前回のあらすじ スリギィランドの円卓の騎士が一人、ガラハドと仲良くなったヒースは銭湯に行ったり、スリギィを満喫してたが 凶悪な殺人鬼、ザ・リッパーに遭遇してしまい、ザ・リッパーと戦う事を決めるのだった 「って事があった。」 現在、俺は討伐メンバーと一緒に昨日の店に来てた、ガラハドが戦う前にはスタミナ付けたいとの事で 最後にマリンをイヤイヤ連れてきた、何だかんだで話したい事もあったらしい 「マリンのチャームが無効化ね、枯れすぎだよ。」 「枯れてるか?」 「確実に枯れてると思うぞ?」 「が、ガラハドが言わなくて良い!」 なるほど、まぁ俺に性欲が無いのは事実か、マリンとバッブが笑ってるのを見るとどうやら マリンもエルザの事は知ってるらしい、気づいてないのは二人だけなんだろうか? 「けどさ、ヒースって本当に性能良いよね?」 「うむ・・・自分で言うと何だが、結構、高性能だ。」 「そう?隣に欲しいくらい高性能よ」 マリンの言葉にアリガトウと笑っていると料理が来た、ジャックが器用にテーブルに料理を置いて行く 昨日よりも大きい、マリンはステーキは無理だとビーフシチューを頼んだが、多さにゲッとなってる。 「多い・・・」 「店長が、ザ・リッパーを倒すのに体力付けてくれって。」 なるほどな、マリンは少し困ってるが皆はありがたいと、早速食べ始めていた 「皆さん牛肉が好きなんですね・・・」 「まぁな、ジャックは好きな肉って何かあるのか?」 「僕はあまり・・・だからひ弱なんでしょうね、アハハ・・・けど、このごろは肉も食べてるんです」 ガラハドがいい事だと笑ってる時、分厚い肉を大雑把にナイフで切り、フォークで口に・・・運ぼうとしたエルザが さらに細かく切っていた、ガラハドに見られるのが恥ずかしいのだろうか、当のガラハドは ガーリックごと一口に切ったステーキに齧り付き、バッブは上品に口に運んでいる マリンは大きな肉より野菜の方を優先して食べている。 「うぅ・・・こんなに食べれない・・・」 「俺が食べるか?」 ぶっちゃけると、食べる気がしなかったし水だけ頼んでた、マリンが頼むと10個中7個も食べるように頼まれ 食べてると別のテーブルの皿を片付けてるジャックが、喜んでる気がした 「はい、アーン」 「むっ・・んぐっ」 これで7個だ、マリンが残りは食べれそうだと、やっとの事で肉を食べ始めていた バッブは口元を拭いて、満足そうにしているしエルザは、食べる時に面倒そうにしてる 「オイラはおなか一杯、一晩頑張れそうだよっ!」 「僕もだ、エルザは食べるの遅いけどおなか減ってなかったのか?」 「そ、そう言う訳じゃ・・・  恥ずかしいじゃない・・・」 ぼそりと呟いて、エルザがぎこちなくお上品な感じに食べていると、バッブがお冷のおかわりを持ってきた 少し喉が渇いたからか、一口飲んで皆、落ち着いていた。本当バッブは気遣いがうまいな 「ごちそうさま、ふぅっおなかがパンパンだよ。」 「食べ終わったけど、しばらくおなかを休めるか。」 ゆったりと・・・してる間に、少し打ち合わせだ、大体の作戦は決まっていたのだが もしもの時についてだ、俺がザ・リッパーに捕まった場合、ザ・リッパーに逃げられた場合 だがどれも、手の内が分からなかったらどうしようもない心配ばかりで、大丈夫だろう 「予定通り、結界で逃げれなくして空中から奇襲ね?」 「OK、狭い場所での戦闘は不得意だけど頑張るよ」 「まぁ・・・路地裏っても、いきなり狭いわけじゃないし・・・ね」 皆の武器は分からないが、何とかなるのだろう、俺が水を飲み終えると帰る事にした 長く居すぎるのもなんだし、さっさと帰って準備をして、奴を倒す準備をするとしよう 「お代置いてくよ」 「アリガトウございました・・・ザ・リッパー、無事倒せると良いですね・・・」 ジャックが弱弱しく、どこか暗く応援するとそれと同じように、外は暗くなりザ・リッパーが目を覚ましそうな時間になっていた 作戦の0時までまだある、奴が昨日現れたのも深夜だし、まだではしないだろう。 城へ戻ると、それぞれ11時に集合するように言われて、俺は部屋へと戻る事にした 「むっ?またか・・・」 ドアを開くとそこにいたのは、アリシアがイスに座ってウトウトしていて、俺が戻ってきたのを見てビックリしてた どうしたんだと思って、ベッドに座ってから話を聞いてみる事にした。 「アリシア、どうしたんだ一人で?」 「渡したいものがあって・・・」 「待ちくたびれたみたいだな、ゴメンそれで何を?」 アリシアが取り出したのは、よく分からない刺繍の入った小さな袋だった、だがどこかで見た事が・・・ そうか暗黒帝国でテレサが俺にしてくれた、よく分からないまじないと同じ形だ。 「これは・・・?」 「ディオールの守護紋章、お守りに良く使われるんです」 ベルトにお守りを付けると、布で出来てるのに鋼鉄よりも硬く心強く感じれた 「ありがとうアリシア、そういえばこれってどういう意味があるんだ?」 「貴方に祝福あれ、お母様もしたなら二重になっちゃいますね。」 少し苦笑してるが、女王だけじゃなく王女にまで祝福されたんだ、勇気が出てくるというものだ ありがとうと感謝すると、アリシアは嬉しそうだが同時に心配そうに、俺を真っ直ぐ見つめた 「・・・絶対、帰ってきてください。」 