前回のあらすじ カリメアにさらわれたヒースは、そこでファットマンと戦いその真意を確かめ、仲間の下へ帰るのだった 「今どこら辺なの?」 「ここだ、もう直ぐだろうな。」 さて、この前の町からはや数時間。俺達は当ても無く・・・と言いたかったが、近いのは魔法大国だった 折角だしウィズラドに進む事になったのだ、顔見せ・・・はしなくて良いだろう。 「どうしたんですヒースさん?」 「いや、なんでもない・・・もうお昼か。」 そういえばこんな時間か、文字通り道なき道を行ってるんだし、ここで止まっても迷惑にはならなかった 何時ものように必要な調理具を出し、材料を聞くと今回は・・・むっ?ラーメンだよな? 「なぁ、何故カレー粉?」 「隠し味ですよ」 なるほど、ある程度インスタント(まぁ、ダシを取ったりしてスープを作るだけにしても、時間がかかる)で アリシアがラーメンを作り始める。そういえばションマオは元気だろうか?そんな事を思いながら 食器を出したりしてると、ヴェータがやってきて・・・むっ?カセットコンロの火を消した? 「日の調節は任せろ。ガスを少しでも節約できる。」 「ありがとうございます、これで大分ガスの節約が出来そうです♪」 「・・・アリシアって意外と庶民的だな」 手伝いに来たヤカリが少し笑ってる。まぁアリシアってお姫様と言う割りに、意外と庶民的な所があったりする 前にも思ったが、アリシアは贅沢とかさせられてたのか、ふと疑問に思った。 「えっ?これはお母様が「遭難したり、駆け落ちしてもいいよう」って、教えてくれたんです。」 「テレサ・・・」 いや、遭難は分かる。遭難は分かるが駆け落ちって・・・まぁ、テレサらしいと言えばらしい そうこうしてる間に、完成したらしい。インスタントのはずなのに良い匂いだ。 「アリシアが作ると何でも美味いよなぁ、何かズルイ。」 「だよね、私も昔アリシアにご飯、作ってもらったけど凄く美味しいの!」 「姉さま程じゃない、が美味いな」 ヤカリとウェンディは、アリシアの料理の腕を羨ましそうにしていて、アリシア弄りを・・・する前に 今回はアリシアのほうが上だった。麺が延びるというと二人とも急いで、麺を啜り始める。 それを見てメディナが、フッと嘲うように笑っていて、麺を・・・啜り終わって顔をゆがめる 「熱っ!」 「ははっすげー顔!」 「あ、熱い物は熱いんだから、しょうがないじゃない!」 そして何時ものように、ヤカリとメディナが喧嘩していた。それを横で微笑んでるアリシアとウェンディ 何時もと変わらないな。と思ってたらヴェータがラーメンを食べ終え、俺の肩を弱めに叩いた 「何時もこんな感じなのか?」 「むっ?そうだな、何時もこんな感じか?」 「良い物だな、恵まれてる。」 「まったくだな、料理は舌が肥えるほど美味いし。」 俺がスープを全部飲んだのに対して、ヴェータは半分しか飲んでいない、ラーメンのスープは全部飲むと 身体に悪いらしい、そうだったのか・・・むぅ、今度から半分までにしておこう。 「さて、ご馳走様だ、ありがとうアリシア女王。後は僕がやっておく」 「あっ良いですよ、何時もこうしてるので。」 何時ものように水玉を出現させて、食器をそこに入れるとヴェータが少し驚いてた、俺にはこっちが驚いた レヴィア閣下なら、こういう魔法を重宝するだろうし、ヴェータが近くで見たりしても・・・ 「姉さまは後片付けも自分でする、後片付けも含めて料理なんだろうな。」 「あぁ・・・レヴィア閣下らしいな。」 あの人なら、手あれだ何だを気にしないで皿洗いも楽しんでそうだ。男二人で食べ終わるのが早く ウェンディとヤカリは少し麺が延びて、四苦八苦していた、メディナは熱いからか四苦八苦していたが 麺が伸びる前に食べ終わっていた。まぁフーフー冷ましながら食べていたからだろうが、食べ終わって 唇を少し揺らしているのは、熱いからなのだろうアリシアが水を与えていた。 「無理せずに残してよかったのに」 「だ、だって・・・」 むっと膨れるメディナを見て、さっきので気にしてるんだろう、アリシアもそう思ってるらしく メディナの機嫌を直すように、頭を撫でながらあやしていた。 問題のメディナはと言うと、延びた麺を相手にまだ苦戦していた、腹を抱えてバイクで寝てそうだ 「まぁ、賑やかなのはいい事だけどな。」 「もうそろそろか?」 「だな。」 あれから30分程度、また俺達はウィズラドへの進路へと戻っていた、予想通りヤカリは寝ている 「ヤカリー、ねぇ・・・ダメだわ起きない。」 「グッスリだね。こっちおいでよ」 「わ、私の所でも良いわよ?」 ヤカリはいびきを掻いて寝ていて。ペルソルナはじゃんけんでウェンディの膝の上に乗って、ごろごろしている ヴェータは馬車で言う、操縦席に座ってこれからの事を話してる、アリシアは隣で本を読んでいた 「むっ?読みづらいか?」 「いえいえ、お気遣い無く。」 「酔うなよ?」 そのままアリシアはページを捲り、本の方へ目を移した。