前回のあらすじ シュコトーで闘艇の若き星、ステア・ベルナートとであったヒース、アリシアが大ファンで ちょっと幸せな気分のアリシア・・・そして、ヒースは完全に忘れてる事があった 「あっ!」 しまった、遺跡から見つけた本をシュコトーに置き忘れた、この本どうしよう・・・ もうエルフィーナの森なのに、引き返しては日が暮れてしまう、貰ってしまおうかな そう思いながら、操作をオートモードにして次元層から、本を取り出すとちょっとページを開いてみた 「・・・呪文か?我、願いしは破、汝が力が下に、絶対を与えたまえ?」 途中で詠唱をやめたが、全50ページほどがこんな感じに呪文が書いてある、本を次元層にしまうと そのままエルフィーナの中を突き進み、町の方へと急いだ、だが途中で完全武装した兵士が、門の前で バイクを止めてしまった、なんだと思ったら、ここから先はバイク禁止だそうだ、排気ガスがダメとの事 「分かった、皆ここからは歩きだ。」 「道路・・・じゃないのね。」 「エルフィーナは魔法特化だしね、コンクリートの道路なんてないない。」 荷台から皆が降りると、バイクを門番の任せて、俺達は土を踏み固めた道を歩いていった コンクリートやレンガで出来た道が多かったから、久しぶりの土の踏み心地に懐かしくなった。 数ヶ月前は、俺は土の道しか歩いていなかったし。 「おっ見えてきた!」 「久しぶりですね、エルフィーナの首都に来るのは・・・」 如何にもな感じだ、木で出来た家に西洋風の城、家のほうは強い風で壊れそうな気がするが あまりにも深い緑に、台風が来ても木々が完全に遮断してしまうのだろう、木も一本一本が大きい よっぽど台風が強くないと、折れる事もなかろう、そんな事を思いながら宿を探してると 誰かがあとを付けてくる。スリか何かか?なんにせよ、喧嘩を売る相手を間違えてるようだ。 「エヴァック=アリシア=ディ 「禁忌ック!!」 前に王室パイで受けた、アンジェラ・アタックを真似て、次元層から禁忌を呼び出し キックを食らわせる必殺技、これで危機は去った・・・と思ったのだが。 どう見ても騎士だ、女騎士というヤツだろうか?さっきアリシアのことを・・・ 「きゃー!?ま、マリアさん!?しっかりしてー!」 「なっ知り合い!?」 や、やってしまった!よりによって、この国の騎士団の中でも、女王を守護する騎士団の しかも団長を!キックで・・・起き上がると、俺に剣を向けてきた。 「貴様っ!その一撃を宣戦布告と受ける!」 「おい、やめるんだマリア。」 どうしようと焦っていた時、天使を模した白い金色の刺繍が入った服を着た、金髪の少年が止めに入った エルフは本当に若いなぁどっちも子供。のようだがきっと30歳は超えてるんだろうな。 「レヴィナス!止めてくれるな!!」 「国落としのプロに、後ろから隠密になんて無茶だったんだ、やめておけ。」 安心してたのはつかの間、何だかドンドン口論になってる、終いには両者が剣を引き抜いた 止めないと大変な事になる。両者とも騎士団の団長クラスだ間違いなく・・・ アリシアに助けを求めると、止める方法は知っていると、ちょっとイヤイヤだったが 詠唱を始めた、鍔迫り合いをしてる二人の下に、魔方陣が浮かぶと・・・ 「アンジェラ・アタック!!」 あっ二人が吹っ飛んだ、ボロ雑巾のようになって、ごろんと転がっている二人を見て呆気に取られるが まずはメディナが普段のアリシアから、考えられない行動に悲鳴を上げた。次にペルソルナとヤカリが 何で殴ったのと大慌てし始めて、最後に俺が二人のほっぺを突いて、意識を確認したが気絶してる。 「これしかないんです!お城まで運びますよ!」 「泣くほどイヤならやらなければいいのに・・・」 泣きそうなアリシアの指示に従い、二人を背負うと俺達は、城の方へと歩き始めた アリシアが言うには、この二人が来たという事は、自分に用があるかもとの事。 アリシアが城の前で事情を話し、城の中に入ると俺達は女王に呼ばれ、団長の方は医務室へ あぁ・・・団長を殴っただなんて知れたら、俺は騎士団に恨まれる・・・面倒な事になった 「お付きの方々、女王の前ではご無礼が無いように。」 