やっぱり心配なんだろう、戦う相手は猟奇殺人鬼のように相手を綺麗に切り刻む、謎の怪物なのだ アリシアの性格的に心配しない方が、アリシアらしくも無いか、こういう時は・・・ 見よう見まねでアリシアに手を近づけると、首を傾げる、そのまま優しく頭を撫でると心地良さそうだった 「安心してくれ、必ず帰ってくる・・・俺は危険ロボットランキング1位、猟奇殺人鬼もどきの生き物には負けないさ」 少し考えていたアリシアが、右手を出して小指を立てた、なんだろうと思ったのだが直ぐに思い出した シュコトーの時は暗いのにサーチアイもせず、気にしなかったがアリシアの手って、白くて掴むと折れそうなくらい華奢だ 折れないように力を入れないで指を絡ませ、絹のように柔らかな肌に、アリシアが王女だという事を再確認した 「約束・・・しましたよ?」 「あぁ、ありがとうアリシア。」 指を名残惜しげに離して、アリシアが何かを唱えてると、俺が光に包まれた・・・防護魔法だそうだ これも吸収されるのだろうか、後で実験してみようと思いながら、アリシアの頭を撫でようとしたが 「・・・今更だが結構、無礼だなこれ・・・」 「ふふっ・・・ヒースさんなら良いです、ありがとうございます」 頭を撫でると、嬉しそうにアリシアが笑ってから、明日の朝までに帰ってきてと部屋を出て行った さて・・・数時間早いが、準備と行こう。だがその前に、次元層から緊急時の為に色々出しておこう。 俺の持ってる金や道具、もしも俺がダメになった時に、皆を助けてくれるだろう。 「まぁ、生きて帰るがな」 「着たか」 約22時47分、皆もう来ていて俺が最後だったらしい、時間より大分、早くそろってしまった 「いいのよ、相手を待たせるのは礼儀がなってないわ。」 「ハハ、マリンの言うとおりかもな?最も獣が相手なら礼儀なんていらないか。」 余裕の表情を浮かべているようだが、目が笑っていない・・・本気だ、情け容赦なくザ・リッパーを破壊するつもりだ あの優しいバッブですら、目が優しくなく非常に怖い、重々しい鎧を着けているし、マリンは杖と法衣を纏っていた 「さて、時間よりもかなり早いけど、作戦会議は必要?」 「僕はいいかな、特にフォーメーションは決まってない」 「私も、ただぶっ飛ばすだけなんだろ?」 「むー・・・いいかな、ヒースはどうなんだい?」 俺はどうするか悩んだが、一つだけ気になる事があった、皆の機体の特性である これを知っていれば戦う時、有利になるだろう。 「そうだな・・・僕のバルハーガから解説しようか。」 ガラハドの解説によると、ガラハドの操るバルガーハは親のアロンダイナーと反対で、物理攻撃に弱いが 魔法を弾き返す高速戦を得意とし、エルザのペリノイアは剣のような槍、パルチザンを用いた攻撃が得意 バッブのビートルアームズは怪力によるランスの突きや、変形して突撃などが得意だそうだ 「私のフィンカイラはまぁ、魔法使い型ってだけ言えば大丈夫でしょう?」 「あぁ、大体分かった」 メンバー的に大丈夫だろう、バルガーハは魔力を跳ね返すらしいが今回の、ザ・リッパーがそこまで高等と思えん それよりも3機の空中からの攻撃、これが重要になるのだ、触手が届か無い場所から急降下 それに武器は十字架のような剣、属性的に瘴気とは相性が最悪で致命傷になるはずだ 「作戦は言ったとおりに私が皆を隠して、ヒースの前にザ・リッパーが出たら一斉攻撃。」 「OK、路地裏だし逃げれないでしょう」 大分時間がある、ウォーミングアップに少し機体を動かす事になった、集まった場所が場所・・・ まぁ、ここは機体の駐機場なのだ、動かせるかどうかを確認するくらいなら十分だろう。 「月下の騎士よ、願うは我が王が為に・・・バルガーハ!」 まず現れたのがガラハドのバルハーガ、イメージとしては満月のような曲線、それに闇夜に消えていたが 月の光を浴びて鏡の盾が見えた、武器の十字の剣は俺の禁忌と正反対の、美しく神々しい物だった 「騎士が魂を持つ角よ、汝(なれ)の力!我が祖国が為にビートルアームズ!」 バッブのはカブトムシをモチーフにしてるな、カブトムシのように小さい体格で丸っとしてるが 見るからに力強そうだ、変形機構を持ち合わせていると思われる。 「疾風の狩人、その刃が捕らえるは国が敵、羽が包みしは王。ペリノイア!」 エルザの機体は猛禽類を思わせる、安易に飛行能力があると分かる翼を持ち、黒と灰色の地味な配色だが 闇夜では有利だろう、武器は切る事に適した槍で大雑把に使っても、いう事を聞いてくれそうだ。 「こんな所か?どれも空中戦が・・・」 「忘れてるわよ?魔の実を喰らう双頭蛇よ 英知の翁を此処(これ)にフィンカイラ。」 最後にマリンの使う、フィンカイラが登場した・・・魔道師、何と言う魔道師っぷりなんだ レイニアもこんな機体を使うらしいが、見慣れないタイプの魔道師型に少しビックリしてる。 さて・・・俺はどうしよう、皆は呪文あるんだし俺も何かハッタリを言うべきなんだろうか 「漆黒と破滅の騎士、我が魂の契約の下で愛する者が為、悪を裏切りたまえ!」 適当にそれっぽい事を言うと、まぁ適当に武器を蕾のように集め、それを開くように倒させるとその中から 禁忌を登場させた、ガラハドやエルザは事情を知っているし、どうしたんだと目を丸くしていた。 