悪さも健在ね!」 「姉さまは子供っぽいけど、そこが姉さまのいい所なんだ・・・やっぱり姉さまは素晴らしいなぁ」 その頃ヒースはと言うと・・・ 「きゅー・・・」 気絶したままだった、ひよこは鶏になったのでレヴィアが、お菓子用の卵を産んでもらうため引き取った 医務室には現在、タガメとレヴィアがヒースが起きるのを今か今かと待っていた 「はぁ・・・」 「ため息ついてもしょうがないですよ、ね?」 落ち込んでるレヴィアをタガメが励ましつつ、うーうーとうめいてるヒースは、夢を見るわけでもなく ただ気絶していて、面白みがないし、レヴィアとタガメも漫才をするわけでもないので 3分ほど飛ばすとヒースはやっと起き上がって、周りを見回していた 「うぅ・・・気絶したのか・・・」 「あぁ・・よかった、ごめんねヒー君?」 俺は気絶してたらしい、頭を振って正気を取り戻すと、状況を確認した 魔王の間から医務室へ移動しただけか。 「いえいえ・・・レヴィア閣下、お久しぶりです。」 「レヴィアでいいです、今はタガメ先生しかいませんしね。」 あぁ・・・そうだった、人が少なかったり事情、分かる奴と一緒の時はレヴィアと呼ぶんだ 「分かったレヴィア、そして緊急事態とはいったい・・・」 「タガメ先生からお話は聞いてますね、ディオールへと飛んでください・・・詳しい内容は、テレサからお聞きください。」 「ディオール?ならばなぜ直接ディオールに?」 俺が首を傾げた、魔法大国ウィズラドからディオールなら結構近い、こっちに呼ぶ理由が分からない まぁ・・・俺としては、ヴェータやウェンディ達と会えそうで、嬉しいのだが。 「時間的な問題でディオール側に少し準備がいるのです、時間がかかると思って今日、連絡したら予想より早くて」 「ふむ・・・分かりました、出発は明日で?」 バンッ!その時ドアがいきなり開いて、聞き覚えのある親友達の声が聞こえ、思わず口元が緩んだ 凛々しくも可憐さを持つ少年と、美しくも何処か強さを感じさせる少女、言うまでもない 「ヴェータ!ウェンディ!」 「ヒース!元気っ姉さま!?失礼しました!」 「ご、ごめんなさいレヴィアさんお話中でしたか!」 あたふたとする二人に、レヴィアがクスリと笑って腰を上げると、二人の頭を撫でつつ レヴィアは医務室を出て行く、後を置いタガメも出て行って、3人だけになった 「あっそうそう、出発はこちらから言いますので」 ふふっとレヴィアが笑うと、完全に3人だ、数週間のはずなのにすごく懐かしいなぁ 「久しぶりだ・・・元気だったか?」 「あぁ!二人も元気だったか?」 「元気すぎて体力有り余ってるわ!ねぇヒース今度の旅はどうだった?」 3人で抱き合って、再会を喜んでいるとなんとなく、二人の感じが違う事に気づいた 何だろうか?二人とも前と比べて質量とか・・・いや ウェンディは痩せたか、ヴェータも筋肉がついた、何と言うか 「二人とも大人っぽくなったな?」 「んっ・・・まぁな・・・」 「えへへ・・・」 二人とも頬を赤らめて、なんだか嬉しいような恥ずかしいように、あっちを向いたり頭をかいたり ・・・あぁ、そういう事か!二人とも・・・ 「約束は守ってくれたか。」 「「!!」」 図星か、二人とも真っ赤になってあわあわとしてる、なんともかわいい感じ・・・っと 俺も悪趣味になったな、未成年の行為を冷やかすなんて・・・ 「その・・・まぁ・・・うん」 「子供はその・・・お互い二十歳になって結婚してから・・・」 二人ともなんとも幸せそうで、口元がまた緩んできた、そんな時またドアがいきなり開いて 騒がしい一団が入って来る、現在2時40分、楽しい事になったきた 「ヒース!元気してたかー!!」 「バルス!それに狗威に蒼紫にイリも!」 大暗黒八武将の4人がきてくれて、医務室はさらに賑やかに・・・いや、医務室が賑やかになっちゃダメだ! 「くんくん・・・ヒースから魔力の臭いがする。」 「魔法大国にいたらしいからな、今は祭り中らしいし楽しかったろ?」 俺が頷くとイリが不思議そうに俺を見て、そして顔を近づけてジーっと見てくる、何だいったい? 俺が少し息を呑んだ、イリは美人で衣装も衣装で、見てるとなんだか恥ずかしいような・・・ 「んー・・・ちょっとごめんよ?」 えっとだ、今の状況を説明するとだな、イリが俺の首筋をいきなり舐めてきた 性欲がないとはいえこれはキタ、ゾクリと体全体が色っぽい震えを訴えた 「い、イリ!?まて何をするんだ!?」 「氷属性、しかもかなりのやり手だね・・・うん、レイニアと出会ったろ?」 「イリはそうやって魔力の鑑定できんだ、まぁ記念だと思っとけよ」 わたふたとする俺に、一部除いて普通に見てる、イリは胸で無差別に挟むが、これは何かレベルが違う気がした そんなこんなで俺は話をそらすように、部屋の移動を提案して、医務室を後にした・・・が 「僕達、目立ちすぎやしないか?」 「まーな、俺とお前で王族ってだけですげーのに、大暗黒八武将3人と高名な剣士、それに有名人だもんな。」 城の中の視線を釘付けにしてる気分だ、休憩室の一角を占拠して俺達はまた会話を続けた 旅の話だったり、あの後の暗黒連合の動きだったり・・・タガメの言うとおり 平和になったとたん、また戦いが始まって、少し慌しい・・・が結構、平和らしい 「今の所は大丈夫だね、テロが起きても失敗してるんだし。」 「戦争状態から腑抜けてないからね〜対処法とかが分かるのさ。」 なるほど、戦争で鍛えられたおかげで、ヘタなテロリストじゃ太刀打ちすらできないか。 水を飲みながら、少しだけ安心していたし、これで俺の記憶探しもグッと楽になる 「まっやっと戦争が終わったーって気が抜けた感じもするけどね。」 「仕方がなかろう、俺達もディオールとの戦いが終わった時、どれだけ気が抜けたか・・・」 いつも気が抜けてる感じがするが、気のせいだろうなきっと・・・やる時はやるって奴だよな 俺が油断していると、なんだか顔を両側に、軟らかいなにかがムニりと 「しまった!?」 「へへっダクフォじゃ失敗だったけど、今回は成功だね。」 座っていたのが災いして、挟まれてしまった・・・バルスに助けを求めるも バルスは笑ってるし、蒼紫は俺のスケープゴートになってくれと見放した 残る希望はヴェータとウェンディ、それに狗威だけか! 「イリ、やめておけヒースは怒ると怖いぞ?」 「それにヒース困ってるし、やめたほうがいいよ」 「ん?