「皆さん、礼儀は知っております。」 さて、騎士団の団員に連れられ、女王の間まで来たが久しぶりで緊張する、かれこれ何度目の王族との遭遇だ いくつも木が重なった、重くも感じられるが高級感が出ている、巨大な扉が開くとそこには 「お久しぶりじゃな、アリシア王女。母上のテレサ女王はお元気で?」 「お久しぶりです、お心遣い感謝いたします。お母様はあの頃と変わらずお元気です。」 エルフが長寿で姿が子供のまま。なのは知ってる、だが女王まで子供・・・と言うより幼女だ ヤカリとペルソルナは、跪きながら目を白黒させて、メディナは資料どうりと小さく呟いた アリシアはさっきから社交辞令的な、お決まりの会話を繰り返してる、俺の処分はどうなるんだろう。 「先ほどは迎えに向かわせた者が失礼をした、どうか許してほしい。」 「どうか、お気になさらず・・・こちらにも非があります、お許しを。」 「お互いこの件は水に流そう、門番から聞いた時は耳を疑ったぞ、貴女が本当に旅をしてるなんて。」 どうやら俺の件は、不問に終わってくれたようだ。姿勢を楽にしてくれと言われたが 女王の前でそれはムリだ、アリシア意外は跪いたまま、二人の話を聞いていた。 「やっと暗黒連合との戦いも終わったが、NIとのゴタゴタはまだ終わりそうに無い、頭が痛いよ。」 「こちらから圧力をかけれれば良いのですが・・・お力になれず、申し訳ありません。」 「NI?この国はNIと何かあるのですか?」 つい口が動いてしまった、失礼があったと思って、すぐに謝ろうとしたがそれより早く 女王の口が動いた、ちょっと意外だったが、NIとの関係を話し始めてくれた。 「うぬがヒースじゃな?各国での話は聞いておるぞ。」 「恐縮いたします、女王の耳に私の事が届いているとは。」 「リリスでもよい。NIは我が国の領土に許可も無く工場を作り、環境を破壊しておるのだ。」 環境破壊・・・エルフは体が弱い、死活問題なのだろう、何故に実力行使に出ないか聞くと 工場を取り壊すにしても、エルフでは排気ガスの問題で苦しいらしい、別の国の増援も こんな非常識なまでの密林では、環境を破壊しないで戦うのは苦しいらしい。 スリギィやディオールが、NI相手に歯軋りして見てる、そんな状況なのだそうだ。 「まぁ、力を貸してくれる男らがいての、そやつと力を合わせ侵攻を防いでいる。」 「なるほど、お力になりたいですが、自分では微力にすらなりえないかと・・・申し訳ない。」 禁忌なら、暴れればと思ったのだが、余計のお世話かもしれない。 「その心だけで十分、折角じゃ、ゆっくりして行ってくれ、今日の夜にでも宴を開こう。」 「それでは、私達は一度、エルフィーナを見物させていただきます。」 話が終わって、俺達は自由行動を許された、ヤカリは城から眺めのいい場所を メディナはアリシアに同行、俺は・・・まぁブラブラしてよう。 あれから、俺は図書室で本を読んでいた、ここに俺の記憶が無いかどうか探している 神話から事件簿まで全部、目を通したのだが・・・ダメだな、見つかる気配すらない サーチアイで流し読みしてたが、俺のようなロボットはエルフィーナに存在すらしない。 「はぁ・・・」 「あの・・・お探し物ですか?」 緑色の髪のおとなしそうな少女が、俺に話しかけてきた、こんな事を聞くと変だろうが 聞いてみる価値はある、そう思って俺は、この少女に俺みたいな男の話を聞いてみた。 「はぁ・・・すいません、私の知る限りではエルフィーナの本に、そのような出来事は・・・」 「そうか、ゴメンな変な事を聞いて。」 手がかりはナシか、少女が少し、考え込むような動作をすると、ぱっと顔が明るくなって オズオズと俺の前に出て、緊張した感じに俺の手を握ってきた。 「あの、ヒースさんですか?入国したとの話を聞いたのですが・・・」 「えっ?あぁ・・・まぁうん、そうだな。」 気まずいと思ったのだが、少女は特に怯える・・・と言うより、感激した感じに目を輝かせる 「私シルヴィ・クレッソンと言います!あのっ旅のお話を聞かせてくれませんか?」 「旅の話?ふむ・・・まぁいいが、楽しいと限らないぞ?」 