「いや、それっぽいと思ってな、皆は呪文を言ってるし」 「ははは、前から思ったけどあんた、どっか抜けてるね」 「酷いな、いや抜けてるとは思うが」 少し笑ったら機体を動かしてみた全然、大丈夫でザ・リッパーを倒すのには十分だった、あんな触手だらけの生き物 円卓の騎士の相手じゃいだろう、それぞれ機体を一旦、封印してから出撃する前に誓いの儀式のような物をしていた。 俺にはそういうのが無いが、アリシアのお守りをベルトから外れないよう、もう一度結びなおした 「ふぅ・・・」 「酒?お前そういうのキライじゃ・・・」 「好きじゃないけど、弱いわけじゃないのさ。」 酒瓶を半分ほど減らし、祈りをささげるようにすると、ガラハドはバルハーガへと乗り込んだ これの意味は帰ったらまた半分、飲むという事らしいなるほど、酒が強くないとできないな 意外と時間が早く過ぎて行き、もう出発の時間になったようだ。 「さて、行くと・・・」 「お待ちなさい。」 その声に聞き覚えがある、振り向くとマリン以外は噴出しかけた、アゼイリア女王が来たのだ こんな夜分に何故とあたふたしてると、見送りに来てくれた様だ。 「このスリギィの民の為、ザ・リッパーの討伐報告を待つ・・・気をつけてください。」 「はっ、必ずや・・・なんて硬いわね、大丈夫よ心配しないで?」 随分とアゼイリア女王と親しいようで、マリンがウィンクをするとアゼイリア女王も、安心してるようだ アゼイリア女王が俺達に祈りを捧げて俺が頭を下げるが、マリン以外は跪いてて何だか気まずかった。 「ご武運を・・・」 こっちを見てたアゼイリア女王は、次第に閉じる門に消えてしまった、何だか名残惜しいが帰ればまた見れる 上着を脱いで、Tシャツだけになると俺は、門からゴーストタウンと化したロンドムへ、足を踏み入れていく。 「・・・・」 マリンの魔法で4人と4機は完全に隠れた、さて路地裏までま・・・・っ!?何だ、足音が増えた!? しかも大量に、ザ・リッパーの触手か・・・だが奴は路地裏に出現する可能性が高い、それなのに何故 まさか気づいたのか、いやあんなバケモノがどうやって情報を、早々に臨戦態勢に・・・違う。 「見っけた!」 ロボットの大群だ、スクラップ半ばなワルドーザー、鉄球が無いなんてワルドーザーには致命的だろう 旧型のナイトルーパーとか言う、騎士型の機体なんて装甲が凹んで、酷いのは顔がデュラハン状態だ おなじみNIの機体もある、だがそんなペンチの挟む部分が欠けたワークローダーで、どうするつもりだ? こんなのがざっと10機もいる、いやリーダー格と思われる機体は、モヒカンの悪党な機体だ。 「モヒカーン・・・だよね?」 「あぁ・・・はぁっアイツら・・・」 「ガラハド、もしかしてジョーなのか?」 「ザ・リッパー討伐に参加するべく参上いたしましたぁっ!」 イヤーな予感は的中した、何で俺の予感はイヤな予感ばかり的中するんだ、ヤレヤレと思いながら どうするか聞くと、帰れと言う旨を言ってくれと言われた、台本はある程度つくって 後はアドリブで頼むと、無茶を言うなまったく、だがガラハド達を出すわけには行かないししょうがない。 「えっとだな、ご好意は非常に嬉しいんだがな・・・」 「ロンドムを一緒に守りましょうや!」 「むー・・・この作戦は少数精鋭で行うんだ、大人数で来られても困る。」 引き下がろうとしないジョーに、こうなれば真正面から言うしかないと、ため息がでてしまった 浮かれているジョー達には悪いが、これも今回の作戦の為だし、しょうがないか。 「すまん、今回の作戦にお前達は不要なんだ。」 「なってめぇっ!余所者が何っ」 「今回の作戦には空中戦が出来ないと行けない、スクラップ同然のその機体では、今回の作戦には足手まといだ。」 しばらく睨みあいになった、そしてジョー達チンピラは、すごすごと帰っていき始めた 「すまん・・・」 「気にすんなや・・・浮かれすぎただけだ・・・」 「だがお前達が役に立たないわけじゃない、戦うことだけが守る事じゃないって事・・・忘れないでくれ。」 こうして俺達はジョー達と別れ、路地裏へと向かっていく、この深い深い、闇の中へはいれば ザ・リッパーと戦う事になるだろう、いつでも禁忌を出せるようにして、ついに路地裏へと進んでいく 3機は消えているが、空中へと上がっていくのをサーチアイで確認し、通信で指示を聞いていた。 「何だかジョー達には悪い事をしたな・・・」 「しょうがないよ、だけどヒース言うとおり、いつか役立てる日が来るさ。」 バッブが俺を慰めてくれると、何か気配がした、それはドンドン大きく巨大になっていく・・・ 間違いないアイツだ、十分にひきつける為に俺は気づかぬ振り、あともう少しだ その気配が俺のすぐ後ろに現れ、周りに結界が張られる、これで奴は逃げれまい 「ヒース離れて!」 「分かった!やってやれっ!」 まずはエルザのペリノイアの槍が、剣のように振るわれてザ・リッパーの黒いマントを切り裂く 次にカブトムシになったビートルアームズが、角を突き出して結界へと叩きつける、止めと言わんばかりに バルガーハが剣を突き刺す、触手が何本か千切れていき、当たりに散らばっていった、空からの奇襲に続き 俺も禁忌へと乗り込み、迫撃して切り裂くとまた数本、触手が吹き飛んで終わったと勘違いした 俺は大きなミスをしてしまった、やり口が獣のようで、被害者が綺麗に切り裂かれているのは きっと鋭利な武器で切り刻んだだけだ、そう思ったのが誤算だった、なぜ「知恵」があると思わなかったんだ 「きゃああああっ!?」 