あー皇子様は安心しな、流石に立派なおっぱい持った恋人いるんじゃしないよ」 あぁ!ヴェータとウェンディが沈没した!残る希望の狗威に助けを求めるべく 俺は狗威を見つめると、狗威も納得したのか何かを取り出し、クルクルと回転させ 「イリ、ジャッジメントタイムだ」 しゅっと髪に吹きかけた、なんだか知らないがイリがワーッと泣きそうになり、俺は胸から開放された イリのほうを見てみるとイリの髪は、いつもの狐耳じゃなく、まっすぐに伸びていた 「なんてことすんだい!これするの大変なのに!」 「無差別にパフパフをするからだ!」 どうやら整髪料の類らしい、イリがわーわー文句を言って狗威を怒っていた 狗威は涼しい顔で、腰に整髪料をしまって座っていた 「おーい・・・ヴェータ、ウェンディ・・・大丈夫かい?」 蒼紫が心配そうに、ヴェータとウェンディの顔の前で、手を振ってるが 二人ともはわはわと慌てて、気づいてはいるが反応していない バルスはバルスで、さっきからこの状況を心底、楽しんでるのであった 「混沌としてるが、懐かしいものがあるな・・・」 「久しぶりで皆、はしゃいでいるんだろ?」 おそらくこのメンバーの中で、一番落ち着きをもっている狗威がやれやれと 楽しそうに傍観して、俺も笑いつつ水を飲んでいた・・・がその時 「えーい!メディナーどこですかー!!」 いきなりタガメがドアを開けて、よく知らないが誰かの事を探してるらしい、全員がビックリして タガメのほうを見ると、タガメがあちゃーっと汗を流していた。メディナ? 「どうしたタガメ?メディナがまた逃げたのかい?」 「そうなんですよ蒼紫!お茶淹れてこようとしたら逃げられました!」 何だ何だ?逃げられた?物騒な事になってきたような気がするぞ 「あいつまだ立ち直れてねーのか」 「しょうがないだろ、今までの目標が消えたんじゃ・・・」 「まーね、あの子、親から反ディオールの精神を叩き込まれてたし」 なんだか凄く物騒な気がしてきた、解説を求めてヴェータとウェンディに、話を聞いてみる事にした 二人ともさっきので、目が覚めたらしく、いつもの口調で状況を説明してくれた 「えっとだな、ディオールの王家の分家の話は知ってるか?」 王家の分家の話と言っても、俺はディオールと・・・一応、関わりは深いかもしれないが そこまで詳しくはない、首を横に振ると、ウェンディが続けた 「あのね、その分家が本家から王権を奪おうと、反乱を起こして見事に失敗したの、国外追放された分家は逆恨みして 娘に王家を転覆させる為に、アンジェラの一体を盗ませて、闇の国に亡命したの。」 ディオールでそんな事があったのか、平和そうな国だけに意外だったが、国だしそんな事もあるのか 「それでね、その子は今の王家を倒す事を徹底して叩き込まれたの、けど今はもう戦ってないでしょ?」 「それでどうなると思う?今までの生きる目的が消えたんだ・・・」 あぁ・・・ひどい事になるだろうな、だがなぜタガメが? 「えっとですね、カウンセラーもしてるんですよ私。」 「こりゃ探すの手伝うっきゃねーな?」 「よっしゃ!狗威あんたの鼻でぱぱっと!」 「ぜ、絶対に断る!二度とあんな事してたまるかぁ!!」 なんだ?一体何なんだ狗威が凄いおびえてる、どうしたんだろうか? 「あぁ・・・狗威はな、2週間前なんだが・・・」 「メディナー!どこですかー!」 「いたかタガメ?」 あの時はタガメとバルスが、メディナを探すのに必死になっていた、今回はバルスと数人でヴェータに会うついでに メディナを送りに来たのだが、メディナは案の定、フラフラと何処かへ行ってしまったのだ 「いないんですよ・・・どうしましょう、あの子自殺なんてしたら!」 「そりゃない、今のあいつは死ぬ事すらできねーよ・・・そこでだ。」 そのころ狗威はバルスにつかまって、イリが色気のない下着を狗威の鼻に近づけていた 「やめろー!イリ!なんでパンツなんて持ってるんだ!?」 「私の魔術でメディナの部屋から呼び寄せれたのがこれなの、さっ臭いを嗅ぐんだよ!」 「離せバルス!や、やめろイリ!やめるんだ!!俺は変態になりたくない!いやだぁああああああああああああああああ!!!!!」 「もう城の中が騒然となった。」 ヴェータがやれやれとポーズを取ると、狗威はいやだいやだと大暴れしている、まぁまた そんな運の悪い事にならないだろう、今度はハンカチだとかそんな感じで・・・ 「あっ今度はブラだわ。」 「うわああああ!やめろー!放せ蒼紫!」 「すまん狗威!だがメディナのためなんだ!」 ギャーギャーとブラの臭いをかまされそうな、狗威を助けておいて 俺も探すのを手伝う事にした、タガメが・・・おぉ、タガメは絵までかけるのか 「この子です、それではお願いしますよ?」 長い銀髪に黒い礼服、それにエメラルドグリーンの瞳が特徴の少女か、探すのは簡単そうだ 目の色を真紅より深い赤に変わり、目をサーチモードにすると、俺は休憩所から出て そのメディナとか言う少女を探すため、城の中を探し回る事になった 「皆、また後で語り合うとしよう。」 「おーう、んじゃ俺らも探すとすっか。」 「そうしよう、ウェンディと僕は東のほうを探してみる。」 「あー、人がいない所でいただきますしちゃダメだよー」 俺がいなくなってから、またヴェータとウェンディが沸騰して、あたふたとし始めるが それは置いておくとしよう、サーチアイで探していると、案外早く見つかった 「っと!いた!!」 トンッと窓からジャンプして、中庭で虚ろに俯いている少女、メディナの前に 着地するが、リアクションがぜんぜんない、非常識な行動で動かないとなると やっぱりダメなんだろうな、まぁとにかくタガメの所に連れて行こう 「えっと、メディナだな?」 「・・・えぇ、あんた誰?」 ぞくっとするぐらい、低く暗い声・・・この少女には、あまりにも不似合いすぎる 「ヒース、タガメの知り合いで迎えに来た。」 「・・・分かった」 そしてフラフラと、行き先も言っていないのに戻ろうとする、流石にダメだな 俺が手を取ると、おんぶしてそのまま、休憩所まで走り出した 「はぁ・・・ねぇ、あなた誰?」 「おいおい・・・」 休憩所に到着して、何とかタガメに合流させると、仕事もひと段落就いた・・・と思った タガメが魔術で他の奴らに連絡し、ここから出ようと思ったが、待ったをかけられた 「護衛してください、出れないようにしましょう。」 「了解だ。」 