前回のあらすじ 偶然旅先でヤカリと再会、ヤカリが仲間に加わって旅が楽しい事になってきた 「くそっまだ聞こえる!」 「ひゃああ!今近くの木がバッサリ!」 何でこんな森の中をバイクで逃げてるか?それはだな・・・ 「くそっ私の感が外れたか、おいルナ?怖がって気絶するなって!」 「私のアン・ギ・・・きゃああ!怖い怖い!!」 それは30分ほど前に遡るか?俺達が駅馬車についていって、近くの町まで行こうとしていた時だ あの機体は突然、駅馬車を襲って護衛のワルドーザーはあっという間に全滅 俺達が注意をよせて、駅馬車を逃がしてヤカリの提案で、森の中に入ってその刃を折ろうとした だが・・・その刃は、10本もの木を切り倒したのに、刃に負担すら与えられていないようだ 「くっそ!ルナは怖がって気絶しちまった!」 「メディナちゃんも怖がって・・・きゃああ!怖いです!!」 逃げるのに精一杯で、皆の言葉が耳に入ってすぐ抜けてしまう、あのバケモノ 速い・・・そして鋭い、耳障りなエンジンの駆動音で、記憶が刺激される そう言えば聞いたことがある、とある木こりが乗っていた、伐採用のロボットが 登場者の死後、暴走して森を伐採しつくして、SDロボに標的を向けたと 「危険ロボランキングベスト100!狂気のノコギリ!!まさか本当に存在したなんて!」 フルスピードでバイクを走らせ、森の中を永遠と逃げるが、相手も追いかけてくる だがしばらくすると、エンジンの駆動音が消えた、よかった逃げ切れた 「ふぅ・・・逃げ切れたな。」 ほっと一安心して、バイクを止めてどうすれば帰れるか考えていた 森の中で迷子なんてイ・・・ドルン、ドルンドルン・・・ 「ヒースまだいる!急いで動かして!」 「くそっなんてこった!」 迂闊に動けば相手の、回転する恐怖に飛び込んでいく事になる、目の色を真紅より濃い赤にして サーチアイを発動させると、敵は霊的なエネルギーで動いている事に気づいた だが対策を考える暇も無く、回転ノコギリが迫り来るのだった 「くそっ何処か荒野!砂漠でもいいから人気の無い場所!」 何とかノコギリから逃げると、またノコギリとの追いかけっこが始まった、だが すぐに決着が付きそうだ、前を見ると崖になっていて、このままいけばお陀仏だ 「きゃあああ!ヒースさんどうしましょう!?これじゃ落っこちちゃう!」 「くそっこうなりゃ背水の陣だ!アリシア防御魔法ってどれぐらい持つ?」 「安心しろ!今から空を飛ぶ!」 怖がって動けないメディナを抱きしめて、あたふたとするアリシアが冷や汗を流し ヤカリがまさかと青ざめる、俺は一気に加速をかけてバイクを崖から飛ばしたのだ 「きゃあああああ!!」 「うわぁああああ!?」 二人の悲鳴をBGMにしばらくすると、二人が落っこちてる間隔が消えてるのに気づく、窓から見ると バイクは浮かんでいるのだ、理由は簡単だ禁忌を次元層から一部出して、橋の変わりにしたのだ 武器もフル活用して、向こうの崖まで逃げ切る事に成功、崖っぷちでこっちを見る フッと笑ってやったが、その余裕は一瞬で砕け散る、ノコギリを上に掲げて、グルグルと回転 なんだと思っていると、次第に浮き始めた・・・そう、ヘリコプターのローターのようにノコギリを使ったのだ 「なっ嘘だろ!?」 ゆっくりとだが近づいてくる、これ以上は逃げても永遠に終わらない、なら迎え撃つしかない 「アリシア・・・もしもの時は、皆で旅を続けてくれ」 ごくりと唾を飲むと、二人は俺だけで戦うのを猛反発、自分達も戦うと言ってくれた 「ヒースさん!?私も行きます!」 「私も・・・ってルナが気絶してるか・・・」 「気持ちは嬉しいが、あんなバケモノ相手じゃ無傷は難しい、二人とも幸せにな」 盾を構えた禁忌を呼び出すと、俺は迫ってくる狂気のノコギリに、禁忌を飛び掛らせた 盾で防御してるため、ある程度の攻撃を心配せずに捨て身の突撃ができ、これで狂気のノコギリは 俺と一緒に向こう側の谷へ戻り、危険ロボランキングベスト100の上位対決が始まった 「ふっ・・・俺はランキング1位なんでな、負ける気がしない!」 