前回のあらすじ エルフィーナに到着した一行、ここでそれぞれ楽しい時間を過ごすが、エルフィーナに敵対するNIが 進撃を開始したのだった。そこで王族姉妹に頼まれ、ヒースはNIの工場を一人で粉砕・・・のはずが メディナたちも一緒に戦うことになった、さぁヒース達の戦いが始まった!! 「よし、まずアリシアがバリアで周りへの被害を防いで、メディナはそれを援護する ペルソルナはダークエルフの少女を動けなくして、その後に俺と邪魔者を片付けて・・・・朝か」 もう朝だ、睡眠欲が無い俺には睡眠時間なんて関係ない。 作戦は大体決まった、俺が本気を出せば力押しで何とかなる、空を飛ぶならアンジェラがいるし タイトゥンズ・オープンやロスト・エンスピートも今の俺にはある、負ける気がしない。 「タガメに変装の仕方を教わるか・・・よし、後はリリスに話を付ければ完璧だ。」 まぁシナリオどうりに行かないだろうが、なんとしてもエルフィーナからNIを排除したい。 エリー達にも頑張ってほしいし、リリスも体を植物になんてさせたくないしな 「良い空気だ・・・清清しい。」 この空気も、明日で最後になるだろうし、今のうちに味わっておこう。 朝ごはんの時間になって、皆が起きるまで俺は、作戦を何度も頭の中で繰り返すのだった 「おはようございます、どうしたんです?」 「すっごい考え込んでるみたいだけど・・・」 皆と合流した時に言われたが、どうやら俺は凄い顔だったみたいだ、事情を説明すれば分かってくれるか。 「いろいろ面倒でな、タガメ・・・まぁ俺の知り合いに、変装の事で相談したら」  「変装するなら、それが誰か分からないようにしないと・・・そうですね、正反対のキャラになるべきです。」 「だそうだ、少なくとも皆で行くなら。統一感があったほうが、何処かの組織の犯行に間違われやすいはずだ。」 「ふむ・・・だとすると、どんな感じに?」 「悪そうな感じで、機体もパーツくっつけてそれっぽく・・・後はそれっぽいセリフ。」 こういうのは得意じゃない、悪そうな服にしたってメディナも、今のままじゃバレるかも知れないし変更 面倒なのだ、折角エルフィーナに来たのに、皆に面倒をかけてしまうなぁ 「すまない皆・・・」 「気にしないで、私らが勝手に決めたことだしさ。」 「そうよ?まっ服はそっちで決めておいて。」 まぁ頑張って探すか、幸いタガメは午後からなら連絡し放題だそうだし、魔力の満ち溢れるここなら通信も届く 皆にはゆっくり休んで、夜に暴れれるように言っておくと、作戦を皆に話すことになった。 「ふむ・・・あの、バリアを張るのは良いんですが・・・もって1時間ですよ?」 「むっ1時間か・・・難しいな。」 「楽勝の間違いでしょ?それとも何かしら?私達がNIの一工場を壊すのに、1時間以上かかるとでも?」 それもそうだ、と言いたいのだが今回は出来れば死人を少なくしたい。これは出来れば血を流したくないだとか そんな生ぬるい考えではない、この事でNIにエルフィーナにNIに対する仲間がいる、そう思い込ませたかった だが森の被害を考えると・・・ダメだな。エリーに相談して何とかする方法を考えなくては。 「変装だけどさ、ペルソルナもするんだろ?」 「そうなるな。出来るだけ動きやすい装備を探す。」 「変なのはヤダよ?」 ペルソルナの可愛い頼みに、微笑みつつ俺は皆と一度、解散してエリーのいる王室へと向かう事にした 面倒な手続き(これは何処でも同じだな)を終え、部屋に入ると・・・しまった。 「貴様・・・」 マリアがいた、昨日の禁忌ックをまだ根に持っている。多分だが他の人には内緒だろうし これは焦った。だがエリーが俺が何をしに来たか、俺の焦りで分かってくれたようだ。 マリアに下がるように言うと、マリアが驚いていたが渋々、マリアは引き下がってくれた 「それで、何用だヒース?」 