さて、ここからは少し鬱々とした事になってくる、メディナはタガメの問いかけに ただうんだ、はいだとしか言わず、タガメも汗をかいていた 「・・・はぁ・・・・・・・私、どう生きればいいんだろうね?」 「別の生き方を探せばいいですよ、あなたは若いんですから」 まるで俺だな、今は元気だが一昔前は・・・まるで、まるで死んでいるようだった 己の存在すら分からず、ただ永遠と彷徨い続けていた俺と、今のこいつは似てる 「わかんないよ・・・どうすればいいの?」 「時間はかかるし、苦しいだろうけど諦めて、死や堕落に身を任せてはいけません。」 これで今日のカウンセリングは終わりらしい、メディナはボーっと座り続けて タガメは、俺の横に立ってこれからの事で、少し話し合うことにした 「なぁメディナはどうなんだ?」 「正直、押しが強い人が押してくれると助かるけど、素人がヘタに手を出すと追い討ちになりかねません。」 なるほど、ヘタに手が出せないのでは俺が応援しようにも、追い討ちになりかねないか 「正直、実際に経験した人が励ませば・・・」 「・・・タガメ、俺に手伝わせてくれないか?」 実際の経験なら、俺も過去にあるしできれば、あのメディナと言う少女を何とかしたい 「初対面の相手だけど、あなたの人柄だ大丈夫か・・・」 「そうか、ありがとうタガメ」 それからタガメがメディナの事を話してくれた、いつもは傲慢でイライラしやすくて けどそんな所がかわいらしいと言う、難しい子なんだなぁ 「・・・ねぇタガメ、私どうしよう・・・」 俺とタガメが話してる間に、メディナがタガメの腕をつかんで、引っ張って助けを求めてる タガメが事情を話し、メディナが俺のほうを向く・・・少し緊張するな 「えっとな、俺も昔、生き方で悩んでいた頃があったんだ」 「・・・」 「旅って言うのも悪くないと思うぞ?戦争は終わったんだし、何か見つかるかもしれん。」 一瞬タガメが泡を吹きかけた、フラフラと倒れそうになり、そして俺の肩をつかんだ 「ヒース!旅って単語は危険です!」 「キャスカ・・・旅・・・私・・・もう・・・」 タガメが言うには、キャスカを殺すために戦ってたりしたり、それを思い出したらしい しまった、メディナは泣きながらタガメに縋っている、なんてこった 「迂闊でした、もっと早く言っておけば・・・」 「すまない・・・メディナ、ごめん」 「うぅっぐすっ・・・あんたなんてキライ!!」 メディナが俺を睨んで、泣きながらタガメに抱きついていた、はぁ・・・どうしよう タガメがメディナを落ち着かせて、別の部屋まで寝かせに行って、俺は休憩所に取り残された 「はぁ・・・」 「まぁ、ヒース・・・あなたの言う通り、旅をさせて生き方を探させるのも・・・」 あれから数十分、現在タガメに慰められてしまってる、情けない話だが 励ますつもりが、 「本当すまない、俺がバカをしたバッカリに・・・」 「私にも非がありますよ、旅をさせるのもひとつの解決策ですし。」 俺がまだ落ち込んでいると、タガメがポンポンと肩を優しく叩いた 「あなたが落ち込んでどうするんですか、メディナを何とかしたいなら、落ち込んじゃダメですよ。」 「タガメ・・・ありがとう、気が晴れたよ。」 ふぅっとため息をつくと、タガメも安心してくれたようだ、メディナを立ち直らせるにはどうすればいいか・・・ 「なぁタガメ、どうしたものだろうか?」 「んー・・・まぁ、体験談を言って参考にさせるのが手かと。」 体験談は旅の話しかないし、ダメかと思ったがタガメが言うには、少し間をおいて 旅の話をすれば、今ほど混乱はしないと言う、俺の頑張りしたいが 「まぁ次のカウンセリングは3日後、私用で少しいなくなるから、その間に考えると良いです。」 「そうする、参考程度にいろいろ話してくれないか?」 こうして、俺はタガメからいろいろな事を聞いて、その日はタガメと別れた タガメは闇の国まで、メディナに付き添うらしい。さて別れたヴェータ達と合流だ 現在、夜の7時と数分、俺達はヴェータの部屋で騒いでいた 「へぇそんな事があったんだ」 「ヒースはお人よしと言うか、なんと言うか・・・初対面の相手にそこまでするか?」 メディナの話をしてると、確かに言われたとおりかも知れない、けど放っておけない 俺が覚えてる中で、初めて目を覚ましてから1ヶ月近く、俺はあんな感じだったんだ 「そこがヒースの良い所なんじゃねーか」 「まぁ確かにね、ヒースは悪く言うとお人よしだが、よく言えば優しい男だし」 バルスと蒼紫の言葉で、ちょっと嬉しかったりした、そういえば大暗黒八武将の4人は 所属は闇の国で同じなんだよな、メディナのことで少し聞いてみるか 「え?メディナの事?そーだねぇ・・・まぁ、嫌味な部分もあるけどいい子よ?」 「そうだね、一緒にいた期間は少なかったけど中身はいい子だよ・・・」 「努力家でもあるしな、あぁ見えて強くなろうと必死に書物を読み漁ってた、本の匂いがしたし。」 「まっそんな所か?あー・・・まぁ歳相応の反応がねーんだよなアイツ。」 努力家で嫌味な所があって、傲慢でイライラしやすくて、歳相応の反応がないけど本当はいい子 混沌としてるが、ぶっちゃければヤな子のようだけど本当はいい奴なんだな 「ありがとう、うまく元気付けれるといいが・・・」 「ヒースなら何とかなるとおもう、私だってヒースに元気付けられたもん。」 「ありがとうウェンディ・・・」 メディナをちゃんと、励ましてあげれると良いんだが、少し暗い話が終わると 今度はイリがウェンディにちょっかいを出し始めた 「・・・ねーウェンディちゃん、胸の使い方教えてあげよーか?」 「!?い、イリ何言ってんのよ!!」 その一言にヴェータが噴出してた、その後イリを睨んでいたが、お構いなしにイリはセクハラを開始した 「男ってやっぱ胸が好きだからね、押し付けたり挟んだり・・・」 「わー!わーわー!!」 ウェンディが恥ずかしさで、ワーワーと文字通り声を上げて、何とかイリのセクハラトークをさえぎる 俺の横では、蒼紫が安心したような顔をしている、そういえば蒼紫は今日挟まれてないな 「このごろウェンディが狙われてな、悪いとは思ってるけど助かった・・・」 「けどお前、巨乳が好きなんじゃ・・・」 酒で酔ってるとき、巨乳がいいだなんだと言っていたのを思い出し、つい口がすべると 蒼紫の白い肌は赤くなって、少しモジモジとしていた 「あー、蒼紫は少しむっつりなんだよ。」 「バルスー!」 