「・・・・」 強がりを言ってみたが怖い、一撃必殺しか勝ち目が見えない、盾と大槌を選んで構えると さっきよりもエンジン音を増した、狂気のノコギリと睨みあうまでもなく、飛び掛ってきた カウンターで大槌を打ち込もうとしたが、ノコギリじゃない腕を使い、槌の上に飛び乗った 「危ないヒース!ハンマー捨てろ!」 ヤカリの声ですばやく槌を次元層に返すが、それと同時に狂気のノコギリが襲い掛かってくる 盾で防ごうとしたが、それより早く押し倒されて、ノコギリが俺に遅いかかってきた 「うあぁああああ!?」 何とか狂気のノコギリの腕を掴み、逃げようとしたがそのパワーに押され、徐々にノコギリが迫る 「いやー!アンジェ」 「ダメだアリシア!魔法使ってもヒースに当たっちまう!」 ノコギリを何とかそらすが、地面にノコギリが食い込んで血の気、俺の場合はオイル気か?が引いた 何度も逃げるが、このままじゃ切り殺されてしまう、何か対策は・・・そうだ!! 「アリシア!ヤカリ!何かして俺とコイツの距離を離してくれ!」 「え?わ、分かりました!!ヤカリさんメディナちゃんをお願い!」 「あぁ、何するんだ?」 またノコギリが襲い掛かってくると、爆発が起きてノコギリと俺の距離が離れた アリシアを見ると杖を持って、魔法を唱えたらしい流石だ、アンジェラなしでこの威力か 「よし!今だ!!」 俺が狂気のノコギリに盾で突撃、踏ん張って上空にノコギリを投げ飛ばすと、一気に勝負をつける 多分だがこの霊的エネルギーさえ何とかすれば、倒す事はできるはず、サーチアイでその元を探すと コックピットにあるのを確認、何とか霊に言葉を届ける事さえできれば・・・ 「まて!話し合えないのか?」 「・・・」 「ヒースさんどうしたんでしょう?」 「気でも・・・まさか、あのノコギリと話し合う気かよ!?」 しばらく動きが止まると、どうやら声が届いたらしい、頭に直接、声が響いてきた  木は切り終わったかえ・・・? 「木?あぁそういう事か、貴方の仕事はたぶん終わった、もう休んで良いです」  のぉ?どこら辺まで切ったのだ? 「え?森全部だったはずですが・・・」 ちょっと冷や汗が出た、これで何か失敗したらまた・・・  うぉおお・・・なんちゅーことじゃ、森を・・・償わんと・・・ くるりと狂気のノコギリが後ろを向くと、狂気のノコギリはそのまま消えてしまった 何はともあれ助かった、よかったよかった早く、あっちで待ってる皆と合流だ 「んっ・・・うぅ・・・」 「あっ起きた、ルナもう大丈夫だ」 ペルソルナが目を覚まして、ヤカリが一安心していた、メディナも安心してるし これで今回の一件は、一安心じゃないまだ俺達は森の中をさ迷ってる 「はぁ・・・森でキャンプかもしれんな」 「わ、私しばらくは森の中はイヤよ!」 「まぁまぁ、私がついてますから我慢してください・・・」 よっぽど怖かったんだな、いや俺も怖かったししばらくノコギリは見たくない 大きな町についたら、皆で気晴らしに遊ぶのも悪くは無いだろうな 「そうだ、アリシアこれでも読んでやってくれ」 「はい?あら・・・」 俺が出したのはアリシアがメディナに渡した童話の本、これで気を取り直してくれると良いのだが アリシアが童話を読み始めると、メディナが嬉しそうな顔をして、ヤカリが意外そうな顔をしてた 「ん?なんだメディナって童話好きだったのか?」 「ち、ちが・・・くないけど、いいじゃない!」 「まぁまぁ、人の趣味はそれぞれだし良いじゃないヤカリ」 コトコトと揺られて、メディナがアリシアの腕の中で幸せそうに童話を聞いて ヤカリがペルソルナを抱きしめて横から聞いて、40分位してからだろうか? ちょっと暖かい荷台の中、アリシアの甘い声が混じれば無理も無い・・・ 「皆寝たか・・・」 スヤスヤと寝息を立てて皆寝ていた、少し微笑を浮かべたくなったが そうも言ってられない、今日、皆がベッドで寝れるかは俺にかかっいている 「はぁ・・・こりゃ忙しいな。」 ちょっとバイクのパワーを上げると、俺は何とか町を目指すのだった 余談になるが、あの後、狂気のノコギリに襲われた人はいないらしいが 恐怖のノコギリが木を育ててる、そう目撃証言があると言う 適度に刈り自然に感謝する、そういうことなのだろう。 続く