知的で美しい・・・が余所見運転は危ない。 「そういえば、ヒースはウィズラドに行った事があったな?」 「うむ。色々大変だった。」 ウィズラドじゃシーリア達とはぐれ、ついでにウォルズと戦い、王女のレイニアに肝を冷やされた。 その後に暗黒帝国に呼ばれて・・・考えてみると。一人旅の最後によったのがウィズラドなんだよな 「色々あったなぁ」 「言っていたな、また同じような事が起きないと良いが。」 「まったくだ。」 ヴェータと俺が苦笑していると、前に馬車が見えたが動きがない。車輪の近くで何かしてるし どうやら事故のようだ。ちょっと立ち止まると後ろに言うのだが 「ペルソルナ!私の膝の上にきなさい!」 「私のほうにいるんだし諦めてよ!」 「いやー!二人とも引っ張らないでー!」 「ZZZZ」 内部ではペルソルナをめぐる戦いと、ヤカリの熟睡が始まっていた。 「分かりました。」 「何かあるかもしれないし、一応用心しておけ。」 バイクを馬車から少し離れた場所に止めて、馬車に近づくと・・・案の定、車輪が壊れていた。 声をかけるとどこかで見た感じの、しかもどこかで聞いた声がする 「・・・ミスト!?」 「ヒースじゃないか!」 ミストだ!という事はシーリアも・・・いた、馬車の反対側から出てきた。 「ヒース!お久しぶりですねぇ」 「おいおい、このごろ再会のオンパレードだな!二人とも元気だったか!」 握手・・・と言いたかったが、二人とも工具を持っているから、工具箱の中に道具を戻していた 二人はレイニアに会いに行く予定だったが、運悪く馬車の車輪がダメになったらしい 変えの車輪を使うために取り外し、つけようとしているのだが。 「これが中々難しくて・・・」 「シーリアはこういうの慣れてないんだよ。」 「そうなのか、手伝おう。」 工具を借りると、さっさと車輪を取り付けておいた、ミストの側は終わっていた・・・って待てよ? 「魔術師が交換作業が得意なのもどうなんだ?」 「ははは!いいじゃないかい!」 「ヒース一体どうしたんだ?」 ヴェータが来ると、俺が工具をもってるのを見て大体の事が分かったらしい、俺が工具箱にスパナを戻してると ミストが自己紹介を・・・って待てよ、これって少し気まずいのではないだろうか? 「ヴェータ・・・あぁ、なるほどね。」 「むっ・・・ミストといえば・・・」 どっちも俺の話で、勘付いているし・・・どうしよう。そう思ったのだが・・・ ミストもシーリアも、闇黒連合に恨みは抱いていないのだ。 「あぁ、ヒースと一緒って事は暗黒帝国の皇子さまかい?」 「そうなる・・・な、そっちはカーディナルのか。」 どっちも気にしていないようで助かった、レイニアと会った時と同じくらい肝が冷えたぞ。 「驚いたね、一緒に旅してるなんて」 「立場的に難しいでしょうし、どうしたんです?」 「女のために、なんて見苦しい理由でな。」 ヴェータの女の事も、二人とも知ってるし笑って過ごしていた。ヴェータはヴェータで少し 恥ずかしそうに顔を俯けていた、そんなヴェータを見て、ミストが少し笑っている この笑いが意味するのは、ミストの事だ楽しい事でも浮かんだのだろうな。 「次は何処いくの?」 「ウィズラドだ。」 「よっしゃ!私らも行く途中だし一緒にいこーぜ!」 楽しい事だった、こっちは良いのだが・・・アリシア達は大丈夫だろうか?戻って聞いてみると アリシアは普通にOKで中の4人は・・・うわぁ 「つ、潰れるっ!」 「ZZZZ・・・」 「大人しくペルソルナを渡さないからよ!もうっ!」 「わ、私の人権は無視なの〜!?」 「おいおい、重力魔法を使うなよ」 メディナが重力魔法でウェンディを制して、ペルソルナを奪っていた。ヤカリはヤカリで未だに寝ているし ヴェータがそれを見て、助けに入ろうとしたが鼻血を拭いて倒れ、俺が急いで抱き起こした。 「ヴェータ!ヴェータ!!」 「床に・・・胸が・・・つぶれ・・・あれは反則・・・」 ヴェータはウェンディの悩殺モードに倒れたらしい、だが性欲がない俺には関係ないので、ヴェータを寝かせると さっさとメディナを止めて、客人が来るのを言っておいた。まったくペルソルナの事になるとメディナは熱心だな 「だ、抱き心地いいんだからしょうがないじゃない!」 「ぬいぐるみでも後で買っておくよ。」 「子ども扱いしないで!」 フンっと不機嫌そうなメディナの頭を撫で、ペルソルナ相手にムキになるんじゃ子供だと言うと、それからダンマリだった 「ミストーシーリアー大丈夫だー」 「おーっんじゃ世話になるよー」 「お願いします、よいしょっ」 馬車は次元層に送り込んで、馬だけ横につけて改めて走り出した。アリシアが少し首をかしげて シーリアを見ているが、何かあるのだろうか?バックミラーを少し動かして見てるか悩んだが わき見運転は危険だ。皆の命を仮にも預かるんだし耳だけで我慢しよう。 「・・・どこかでお会いしました?」 「やだ、忘れちゃった?私はシーリア・・・カーディナルの皇女ですよ。」 