「ついでに言わせてもらうと、好きだけど恥ずかしいって言うの奴だな。」 狗威の追い討ちで蒼紫が沈黙していた、まぁ蒼紫みたいなのが普通なんだよな そう思いながら、ウェンディのほうに目を向けると、あれ?何かヴェータが・・・ 「それでだよ、こんな感じにグニグニと・・・」 「や、やめてってば!?うぅ・・・ヴェータぁ・・・」 ウェンディがセクハラされてた、蒼紫がそれを見て鼻血だして、ティッシュでそれをふさいでいる 狗威はいつもの事だと傍観、バルスはヴェータを煽っていた 「おいおい、自分の女を女に良い様にされていいのか?」 「良いわけないだろ!?えぇいこのセクハラ乳狐!ウェンディの胸を揉むなー!」 あっヴェータが枕を投げた、けどイリがウェンディの胸で挟み込んだ・・・ なんとも混沌としてる、狗威は興味がないのか俺に話しかけてきた 「なぁヒース、メディナの事だが旅に出ると良いと言ったそうだな?」 「あぁ、俺は旅の中で生きていく気力を手に入れた。」 狗威が少し考えていた、やっぱり旅は少しNGワードが強すぎるか? 「奴の親の呪縛から逃れるのに、それがいいのだろうな・・・」 「親の呪縛?」 「奴の親は、逆恨みで今のディオール王家を恨んでいるし、いつまた動くかも分からん・・・メディナが幸せになるには 今までの復讐の鎧を脱ぎ捨て、アイツが望むように生きるしかあるまい。」 なるほど、親から離れて自分なりの生き方を見つけるか・・・それにしても 「狗威は博識と言うか、作戦隊長みたいだ」 うっと狗威が落ち込んでしまった、俺は何か悪い事を言ったのだろうか?そして狗威の口が開くと いつものクール&シリアスな狗威が崩れ、一気に鬱憤を出し始めた 「フフフフフ・・・八武将の中でな、苦労してるんだ・・・・バルスは頭が良いがそれを楽しみにフル利用 イリは見ての通りで、残りの二人の内1人は本の虫で話を聞かない、もう一人は交渉術に長けすぎて ずーっと出張中、死んだ一人は筋肉バカ・・・もう一人は死にそうだし、蒼紫はディオールで頑張って・・・」 わっ狗威がまるで捨てられた子犬のようだ、その暗い暗い表情でよっぽど苦労してるのが伺える さらに狗威の話は、周りのヴェータVSイリを気にせずドンドン進んだ 「俺がしっかりしないと、八武将はワンマンズアーミー軍団なんだ、しかもだぞ? ヘルキャットは気まぐれに仕事しない、これでしっかりしないと俺がだめになる!」 「狗威・・・苦労してるんだな・・・」 男泣きをする狗威を撫でつつ、俺はヴェータVSイリの戦況を見ていると、鼻血が止まった蒼紫が バルスと一緒に、戦いの実況をしていた 「二人ともいいように遊ばれてるな、ヴェータはいつになく熱くなってる」 「ぞっこんだなぁ、アイツは姉とウェンディのために死ねる!とか言いそうだし」 ヴェータが投げる枕やトランプを、ことごとくイリはウェンディの胸で防御し、膠着状態へ落ち着いている ウェンディは胸を揉まれ過ぎて、少し疲れ気味だしヴェータも息切れしてる。 「はぁ・・はぁ・・・いい加減ウェンディの胸を揉むなー!」 「いいじゃない、減りはしないけど増えるし、それにあたしゃ挟みはするけど、誰かを揉む機会が少ないんだよ!」 これはまだかかりそうだ、狗威の柔らかくモフモフの犬耳に、少し意識をとられ そっちを重点的に撫でてしまいつつ、あっちの戦況を・・・あっイリがやられた 「ぐふっ・・・」 「いい加減にしてよもう!」 ウェンディの肘がみぞおちに一撃食らわせたらしい、イリが撃沈してウェンディがヴェータに抱きついてた 感動的・・・なのか分からないが、こうしてこの戦いは決着がついた、一件落着・・・でもない ウェンディがイリを枕カバーで縛り、履物を脱がせて指を動かしている、あっヴェータもだ 「さて人の女の胸を揉む狐は〜」 「後、敗者には〜」 「「罰ゲーム!」」 「わっお待ちよ!たんまたんま!きゃははあははは!!」 あぁ、足の裏と脇を擽られてすごい笑ってる、まぁ仕方がないかバルスと蒼紫は両手を合わせて イリの冥福を祈っていた、さてそろそろ狗威を元に戻さないと 「狗威、これからも頑張ってな・・・」 「あぁ頑張るけど・・・時々こうやって暗くなるのも大切だな、わん。」 こうしてイリは息が途切れかけるまで擽られ、狗威は何かすっきりした感じになっていた 本当、暗黒連合は外から見ると怖いが中身は楽しい場所だなぁ そう思いつつ、今日が終わろうとしている・・・皆と別れて、俺は久しぶりに暗黒帝国の城の 客を泊める部屋の一つだが、ほぼ俺の泊まり部屋に入ると、久しく暗黒帝国で寝ることにした 起きると外はあいにくの雨、しかも大粒の雨でイヤになってくる 旅をしてる時は、こんな時は禁忌の腕だけをだして傘代わりにしてたな 「シーリアとミストは、今日1日また魔法大国の世話になるんだろうな」 遠くにいるレイニアとミストを思い出し、ふとそんな事を思いながら 髪をとかす・・・かと思ったが、なんだか気分が憂鬱でイヤになる シャワーでも浴びて、少し気分を変えるとしよう・・・ 朝から風呂というのも気持ちいいな、俺の長い髪では時間がかかり 旅をしていると中々できないし、ちょっと気分が良くなってくる 「ふぅ・・・」 風呂にも入り終え、髪を乾かし体を拭いて、いつもの服も着て気分爽快 特に用事もないけど何かしようか、そう思って城の中をブラつく事に ちょっと遅く起きて現在9時・・・といっても50分でほぼ10時 ヴェータとウェンディも見つからないし、なんだか暇だと思いながら 中庭のほうへ・・・誰かいる、傘も差さないで座って雨にぬれてる 「誰だ・・・?メディナ?なっメディナなのか!?」 今日はタガメがいない、それなのに何で・・・と言うより、何で雨に打たれてるんだ 「・・・」 「風邪引くぞ!しょうがないな・・・」 中庭のほうへ行って、メディナを雨の当たらない場所まで連れて行こうとすると、メディナが手を弾いて 俺をじっと睨みつけてきた、何処か病んだ様な目に、俺の体が思考回路に危険を伝える 「来い、これ以上は危ない。」 「タガメは・・・タガメはどこ?」 「今日はいない、お前いくらなんでも冷たすぎだ、いつからいた?」 無理やり抱えると、じたばたと抵抗されたが構いはしない、一度体を温めさせないと 抵抗しても無駄だと分かったか、もう動かないメディナを部屋に連れて来た 運よく風呂は沸いてるし、風呂に入らせてその間に対策を考えよう。 