「ま、マリン!?」 マリンの悲鳴で振り返ると、フィンカイラが黒い霧のようなものに捕まり、動きを止めていたのだ いや、黒い霧はそれだけじゃなかった、触手から次々と溢れている、恐らく瘴気の類だろう いきなりの事で、ビートルアームズとペリノイアまで動けなくなっている、もう少し用心深くなれば・・・ 「くそっ!」 「コイツには知恵があるようだな・・・」 瘴気に包まれぬよう、切り払っていたのだが、後ろから鋭く何かが伸びる音がした。ザ・リッパーの触手だ 狙っているのはバルガーハ、とっさにバルガーハを突き飛ばすと、触手が禁忌に纏わり付いた 「ぬうっ!?」 「ヒースっ!」 抵抗するまもなく、ザ・リッパーに引き寄せられ禁忌と俺は、ザ・リッパーと共に黒い渦巻きの中へと 引きずり込まれていく、次元層に似た感覚がしサーチアイを使うと、どうやらこれはワープのようだ 一度は抵抗しようとしたが、もしかしたらザ・リッパーの巣へいける可能性もある そこを一気に盾で叩ける可能性がある、使えなくとも暴れまわれる可能性がある、賭けてみても悪くは無いだろう。 「皆!瘴気を祓ったら追いかけてきてくれよ!」 「ヒース!?逃げるんだヒース!」 こうして俺は、ザ・リッパーと共に・・・予想外だ、ザ・リッパーが瘴気を使い逃げた場所、そこは 何とロンドムのど真ん中だった、周りには民家が立ち並び、冷や汗が流れた、最悪の結果かもしれない ザ・リッパーが暴れれば大変な事になる、だが俺が暴れても大変な事になる、住民を避難されれるのも 夜も深く、老人や子供は辛い時間帯、ザ・リッパーは本当に何なんだ、あまりにもこちらの手を読みすぎる 「おい何だあれ?」 「あん?俺ら以外に誰が・・・」 絶体絶命の俺に、早すぎる第三者の声が聞こえた、それは追い返したジョー達であった 「バ、バケモン!?」 「ジョー!聞こえるかジョーっ危ない!」 ザ・リッパーが触手を伸ばすが、これを盾で殴り返した、ここで切り裂けば軟弱の人なら 瘴気にやられて気絶してしまう、落ちた触手を手繰り寄せて、ザ・リッパーへ飛び掛り 何とか動きを止めると、ジョー達に民家の中にいる人々を、避難させるように叫んだ 「アワワ・・・け、けどよぉ・・・」 「逃げようぜジョー!んなバケモン相手じゃ俺ら殺されちまう!」 「そ、そうだな俺らじゃ・・・」 「少々早いがロンドムをお前らが守る時だ!今ここの人達を救えるのはお前らだけだ!ジョー!」 逃げようとするロボの一団が、動きを止めてしばらくすると、通信がまた帰ってきた 「わ・・・わかったぜ!ど、どうすりゃいい!?」 「ここら辺の民家から、住民を避難させてくれ!時間なら俺が何とかする!」 「ここら辺は比較的に人が少ねぇ!任せろ行くぜー!」 それぞれの機体が、民家の方へ行ってジョー達ゴロツキが、ドアを叩いて住民を何とか起し始める 俺はこのバケモノの動きを止めて、時間を稼がなくてはいけない、逃げ切る頃には皆もやってくる そう信じて、ザ・リッパーの触手を押しつぶすようにして、動けなくしているが触手が抵抗し始める 「このっ・・・禁忌の馬力を舐めるなっ!」 押しつぶして、何とかしているがもって30分か40分だろう、ジョー達がそれぞれの機体の手などに 住民を乗せている、ゴロツキなのが幸いしてか、あっさりと従ってくれているようだ 「やるじゃないかっ・・・」 ゴロツキの一人が、老夫婦を抱えてワークローダーの、車体の部分に乗せたが不覚にも 触手が一本、ゴロツキへと襲い掛かった、だがそんな事はさせない、次元層から槌を落として 触手を押しつぶした、ゴロツキがへたり込んでいるが、別のゴロツキが立たせに来た 「い、急ごうぜっ!」 「あ・・・あぁ・・・こ、殺されちまうぜぇ!」 このままでは触手がいつ逃げるか分かった物じゃない、ジョー達ゴロツキの避難速度からして 何とか30分以内に、逃げ切れる可能性はある、だとすればさっきの応用をするとしよう。 「ジョー!避難が終わったら一気に逃げろ!お前らが逃げ切る頃には、援軍がやってくる!」 「お、お前さんはどうするんだよ!?」 「俺はヒース!そう簡単に死にはしない!さぁ急いでくれ!」 「くっ・・・生きてくれよ!お前みたいなのが極悪ロボだったなんて信じれねーぜ!」 一気にランスや剣で、禁忌とザ・リッパーの周りに檻を作り出して、皆を逃がす為の壁が完成した ジョーが走り去っていく音がして、これで俺は安心して、ザ・リッパーの重しになる事が出来た。 「マリン!エルザ!バッブ!まだ動けないか?」 「ダメだ!いう事聞いてくれねぇ!」 「オイラのもだよ!どうしようこのままじゃ!」 最悪だ!ヒースがザ・リッパーを追って行ってしまうなんて、バルガーハは瘴気に犯されて、動く事ができない 皆も同じ、もう少し僕らが慎重だったらと、悔しがっていたが悔しがってもしょうがない。 「これからどうするか、それを考えましょう・・・バルガーハは光属性よね?」 「あぁ、多分だが瘴気も直ぐに直るはずだ。」 「アグロヴァル卿もパーシヴァル卿も、私のフィンカイラもしばらくダメそう・・・援軍を送ってもらうよう 頼んだけど、さっきの瘴気を探索したら・・・よりによってザ・リッパーが出たのが市街地なのよ。」 市街地に出ただと!?