「実は・・・魔力を増幅させる手段がないか、それか結界を張る手段を聞きに来た。」 エリーが小さく唸って悩んでる、今回の件でアリシア達の増援は良いとしよう、だが俺達に頼んだ最大の理由は 工場を破壊した時に、虚弱なエルフでは人間やロボットに比べ、死亡する確率が極端だから。だった エルフを同行させては意味が無い、となると機体に追加ユニットを装備する事になる・・・が アンジェラに装備させるとなると手間がかかる、今日の夜は絶望的となるだろう。 「むっ・・・」 「方法は無いか、今日の夜ではなく明日の夜に・・・」 その時だった、ドアが開いて・・・リリスだ、リリスが王室に入ってきたのだ 最初は驚いていたが、リリスは事情を知っているし、さほど驚いては・・・ 「やはり私も行きます!結界なら得意です!」 驚いた、命を削らせるわけに行かぬとエリーが止めに入った、リリスの機体は人を植物に変える 確かに昨日見た時、凄まじい魔力を放っていたが、だからと言って俺も、リリスを戦わせたくない ここから凄まじい口論が始まり、俺も最初はエリーについていたが、次第についていけなくなった 「大体、姉さまは何時もそうやって・・・!」 「エリーだって!私がどれだけ心配したかっ!!」 ダンダンと口げんかのようになってきた、いや姉妹喧嘩だな、そんな時、俺は良い考えが浮かんだ 二人の間に割って入り、その事を話すと、リリスとエリーは同じように目を白黒させた。 「「シルフィアードに乗る!?」」 「あぁ、あの機体は魔力があるだろうし、アリシアに送ればいいじゃないか。」 エネルギー関係は、俺のエネルギーを無理やり送り込めば大丈夫、タイトゥンズオープンの例もあるだろうし きっと動いてくれるはずだ、リリスは反対していたが、エリーがそれしかないと了承してくれた。 機械の俺なら植物に侵食される事はない、エリーの考えは確かに当たりだろう、機械が植物になるなんてあり得ん。 「・・・分かりました、無茶だけはしないでください。」 俺はリリスの案内で、早速シルフィアードの眠る「ユグドラシル」の前へ。人に見つからないようにリリスについて行った なんたって王族と一緒、勘ぐる者がいても可笑しくなくなる、誰もいないユグドラシルの前に出ると 俺は昨日見た「シルフィアード」の前に出て、リリスの案内の下、コックピットへ入った・・・ 禁忌と同じで、融合系のコックピットか。両腕と両足を沈めると、頭の中に直接声が響いてきた。 我に乗るのは誰だ・・・選ばれし者、それ以外は認めん エルフィーナの守りの大樹、ユグドラシルから作られてるだけある、きっとユグドラシルかこれに意思があるのだろう だがその言葉にカチンと来た、搭乗者の命を吸う機体ごときが、何を偉そうに寝言を言っているのだろう 性能も飛び道具があり浮遊出来る意外、盾が使えれば禁忌と俺が負ける気がしなかった 「黙れ役立たずの大木が、建造物一つ壊せぬ身が何を言うか、NIに刈り取られ薪にでもされたいようだな?」 久しぶりに汚い口調で、誰かを侮辱した・・・正直、この時は失敗したと激しく後悔した だが少しすると、俺の頭に直接何かが送られてくる、これは・・・シルフィアードの映像? 我を貶す者は汝が始めてだ、先ほどの殺気・・・良いだろう、認めてやる。 「・・・分かった。」 俺の行動に驚いたのか、遊びのつもりなのかユグドラシルは、俺に力を貸してくれるようだ だが、どこか怯えたようにも聞こえる声、そして苦虫を噛み潰したような不快な思いが伝わる 自惚れるわけではないが、神機を脅したのかも知れん、不快な思いは俺の一言で納得が付く。 