「一度、お話が聞いてみたかったんです、きっと波乱万丈なんだろうなって思って」 近くにイスに座って、シルヴィと向かい合うと、どこから話すか考えていた 目が覚めてすぐは楽しくない、モーン平原・・・はな、軍を全滅させるなんてこの子は好きそうじゃない ダイジェストで飛ばして、ヴェータとの再開でいいかな?そう思って、話そうとした瞬間。 「おーい!ここにヒースいるって本当かー!」 「ん?俺に何かよっブーッ!?」 な、何だ!?珍しく成人がいたと思ったら、下着と鎧しか着てない!?見てるこっちが恥ずかしくなる 「あたしゃ突撃部隊隊長、リシュー・エルグウエィト!早速だけど決闘を申し込む!」 「はっ!?まて何でそうなるんだ!?」 つかまれた腕を無理やり放して、事情を聞いてみると、どうやら俺と戦いたいらしい 物好きな・・・けど、今はムリだった、シルヴィとの約束があるしな そう言うと、残念そうな顔をして、俺を連れて行こうと引っ張ったり抱きついてくる。 「あの・・・私は後でいいです、行ってもいいですよ?」 「良いのか?」 「やった!それじゃ早速行くよ!」 むっちりしてて、筋肉が凄いのは見て分かってたが、こうも簡単にもって行かれると思わなかった 後からシルヴィが付いてきて、俺は円形の練習場に連れてこられた、周りがざわめいてる・・・ 「あぁ・・・マリア団長を倒した・・・」 「話じゃレヴィナス団長とまとめて倒したみたいだぞ?」 間違って情報が飛び交う中、俺は練習場の真ん中まで連れてこられた、機体はどこだろう? 素手で戦う可能性もある、だがこの広い練習場で、それはないだろう。 「おーい!持ってきてー」 「はいはい隊長ー」 リシューが手を叩くと、ランスを持ってやってきたが、それが規格外にでかい、男二人で持ってきて それを片手で、軽々とシリューが持ち上げた、ランスの大きさは普通にリシューよりもデッカイ 「出でよブラスト・ランサー!!」 それをリシューが掲げると、魔方陣が現れてそこから、真っ赤な期待が降り立った。 これが彼女の機体か、こっちも禁忌を呼び出すと、鎖を巻きつかせてコックピットへと飛び乗った 相手の武器はランスだ、こっちはソードと盾で堅実に切り込んでいこう。 「凄い・・・本当に、鎖が巻きつくんだ・・・」 「燃えてきた!いざ尋常に勝負!!」 「あぁ、行くぞ!!」 「広いなぁ、本当広い・・・」 「そうだねぇ」 ルナとお城をウロウロしてるけど、本当広いなぁ・・・テラスでも探して、眺めがいい場所から スケッチがしたいけど、中々みつかんねーや、まだ城をウロウロ探索と行く事になるかな しばらくルナを抱えて歩いてると、見覚えのある人影が見えた、あっ女王様だ。 「ん?おぬしは・・・」 「ご機嫌いかがです女王?」 これでいいのかな?礼儀なんてわかんねーや、けど正解だったらしく、笑って好調だって言ってくれた 何か探しものかって、言ってくれた時はちょっと驚いた、私みたいな旅人にこんな事、普通は聞かない いい人だなって思いながら、景色のいい場所を聞いてみると、上の方へ連れて行ってくれた。 「エルフってやっぱり身長が小さいですね、不便じゃないですか?」 「まぁの、大きくなろうとなれば慣れるが。」 ルナが砕けた感じに言って、少し心配だったけど案外さらっと流してくれた、ほっと一安心してると 今度はあっちから話しかけてきてドキっとなった、あぁアリシアの時は大丈夫だったのになぁ 「もう少し砕けても良いぞ?」 「えっ?はい?」 「お主、なんと言うか焦っておる、二人だけだし気にするな。」 あぁ、何か助かった・・・普通に砕けて話せるみたいだ、少し歩いていると エリー女王が立ち止まった、外を見ると・・・あぁっすげぇ!? 「凄い!エルフィーナが全部見える!」 「そうじゃろ?ここは私のお気に入りだ。」 エルフィーナの景色が一望できる、澄んだ空気のおかげで、本当に綺麗に景色が見えて雲ひとつ無い空 最高のスケッチ日和だ、エリーに感謝すると、スケッチブックを取り出して早速スケッチを開始したんだけど ちょっと気になるのがあった、一本だけめちゃくちゃにでっかい、なんだろうあの木? 「あれはユグドラシル、この森の守護樹じゃ。」 「一番偉いって事か?なるほどな・・・」 「大きいね〜何年ぐらいあるの?」 