それじゃあ、民間人に危険が及ぶ確立はかなり高いじゃないか、悔しさで歯を食い縛った 民を守れず何が騎士だ、なぜザ・リッパーが知的生物の可能性を考えなかった、ちくしょうっ!! 「バルガーハなら、飛べば直ぐの場所よ・・・もうそろそろ、瘴気が解けるでしょう、貴方しかいない。」 「分かった、場所を教えてくれ!」 「待って!ガラハド一人で行かせるの!?イヤよ!」 エルザが言うとおり、一人だけで勝てるかは分からない、だが一人ではないヒースがいる、きっと苦戦している 援軍だって、しばらくかかるだろうし、最短で動けるのは僕だろう、それでもエルザが止めようとすると バッブが止めに入った、バッブは優しいが人の決意を理解もする、だから行かせてくれるのだろう 「エルザ、オイラ達は円卓の騎士なんだ、ガラハドならきっと大丈夫だよ!」 「バッブの言うとおりだ、必ずヒースと帰る。」 「・・・分かった、きっと・・・帰ってきて」 僕の思いに答えるように、バルガーハが瘴気を取り払い、動けるようになってくれた マリンから場所を聞くと、バルガーハに乗り込みその場所へ、バルハーガは月明かりを受けて飛び上がった 汚名返上だ、待っていろザ・リッパー・・・もう油断しない、確実に故郷の地獄へ送ってやるっ!! 「・・・それにしても、気づかないとは・・・鈍感ねぇ・・・」 ザ・リッパーが瘴気を禁忌へと吐き出しているのだが、コックピットへと侵入した瘴気の嫌悪感がない 禁忌は瘴気に犯されても、影響が無いようなので何とかなってる、恐らくアリシアの掛けた魔法が 俺を守ってくれているのだろう、お守りをみて心強く思えた。 「終わったぜ!今から逃げる!」 「急げ、もう持つか微妙だ」 「お、おう・・・行くぞー!」 ロボットが走る音がする、あと5分・・・5分は時間を稼がなければ、思いっきり体重をかけていると また声が聞こえてくる。今度は聞き覚えがあるが、ここにいるはずの無い声がザ・リッパーから 「なっ・・・」 「バカだねぇ、そんなに苦しんで」 「喋っただと!?」 コイツは人間の言葉を理解するほど、知恵のある生命体だと言うのか、俺は大きな誤算をしてしまったようだ そしてこの声に、俺は驚きを隠せない、いや隠せるはずがない、この声は・・・・ 「そうだよ、ザ・リッパーの正体は・・・」 「ジャック・・・ジャックなのか!?どこだ今助ける!」 「おめでたいなぁ、僕だよ僕・・・うん、正体がジャックなんだ」 とぼけた様に呆気なく、ザ・リッパーは言い切ったザ・リッパーがジャックだと言うのか? 信じれない、あの気弱そうなジャックが、こんなバケモノだというのか? 「生命体に近い機械って、どんな味がするんだろうね・・・?」 「くそっ記憶を取り込めるのか!?だから俺からジャックの記憶を」 「ははは、信じれないみたいだね・・・・フンッ!」 禁忌は高く飛び上がった、いや吹き飛ばされたというのが正解か、ごろりと転がるとザ・リッパーが 武器の檻を吹き飛ばして、ついに出てきてしまった、だが周りに生体反応は無い ジョー達は完璧にやってくれた、これで安心して・・・戦えるわけではない、民家を壊さないようにしないと 「本当にジャックなのか・・・?」 「あぁ・・・まぁいろいろね!!」 触手が鋭く襲い掛かる、だがこれは斬り防ぐ、周りに人はいないし瘴気は消えやすいようだし 遠慮は要らない構えていると、触手はうねうねと再生し始めている、悪態をつきたいがその暇も無く 触手が俺を切り裂こうとしてくる、流石に一人で数十本の触手は、苦しい所がある、他の武器に・・・ 「でぇえええいっ!!」 だがその時、天空から月光を浴びて月の勇者が現れた、それは十字架の剣で触手を切り払い 先ほどと違い、襲い来る瘴気を光で打ち消していた、バルガーハが援軍に来たのだ。 「ガラハド!皆は!」 「まだ動けない!援軍が来るからそれまで待つんだ!」 「増えたか・・・本命のご登場って訳だ・・・」 「喋った!?この声・・・まさかっ!?取り込まれたのか!」 ザ・リッパーは高笑いをしながら、帽子で隠れた顔の部分から凄まじい瘴気を当たりへとばら撒き始めた ガラハドが急いで呪文を唱えると、禁忌とバルハーガが光に包まれる、対抗呪文なのだろう 「君も同じ勘違い、僕は正真正銘のジャックさ。」 「そんなっ!?」 「ははは、スリギィの小説じゃこんなの良くあるだろ?」 ガラハドが声を荒げる、何時も通ってたレストランの見習いコックが化け物だった、なんて信じる方が無理だろう 見せびらかす様に触手を動かして、不敵に笑うザ・リッパーに、俺達は剣を強く握り締めた。 「僕がこうなったのはね、まぁ6年前かな?コックを目指してた僕は、骨休めに旅行へ行ったんだよ」 ゴクリと唾を飲むと、ジャックの声でザ・リッパーが話を続ける 「けど事故にあって飛行艇が落っこちてね、飛行艇は焼けて食料も消えた、けが人も多いどうしたと思う?」 「待て!全員死亡のはずの事件じゃないか!」 「そうだね、まぁ理由はここからさ、食料もない山岳地帯で取った行動は・・・まぁ共食いだね」 空気が重く凍りついた、つまり人肉を食い合うという事だ、食料を確保するにはそれしかない ガラハドが信じられないと、呆然として呟いたが、ジャックの声でまだ話は続く。 「僕は比較的に健康でね、最後まで他人を食べて頑張ったんだ、辛かったよ・・・これで終われば良いんだけど」 ヤレヤレとでも言うように、ザ・リッパーが両腕のような触手をまげて、ため息をつくような仕草をした 「そこにはね、瘴気が吹き出ていてさ・・・まぁ共食いなんてすれば、影響を受けるわけだよ。」 