まるで・・・奴と同じ・・・バケモノめ・・・また降り立ったのか 何か聞こえた気がしたが、シルフィアードから降りた時の風の音で、かき消されて聞こえなかった 俺に対する文句の一つでも言ったんだろうか?ユグドラシルに恨まれつつ、俺はリリスに親指を立てた 「あの・・・ユグドラシルが怯えてました、何をしたんです?」 「いや、なんでもないさ、操作方法を教えてくれたしこれで大丈夫だ。」 武器は植物を模した剣、太陽光を集めたビーム(威力を調整しないとな・・・)だけだが、これで十分だろう それ以外には、バリアフィールドや花びらの舞で、敵を撹乱するなど、武器ではないが特殊な技がある 魔力を注ぐ方法も、禁忌と違い装甲に限界があるし最悪、乗り換えて戦えばそんなに悪くは無い、 「私はこれで・・・」 「あっ待ってくれ、シルフィアードに枯木色になるよう言っておいてくれ。」 なんだと!我に枯木などと言う、朽ち果てた色になれというか! なんだ、遠くにいても聞こえるらしいな、リリスは思い悩んだような顔をしてるが、直接俺から言えば良いか 「あぁ、そうだ。」 ふざけるな! 「今まで他人の命を吸って戦ってきたんだ、それぐらいは我慢しろ。」 渋々だが、ユグドラシルは了承してくれたようだ、はっきり言ってしまうと、シルフィアードの性質の不便極まりなさに 俺は一種の嫌悪感を抱いていた、神の機体や守護樹を名乗り、なんと言う体たらくなんだろうか。 暗黒連合のゴルゴダとか言う機体と同じだ、こんな機体に乗ってるリリスが不便に思えてくる。 「リリス、この戦いが終わったら出来るだけあれに乗るな。」 「あっヒース!」 考えてるとイライラしてきた、帰ったら皆に会う前に気持ちを落ち着かせないと、面倒だな・・・ そんな事を思いつつ、俺は部屋へと帰っていくのであった。 「・・・・なぁ、ユグドラシルよ、いるか?」 なんだ?我を気安く呼び出すではない。 あれから数分、ベッドの上で横になっていると、急に奴と話がしたくなってきた 「なぜ搭乗者の命を吸い、植物に変えてしまうんだ?」 代償だ、我が動けば我に頼り、エルフたちは戦うことを忘れてしまう、その代償でエルフ達に 戦うことの愚かさ、そして時に刃を振るわねばならん事を、忘れさせないためにだ。 「難儀な物だな・・・命を奪わない事はできないのか?」 出来る・・・が、それではエルフ達が私に頼ってしまう。 「・・・守ってるのは分かってても、守られてるのは分からないか。エルフがいなければ今ごろお前、NIに切り倒されてるぞ。」 ユグドラシルの言葉が止まった、呆れた物だなと思いつつ、俺を守ってくれたヴェータ達が今どうしてるか 気になってきた、明日には連絡を入れてまた話したい、そんな事を考えていると、今度はユグドラシルが話しかけてきた そちらの質問に答えた、次はこちらが聞きたい、汝はなんなのだ? 「ただのロボット、いや高性能な人型ロボットだ。」 ふざけたように返したが、どうやらあっちは何か知っているらしく、また同じ事を聞いてきた 「何か知ってるのか?俺には記憶が無いんだ・・・知ってるなら教えてくれ。」 似てる存在をかすかに覚えている、が・・・恐怖の輪郭だけだ。 過去に何かがあり、ユグドラシルは恐怖を味わい、その恐怖は俺の雰囲気に似てるらしい まさかと思うが、それが俺だとでも言うのか・・・信じれない。記憶の片隅にでも留める程度にしておこう 「話はこれだけだ、すまなかったな。」 まぁよい、我も貴様から教えてもらった事がある・・・出来るだけ、命を吸わないようにしよう。 「なんだ、案外融通が利くな?」 クスリと笑ってやると、もう返事は返ってこなかった、手はずは整った・・・ ぐっと起き上がろうとすると、ノックの音が響く。誰か来たのだろうか? 「ヒース殿、反NI組織ネイティブからの包みでございます。」 