「し、シーリアさん!?本当にシーリアさん!?」 随分と驚いて、それから抱きついていた。これにはシーリアもビックリしている、どうしたんだろうか 「知り合いか?」 「知り合いです!お話は聞いてたけど会えるなんて!」 感動したように抱きついているアリシアに、嬉しそうにシーリアも抱き返していた シーリアは意外と王女関係とは、仲が良いようだ。 「父親はだめな暴君だったんだろ?」 「まぁそうですね。けどそれなりに昔は色々な国と関係を持っていて」 「ふむ、シーリアなら親しくはなれそうだ。」 まぁきっかけさえあれば、性格が良いシーリアの事だし年齢が同じようなレイニアやアリシアと仲が良くても あり得なくはないか。シーリアが死んだって話が流れたり、生きてたと聞いたりして会えれば嬉しくもなる。 「本当に久々ですね!何年ぶりでしょう?」 「忘れちゃった、けど久々ね〜」 感動の再会の横で、ヴェータはお邪魔にはならんと言う風に、中の方へと帰っていく・・・ が、これは甘い罠の始まりだろうな。中にはミストがいるんだしきっと 「んで?出会いはどこら辺よ!」 ヴェータ達が赤面してるのが簡単に想像できた。まぁ頑張ってくれよ二人とも ウィズラドまで俺は不干渉を貫く事にするのだった。 「そ、そんな事まで話せるわけ無いでしょ!」 「いいじゃないか!恋話の二つや三つ」 「ウェンディは二つしかない!」 「ほほぉ!それじゃどういう感じよ!」 「それで、ヒースさんが・・・」 「本当!?ヒースってばスケベロボ〜」 「お、おい!あれは不可抗力だ!」 ウィズラドに近づくに連れ、雰囲気に慣れてきたのか、アリシアもシーリアも楽しそうだった だが旅の話で、俺の恥ずかしい所を言うのは勘弁して欲しい。 スリギィで風呂を覗いたのは事故なのだ、あれは好きで覗いたわけじゃないっ!! 「へぇ〜・・・随分とお熱じゃないか?」 「だよな?私も始めて聞いた」 「ヴェータってば練習相手も・・・」 あっちはあっちで楽しんでいるようだ、だがウィズラドももう近い。そろそろ別行動だろうか 門の前に到着すると、兵士が俺の顔を見ている、賞金首としての名は未だ残っているのか? 「ヒース殿ですか?」 「あぁ、そうだが・・・」 「ストゥリガ様が、来たら連れてくるように言っておられました。」 この国の女王が?何の様だよ・・・まぁいい、ヴェータ達は・・・着いてこなきゃ駄目な様だ 一国の皇子や王女がいるんだし当たり前か、シーリアも一緒にいるんだし、このまま行くか。 「女王様が俺に用があるんだとさ?」 「ストゥリガ女王が?なんでしょうね・・・」 「何かあるのかな?まぁ危害は加えないよ。」 「大丈夫だろう、もう敵対関係はとかれたし」 「またお城!?わーこのメンバーで旅するようになってからスゲーな。」 こうして城の方へ向かう事になったのだが、周りを見ると魔法特化だからか知らないが 俺のようにバイクに乗ってる人が少ない。それどころか車やバスも無かった 「あの時と違う・・・」 「それはそうだよ、あの時はお祭りだったから車とかあったけど。ここは科学は発達してないの。」 「外国産の車とかならあるんじゃないのか?」 「まぁそうなんだけど、使う人は少ないかなぁほら、あっち見て。」 言われた方を見てみると、箒・・・のような、浮遊バイクやら馬車が走っている。 なるほど、こういうのがあるから車やバイクが少ないのか あっちから子供達が珍しそうにバイクを見てるのも納得いく。 「アリシアやシーリアは使えるのか、箒とかそういうの」 「一応は使えますが、あまり運転は得意じゃないです。」 「私も長い間使ってないなぁ」 まぁ二人とも運転とかは得意じゃ無さそうだ、と言うとかわいそうだし伏せておいた、しばらくすると 城が見えてきた、城を見るのは久しぶりだが入るのは初めてになるな アリシアは来た事があるらしいんだが、随分と前で内部の構造は忘れてるらしい。 「・・・スマンな皆、シーリアとミストは来る予定だったが・・・」 「大丈夫ですって、久しぶりにレイニアさんにも会えそうですし。」 「レイニアもアリシアに負けないぐらいの美人になって、見間違えますよ?」 「へっ?あっ・・・けどシーリアさんも、美人になりましたよ」 少し頬を赤らめながら、アリシアが俯いてシーリアは楽しそうに笑ってた。やはりアリシアは弄られ役だな さてこうして、城の中へ入るとバイクは箒と一緒にしておいてくれと、バイクはさっき見た箒のような・・・ と言うより、やっぱりあれは箒だったのか。そんな事を思いながら馬車を呼び戻して馬小屋のほうへ送っておいた 「こちらです。」 「あー・・・こういうの、これから慣れとか無いと駄目かな?」 「ヤカリは荒々しいから難しいでしょうけどね。」 「大丈夫だよ、私もレヴィアさんの所にいたら自然と慣れたし。」 「だね、ヤカリは飲み込み早いほうだと思うし、なんとかなるさ。」 「僕からも保障しておこう、今まで王族と馴れ馴れしいぐらい親しくしてるんだしな。」 