「全員、死体が無かったのはそのせいか・・・」 嫌悪感を出した声で、ガラハドがザ・リッパーを睨むと、ザ・リッパーの話も終盤に入ってきた 「食欲って言う、強い欲が邪悪な瘴気と融合してね、こんな姿になれるようになったんだよ、そして共食いの美味しさを忘れれなくてね 時々、体格の良い人の良い肉を貰ってた訳だよ、コックになったのは天職だったね、人肉が美味しく食べれるし。今回の作戦も知れたしね」 「・・・・・・」 ガラハドが言葉を失っていた、優しいガラハドは同情で動けなくなってしまわないか、心配になった だがそれは杞憂だったようでバルガーハの剣は、ザ・リッパーへと鋭く向けられた。 「同情はする・・・だが、許せる事じゃない・・・もう助けれない。」 「ははは、別に良いよ!君らを最後の晩餐に次はカリメアにでも逃亡だ!イタダキマスっ!!」 こうして戦いが始まった、ザ・リッパーが高く飛び上がり、大量の触手を雨のように降り注がせる バカ正直に受け止めるはずも無く、俺達は触手から逃げて、ザ・リッパーの着地を狙い 時間差で切りかかった、バルハーガの剣は受け止められたが、もう一方の俺の剣はまだ防がれてない 「てぇええい!」 「甘いよ!君の肉は脂で甘いかな!?ステーキにしてあげる!」 別の触手が動いて、禁忌へと重く殴りかかった装甲が硬い、禁忌だからこそ助かったが見た目と違い凄まじい怪力だ また二人で距離をとると、今度はバルガーハが高く飛び上がる、俺が注意をひきつけて加速したバルガーハが 一気に切り裂く作戦だ、だがバルガーハが途中で何かに阻まれて、地上へと落下しそうになった、何とか体勢を立て直すが 不可視の壁があるらしく、俺達は閉じ込められてしまったようだ、出るにはザ・リッパーを倒すしかないようである 「生憎、俺は機械だから。きっと鉄と同じ血の味がするぞ!」 「それは楽しみだ!さっさと解体して!ビーフシチュー・・・この場合はヒューマンシチューかな!」 狂気の混じった声で、禁忌とバルガーハへ包丁と化した先端部を持つ触手が、連続して迫ってくるものの 全て切り落としてやった、これも直ぐに再生したが、攻撃が防げればそれで良いほうである 「ご馳走されてばかりだしね、こっちもご馳走だ!」 「飴にしては大きいなぁ!」 ガラハドがバルガーハに、盾を投げさせるとザ・リッパーはそれを粉々に砕き、防いだのだが破片は鋭く ザ・リッパーの帽子を切り裂き、ジャックが凄まじい悲鳴を挙げて痛みに震えていた。 「うわぁああああっ!」 「あれは・・・」 「ジャック!あれが本体みたいだな」 帽子が破れ完全に、触手の化け物の姿を見せたザ・リッパーの顔には、ジャックの姿があった 頭に刺さったガラス片を、必死に触手を使い顔からとっている、倒す方法は見つかった だが凄まじい再生能力で、傷は癒えていく、ジャックの部分を一気に叩ききらないとダメだ。 「・・・ガラハド、お前には辛い俺が・・・」 「僕は騎士だ、民を守り王の誇りを守る!」 強く握り締めた剣、ガラハドはジャックではなくザ・リッパーを斬る、そういう事なのだろう ならば俺が囮になろう、奴の触手を押さえつける位の役目は果たせる。 「頼む、行くぞヒース!」 「あぁ!さぁっ覚悟して貰おうぞ」 まずはガントレット、次は槌と斧で武装した、面積の広さはこの二つが最強だろうガントレットでパワーを補い 構えると一気に叩きにかかる、斧と槌の猛攻に触手を蹴散らしていく、その隙にバルガーハは空中へ飛び上がる 決まった、バルガーハが鋭く切りかかった瞬間はそう思ったのだが、それは打ち砕かれる事になった。 「おなか減った・・・・おなか減った!減ったんだよぉおおおお!!」 凄まじい瘴気の波動が、俺達を吹き飛ばしたのだ食欲と言う欲は人間の、三大欲求と言う最強の欲求の一つに当たる それが邪悪な瘴気と交じりここまで、凶悪な威力となるのだ、バルガーハは民家へとぶつかりそうになるが 間一髪かわすも、そこへザ・リッパーの一撃が打ち込まれ、バルガーハは地へ伏してしまったのだ 「ガラハド・・・くそっ化け物か・・・」 「くっ・・・がはっ・・・」 ガラハドが動けない、どうする・・・これは・・・そうだ、バルガーハをタイトゥンズオープンで強化すれば だがそれにはコックピットを開く、アリシアの魔法があると言え・・・いや、このままじゃ二人ともダメになる ならば可能性に賭けよう、ガラハドに通信をするとガラハドは虫の息だった、何とか持ちこたえてくれ・・・ 「ヒース・・・ダメだ危険すぎる・・・ロストエンスピートで・・・」 「ここでは狭い、勝つにはこれしか浮かばないんだ。」 コックピットが開き、俺にエネルギーが集まっていきバルガーハへ、標準を合わせるがやはり ザ・リッパーの触手が俺を狙ってきた、ガラハドが動けない今、頼れるのはアリシアのかけた魔法だけか 歯を食いしばると、タイトゥンズオープンの光が、バルガーハへと注がれる準備がついに出来た。 「タイトゥンズオープンッ!!!!」 「コックピットを開くなんて!さぁさぁ!綺麗に切り裂いてやるよ!」 