兵士が持ってきたのは、箱に入った小さな包みだった、反NI組織・・・よく分からなかったから聞いてみると 民間で作られた組織らしい、この国はNIにはトコトン良い感情を持っていないらしいな 「ありがとう、ネイティブとやらに礼が言いたいが・・・ムリか、そちらから俺が助かったと言って置いてくれるか?」 兵士が頷くと、そのまま部屋を出て行った、小包を開けると・・・本?それを開いてみると 工場の周りの地形の詳しい地図、さらには工場内部への進入路までかかれてた、後者は使わないが 前者は大いに役立った、予想より結界を張る場所が少なくてすむ、周りの木は殆ど伐採されてるからだ。 「となると・・・」 環境汚染が問題なだけか、これはバリアで包んで消滅させるしかない、工場の中にはエリー達の睨んだとおり 燃やせば有毒なガスを発生させる物が大量にある、さて計算の時間と行こうか・・・ 「メディナちゃん、エリー女王に何を聞くんです?」 「ちょっとね、真意だけ聞いておかないと。」 エリー女王が言うには、ダークエルフを殺さないでほしいって言ってたけど、ここで気になったのは ダークエルフと本当に共存したいか、それだけが心残り、暗黒連合にもダークエルフはいたけど 皆、王家に対して恨みを持ってた・・・それを本当に無くしたいか、それだけが私の中に残ってた。 「エリー女王、お会いしてくれた事を心より感謝します。」 「改まらなくても良いメディナ、そして用とは?」 「はい、女王はNIのマナスレイブ工場破壊の際、ダークエルフを倒さないように申しました、それが真意かどうか。」 エリー女王が動きを止めた、目でわかるわ・・・嘘なら、ダークエルフがどうこうは忘れる事にしてる 上面だけなら、いつか身を滅ぼすだろうし。そして返ってきた答えに、私は安心した。 「元々、私もダークエルフには苦手意識があった。」 「・・・」 「だが姉さまは違った、皮膚の色が違うとしても・・・流れる暖かい血は同じ、姉さまはよくお忍びで孤児院に行ってな 始めは私は理解できなかった、だが姉さまに連れられて行った時、ライトもダークも変わらぬエルフだと思い知った。」 あぁ・・・大丈夫、この女王は本気なのね、私が安心していると、もう一度エリー女王がダークエルフを生かすよう言うと 私は頷いた、暗黒連合にいた時のダークエルフたちも、エルフィーナが変わるならそれを望むはずだもん それだけ聞くと、私達はエリー女王の応援をバッグに、王室を後にしてヒースの部屋に向かって、歩いていくと・・・ 「アリシア王女とメディナ様でしょうか?」 「はい、どうかなさりましたか?」 メイドが一人、私達の前に出てきたの、何かあったのかと思ったら、付いてきてくれと言われ 付いて行った部屋は更衣室で、中にはヤカリもいて首をかしげると。 「揃いましたね、さぁお脱ぎください。」 「「「えっ?」」」 よし、結界を張る範囲はこれでいいとして、問題はシルフィアードで何処まで暴れれるか・・・ んっ?また誰か来た、ドアを開けるとそこにはメイドが、来てくれと手を招いていた。 「何だ?」 「言われていた服の準備が出来たのです。」 なるほどな、メイドについて行って、部屋を出て更衣室まで来るとなぜか、イヤな予感がした ゴクリと唾を飲んで、部屋に入ると・・・ずらりと並んだ衣装、変な所は・・・ 「これです。」 「っ!?」 黒いパンクとSMをあわせたような衣装、確かに悪そうだが、俺には似合わないだろうこれ 黒一色だが、ところどころ銀色の刺や装飾が施され、なんとも・・・なんだろう? 「ヒースさーん・・・」 「アリシ・・・ブッ!?」 例外は無いのか、アリシアとメディナとヤカリもSMチックで悪そうな格好だった、アリシアは 露出は何時もと同じ、紫と黒を基準として禍々しいドレス、ヤカリはレザーの短パンとジャケットに髑髏の眼帯 メディナは・・・胸を隠すのが巨大なベルトだけなのは、どうかと思った、ベルトだらけ・・・ 「さぁ、どうぞ♪」 「ちょっまて!