ヤカリが王族相手に接するの慣れない。と少し憂鬱そうだったが、まぁヤカリは何だかんだで飲み込みが早いんだし 慣れるのも早いだろう。ヤカリが少しホッとしたようにしていると、俺の肩に乗ってたペルソルナが 少し心配そうに溜息をついた、なんだと思ったら 「けど、ヤカリって調子に乗りやすいよね・・・」 「あぁ・・・まぁ、うん。けどヤカリもそこまでじゃない。」 大丈夫だろうと、ペルソルナを撫でるとちょっと納得していた、さて・・・ついに来てしまった 重々しい扉を開けると、その先にはレイニア・・・と少し似た感じの大人の女性だった 「ようこそ、お久しぶりですねアリシア王女、そして始めまして皆さん。シーリアにミストも遠い所を遙々と、娘に会いに来てくれてありがとう。」 彼女がストゥリガのようだ、少し柔らかめの物腰だが奥に少しだけ、冷たい物がある・・・レイニアと同じ 彼女も氷使いなのだろうか?皆が膝を突いているとストゥリガ女王は、話を続けていた。 「アリシア王女、お母様から話は聞いております。長い旅だそうですね。」 「労いの言葉、もったいありませんわ。」 「昔となんら変わりないようで、これからもどうかお体にお気をつけて。」 物腰がさっきより柔らかい、声も奥にあった冷たさが無いに・・・どちらかと言うと、今のストゥリガ女王は 氷というよりは太陽だ。暖かくて安心できる。そんな感じの声と雰囲気 「ヴェータ・スペリオル・・・姉の女帝レヴィア・スペリオルから話は聞いております。」 「はっ、何とも恥ずかしい話ではあります」 「いえいえ、男の子はそれぐらいでなくては。銀の戦刃との関係が末永く続く事を願います。」 「なんと・・・有難きお言葉、感謝いたします。」 ・・・しかもだ、俺の直感で王女よりもお転婆な気がした、いやお転婆と言うよりも恋話だのが好きそうだ 時々思うんだ・・・何故、何故に女王の方がはしゃぎ易いのだろう。レヴィア閣下は言うまでもない テレサもだし、意外と雪の姫もだしあのアゼイリア女王もそうだ。拡大的に考えればエラもじゃないか 「堅苦しいのはここまでにしましょう、レイニアは何時もの場所に。皆さんは客間にお待ちください、少しヒースさんを借りるとします。」 「・・・」 「分かりました、皆さん行きましょう。」 ・・・さて、ちょっと皆が心配しながら俺は部屋に残された、一体何の話なんだろうか・・・ 「改めて、始めましてですね。」 「ハイ、私の名は・・・」 「そこまで改まらなくても良い、どうか楽にして欲しい。」 体勢を崩すことはできないが、言葉遣いは少しは楽にして良いだろう。俺はストゥリガ女王の言葉を待った 「今回はいきなりで申し訳ない・・・が、どうか聞いて欲しい。」 「何なりと」 「そういってくれると助かる、フィラ。」 ストゥリガのほうが、雰囲気を崩し親しく話してくれると、何かが耳に入ってくる 声?だがここにいるのは・・・まただ、誰かが俺に話しかけている。 「始めまして、聞こえていますか?」 「だ、誰だ!?」 兵士は門の外、一体なんだ!ストゥリガ女王が危ない、体が先に女王の近くへと走り出して 門の前の兵士に助けを求めようとしたが、ストゥリガ女王が俺を制止した。 「落ち着きなさい、やはりいきなりではダメではありませんか。」 「やはり違う・・・か。」 なんだ?ストゥリガ女王には、何か見えるのか?焦る俺に、ストゥリガ女王が解説を始める 声の正体はスフィラ・ワーレ彼女の愛機で、四元素・・・たしか風・火・水・土だったか? この国に存在するそれらの総括精霊だそうだ。それが俺に何の様だ? 「俺に何のようなんだ・・・?」 「貴方に会いたかった。」 「俺に・・・まさか!俺を知っているのか!?」 「知っているだけならば、だが古からではなく、このごろの活躍を聞いてですが。」 なんだ・・・まぁ、俺が勝手に期待しただけで、そんなに都合が良いはずも無い。 だが何故に俺をここに呼んだのだろうか? 「古い記憶に、貴方に似た何かがあった・・・それで、引っかかっているのです。」 「・・・?」 「忘れ去った嫌な記憶ですが、その記憶と貴方が似ていて・・・」 ユグドラシル・・・奴も・・・  恐怖の輪郭   俺は・・・俺はそんな古くから存在するのか? それじゃあ俺の記憶の手がかりは?どうすれば・・・いや、非現実的だ。 「間違いでしょう、そんな古くから存在するはずない。」 「・・・・そうですか、貴方の言葉を信じるとします。」 安心すると同時に気配が増えた。今度は敵かと禁忌を出しそうになったが、またストゥリガに静止された 今度はなんだと思っていると、また何かが頭に話しかけてくる、何だ一体・・・ 「ずりーぜ!おいおいフィラちゃんよー!良い男を独り占めか?女王も女王だ!」 「グラディーンか・・・」 何だ一体?随分と騒がしくスフィラ・ワーレとは正反対だ、コイツも精霊なのか? 「はぁ・・・彼はグラディーン、我が国に眠る龍が転化した魔道ロボです。」 「そゆこと!おいおい随分とまぁ・・・良いのが来たな?」 