「数万年じゃそうだ、お母様が言ってた。」 噴出しかけた、数万年・・・木がそんなに持つなんて、思いもしなかった、特別強いんだな・・・ ルナよりも年寄りな木に驚きつつ、スケッチを描いてると、エリーは帰っていった いい所だね、またこれたら来たいなぁ・・・けど、NIがここを壊そうとしてんだよな・・・ 「ねぇアリシア、どこまで行く気よ?」 「友人の所までです、メディナちゃんは知らない人かな?」 アリシアってば、エルフィーナの観光名物「ユグドラシル」の方に友人?待ち合わせでもしたの? ケーキの箱まで持って嬉しそう、しばらく歩いていくと、ユグドラシルに・・・魔道機?にしては、大きすぎるわ 「お久しぶりですリリス。」 「その声はアリシア?お久しぶりね?戦争が始まってからだし、2〜4年ぶりかしら?」 「喋った・・・アリシアも物好きね?」 最初は魔道機だと思ったけど、コックピットが開くと、中には巨大な植物の壁とそれに取り込まれてる・・・ エリー女王!?あれっけど、髪型とか違うし・・・私が驚いてると、植物の壁からリリス女王似のエルフが出てきた 「そちらのお方は?」 「私と一緒に旅をしてくれてる、メディナちゃんです。」 「始めまして、私はリリス・アリエッタ、エリーの姉です。」 「エリー女王の姉!?まさか本当にいたなんて・・・」 妹を守るために、エルフィーナの神機に乗った姉がいる、今まで噂だと思ってたけど本当のね。 両腕はよく見ると植物になってる、神機の副作用かしら?それを手袋で隠してたの。 驚いたけど、超常現象は結構、慣れっこだからそれほど怖くなかった、流石に暗黒連合にいたら・・・ね。 「始めまして、私はメディナと申します」 「始めまして。ようこそエルフィーナへ。」 物腰は穏やかで、アリシアみたいな感じだった、いうなれば子供版アリシア? なんで王族で姉って、こうもお淑やかなのかしら?あっけど、虫刺されも一応は姉だし違うか。 多分、虫刺されがくしゃみをしてる時、リリスがどこからかイスとテーブルを出してきた 神機の力かしら?驚いてると、私も座るように言われて、座ったらアリシアが、ケーキを置いて さらにまた何処からか、植物を描いた金の縁取りがされた、綺麗なお皿とティーセットが出てきた 「あの、どこから出したの?」 「シルフィアード、私の乗っていた機体というべきかしら?それの中にね。」 あぁあの植物の中ね、きっとそうだ、アリシアがケーキスライサーで切り分けると リリスが紅茶を淹れてる、嗅いだ事のない匂い、けど良い匂い・・・なんなのかしら? すっかりお茶会ムードの中で、リリスに聞いてみると、どうやらエルフィーナで出来る茶葉に 木の実で匂いを付けた物みたい、うっとりして、匂いを楽しんだ後。口に含むと・・・ 「・・・〜〜〜っ!!にがーい!」 「あら?メディナちゃん紅茶は慣れてませんか?」 涙が出そうだった、そうだ何時もは、ミルクと砂糖を絶対に忘れない 匂いのせいで忘れてた、こんなに甘酸っぱい匂いなのに、これっぽっちも甘くない 「あの、砂糖もってきますか?」 「お、お願い!」 何時もこんな時は、お上品に振舞うんだけど、ただでさえ苦手な味(苦い・辛いは大嫌い!) を油断して飲んだんだもの、我を忘れてアリシアが持ってたケーキを、急いで一口に切り分けて 口に含んでほっとしてるとアリシアとリリスが、苦笑いしたみたいに笑ってて恥ずかしかった・・・ 「何よ・・・もう・・・」 「ふふっ・・・ごめんなさい、けどキャスカやキャリコを思い出すわ・・・」 「私も小さい時のエリーを思い出しました。」 「小さい時?今だって小さいじゃ・・・そっか、エルフなのよね。」 エルフは長寿で、成長が著しく遅かったりする、大人の姿に離れるけど力を消費して大変みたい。 貰った砂糖をむすっとしながら、紅茶に入れてかき混ぜると、やっと飲める苦さになって 一安心、ここからは普通にできそう。妹みたいか・・・何だかいいなぁ・・・ 「このごろ旅をしてるみたいですし、旅のお話が聞きたいです。」 「えぇ、それでは旅立ってすぐ。湖のお話でも・・・」 「えー!あの話イヤよ!隠し撮りされる話じゃない!」 「っ!!」 