「風邪引くとタガメに合える日にあえないぞ?」 「どうでもいい・・・」 言ってる事がさっきと違う、ちょっと強引になるがしょうがないか、雨でびしょ濡れの服を 無理やり脱がせて、洗濯籠に入れると風呂場へ押して、そのままドアを閉めた 「本当に風邪引くぞ、そこで温まってくれ着替え持ってくる。」 「・・・・・・・」 シャワーの流れる音がする、これで一安心だろうか・・・さて、どうしたものか こんな時、頼れるのはヴェータだな・・・ヴェータに会いに ヴェータの部屋のドアを開けると、ウェンディも一緒で勉強中だった 「どしたヒース?」 「いや・・・それがな・・・」 事情を話すと、ヴェータの指示はまず着替えの服、次は俺とメディナで話し合って 元気付けろと言う、大丈夫なのか少し心配だな・・・その間に、闇の国から迎えを出すと言う 「先に部屋に戻ってろ、僕のほうからメイドに言っておく。」 「あぁ・・・すまんな、勉強の邪魔してしまった」 俺が頭を下げると二人とも気にしてない、と言ってくれて、ウェンディに関しては 「少し難しくてね、復習の時間ってことにしておくわ。」 何の勉強か少し気になり、サーチアイを使うと・・・貴婦人の振る舞い方?あぁ・・・ まっ将来必要になりえるな、俺は納得すると部屋に戻る事にした 部屋に着くと、びしょ濡れのメディナの服は、新品の新しい服に変わってる ここのメイドは動きが早い、風呂上りで喉が渇くだろうし、ホットミルクでも作るか 風呂場からの静かな、お湯が揺れる音と雨の音をBGMに鍋に入った、冷たい牛乳は ゆっくりと暖かくなっていく、お湯が落ちる音とほぼ同時に、ホットミルクが完成した 「さて、一応砂糖も入れておくか。」 砂糖を少し混ぜてかき混ぜ、マグカップに移し終えるのと同時に、メディナが風呂から出てきた 顔色が少し赤く、ほこほこと湯気もたっているし少し熱いかな? メディナがベッドに座ると、横の小さなテーブルに一応マグカップを置いた 「ホットミルクだ、体があったまる。」 「・・・・貰うわ。」 むすっとした感じに少し口に含むと、なんだかいやそうな顔をしてる、俺が嫌いだししょうがないか イスに座ってメディナが飲み終わるのを見てると、飲み終える前に口を離した 「おいしくない・・・少ししか砂糖入ってない・・・」 「あぁ・・すまん、少なかったか。」 スティックシュガーをもってくると、もう少ないからいいと、メディナは文句を言いつつも飲んでいた なんだかんだで、飲んでくれて少しほっとしてる、牛乳はイライラに良いらしいし 「昨日はすまなかった。」 「・・・・・」 反応がないが、代わりにフンっとそっぽを向かれた、昨日より少しは落ち着いているか さてどうやって切り崩す、ストレートに言うとダメだし、遠回りに言うとしよう 「昨日な、大暗黒八武将にあったんだがお前の事、心配してたぞ?」 「・・・・」 「その・・・だ、そうやって落ち込んでいても、始まらないぞ?」 「・・・・」 「・・・ここからは気に入らないなら、独り言だと思って聞き流してくれ。」 ここからは俺の旅の話、俺がこの世界で目を覚まして、さまよい続けた時の・・・ 「俺は初めて目が覚めた時、記憶がほとんどなくてな・・・1ヶ月くらいかな、今のお前みたいに彷徨ってた 何をするわけでもなく、何かしたいわけでもなくな。」 少し反応して、眉が動いて俺を睨むように見ている、ここから元気付けれるか不安だが 考えてた言葉があるんだ、元気になってほしい 「それで最初の内は戸惑ってた、けどな・・・いろいろな物を見たり、そうこうしているうちに 何かしようって思ったんだよ、それでない記憶を探す旅をしたんだ。」 「・・・・」 「旅をしろと言わないけど、いろいろやって新しい生き方、探してみないとずっとそのままで それで自分の生き方は見つかりはしないさ、今日タガメに会いに来るぐらい行動力はあるんだ、やれる。」 「・・・・・・ねぇ」 やっと言葉が出てきた、ここからまた同じような事を言うか、それとも前に進む言葉か 息を呑んで待っていると言葉の続きがやって来た 「なんで、何で初対面の私に優しくしてくれるの?」 「さっき言った様に、お前と昔の俺が似てる気がして放っておけなかった。」 沈黙がしばらく支配するが、メディナの言葉で沈黙が開放される事になった 「・・・旅に出たら、本当に生き方が見つかるの?」 「必ずとは言えないな、お前のやりたいように探してみるといい。」 「・・・ねぇ、旅は楽しかった?」 少し難しい質問だった、つらい事も楽しい事もたくさんあって、ただ楽しいだけではなかった だがつらい事があっても、俺は旅を続けるし俺じゃ、第三者的な答えは出せなかった 「そうだな、俺は楽しかった・・・辛い事もあったけど・・・沢山の大切な物を手に入れた。」 「・・・」 その時、ドアを叩く音がした、たぶんメディナの迎えだろうな 「迎えが来たな、もう雨の中で傘も差さないで来るなよ?」 「・・・ねぇ、明日も来ていい?」 「タガメはいないぞ?」 メディナが首を振って、今までの薄暗く低い声じゃなくて、何処か女の子らしさが戻った声で 俺が思いもしなかった言葉をかけてきた。 「違うわよ・・・旅の話、聞かせて欲しいの・・・このままじゃダメなら、私何かしたい。」 どうやら少し前進したらしい、俺が頷いたらとっとと帰ってしまったが 次の日、メディナはやってきて俺の旅の話を聞いていた、夕方になったら帰ったが なんだか楽しそうで、ちょっとだけ安心してた・・・ 「って事があったんだ。」 「ほぅ、今まで彼女は第三者に優しくされた事が殆どなかったし、あなたの存在はいい刺激だったんですね。」 今までの事をタガメに話すと、タガメは安心した感じに喜んでいた さて、今日もメディナが来るのだが・・・ 「おはよう、元気だったタガメ?」 「おはようございます、元気になりましたねメディナ。」 あの時と違い今のメディナは、いやこれが本当のメディナ何だな、ちょっとこっちを見下した感じで 2日前のメディナとは、まったく別人のように思えた、これがタガメたちの知るメディナ何だな。 「ふん、落ち込んで鬱病になるなんて、私らしくも無い・・・けど、心配してくれたのには礼を言うわ」 「ふっ・・・本当、いつものあなたに戻りましたね。」 一件落着か、ふっと笑っているとメディナがこっちを見て、むっとしている 何か悪い事をしたかと焦ったが、メディナの言葉で思い出した 「私に今日も旅の話、聞かせてくれるって言ったじゃない!」 