発射されると同時に、当然のごとくザ・リッパーの刃物の付いた触手が襲い掛かる、俺はロボットだ痛みは何とかなる そう思い目を閉じたが、結界が張られたように、バチバチと触手が焼け焦げていった、ベルトを見るとお守りが・・・ そうかこれは光属性に近いのか、紋章の意味を思い出しても光属性と言うのがしっくり来るだろう。 「ガギャぁあああっ!?け、結界だと!?」 「アリシア・・・助かった」 こうして光がバルガーハを包み込むと、バルガーハに変化が現れる、これは・・・満月のような輪を背に バルガーハが立ち上がった、生体反応は先ほどと比べ物にならない生命を放ち、ガラハドも回復したようだ 「力が満ちてくる・・・ヒース、無事か?」 「あぁ、アリシアが守ってくれた」 怯んでいたザ・リッパーを睨み、バルガーハと禁忌が再度、刃を向けてザ・リッパーを倒す手段を考える 今のバルガーハなら、さっきのをごり押しで・・・行けるはずだ、ガラハドは難色を出していた 他の方法があると、バルガーハの剣を天に向けると、光がほとばしりまわりの瘴気を打ち消し始めた あまりにも眩しくて目を閉じていたが、目を開けた時に見えた光景は・・・ 「天使の梯子・・・?」 夜なのに空が明るかった、いやさっきの光の柱に共鳴するように、雲に隠れていた月の光が柱になって 地上へと降り注いでいるのだ、バルガーハへ集中されていく光は、ダンダンとバルガーハのパワーを 想像を超えた物へと変えていく、ここまでとは思ってもいなかった、これが円卓の騎士の力か 「ははっ・・・ヒース、君ってとんでもない男だな?」 「こっちのセリフだ、頼むぞガラハド!」 「えぇいっ!瘴気の結界は逃げれないようにするだけ、本気で切り刻んでシチューの具にしてやる!」 襲い掛かる触手、だが怒りで随分と力任せになっている、簡単に切り刻むも再生してザ・リッパーが今度は 触手を真上から、網のように組んで襲いかかる・・・しかし、これは俺達が手を下す前に切り裂かれた 「やっと見つけたよ!」 「エルザ!」 「じゃ、邪魔するな!」 また触手が襲い掛かるも、それは飛んできた巨大なカブトムシに、引きちぎられた 「オイラもいる!」 「バッブ!皆、無事だったのか!」 エルザとバッブだ、切り裂いた触手から溢れる瘴気は、取り付く寸前で届かずに消えてしまった もはや同じ手は通用しない、ザ・リッパーが不利を思い証拠を残す事になっても、命を選択して 瘴気でさっきのゲートを作り出した、逃げられてしまうが今からでは間に合わない、ダメかと思ったその時 「っ!?し、瘴気がぁっ!」 「貴方の瘴気、ここで断ち切らせてもらうわ。」 マリンのフィンカイラが遅れて到着、瘴気による移動を防いだのだった、決着を付ける時が来たようだ もはや逃げる術がないと、ザ・リッパーが強大な瘴気を一気に開放しようと、周りに瘴気を漂わせ始める 「あれを使う気だ!」 「まだだ、ヒースお前のくれた力!無駄にはしない!」 バルガーハが剣を構え直す、それとほぼ同時にガラハドから感じた気が、より強くなり背中に備えられた 月輪が光り輝きながらバルガーハを浮かび上がらせる、近づくべきではないと、俺は皆に下がるように言うと ザ・リッパーが瘴気を放った、周りの民家を巻き込みながらの大破壊、このままでは俺達は・・・ 「ミンチにしてやるっ!!」 「これで終わらせる!フルムーンアーク!!!」 滑空しながらその瘴気とは逆の、包み込むような優しい光がバルガーハの剣から放たれる 瘴気を消しながら、バルガーハとザ・リッパーの距離は縮まり、そして 「ガァアアアアアアアアアアアッッッ!!」 「っ!!」 ザ・リッパーの頭部を貫いた、ザ・リッパーの中から光があふれ出して、周りがもう朝のような錯覚をしてしまうほど 眩い閃光の果てへ、ロンドムを恐怖に染めたザ・リッパーは消滅していった・・・ 「凄い・・・あの瘴気を全部消しちゃった」 「タイトゥンズオープンで強化する相手が、強ければその分が余計に強くなるんだな・・・」 バルガーハの圧倒的な力に、俺達はただ見ているだけだった、次第にバルガーハへかけられた力は、次第に解けていき バルガーハは元へと戻っていた、終わったのだ・・・ザ・リッパーの討伐は、やっと終わったのだ。 「はぁ・・・私らなんにも出来なかったね?」 「そうだね、オイラ達はサボリ気味だったね〜」 「スマン・・・俺の考えが足らないせいで・・・」 「気にしたらダメよ、今回のは予想外だったんだし・・・さて、直さないとね?」 マリンがやれやれと、最後に瘴気で壊された民家を見て、溜息をつきつつ再生魔法を放った 一軒ずつ、直す事になって眠れないと嘆いていた、手伝える事・・・が無いので 俺は頑張れと、そういってガラハドのほうへ行くと、バルガーハが何かを掌に乗せている・・・ 「ジャック・・・」 「あー・・・最後の晩餐って決めてたのに、最後の晩餐のはずが何も食べなかった・・・」 ザ・リッパーだった男、もはや瘴気も無く身体はジャックへと戻っていた だが心までは戻らず、ジャックは虚ろだが力強く空を見ていた。 