「かわしてばっかり?!本気だせー!」 速い!リシューの機体の動きについていけない、歩く速度はそれほどでもないのに、大型ブースターが火を噴くと 一瞬で間合いを詰められる。だがそれだけではない、そのまま突っ切って行くのだ。 「そこか!」 「何回やっても無駄無駄ぁ!」 コースが真っ直ぐなので、最低限の動きでかわし、すれ違い様に剣を振るうがその時にはもういない。 真正面からでは分が悪い禁忌の装甲は、確かに分厚いが吹き飛ばされ、俺が気絶すれば禁忌は動けない 盾で防ごうと思ったが、加速する相手にこっちの馬力が勝てるか微妙だ。 「じれったい!もうケリ付けるよいいね!!」 「えっまさか!?ヒースさん逃げて!」 シルヴィの声が届いたが、その時はもはや遅かった、何時ものように最低限の動きでかわすつもりだったが 途中、さらに加速が強まってかわせず、俺と禁忌は宙へと、風に吹かれた木の葉のように舞い上がった。 「うわあああっ!?」 「まだまだぁ!!」 地面に落ちる瞬間もう一度、宙へと舞い上がって、また落ちる瞬間に舞い上がる、受身を取るべく盾を構えたが それすら気休め、何度も何度も上空へ舞い上がりって、6回目でさらに上空へ吹き飛ばされた その時に見えたのだが、地面に六芒星が描かれていた。 「くらいな!スターダスト・ランサー!!」 「っ!!」 そして最後に止めと言わんばかりに、着地地点にブラスト・ランサーが待ち構え、ビームランサーで突き上げてきた 何とか盾で防ぎきるも、禁忌は地面に転がってしまう。立ち上がろうとしたがそれより早く、また禁忌が宙へ舞い上がる。 このままじゃ一方的にやられてしまう、何か・・・そうか、一か八か賭けてみるか、さっきのでパターンは掴めた 突き上げられる時に、何とか受身を取って衝撃を逃がしながら、6回目の一撃が来るのを待った 「もう一回!スターダスト・ランサー!!」 来た、はるか上空へ投げ出された時、盾に剣を差し込んでオーラを纏わせると、そのまま落ちていく ランスの来る位置を確認、ギリギリまで引き付けろ、相手は突撃部隊隊長、ランスを横に振られれば 禁忌の刃が届かない、ランスの切っ先が迫る、数センチ・・・今だ! 「か、かわされた!?」 「行くぞ!ナイトメアサークル!!」 決まった、至近距離でナイトメアサークルと同時に、刃が届いてブラスト・ランサーを斬り飛ばした。 意外と装甲が薄く、さっきの俺のように宙へ舞い上がり、転がりながら機能を停止した。 「いってー!っつつ・・・あーあ、私の負けだわ。」 「ふぅ・・・終わった。」 冷や汗をふき取ると、禁忌から飛び降りると、さっきので吹っ飛んだブラスト・ランサーに近づいて 中からリシューを・・・?リシューがいない?どうなってるんだ?? 「あぁっ!元に戻っちまった! 変わりにリシューに似たエルフの幼女がいた、大体の状況は確認した、リシューは何時も大人の姿だが 本当は他のエルフと同じなんだな、引っ張り出すと悔しそうだが、満足したように俺に握手を求めた 小さな手を握り、お互いの戦いを称えた、さぁシルヴィに話を・・・あれ?エリー女王? 「えぇい!何してるんじゃー!」 「げっ女王!!」 ・・・リシューがエリー女王に大目玉を食らってる、まぁ早くシルヴィに話をしてやろう、待たせると失礼だ シルヴィと合流すると、また俺達は図書室へと戻っていった、何か大変だったなぁ 「お話じゃ氷龍は禁忌が引き裂いたって言ってたけど、本当は違うんですね・・・」 「バカいうな、氷龍を引き裂くなんてそんな・・・」 随分と脚色されてるな、まぁ話なんてのはそんな物か、遭難したヴェータの前に颯爽と現れた 黒い鎧を着た俺や、森でウェンディと共闘した俺に苦笑いしつつ、今度は二人に助けられる話に移った 「あれはグランギレ草原、NIの大部隊に囲まれた時だった・・・子供が人質でな、もうダメだと思ったんだ その時、あの二人・・・ヴェータとウェンディが、颯爽と駆けつけたんだ。」 「そこは忠実に再現されてますね、その後は暗黒帝国に運ばれたんですよね。」 ここは本当に忠実だな、何だか呆れてしまう、脚色してるのは誰なんだと思いながら ディオールでの和平の話へと続いた、あれも大変だったな、カリメアとの戦い・・・ それ以外にも、バルスや機士団との出会い、ナナミ奪還・・・は忠実に伝えられてた。 