「あっすまない、昨日はNIに俺が囲まれたところまでか?」 「違うわよ!ったくもうロボットなのに記憶力ないわね!暗黒帝国に帰った所までよ」 あまりの変化に少し苦笑いするが、これで良いんだろう、俺は昨日の話の続きをしつつ メディナに旅で最低限、必要な道具を教えたり、気をつけるべき事を教えてるが 俺の場合、説得力が無いな・・・我ながら、俺の旅の非常識さは凄まじい。 「そういえばヒース、ディオールへの移動手段ですが、バイクを用意してあります。」 「バイクか、動かし方は分かるから大丈夫かな。」 話によれば、サイドカー付きで俺からエネルギーを引いて動くらしい、SDロボの技術の転用で メカニックが珍しい体験だったと、苦笑いをしていたらしい 「ヒース!続き早くしなさい!」 「あぁごめんごめん、それでだな・・・」 メディナが少し膨れながら続きをせがみ、また話し始めると目が輝いてるように見えた 濁って虚ろだった緑の瞳は、美しいエメラルドグリーンの輝きを放っていた 「そこで1週間、またのまず食わずでな。」 「あんた本当に計画性、無いわね・・・よく生きれるわ。」 「ロボットだからな、メディナは人間なんだし真似しちゃダメだぞ?」 「分かってるわよ!バカにしないでくれる!!」 怒ってるメディナを撫でつつ、また話の続きを始めると唸ってはいるが、静かに話を聞き始め そしてここに来るまでの話、全てを終えると背伸びをして、肩をならすフリをした 「参考になったわ、それにしても楽しそうね、一緒に旅についていこうかしら?」 「やめておけ、俺の旅先では高確率で勘違いで悲劇が起きる。」 苦笑しつつ、メディナが立ち上がると俺達に背を向けて、そろそろ帰ると言い手を振っていた 「明日も来てあげるわ、またねタガメ、ヒース」 「さよーならー」 メディナが帰った後、タガメが少しため息をつくと、俺の肩を叩いて 少し付き合ってくれと言う、何だと思いつつ着いていくと 整備ドッグ前、そこにはサイドカーの付いた真新しいバイクが 太陽の光を浴びて、光を反射して手招いていた 「ヒース、言っておいたバイクです。」 「これか・・・」 「テストしてみてください、動くはずですよ」 席に座って、ハンドルを握ると確かにエネルギーを送り込める、力をこめハンドルを握り アクセルを開くと・・・猛スピードで走り出し、急いでブレーキをかけてアクセルを閉めた 「はぁ・・・驚いたな・・・」 「大体使い方は分かるようですね、さて・・・」 あれ?タガメが作業着に着替えてる、一体何をする気なんだろうと首をかしげると バイクを外に出すように指示され、言われた通り外に出て・・・これは 「さぁ・・・みっちり交通ルールや動かし方を叩き込みます!!」 「なっ!?おいタガメまて落ちつ・・・」 「さぁバイクと一体になって、風になるんだ!!」 タガメの口調が変化して、おやっさん的になった時にはもう遅い、俺はタガメの指導の下 死ぬような思いでバイクの基礎を叩き込まれるのだった! 「おやっさん!やったぞ!ついにトカゲロ 「待つんだヒース、それ以上は言っちゃいけない。」 「タガメのスパルタ教育を受けたか、大変だったな。」 「ははは、まぁこれで特別運転免許が渡されるらしい。」 これが権力の力だ、と思いながら俺はヴェータとウェンディと一緒に、さっきの疲れを癒すべく のんびりとダラけていた、ヴェータもタガメのスパルタモードで、しごかれてるらしい 「落ちてくる岩を蹴り壊したり、バイクに乗った兵士に追いかけられたり・・・」 「ライオンの親は子を谷に落とすって言うけど、まさにそれだよね。」 今でこそ笑っているが、当時のヴェータは死ぬような思いで、暗黒英才教育を受けたらしい 10歳で岩を蹴り壊せだ、バイクに乗った兵士を倒せだと虐待スレスレだな・・・ だが12の時には、素手で滝に穴を開けろと言われたり、車で追いかけられたり、凄まじい訓練の連続だったらしい 「だからこそ今の僕があるんだがな。」 「と言うよりタガメは怒ると怖いんだな」 「怖いタガメさんか、見てみたくはあるかも。」 ウェンディが冗談っぽく笑うが、受けた事のある身としてはお勧めできない・・・ ベッドの上で寝返りを打ち、柔らかなベッドの感覚に溺れていると 久しぶりに3人でいるのに気づいて、ふと口から言葉がもれた 「3人でまた旅ができたらしたいな、ディオールまで短い旅だったが楽しかった。」 「同感だな・・・けど今は無理だ」 「私もお父さんの仇を探してるしね、けどいつか3人で旅したいな。」 だが少しだけ魔がさして、含み笑いをすると二人が不思議そうな顔をする、言ってもバチはあたるまい 俺は二人を半ば冷やかすような、そんな意地悪い言葉を投げかけた 「3人ではないが、2人は旅をするだろうな・・・新婚旅行。」 「ヒース!?ひ、冷やかすな・・・」 「ヒースなんだか意地悪になってない?」 こうやって幸せそうな恋人達を見てると、少し冷やかしたくなるのは、ロボットでも同じなのだな いろいろ問題はあるが、本当にまたいつか3人で旅をしたい、それは本当だった 二人に謝って、許してもらうと何だか可笑しくなり、3人で大笑いしていた 「なぁヒース、いつごろ出るのか決まったか?」 「いや、まだだが・・・バイクの運転を仕込まれた、近いとは思う。」 半日で仕込まれるんだし相当、近いのは確かなんだろう、出る前にメディナが元気になってよかった ヴェータ達と分かれるのは名残惜しいが、仕事を頼まれた、記憶だって戻ってない 記憶が戻ったら、永住・・・は図々しいな頻繁には訪れるだろうが。 「そうだ、ヒースがしばらくいなくなるなら、これ渡しておくね。」 あっ・・・シーリア達が渡したのと同じ、何か詠唱的な物が書かれた紙だ、なんだろう 忙しくて聞き忘れてたし、ここで聞いてしまうのも悪くは無い 「なぁ、これ何なんだ?」 「これか、魔力で遠くの相手に言葉を飛ばす、まぁ通信機みたいな物か。」 「あっけど大丈夫だよ?これ周りの微量な魔力で飛ぶから。」 なるほど、ここからヴェータとウェンディの説明講座の始まりだ、えっと文字をなぞれば良いのか 言われたとおり詠唱的な文字をなぞると、文字が光るので喋れと言う、そして喋ると・・・ すごいな、本当にウェンディのほうにある紙に、声が届いている 「これで離れててもある程度、話せるね」 「ありがとう、寂しいときは二人に連絡するよ。」 