「グラディーン、少しお静かに・・・ストゥリガ、如何いたします?」 「黙らせておきなさい、ヒースとて迷惑でしょうし。」 グラディーンとか言うのの、ギャワシャーと言う凄まじい悲鳴と共に、グラディーンの声が消えた・・・ 何だか心配になるな、苦笑いをしているとストゥリガが、こっちを向いて少し溜息をした。 「すまなかったな、用は済んだ・・・寝床はあるか?無いならば泊まって行くと良い。」 「宿屋を探してなかった時は、お世話に慣らせて貰います。」 こうして俺は王座から離れる事ができた、さてアリシア達の所に行かないと・・・ 兵士の案内で客間まで行くと、アリシア達はいたのだがなぜかヴェータ達がいない 「あいつ等は情報集めだ。」 「しばらく帰ってこないわ、ミストとシーリアはレイニア王女の所に。」 なるほど、あの二人はウェンディの仇を探す事が目的だしな。ここにいるのはアリシア達だけか 「私はレイニア王女に呼ばれてるんですけど、一緒に行きます?」 「いや、俺は・・・ちょっと合いたい人がいる。」 ここに着たんだ、ウォルズに会いに行くとしよう。俺はまたアリシア達と別れて 兵士に道を聞いてウォルズのいる所まで案内させてもらうのだった 「情報はないか、残念だったな・・・」 ウィズラドには手がかりは無かった、目星をつけた奴らはあらかた捕まってるか、他の場所での目撃があって ここでは絶望的らしい。少し残念そうにしながらウェンディが、俯きため息をついている・・・ 「ウェンディ元気を出してくれ」 「うん・・・」 ダメだ、僕が思ってるよりも落ち込んでるらしい。まぁ目撃情報が全部ここから離れた場所だ そこへ行っても、その前に目的がどこかへ行ってしまう。 「・・・むっ」 ケーキ屋・・・そうだ、ヒースとあったときもケーキ屋だったらしいし、行ってみるのも悪くない ウェンディの手を引っ張り、店の中に入ると中は飾り気が無く、人気も少ない まぁ小さいし少しボロいしな。これぐらいはしょうがないのだろう・・・そういえば 「ヴェー君!私アルバイトしてるの!ケーキ屋さんなんだけど今度きてね!」 「ちょっ姉さま!?」 姉さまがウェイトレスの格好してる時、本当ビックリしたけど似合ってたな・・・って待て 違うそうじゃない。幸い席が空いているんだし席を取り、ウェンディを座らせると 適当にケーキを・・・むっ?これは確か・・・ 「あっ・・・これ綺麗だね・・・」 4種類あり、全部がゼリーでコーティングされているが、あるものは赤く中はイチゴやリンゴを使っている もう一つは緑色で、中にはメロン。青いのはソーダか?中にはブルーベリーが入ってる 最後のは黄色いゼリーで、中には栗が入っている・・・姉さまが昔、作りたがってた四元素をイメージしたケーキか 「これでいいかい?」 「うん、宝石みたい・・・」 4つ、炎属性と水属性が僕で、風属性と地属性はウェンディが食べる事にした 姉さま程ではないが美味しい。姉さまが作りたがったのもわかる。 「ありがとうねヴェータ・・・」 「気にしなくていい、恋人が落ち込んでる時は助けたい。」 こうやってウェンディの事を、平然と恋人と呼べるようになって、幸せなのだがウェンディは少し恥ずかしそうだ まだ少し早かったかと思ったら。いきなりウェンディのスプーンが口の中に入ってきて、ケーキを口の中に入れてきた 「むっ・・・美味しい」 「ありがと・・・大好き。」 その時のケーキは、何時も姉さまが作ってたケーキより、砂糖は少ないはずなのになぜか 甘く感じれた、側近に目安に煩いの(別の国のだったか?)がいるし、そいつが見たら騒ぐだろうな。 「涼しいですね〜」 「すまない、暑いのは苦手で・・・」 「昔からですよね、運動も私と同じくらい苦手で、直ぐに熱さで動けなくなってましたもの。」 久しぶりの再会の後、レイニアさんの部屋でティータイム。レイニアさんは暑いのが苦手で こうして部屋は水属性の力を借りて、少しだけ涼しくなってるんです。 「何?昔の話?」 「えぇ・・・私もレイニアさんも、昔は・・・いえ、私は今も運動が苦手で・・・」 「私もだ、暑くなるのがダメで・・・」 昔の事で苦笑していると、メディナちゃんが納得したような顔をして、冷たくした紅茶を飲んで・・・ 顔を歪めてる、砂糖は何時もと同じ・・・あぁ。冷たいと味が薄く感じるから 砂糖の量が足りなく感じたんですね、はわはわと口を振るわせ、メディナちゃんはケーキを頬張って 「ははは、子供じゃ苦いのはダメだね」 「何よっ・・・私は苦いのと辛いのが、極端に苦手なの!生まれつきなのよ!」 プクっと膨れて、アイスティーに少し砂糖を足して、かき混ぜていると シーリアさんがちょっと心配そうに、メディナちゃんの頭を撫でて 「ミストかわいそうだよ、ゴメンねメディナちゃん」 「良いって、メディナは弄られなれてるし。」 「やりすぎはかわいそうだよ!」 