「あれ?合体した後にクレーターが出来たって・・・」 「おいおい、クレーターなんてそんな・・・」 また苦笑いしていると、図書室のドアが開いた、気にしてなかったのだが シルヴィアが頭を下げて後ろを見ると、底にはエリー女王がいた。 慌てて頭を下げると、畏まるなと言われ、ほっと頭を上げる事ができた 「探したぞ、1度ならず2度も見苦しい所を見せたな、スマン」 「いえ、練習試合を受けたのは自分です。どうかお心を痛めずに。」 テレサやレヴィア閣下みたいに、慣れ親しんだ女王(女帝)ならまだいい、だが初対面の女王に謝られると すっごく焦る、というより何だか、申し訳ない気分になってしまう。 「すまんな、そう言ってくれれば幸いだ。」 「わざわざスミマセン」 「それにしても、シルヴィと一緒だったか。」 シルヴィとエリー女王は知り合いなのか?シルヴィは見た所、魔術師のようだが、よっぽど強いのか 話を聞いた所、シルヴィはエルフィーナの空戦では、右に出る物がいないほどの実力者らしい 意外だなシルヴィがそんなだなんて、ちょっと驚いてると、シルヴィは謙遜していた。 「そうだ、エリー様もどうです?ヒースさんから旅のお話を聞いてるんです。」 「ほぅ、気になるな是非。」 何だか気まずいぞ、まぁ話を止めるのもなんだし、続きを話そうと思ったのだが 話し方が丁寧言葉になって、何かぎこちなくなり始めて、シルヴィが首をかしげる 「・・・私がいるからって、畏まらなくて良い、アリシア達と同じようにしてくれ。」 「むっ・・・それではお言葉に甘えさせていただきます、それからだ、ウェンディとヴェータは・・・」 普通に話せる、これがこんなに幸せだとは思ってなかった、エリーも次第に話しに聞き入り始めて 何だか砕けたムードになってきた、そして笑いのつぼに入ったらしく、大笑いを始めた。 「はははっ!それは随分とげほっ・・・酷い目に・・・げはぁっ!?」 「エリー女王!?」 「きゃー!!エリー様は体が弱いんです!!」 大変だっ急いで医務室に行かなくては、シルヴィの案内の下、俺はエリーを担いで医務室へと急ぐのだった 背中で弱ってるエリーに、冷や汗をかきながら医務室へ着くと。やれやれと医師がエリーの看病を始めた 慣れているようで安心したが、医務室にはマリアとレヴィナスがいるのを、完全に忘れていた。 「おのれ!エリー様に何をした!!」 「まさかこんな男だったなんて!許せん!」 「ご、誤解だ!落ち着いてくれ!」 医務室では邪魔になるし、シルヴィに後を任せて逃げる、逃げるのだが・・・あっ さっきの練習場だ。けどこれなら・・・よし、二人には申し訳ないが相手は聞く耳が無い 「追い詰めたぞ!こいヴァイオレッ 「さぁ覚悟してもら 「聞く耳を持て!禁忌ック!!」 星になったがあっちが悪い、ちょっと申し訳ない気持ちになったが、俺は星に手を振った 「もうこんな時間、そろそろ帰らせてもらいますね。」 「えぇ、楽しかったわありがとう。」 「また今度ね、あっ一番星!」 「よし、これで完成っ!」 「綺麗にスケッチできたね〜あっお星様だ〜」 「すまんな、見苦しい所を・・・」 「いや、こっちこそエリー女王が体が弱いのを知らずに、すまなかった。」 あれから少しして、宴が開かれた、まぁワーワー騒がしいわけじゃなく、エリー女王と俺達で お上品な感じにご馳走食べるんだが。料理は野菜などが多くエルフィーナらしい だが貧相なわけではなく、上品に飾り付けられている、そして意外に肉料理も多い アリシアから後で聞いたが、この国では肉料理より野菜の方が好まれるらしい。 「それにしても、騎士団の団長が2度も・・・スマン。」 「それだけ熱心なんだよ、だから気にしないでくれ」 まるで野菜で作った美術品を、少しぎこちないフォーク捌きで口に運び、今日の事でエリーに苦笑いをしてた 今頃どうしてるんだろう、いやギャグ技だし大丈夫・・・?何を考えてるんだ俺は 「お姉さま、容態は良いみたいですね。」 「あぁ、姉さまは大分いい・・・が、NIの攻撃があればどうなるか・・・」 「姉?」 