もう少し御しとやかな悪さに!わーっ!!」 数分待ってくれ・・・ 「・・・」 着てみて分かった、この服は逆さまにした十字架のデザインを多く利用してる、俺と禁忌をイメージしたのか 最後にヘルムのバイザー部分を模した仮面を渡され、それを付けて完璧らしい。 「悪者っぽい・・・ね、うん。」 「そういわれても嬉しくないな、はぁ・・・」 悪そう・・・だが、これじゃSMでもするみたいだ、皆がため息をついてさっさと着替えると 俺が作戦を伝えた、まずは暴れまわって相手に勝ち目が無い事を分からせ、逃げ出したら工場を結界で囲み 工場を破壊、有毒ガスの類を閉じ込め、それを水系の魔法で浄化するという物だ。 「魔力は俺がシルフィアードで送る、アリシアは結界に集中・・・」 「シルフィアード!?なぜヒースさんが!?」 事情を話すと長くなるな・・・ユグドラシルに暴言を吐いたと言うと、アリシアとメディナは冷や汗をかいていた 神木に暴言を吐くなんて確かに恐れ知らずか、少し反省してると、ペルソルナがいない事に気づいた 「あれ?ペルソルナは?」 「今はおしゃれしてるよ、アイツもこんな格好に・・・」 ペルソルナも不憫だな、作戦は伝えたしこれで大丈夫だろう、0時に作戦開始を伝えて 俺は部屋に戻ろうと思った。だが部屋へ向かう途中、聞き覚えのある声が俺を止めた 「シルヴィ?」 「こんにちは、お時間あります?またお話が聞きたくて・・・」 さっきのゴタゴタの疲れを癒せそうだ、図書室へと同行して席に座ると、俺は昨日の話しそびれた部分 俺がディファクターと戦った辺りから話し始めた、あの時はまだヤカリがいなかったけど 不幸中の幸いとはまさにこの事、ヤカリとペルソルナがいたら、被害が増していただろうな 「ディファクター・・・聞いた事があるけど、怖いですねぇ」 「怖いか?どっちかというと迷惑だな。」 ハハハと笑っていると、シルヴィが俺の顔を覗き込んだ、一瞬ドキッとしたが シルヴィがジーっと見つめてきて、俺から何かを探り取ろうとしてるのに気づいた 「どうしたんだ?」 「ヒースさん、何だか思いつめた感じで・・・」 顔に出てたか、少し反省してシルヴィの頭を撫でると、何でもないと少し深呼吸をした 続きを話し始めるとシルヴィもワクワクし始めた、こうやって誰かが俺の話で 楽しんでくれるのは嬉しい、こうしてヤカリとの出会いや狂気のノコギリとの戦い ロブス団との出会いを話してるうちに、もう辺りは真っ暗になってた。 「そろそろご飯か、スマンな。」 「いえいえ、ヒースさんお気をつけて、旅先でいい事がありますように」 「ありがとうな、またいつか会おうシルヴィ」 「はい、その時はまたお話、聞かせてください♪ シルヴィは家に帰っていって、俺は図書室に一人になってしまった、まだ時間もあるし・・・ メシはいらない、となると誰か話し相手がほしい、となれば良いのがいる 部屋に戻ると、ユグドラシルを呼んでみた、おっ反応が返ってきた。 なんだ、神木を私用で呼ぶな罰当たりが。 「いいじゃないか、それより聞いておきたい、シルフィアードはどれぐらい装甲がある?」 火属性の攻撃には弱い、今の姿では良く燃えるだろうな、攻撃は絶対かわせ 「分かった、そっちも魔力を絶やすなよ?」 軽く話を終えると、それからはシルフィアードの性能、そして能力のおさらいで時間を潰した さて・・・時は迫りつつある。 「揃ったか?」 「はい・・・うぅ、恥ずかしいです。」 「私の方が恥ずかしいわよ!何でベルト・・・」 「私だって同じだよ!イヤにピッチリだし眼帯とか訳わかんねーよ!」 「見て見て〜かっこいいでしょう?」 