ポコッと音がすると、ビニールで出来た剣・・・いったいどこから・・・ ペルソルナちゃんがビニールで出来た、自分の剣でヤカリさんを叩いて、頭の上にひよこを飛ばしてました 「ははは、随分と楽しい仲間だな・・・旅は楽しいか?」 「はい。辛い時もありますけど皆が助けてくれますし」 「ふむ・・・旅の話し、聞かせてくれるか?気になる。」 レイニアさんに笑顔で答えると、それからディオールから出てからのお話・・・ディファクターのは飛ばして良いですよね ヤカリさんに会った頃の、小さな村でのお話から・・・ 「・・・良い感じ、スケッチして良い?」 「すけっち?」 「あっヤカリさんは絵を描くのが好きなんです、良いでしょうか?」 二人とも快く許可を出してくれて、ヤカリさんは早速、絵を描き始めて・・・けど メディナちゃんは席を外してしまいました、何でだろうと思ったら 「王女様3人のが統一感あるでしょ?そっちのが見たいし。」 「残念・・・可愛くお願いね?」 「普通にしていれば良いか?」 レイニアさんがちょっと焦り気味に、口元を拭いていると、ヤカリさんがそのままでいいと 筆を進めてレイニアさんが、口元に着いたクリームは描かないでと言い 白い肌を赤くしつつ、アイスティーのお変わりを貰って・・・なんだか、可愛いですね・・・ 「ふふっレイニアさん可愛いです。」 「レイニアはキレイだけど、動作が可愛いんですよね」 「ふ、二人とも簡便してくれ・・・」 ますます赤くなるレイニアさんに、ヤカリさんが苦笑気味に恥ずかしがってる所を描くかというと。レイニアさんが また驚いてキリっとしてると、笑いが零れてシーリアさんも私も、口元が緩んでしまいました 「むぅ・・・」 「何だかんだで、氷のレイニアって異名の王女様も、可愛い所あるのね。」 「女の子ってのは、そういうもの何だよ。女になればそれが薄れるのさ。」 ミストさんが偉そうな感じに、腕組をしてメディナちゃんに大人の女性の事を伝授するけど、そうしたら・・・ お母様は大人の女性じゃないですよね。心の中で苦笑してるとミストさんにシーリアさんが突っ込みを 「ミストも不意を打たれると、可愛い所あるよね?」 「何よ、偉そうに言ってるけど同じじゃない。」 「ぐぅ・・・シーリア突っ込むなよ」 「皆、可愛い所があるでいいんじゃないかな?」 ペルソルナちゃんがしめて、また今度は別のお話に・・・ヤカリさんは真剣なのか、スケッチに夢中でした こうして、私達は久しぶりの会話を楽しんでるんですけど・・・ヒースさん、どうしてるかな? 「ウォルズはいないのか?」 「生憎、今は・・・あっ帰ってまいりました!あちらへ!」 兵士に案内されて、休憩所に連れてこられたがウォルズがいなく、帰ろうとしたら丁度帰ってきた 隣に誰かいるが、まぁ戦友か誰かだろう、行ったら驚くだろうな。 「ウォルズ!」 「・・・?その声はヒースか!!」 鎧を着て、熱気に包まれるウォルズが俺に手を差し伸べ、握手をすると訓練の後だと言うのが分かった この熱さじゃ発狂しそうだと、ウォルズはシャワー室へと急ぎたいようだ。 「知り合いか?」 「前に言ったろ?ヒースだ。」 隣にいた男は、静かそうなポニーテールの男で静かな感じだ。ウォルズの戦友だと思っていたが 予感は的中していて、彼は兵団長の一人のバルト。炎属性の魔術だそうだ。 「・・・サラサラの青髪・・・白い肌・・・これで女なら良かったのに。」 ボソリとだが、今さっき凄い事を言われた気が・・・ウォルズが耳元で話すと 「アイツはむっつりなんだ」 なるほど、笑って誤魔化すと二人はシャワー室へ行って、俺はしばらく休憩所で待つ事になった 二人の自主トレーニングだからか、誰も人がいなく、休憩所はガランとしていた しばらくすると、二人ともさっぱりとしたラフな姿で、こっちへと戻ってきた。 「待たせた、久しぶりで嬉しいよ。」 「俺もさ。どうだった?何かあったか?」 特になにもなく、テロにもあってないとウォルズがスポーツドリンクを飲んで、一息ついていた 横でバルトもスポーツドリンクを飲んでいて、またボソリとつぶやいた。 「・・・聞きたいんだ、お前のたびにはアリシア王女が同行してるらしいな?」 「そうだが?」 「・・・どうだった?サイズとかは?」 「ウォルズ・・・むっつりなのか?随分とオープンだな・・・」 こんなに積極的なのは、久しぶりだとウォルズが焦っていた、アリシアのサイズ・・・まぁ 詳しくないが、細いのに出てるし・・・って俺は何を!? 「危なくペースに乗せられる所だった、まぁサイズは想像通りとでも。」 「ははは、バルトも一本取られ」 ウォルズがまたドリンクを飲もうとすると、いきなり口を離した。なんだと思ったら 唇を真っ赤にしてる、どうやら・・・まてよ?なんで熱くなってるんだ? 「お前っ!ブレイズプール使ったな!」 「ふっ・・・」 「ブレイズプール?」 「バルトの得意な魔法でな、水に干渉して炎を出すんだが・・・それ使ってドリンクをホットにしたんだ」 なるほど、気の毒にと笑っているとバルトは残念そうにしてる、アリシアのサイズは詳しくないが セクハラになるのでこれ以上は忘れよう。 