どうやら姉がいて、その姉にいろいろ事情があるらしい、面倒な話だが何処もそうかな 今度はヤカリがスケッチの話をして、スケッチブックを開くと、色が付けば本当の自然を見てるような そんな気分になる優しいスケッチを見せてくれた、エリー女王もこれには驚いてた。 「独学だと聞いたが、才能があるようだな」 「才能だなんてそんな、ただの下手の横好きだよ。」 「ヤカリってば照れてる〜」 ヤカリが頭をかいて、赤くなっている時だった、いきなりドアが開いて兵士が血相を変えてきた 「なんじゃ!客人の前だぞ。」 「申し訳ありません!NIが動き始めました!」 「なんじゃと!すまないアリシア、席を外す事になってしまった。」 NIだと?そうかこの国はNIに不法に工場を建てられてるんだ、それを広げるために動き始めても 今のNIならおかしくない、奴らに好き勝手させるのはイヤだ。 「微力だがお力になる!」 「しかしお主は客人・・・戦わせるわけに行かない。」 「頼む!」 俺の目を見て、エリー女王は少し悩んだが、フッとため息をついて許可を出してくれた アリシア達は俺が待ってるように言うと、エリー女王について行きその森へ行くと そこには・・・マナスレイブの残骸と、撤退していく黒と紫の機体がいた 「終わってる・・・みたいだな。」 「姉さまじゃ!きっと姉さまが!」 周りを見ると、森の意識が形を作ったような機体がいた、美しい・・・あれがエリー女王の姉、リリスの機体か 一安心していたが、エリー女王がその機体に近づくと、悲鳴を上げ始めた。 「どうしたんだ!?」 「姉さま!しっかりしくれ!姉さま!姉さまぁ!!」 エリー女王・・・が二人?じゃない、短い髪のほうがリリスか?なっ・・・腕と足が植物になっている!? どうなっているんだ!とにかく急ごう、俺はリリスを背負い走り始めた。 「つまりだ、機体の呪いって事か?」 「そうなる・・・ウィズラドの火霊の加護を受けた解呪剤がないと・・・姉さまが危ない。」 医務室でリリスが寝ている、さっきよりマシになったが、あの美しい機体の侵食で手と足はもう植物らしい その解呪剤で今は良いが今度、あの機体に乗れば解呪剤が今は無いから、侵食が進んでしまうらしい 「スミマセン旅の方、見苦しい所をお見せして・・・」 「いえ、身を挺して国を守るお姿は立派です、上に立つ物の鏡だ。」 心の底から彼女を称えると、兵士がエリー女王に報告に来た、どうやら後始末をしなければならないらしく 姉を置いていく事を悔しそうに思いながら、エリー女王は部屋を後にした。 「私もこれで・・・」 「待ってください旅のお方、いえ・・・ヒースと言うべきでしょうか?」 どうやら分かられてたらしい、だからといって何だと言うのが普通だが、今回は違う リリスの目は俺に何かを訴える目をしてる。何が望みなんだ? 「恥を承知でお願いします、NIの工場を破壊してください。」 「なっ・・・どういうことです?」 意外な言葉だった、俺がうろたえていると、リリス女王は話を続けた 話によれば、NIは近いうちにまた攻めてくる、これ以上されたら被害は増える一方 これを押さえるにも、体の弱いエルフではムリがあり、それを何とかできる自分もこの有様 そこで、ここに偶然にもやってきた俺に、NIの工場の破壊を依頼したいというのだ。 「だが・・・何にせよ、森が壊れるぞ?」 「多少の被害はもはや・・・勿論、一人とは言いません私も行きます。」 「おいおい、解呪剤がくるまでダメなんじゃ・・・」 何も言わないでくれ、そういってリリスは目を閉じた、この人は本気なんだ・・・ 己の身を壊してまで国を守る、その強い意志に俺は負けた 「分かりました、それでは明日の夜に」 「お願いします・・・我侭ですが、もうひとつ頼みがあります。」 「なんでしょう?出来る事なら何なりと。」 それはダークエルフの少女が駆る機体を倒さないでくれとの事だった、機体の名はナイトリリー パイロットのイーリ=フラウスと言うダークエルフは、この国で古くからあるダークエルフ迫害の被害者で NIに味方をしている、戦争のゴタゴタで先送りとなった。ダークエルフとライトエルフの平等化。 