着替えて揃ったのだが、我ながら凄い格好だ、唯一まともなペルソルナ達を見て羨ましくなる 堕天使のようなアンジェラ、いっそう邪悪さを増したアン・ギェーラに悪魔のようなペルソルナ 機体とパイロットは何処からどう見ても、悪者そのもので俺達だなんて誰も気づかないだろう。 「凄い格好じゃな・・・っと時間か、どうか無事での。」 「えぇ、約束を果たしてきてあげるわ」 「お気をつけてヒース・・・」 俺達はエリーとリリスに手を振ると、NIの工場へ向けて真っ直ぐに歩いていった、森を歩いている間に 皆は寝静まって、誰も気づかない・・・がNIの工場は、いつまでも明かりが灯っていた 検問に差し掛かると、俺達はシルフィアードに剣を出させて、ゲートを無理やり破壊した。 「去れ。」 「ひぃっ!?こちらゲート!侵入者だー!!」 ゲートからガードマンが逃げていくと、俺達は工場の方へ走った、邪魔する物は破壊して 工場が見えてくると、ついにマナスレイブが迎撃に出てきた。 「貴様ら何者だ!ここはNI社のマナスレイブ製造工場だぞ!」 「不法に作ったなら破壊してくれるわー!!この環境テロ組織!侵緑の悪魔がな!!」 今回は普通のネーミングか?枯木のシルフィアード、略してカレキアードの剣をビシッと向けて スカイーグルに切りかかると、見事にスカイーグルは一刀両断、爆発を起こした。 「お目当ての機体が出てきたら教えてちょうだい!」 「分かりました!バリア張ります!」 「ルナ!私の鬱憤を晴らして!」 さぁ戦いの始まりだ、まずはカレキアードでスカイーグルを次々と切り裂いて行く、地上ではペルソルナが 迫り来るハウンドドッグを、すれ違い様に切り裂いていく、銃弾の雨を剣で切りはじいて 銃弾にわずかに残る熱エネルギーを利用して、着実にエネルギーを貯めていた、メディナはというと アリシアの護衛をしている、迫り来るコングラムを攻撃魔法で粉砕、抜けてきたらメイスで叩き伏せた。 「むっ・・・出てきたよ!」 「あれが言ってたダークエルフね・・・」 カレキアードでスカイーグルの弾幕から逃げていると、昨日の機体・・・つまりナイトリリーが出てきた リリスとエリーが言っていた奴か、カレキアードでスカイーグルだけでなく、コングラムとハウンドドッグまでひきつけて ナイトリリーにメディナとヤカリが行けるようにした、禁忌と違って武器は豊富じゃないが我慢するか。 「アンタがイーリ=フラウスね!降参しなさい!」 「ふざけるな!ライトエルフ共をこの国から追い出すんだ!」 相当ライトエルフを恨んでるわね、さっきと共に振り下ろされた鎌を、アン・ギェーラのメイスで受け止めて 押し返すと、作戦を頭の中で復唱した、ペルソルナの攻撃に繋げる為に隙を作らないと 距離が離れるとレーザーが発射され、シールドを張るとまた一気に距離が縮められた、速い 「でぇえええい!」 「話を聞きなさい!今の女王はライトエルフもダークエルフも、平等にしようと頑張ってる。こうやってもNIはどうせ!」 「黙れ!ライトエルフ共の手先が!」 NIの事だもの、どうせ最後に使い捨てかねない、味方だった私だから分かる・・・あいつらはそういう奴らだ このダークエルフ、NIの劣悪な環境で生きてきたのだろうし、正直言うと凄く不安だった NIに味方してるんだもの、きっと排気ガスだって吸ってるわ。普通のエルフなら耐えれない! 「メディナ!話を聞いてくれるような奴じゃない!」 「援護お願い!ヤカリ行くよ!」 やっとヤカリとペルソルナが来たわ、ナイトリリーの攻撃を何とかしてこっちに集中させないと メイスで連続して殴りかかって、鎌をこっちに集中させて、ヤカリに合図をすると ペルソルナが一気に切りかかった、やった・・・と思ったけど、そううまくはいかなかった 「うぁあっ!?」 「ヤカリ!