「はぁ・・・そっちはどうだ?」 「色々大変だったな、変態に襲われるわで・・・」 「ははは!スリギィの大活躍は聞いてたが、そうなってるのか!」 スリギィのザ・リッパー退治は有名らしいが、俺の扱いも極端だなぁ・・・ ふと笑っているウォルズに、さっきの事を言うと、大分驚いていた。 「随分とまた・・・グラディーンだけでもすげーのに。」 「むっ?」 あんな性格ではあるが、グラディーンは凄まじい力を持ち、自らにふさわしいものにしか 心を許さないらしい。随分とすごいのに好かれたな俺も・・・ 「どうだ?会ってみるか?」 「うー・・・まぁ、行ってみるのも悪くないか。」 何か凄まじい悲鳴を上げていたが、俺は悪くないよな・・・多分、ウォルズが少し服装を整えると 宝物庫へ・・・バルトも来るようだ、グラディーンが認めた男は珍しいかららしい。 「・・・ここか?」 「中にいる、まぁ気をつけなくても良い。」 気をつけなくても?普通逆じゃ・・・と思ったが、まぁ操縦者を待っているなら動けまい だがこの先、俺達を待っていたのは想像を上回るものだった・・・ 「反省してる、だが後悔はしない!」 「後悔もしないか!客人にいきなりは無かろう!」 巨大なロボットが、ストゥリガに怒られている。何ともシュールで唖然としてしまった ストゥリガが存在に気づいたようで、ちょっと慌て気味にコホンとわざとらしくして 「・・・女王はぁはぁ・・・」 「おい、女王にはぁはぁするな。既婚者だぞ」 ストゥリガがさっきのを見られて、恥ずかしかったらしく怒るのをやめている、するとグラディーンが 俺を見てさっきより確かな、龍の咆哮のような凄まじい声で歓喜を表していた。 「おぉ!俺に乗る気になったのか!」 「いや、見に来ただけだ。」 グラディーンががっかりとしてるが、まぁ俺には禁忌がいる。乗換えなんてする気は無い 「なんだよ、お前さんは良い魔術師になれそうなのに。」 「インスタントの魔力しかないから、勉強するだけ無駄さ。」 そういえば、マリンが魔本の事でウィズラドの事を言っていたな、ストゥリガ女王ならば この本が何の魔本なのかも分かるだろう。聞いてみるとしよう。 「ストゥリガ女王、折り入って頼みが・・・この魔本、見覚えありませぬか?」 「これは・・・ふむ」 ストゥリガ女王が、ページを開いていると少し険しい顔をして、ページを全部めくると まず出てきたのは、マリンと同じ感想だった。古代魔法なのは知ってる・・・ 「古代魔法、属性は無属性と考えて良いわ。細かくすると無属性4の5型か。」 「・・・全然分からん。」 「それはそうだ、私が勝手に名づけてるだけで本来は名無し属性だ。」 とんでもない属性だな、まだ完全に解明されてないわけでなく、無属性なら無属性で良いと 学会であまりに細かく分ける気は無いらしい、まぁ細かく訳でも結局は属性は同じか・・・ 「それにしてもヒースよ、本当にグラディーンを持っていかないのか?」 「あぁ、禁忌が俺にはある。」 「そうか、うるさいから持ってってくれると助かるんだがな。」 「おいおい!扱い酷いな!」 まぁ煩いからって言うのは分かる、だがグラディーンが魔本を見た時、目の色を変えたように ストゥリガ女王へ手を伸ばす。バルトがストゥリガ女王を守るように前に出るが 目的は違うとグラディーンは魔本を見つめる、ストゥリガ女王がなるほどと魔本を手渡すと 「・・・これ、どこで見っけたよ?」 「シュコトーの古代遺跡だ」 「なーる、良いもん持ってるな大事にしな、旧時代の高級な魔本だ。」 古代からいるだけあって、これがどんな魔本かは分かっているらしい。 ストゥリガに献上するかと思ったが、これは俺が持っていろと言われた 「お前が持っていると良い、見た所は魔力もあるらしいし、助けになるだろう。」 「ありがとうございます。」 さて、こっちでの目標は終わったし、戻ってまた・・・と思ったがストゥリガ女王が待ったをかけた 「なんでしょうか?」 「そうだった、お前の旅の話を聞かせてくれぬか?」 むっ・・・何故だ?ちょっと疑問に思ったが、物好きなのだろう。 「レヴィアやテレサから聞いてると羨ましいからな・・・」 「むっ?」 「なんでもない、行くとしよう。ウォルズたちも来るだろう?」 「お言葉に甘えて。」 「私は遠慮しておきます・・・(ソボッ)いつ見ても良いケツと良い乳だ・・・」 「触ったら死刑だいいな。」 「綺麗だな・・・」 「我ながら力作だな」 あれから数時間、ヤカリさんが完成させた絵は、とても素人とは思えないような けどどこか独特のタッチの絵で、レイニアさんが見惚れているのも分かる気がします。 「本当・・・」 「隣で見てたけど、すげーなヤカリは・・・」 「ヤカリは絵は一流なの、芸術と遠い存在だと思ってたのに。」 「まったくね、我流でここまで何て化け物じみてるわ。」 