「君の腕か頬肉を食べたかったのに・・・」 おなか減った、最後に呟いたのはこの言葉だった そういい残しジャックは灰へと変わっていき、ロンドムの風へと消え去ったのだった 「・・・さよならジャック、あそこのオーナーへは僕が事情を話すよ・・・」 「アゼイリア女王、俺の不注意で・・・」 「それはこちらに非があります、幸いな事に人々に被害は無い、それで良いではないですか」 あれから朝になり、俺はアゼイリア女王にザ・リッパー討伐を報告していた、円卓の騎士やマリンは その前に瘴気を完全に祓うため、今は浄化魔法をかけられているらしい、俺は瘴気が微塵もないらしく こうしてアゼイリア女王に、早く報告して安心させる為にやらせてもらっていた 「だが、住民が瘴気で怪物に・・・次が無いとは言い切れん、気をつけねばな」 「はっ・・・それと、耳に停めておいて欲しい事が。」 ジョー達の事だ、彼らの活躍が無ければ死人が出ていたかも知れない、俺が言うとアゼイリアは 何とジョー達を知っていたらしい、ビックリしたが彼らとは、お忍びで町に行く時に知り合ったらしい。 「彼らが・・・分かりました、今夜にでも労いの意味を込めた宴を開きます、ご出席なさいますか?」 「あっ・・・申し訳ない、今日の船で出るんだ・・・」 運がないと、俺が申し訳無さそうに言うとアゼイリアも無理に止める事はせず、次の機会を楽しみにしてると言ってくれた 下がって良いと言われた俺は、俺の部屋へと戻る前にアリシア達の寝顔を見ようと、アリシアの部屋へと向かった こっそりとこのお守りも返しておきたい、アリシアの部屋を小さくノックして入ると・・・ 「ヒース?お帰り」 「無事だったんだね、よかった〜」 「おかえり・・・」 ヤカリとペルソルナがいて、イスでメディナが眠りかけていて、アリシアはベッドで寝ていた 「アリシアもね、最初は起きてヒースの事を祈ってたけど、途中でうとうとして」 「最後には寝ちゃったのよ・・・うぅ・・・」 なるほど、ベルトからお守りを外すと、アリシアの顔の横に置いて静かに「ありがとう」と言って置いた 反応するように微笑んでくれたアリシアの寝顔は、天使のように美しく、戦いで疲れた俺を癒してくれた 「ヒース、今日の何時だっけ?」 「9時だ今のうちに寝ておいた方が良い。」 「そうする、寝ようぜルナ?」 「うん・・・って、メディナは安心してもう寝ちゃったね?」 ヤカリがメディナを連れて、自分の部屋へと戻っていって、アリシアにお休みと小さく呟いて部屋を後にした 俺の短く長い、ザ・リッパーのと戦いは終わったのだった・・・そして朝日が出るまで 俺は出した荷物を詰め込む作業をしていた、次元層から出すのは簡単だ、だが詰め込むのは時間がかかるのだ 「アゼイリア女王、お世話になりました・・・お元気で。」 「アリシアもよい旅を、私はこれからもスリギィのために尽力を尽くす。」 時間は大分過ぎて、旅立ちの時がやってきたアリシアはアゼイリアとの別れを惜しみつつ お互いが手を握りまた会おうと、再会を約束しつつ手を離した。 「・・・ヒース、ザ・リッパーの件は本当にありがとうございました、最後にお伝えしたい事が。」 最後に伝えたい事?一体なんだろう・・・」 「貴方が・・・タイトゥンズオープンでしたっけ?それを使ったころです。」 「それがどうかしたのでしょうか?」 何かやってしまったのだろうか、俺が焦り気味に言葉を待つと、答えがやってきた 「エクスカリバーが震えたのです。」 「この国の神機の剣でしたか?それがどうかしたのでしょうか?」 偶然だと思っていたが、エクスカリバーが震えるなんて普通、あり得る事ではないらしい 「記憶探しの手がかりになると思いました、旅の先に記憶がある事を祈ります。」 「ありがとうございます、それではこれで・・・いつか、また会える日がある事を。」 アゼイリア女王との別れを終えて、俺達は王座を後にする・・・この国ともしばらくお別れだ 良い思いでも、怖い思いもしたが良い国だった、皆は疲れて寝ているだろうし 別れは言えないが、アゼイリア女王が何か行ってくれるはずだ、そう思いつつバイクに・・・ 「はぁはぁ・・・間に合ったか。」 「ガラハド?」 馬が走ってきて、バイクの近くで止まり誰だと思ったらガラハドだった、碌に寝てないのに来てくれた様だ 「さよならを言いに来た、お疲れ様・・・またな、皆もサヨナラって言っていってた」 「ありがとう・・・またいつか会おう。」 簡素だが確かに、次に会う約束をすると、港まで行くべくバイクにエネルギーを送り込んだ、最後に冷やかしておくか 「次に来るまでに、良い嫁さん見つけておけよ?」 「なっ!?ま、まだ見つからないよ流石に」 「ふっ・・・どうかな?」 クスリと笑いエンジンが目を覚ますと、俺はガラハドに親指を立てて幸運を祈った サイドミラーでガラハドが手を振っているのが見えた、この国で良い友人が出来たな・・・ 怖がってた頃を思い出し、苦笑いをしていると後ろからアリシアの声が聞こえた。 「あの、ヒースさんお守り・・・」 「あぁ助けてもらったし、アリシアに返すとするよ、危ない所を助けてもらった・・・ありがとうアリシア。」 何処と無くアリシアは嬉しそうに笑っていて、その微笑でこっちも嬉しくなったが、ちょっと眠そうにしていた 「そういえば、アリシアも碌に寝てないんだよな・・・船に付くまで寝ててくれ。」 「それじゃあ・・・お言葉に甘えます、おやすみなさいヒースさん」 荷台で皆は、もうぐっすりと眠っているらしい、俺も睡眠欲があれば今頃はグッスリと夢の中だろう さて、次は何処へ行くかな、そんなことを考えながら、バイクを少し早めて港へと向かう 船の旅は快適なものであると良いが、いや皆はすっかり寝てしまうだろうし、微笑ましくはあるだろうな。 続く