ペルソルナ!あんた何したのよ!?」 「バリアよ、本当は光化学兵器に専門してるけど、防御くらいには使えるのよ!」 アン・ギェーラが鎌の一振りで吹き飛ばされて、それを見てたアリシアのアンジェラが、魔法で攻撃したけど バリアに弾かれた、どうすれば良いのよ・・・立ち上がったアン・ギェーラにメイスを拾わせて 必死に考えるけど、殺さないで何とかするのは難しい、エルフの弱点・・・つまり体力を突くしかないわ! 「ペルソルナ!逃げ続けて!」 「どういうこと!?逃げるだけじゃ勝てないよ!」 「私の考えが正しければ、エルフはエルフ・・・体力勝負に持ち込むの!」 ペルソルナとアン・ギェーラの性能なら、あのナイトリリーとか言うのから逃げれるし、着られそうになれば防げる 我ながら頭が良いわ、さてもう一踏ん張りと行こうかしら! 「アリシア、そっちに行ったら逃げるのよ?」 「はい、メディナちゃんもヤカリさんも、ペルソルナちゃんも気をつけて!」 ヒースはヒースでマナスレイブの大群を蹴散らして、目的は達成できそうね、一部が撤退を始めてる 本格的に撤退命令が出る前に、何とかして捕まえないと逃げられちゃうわ。けど・・・何で?イヤな予感・・・ 「逃げろ逃げろ!逃げないと斬る! ユグドラシル、魔力は?」 送っている、そう心配せんでもいい。 ダンダンと数が減っていく、これなら行けるだろうな・・・ハウンドドッグやコングラムが、メディナたちの方へ行くのを 蔦で邪魔しながら大丈夫と思い始めた頃、マナスレイブが次々と逃げて行った、これは本当に行けそうだな だがこれが思い込みだと分かったのは、マナスレイブが全て消えた時だった。工場が爆発し始めたのだ 「なっ!?」 これは・・・どうなるのだ? 工場には有害物質だってあるんだ、俺達は持ちこたえれても、エルフには極めて危険だ エリーが言ってた、ダークエルフが撤退してないのを見ると。 裏切られたようだな・・・メディナが説得してるし、きっとそうだろう、どうした物だ 「言ったとおりじゃない!NIと味方だったから分かるって!」 「くっ・・・今更、戻れる訳がなかろう!ここで朽ち果て・・・がはっ!」 ナイトリリーとか言う機体が倒れた、どうやらもうここまで・・・アリシアに早く結界を張るよう言ったが 何処まで広がったか分からず、結界を張るにもダークエルフを遠くに運ばないと、命が危ないらしい くそっNIめ・・・最後という最後でとんでもない置き土産を! 「くそっどうすれば良いんだ!?」 ・・・しょうがない、我が行くとしよう。ヒースお前は我に乗る娘が、命をかけてると言ったな? 「ユグドラシル?どうするんだ?」 こうするのだ! 大地からの凄まじいエネルギー反応、驚いて動こうとしたが、シルフィアードはもう動く事もない そしてそれがシルフィアードに送り込まれると、シルフィアードがドンドン成長を開始した 「ユグドラシル!?」 我も命をかけて守ろう、シルフィアードを成長させてこの毒を浄化させる! 「・・・どうなるんだ?」 シルフィアードは大樹となる、この国にあくが迫る時、実をつけてエルフィーナを守る木になるだろう 介する物、失くしては喋る事もあるまい、さらばだヒース初めて我を侮蔑した男よ。 「・・・さらばだ、いつか会うときが来たら会おう。」 ・・・我の搭乗者に、すまなかったと伝えてくれ 光に包まれていき、目が覚めると夜明けだった・・・俺は巨大な木に組み込まれ それを皆が外そうと奮闘していた、どうやら終わったらしい・・・ 「ユグドラシル・・・って!?」 今の俺の格好を思い出し、何とか抜け出そうと頑張ってみるが、中々外れない 見られるのは恥ずかしすぎる、メディナのアン・ギェーラが周りを削り ペルソルナが引っ張るが抜けない、アリシアが魔法を試すがこれでもムリだ 「このままじゃ見つかっちゃう!」 