そろそろ寝る時間だし、俺は二人に礼を言いながら部屋を後にした、同じ城の中だが なぜこうも寂しいのだろう、部屋に戻ってシャワーを浴びながら、近いうちにくる 依頼の内容を少し考えていた、俺が行くとなると・・・ 「ヒースさーん抱っこ〜」 いや待て待て、いくらなんでもテレサのお守りなんて非現実的、きっと騎士団の訓練に付き合うとか そんな感じのかっこいい理由に違いない、今日の汗を洗い流し終えて、ベッドの中にもぐりこんだ 夢・・・の中では、なぜか俺がフリーのカメラマンでヴェータと一緒に、悪そうな怪物を蹴り倒したり バイクに乗ったりする夢を見た、我ながら訳の分からない夢だった・・・タガメが敵と味方、一人二役してるし そんな夢から、ドアをノックする音が目を覚ましてくれた、一体なんだ? 「レヴィア様がお呼びです、魔王の間に来てください。」 「何っ!?今行く!」 急いで髪を梳かしつつ、顔を洗いびしっとすると魔王の間へ、急いで走り出した レヴィアを待たせるのも失礼だし、とにかく走って魔王の間に、急ブレーキをかけて到着 ドアをノックすると、レヴィアの優しい声が中から聞こえて、ドアをゆっくりあけた 「ヒー君、用件は分かってると思いますが・・・」 「はい・・・レヴィア、ディオールへ行くのですね。」 周りに誰もいないのを確認し、レヴィアの要求どおり呼び捨てで呼んで、俺は方ひざを付いた なんとも奇妙な行動だが、こういう風にしろと言われたし、しょうがない 「えぇ、明日に出れば2日後には付くはずです、今日はゆっくり翼を休めてください。」 「分かりました、お心遣い感謝いたします。」 俺が深く頭を下げると、レヴィアは顔を上げるようにいい、そして何か物欲しそうな そんな感じで俺を見ている、何だろうと首をかしげると、意外な言葉が出てきた 「えっとね、テレサがヒースの旅の話、話してくれて凄い楽しそうだったし、メディナちゃんもそれで立ち直ったし・・・」 「?」 「私にも新しい旅の話して欲しいなって・・・」 「いえ、あの・・・暗い話ですよ?」 俺がこんな事を言うと、レヴィアは子供っぽく泣きそうな感じに、だーっと俺に文句を言う 「ずるいです!私だってお話聞きたいのに!」 あぁ、暗黒連合はその国のトップに溺愛すると言うが、改めて分からなくないと思えた 凄まじく可愛らしいレヴィアに、手招きされてイスに座り、紅茶を貰いながら 俺は少し短く、今までの旅の話を話し始めた・・・喜んでいる姿を見て、嬉しくなってくる それですっかり時間を潰して、もう11時になっていた、楽しかったと笑ってくれるレヴィアに 頭を下げると俺は魔王の間を後にした、さてタガメとメディナに会わないと・・・ 「遅いわよ!」 「すまんすまん、レヴィア閣下と話しててな。」 中庭にいる二人に謝りつつ、ベンチに座るとさっきの事を話して、メディナが少し驚いていた まぁレヴィアと話せるなんて、そうそうないん・・・いや、あの人じゃ結構、部下とお茶会してそうだ と言うより絶対してる、たぶんあの部屋に隠しキッチンがあって、そこでお菓子作ったり、洗物してる! 「何回か話したけど、本当気さくよね・・・んー王族してしてどうなのかしら。」 「そこがいい所なんですよ!!」 タガメの熱弁を、メディナがはいはいと流していた 「そうだった、私近いうちに旅に出るわ。」 「そうか・・・気をつけろよ?メディナみたいに可愛い女の子は、盗賊に狙われやすい。」 前に髪で女と間違われ、盗賊にへんな要求をされたのを思い出して、頭を撫でてると 何か怒ってしまったらしい、そっぽを向かれてしまった・・・失敗した 「・・・ふふっメディナも女の子らしい所あるんですね。」 タガメが小声で何か言ったが、聞こえなかった・・・まぁいいか、イライラには牛乳だと タガメが牛乳瓶を渡すと、蜂蜜もってこいと、メディナがタガメに瓶を投げ返していた 苦笑しているが、元気そうなメディナを見てタガメは嬉しそうだった、本当に元気になってよかった 俺はそんな事を思いながら、明日には旅立つ事を思い、平和な時間をすごしていた 今日は珍しく、メディナがお昼に帰って時間ができていた、俺とヴェータ達に別れの挨拶の時間をくれたんだろう ヴェータ達を探すと、ヴェータとウェンディはちょうどお昼ご飯を食べ、食堂から戻っている所だった 「ヒース?今日はメディナとはもういいのか?」 「あぁ、それより伝えたい事があってきた、明日出発だ。」 二人が少し残念そうに下を向くが、すぐに顔を上げて明るく俺の肩を叩いて、笑ってくれていた 「それじゃ今日は一緒にいよう、しばらく分かれるんだし。」 「賛成、ヒースの旅の話、意外にも私たちのこのごろの話しようよ。」 俺が頷いて、今日の夜にヴェータの部屋に合流する事になった、昨日と同じだが 友人といる時間は、本当に楽しいからどこでも良かった。 二人が用事を終える夜まで、誰と話すでもなく俺はもどかしさを抱えながら 交通ルールの類を思い出しながら、またバイクの練習をしていた、さて そのころ闇の国、メディナがタガメを連れ去って、何か話していた・・・ 「これでいいのよね?」 「えぇ、これで必要な物は全部そろいました・・・」 「手引き頼むわよ、明日5時に行くから。」 「はい、あなたが行くとなると少し寂しいですね、旅先でどうかあなたに幸あれ。」 「ふんっ私が旅先で転ぶわけ無いじゃない・・・タガメ、いろいろありがとうね。」 「ふふっ・・・あなたがお礼を言うなんて、明日は雨でも降りそうだ。」 やっと夜になった・・・ヴェータの部屋では、昨日と同じように俺がダラっとベッドに転がって 昨日と反対に二人の話を聞いている、こっちから話すことが多い俺には、中々新鮮だった 「まぁ・・・それでな、顔つきが変わったのでばれて、もう散々だった・・・」 二人が「致した」後のことらしい、ばれてるからもうヤケで話しているが凄まじい内容だな 城どころか闇の国と暗黒の国の面子まで、気になって冷やかしに来るなんて・・・ 「私なんて町に出たら、ヴェータの恋人って事で顔知られちゃっててね・・・大変なのよ。」 「ウェンディもすっかり有名人か・・・」 少し笑っていると、ウェンディは少しすねた感じに、俺の頬っぺたをウニウニとして 俺の顔を歪ませてお返しをしてきた。 「この苦労ヒースなら分かるでしょうがー!」 「うへんひぃまへ!まふんでえうへんひぃ!!」 意味は待てウェンディ!待つんだウェンディ!!