彼女のためにも、それを成し遂げて彼女を救いたいとの事だった。 「努力します、それでは明日の朝に作戦会議を。」 「お願いします・・・おやすみなさい」 さて、もう宴は終わって皆が心配してるだろうが、今日は明日に備えて作戦を立てておきたい 部屋へと戻り、俺は禁忌の武器を見て、この森林に最も適した武器を考え込んでいた ランスで突貫か?それともガントレットでバッドクロスを使い切り込むか・・・ 地理的に有利になるためには、木々を利用したいが、出来るだけ木を壊したくは無い そんな事を考えていると、部屋のドアを誰かがノックした、この声は・・・ 「エリー女王?」 「すまん、こんな夜分に・・・頼みがあってきた。」 頼み?なんだろうと思い、イスを出してエリー女王が座れるようにすると、エリー女王の口から デジャブを感じるセリフを受ける事になった、それは・・・ 「恥を承知で言う、明日の夜に私と一緒にNIの工場を破壊してほしい。」 「・・・」 「報酬がほしいなら払う、お主ほどの者だ・・・やれるだろう?姉さまが動けない、他の物も体が弱いのだ 体は私も弱いが、国を治めるものとして、そうは言っていられない。」 先ほどリリスに頼まれた事と同じか、流石は姉妹・・・考えが似るのだな。 少し微笑んだ後に、エリー女王の頭を撫でると、俺の考えは少しだけ変わっていた。 「貴女の姉上も、同じ事を言っていた・・・」 「姉さまが!?なんて無茶を・・・姉さまの約束は忘れてくれ、私が行く!」 姉思いの良い女王だ、無茶をさせたくは無かった、多少の被害を出して良いのならば 俺と禁忌のフルパワーで工場の一つぐらい、一瞬で瓦礫の山に変えてやる。 「いえ、どちらの約束も許容できません。」 「そんなっ!頼む・・・お前の望む物をやる!だから!」 「私一人で十分です、エリー女王のお手を煩わせ、リリス様の体を植物にする気も毛頭ありません。」 呆気に取られていたが、言葉の意味を理解してエリー女王は複雑そうだった、客人一人を戦わせるのは確かにそうもなる だが俺は一人で行くつもりだ、アリシア達にバレたら手伝うだろうが、その時は何とか説得する。 「・・・スマン。」 「謝る必要は無い、明日の夜明けにはエルフィーナから、NIの工場は消えているでしょう。」 「のぉ・・・頼みがある、ダークエルフの少女が乗った機体、ナイトリリーというのだが・・・それを倒さないでくれぬか?」 さっきと同じだ、俺が噴出すとビックリしたような顔をしてエリー女王が、少し怒っていた 事情を説明すると、姉と自分の考えが同じで嬉しいような、恥ずかしいような顔をしている、良い姉妹だ。 NIがどうこう以前に、この姉妹を守りたい、そんな気持ちになった。 「もう遅い、体の弱いエリー女王には毒でしょう。」 「・・・エリーでいい、どうか頼む・・・」 「分かった、エリー明日の夜はリリスと一緒にいてくれ、その方が安心するさ。」 エリーがどこか、俺を頼るような目で見た後、部屋を出て行った・・・明日の夜は忙しくなるぞ。 アリシア達に気づかれないようにしないと。それに変装も必要か?何はともあれ・・・明日は大変だ。 「ヒース、聞いてたわよ?」 「っ!?」 メディナの声!?焦っているとドアが開いた、そこにはメディナだけじゃない、アリシアとヤカリとペルソルナもいた ビックリしてると、皆が部屋に入ってドアを閉めた、俺はあたふたと混乱してるのを尻目に メディナが腕組をして、少し怒ったような感じに、それでいて呆れた口調で話し始め、それに皆も続いた。 「一緒に行くわよ?良いわね?」 「だ、ダメだ!後で厄介な事に・・・」 「NIとは仲が悪いです、同盟国そして、友人の為に戦いたいです!」 「ここで見捨てたら、バクフ人の血が泣いちまう!」 「こうなると、ヤカリはもう止めれないよ?諦めて皆で戦おう!」 ・・・止めて聞く皆じゃない、ヤレヤレとため息をつくが内心、心強い仲間の登場で嬉しかったりもする 明日の夜は大変な事になるな・・・皆に、今日はもう寝て明日に備えるように言うと、皆は部屋へ戻っていった NI・・・俺を狙ったことを後悔させてやる。そんな事を思いながら、俺は明日に備えて作戦を考えるのだった。 続く 続く