「それだけは避けたい!皆。頑張ってくれ!」 酷い目にあったが、何とか抜け出して逃げ切り、今回の作戦は無事成功したシルフィアードが犠牲になったが またいつか、エルフィーナの危機に蘇るとエリーに伝え、リリスにすまなかったと言ってたと言うと 意外そうな顔をしてた、あの偉そうなユグドラシルがエルフの事を考えるなんて、思っても見なかったのだろうな。 「今回の活躍、真に感謝する・・・後のことは我らで片付ける、エルフィーナの全てのエルフの変わりに礼を言う」 「俺はNIが嫌いなだけです、これからのご活躍をご期待してます。」 報酬なのだろう、エルフィーナの金貨が入って袋が渡された、これでまた金が増えたが少ないよりずっと良いだろう 後のゴタゴタはこっちで片付けるから安心しろと、エリーが言うと俺達はそろそろ時間なのを見て また旅を・・・と思ったのだが、その前に兵士が入ってきた、なんだと思ったら手紙を持って、エリーにそれを渡すと さっさと出て行ってしまった、関係ないと思ってたのだが・・・凄く関係あった、その内容とは 「アリシア、スリギィから招待状じゃ。」 「スリギィ・・・アゼイリア女王からですか!?」 スリギィ・・・ま、まさか!?あの女王が綺麗で、その盗撮写真を偶然拾ってしまって、何とか頼み込んで 懲役30年を国外追放で許してもらった、あのスリギィか!?お、思い出すだけで恥ずかしい・・・ 「ヒース?あんた顔、真っ赤よ?」 「あー、ヒースはだな・・・禁書を偶然、読んじゃったんだよなぁ〜」 恥ずかしい過去に、あたふたとしながら慌てふためいてると、エリーが手紙を読み終え、内容を伝えた その内容は・・・スリギィに途中でよれないかと言う物だった。 「ま、待て!?スリギィに行くのか!?」 「地理的に海を越えればすぐです、ダメでしょうか・・・?」 「いや、ダメじゃないんだが・・・」 「おーヒースが女王様の裸を思い出して真っ赤だ。」 図星でまたあたふたと、言わないでくれと手を振ってヤカリを恨んだ。 だが行かないと、国同士の関係が・・・は考えすぎだが、スリギィに行くのも悪くないか 海沿いに港があるらしいし、そこに行けばすぐ・・・よし行くとしよう。 「分かった、スリギィが次の目的地だな。」 「ありがとうございます、あちらでは私から言っておきますね。」 「どうやら行き先は決まったようじゃな、良い旅を願ってる。」 「ダークエルフとの壁、頑張って壊しなさいよ?」 エリーが微笑んで頷くと、メディナは安心したのか嬉しそうに笑ってた、エリーに別れを告げ 王室を後に、俺達の旅はまた再開したのだった、スリギィで何か無いと良いが 「さらばじゃ!旅の先に幸運を!」 「さよーならー!お元気で〜」 俺達は城を後に、次の目的地のスリギィランドへ向かう時、リリスが俺達を待っていた 「待ってました、今回は助けられてしまいましたね・・・お礼にこれ、旅の途中で食べてください。」 「これは・・・パイか?」 包みからもれる香ばしい匂い、焼きたてのパイか何かだろう、アリシアに別れの抱擁をすると リリスは俺に最後に、本当にユグドラシルが謝ってたのか。そしてシルフィアードは蘇るか 「あぁ、俺から言っておいてくれと言っていた、シルフィアードもエルフィーナの危機に蘇るだろう。」 「そう・・・ですか、ありがとうヒースしばらくは平和な日々を過ごせそうです。」 よかった、リリスの緑化は止まるみたいだし、安心するとリリスの頭を撫でて 無茶をしないように言うと、国に入る前に取られたバイクに跨った、準備は完了・・・行くか。 「さよーならー!お元気でー!」 「リリスさんーまた会いましょうー!」 さて、スリギィまで直進だ!あの女王様・・・俺のこと忘れててくれるかなぁ 続く