と言っても、間違いなく変な声になってる 俺が待ったと言っていると二人の顔が、だんだんと緩んで大笑いし始めた 「はははは!ヒースのそんな顔初めてだ!」 「はぁっはぁ・・・可笑しくて死にそう!」 どんな顔だったんだ一体、凄い気になるからもう一回頼んで、顔をウニウニしてもらうと 二人が腹を抱えて死に掛けていた、気になってもう一度、頼んでみたが二人が拒否した 「あはははっこれ以上、笑ったら本当に死んじゃう!」 「はぁはぁ・・・っ腹筋が鍛えられるな、ははは・・・」 本当に死にそうだし、残念だが俺の顔を見るのは断念、そのまま二人の話を聞く事にした 今度はウェンディが訓練所を借りて、ヴェータと戦ったときの話だった 別にシリアスなわけじゃなく、二人が本気出して戦ったら、訓練所の外壁が壊れて こっぴどくしかられて、夜まで補修作業をする羽目になったと言う 「もうこんな時間なんだな・・・寝るとしようか・・・」 「残念、けど仕方が無いね。」 「明日は見送りに行く、お休みヒース。」 さて・・・明日は9時に出るし、今のうちに寝て7時に起きれば完璧か 二人との別れを惜しみつつ、俺はしばらく浴びれないであろう、シャワーに別れを言いつつ 体の隅々まで洗い流し、次のシャワーまでしばしの別れを告げベッドに寝転んだ そして俺が寝て数時間たった頃、闇の国で旅立ちが始まっていた 「さよならお父様、お母様・・・メディナは旅に出ます・・・」 メディナが闇の国に、手を振って旅行鞄を手に歩き始める。 メディナの旅立ちだ見送りも無く、一人・・・ではなかった、人影が現れた その人影は犬耳があり、もう一人は眼帯をかけていた 「バルス様!それに狗威!」 「うーっす、朝早くだから起きるのめんどくせーぜ。」 「タガメから聞いてな、最後ぐらい見送らせろ。」 大あくびをしながらバルスが木に寄りかかり、狗威はその木の上に立って、少し優しげな声で メディナとの別れを惜しむように、だが元気でなと見送るように、少し微笑んでいた 「ありがとう・・・二人とも元気でいなさいよ。」 「おうおう、おめーは少しは乳でかくなれよ〜」 「帰ってきたら、旅の土産話でも聞かせてくれ。」 冗談交じりに笑いながら、キッとした目で手を振るバルスと、木から飛び降りて手を振る狗威に メディナが歳相応の可愛らしい微笑を見せて、二人が見えなくなるまで手を振ると 最後に聞こえないくらいの距離で、小さく小さく嬉しそうな声で、二人に別れを告げた 「ありがとう・・・またね・・・」 「・・・ふ、元に戻っても素直にはならんか。」 「ん?あーおめー地獄耳だな、なんていってたんだアイツ?」 闇の国の城へ帰りながら、バルスはメディナの言葉を聞こうと、狗威の肩を組んで 少し酔っ払いのように体重をかけて、狗威とじゃれながら帰っていく そしてメディナが向かう先は・・・・ 「時間か・・・」 現在9時、ついに出発の時間がやってきた・・・少し寂しいが、暗黒帝国とはお別れだ 久しぶりにディオールに行くな、テレサ達は元気だと良いが 「ヒース、時々連絡よこすんだぞ?ピンチになったらすぐ駆けつける。」 「アシリアによろしくね!いってらっしゃい!」 「あぁ!また暗黒帝国に来るからその時は、また旅の話でもしよう!」 ぎゅっと二人と抱き合い、別れの寂しさを二人との抱擁で消しつつ 俺はレヴィアの前に出て出発前に、敬礼をして別れの代わりにしたが 「ヒー君、どうかお気をつけて、旅先に幸あらん事を。」 「ありがとうございます、レヴィア閣下もどうかお元気で、またあう日を楽しみにしてます。」 レヴィアから特別免許を受け取り、次元層に仕舞い込むと準備完了、サイドカーのシートを・・・ 「待ちなさいヒース、そこにゴミが入らないようにしてあるから、誰か乗るときはずしてください。」 「あぁ。分かったよタガメ・・・行って来る。」 俺のエネルギーを流し込んで、バイクが息をならすと準備は完了、深呼吸をして 少しゆっくりとアクセルを開き、バイクが走り出す、ヴェータ達の声がする 「ばいばいヒース!またねー!」 「気をつけてなー!」 手で合図をすると、俺はついに暗黒帝国を後にした、また会おう皆 「行っちゃいましたね・・・ねぇタガメ先生、食料は?」 「バレましたか、持たせてあるし大丈夫ですよ。」 二人の会話なんて聞こえるはずも無く、俺はディオールへの道を、まっすぐ風を切って行く かなり移動が楽で驚いている、バイクとはここまで便利なのだと思いながら 城下町を抜けて道路へ出た、次元層から免許書を見せて、国の外へと走り抜けていく 走って・・・走って、しばらくしてからだった、サイドカーに違和感を感じる なんと言うか重量が少し増えてる、布だけならこんなにならない、バイクを止めて 布をよけてみっ何!?そんなバカな!?なんでここにいるんだ! 「メディナ!!」 「んっ・・・ヒース、うるさいわよ・・・」 メディナがサイドカーに入っていた、驚い慌てて目をこするが、ロボットが寝ぼけるわけが無い メディナが起き上がると、俺はメディナにこの状況をとにかく問い詰めた。 「メディナ!なんでここに・・・」 「ふっタガメに頼んでね、こっそり同行させてもらったの。」 飄々と言うメディナに、少し不安が吹き出てきた、今から戻るといっても聞かないだろうし 何処かでおろすのは可愛そうだ、けど今から行くのは・・・そう、ディオールなのだ 「辛い旅かもしれないし、行き先はディオールだぞ?」 「ふんっ・・・それがどうかしたの?これは私が望んだ事、あんたの旅の話聞いてて・・・その、楽しそうだったのよ 辛い事も、ヒースと一緒ならやってけそうだし、ディオールだっていつか行く予定だったわ、過去の私に見切り付ける為にね。」 少し睨むような目をするが、メディナは引かないしそれに、そのエメラルドグリーンの瞳には 強い意思が見えた、いいだろう・・・まっもしもの時は、送り返せばいいだろう 「分かった、しばらく一緒に旅をしよう。」 「ふん、それでいいのよ・・・よろしくね、ヒース。」 旅行鞄を見ると、必要な物はそろっているし大丈夫か、今日はいける所まで飛ばすとしよう エネルギーを過剰に送り込むと、バイクが爆音を鳴らしながら道路を走り抜けていく また旅の道連れと共に、俺の行く先も無い記憶探しは、再開するのだった 「メディナ!今日はシャワー浴びれないかもしれないから覚悟しておけよ!」 「ふん!水魔法で浴びるから良いわ!覗いたらただじゃおかないわよ!!」 続く