感心してみてるミストさん達に、何だかヤカリさんが嬉しそうな恥ずかしそうなで、見ててこっちまで嬉しくなって けどもう大分時間が・・・宿、探しておかないとダメですね。 「皆、いるかい?」 「ヴェータさん?」 ドアをノックする音がして、メイドさんがドアを開けると後ろにはヴェータさんが、どうしたんだろうと思ったら 宿をついでに見つけておいてくれたようで、助かりました。レイニアさん達は少し不服そうですけど このごろお城にお世話になりっぱなし、これじゃ何だか駄目な気がしますし・・・ 「残念だな、夜まで語り合いたかったが」 「夜まではここにいても良いでしょうか・・・?」 もうちょっとお話がしたい、我侭を言ってみるとヴェータさんは構わないみたいで、ヒースさんが許可を出せば良いだろう ヒースさんはどこか、分からないから探す事に、けどどこにいるんだろう・・・ 「メイドに聞けばよいだろう?」 「知ってると良いんですけど・・・」 一人目は知らなくて、二人目も・・・けど3人目が大広間に入るのを見たと行って、私がそこへ行ってみると・・・ ストゥリガ女王が紅茶を飲みながら、誰か、騎士の人と一緒にお話を楽しんでました 「ははは、それでスリギィで?」 「恥ずかしながら・・・」 「随分とまた、お前らしいと言えばお前らしいが。」 少しお邪魔だったかな・・・ヒースさんが気づくと、一旦話を中断して、こっちにやってきました 「どうしたアリシア?」 「あの、宿をヴェータさんたちが見つけたんですけど、夜までこっちにいて良いでしょうか・・・?」 「あぁ・・・別に構わないさ。」 よかった、許可が出て安心すると、レイニアさんたちの所に戻ってお話の続きしないと 夜まで一杯楽しんでおかないと。後で後悔はしたくないです。 「まぁ、こんな所か・・・」 「随分と運がないんだかあるんだか・・・」 まったくだと、苦笑いしているとストゥリガ女王が何か考えてる、何か俺の回想で気に入らない所があったのか 「なるほど、確かに無茶苦茶で聞いていると楽しいな。」 「むっ?」 「レヴィアやテレサから話を聞いてな、どんなものだろうと思ってたのだが。」 二人から?何か会談はあっただろうか?新聞とかは・・・あぁ、あの二人だとお茶会とかでしそうだ 特にお茶会用の転移ゲートなんてあるんだし、あり得ない話ではないよな 「楽しんでいただけて幸いです、私はこれで。」 「あぁ、また来るとよい。」 「私もこれで、女王どうか良い夜を。」 ウォルズと部屋を出ると、俺は宿屋まで向かう・・・といってもだ、どこか分からない・・・って待てよ アリシアは大丈夫だろうか?分からなかったりしたら、洒落にならないな。 「俺はちょっと用事がある、ここでお別れだ。」 「あぁ、気をつけてな。」 ウォルズと分かれると、俺はレイニア王女の部屋へ・・・どこだろう、メイドを捕まえて聞いてみると 部屋の場所まで連れて行ってくれた、随分と気が利く。シーリア達の友人なら当たり前だと言われ なるほど。とドアをノックすると中からはレイニアの声、さて中に入ると・・・ 「あら?ヒースさん?」 まだお茶会の途中か、用件を話すとヴェータから宿屋の場所は聞いているらしい。 場所も教えてもらって、帰ろうと思ったのだが・・・ 「ちょっと待てよヒース、折角だし一緒にお茶会としゃれ込もうぜ?」 「おいおい、女ばっかりで居辛いぞ?」 「旅立ってそんな物じゃない?」 言われてみればそうだが・・・まぁ、少しぐらいなら良いか。ヴェータ達に連絡を入れておくか マジックアイテムで・・・声が凄く綺麗に聞こえる。時々あまり良い音質ではないのに・・・ 「あぁ、ウィズラドは魔力が充満しているからな。声がクリアに聞こえるんだ。」 「なるほどな・・・とまぁ、そういうわけで遅くなる。」 「分かった。夕飯はどうする?」 「帰って食べる・・・と思う」 聞いてみるとアリシア達も夕飯までには帰るといってるし、大丈夫だろう・・・っと、連絡を切る前に。 「多分19時ごろだ、いちゃいちゃしすぎて恥ずかしい所みられないようにな?」 「ひ、冷やかすな・・・」 「悪い、それじゃあ後で」 こうして通信を切ったのだが、何を話そうか・・・俺は女心を擽るような話なんて、まったく分からんぞ 「アリシア達が一緒じゃない時、スリギィでの円卓の騎士との事でも頼む。」 「スリギィのですか?それでは手短に・・・」 「敬語を使わんでも良い、前に言ったろう。」 当たり前なのだが、ストゥリガに言動が似てる・・・だが、なぜか分からないがストゥリガより厳格な気がする 「さっきのでか・・・」 「どうしたんです?」 「いやな、さっきストゥリガ女王がグラディーンって言うロボを叱ってて・・・」 「お母様が?ははは、グラディーンが失礼をしたな。」 「・・・なんでか知らんが、王族って親より子のほうがしっかりしてないか」 アリシアが苦笑いして、レイニアが首を傾げていた、まぁストゥリガ女王はまだしっかりしてる そんな事を思いながら俺はスリギィでの事を、ちょっとダイジェスト気味に話し始めた。 「楽しかったです、またいつか会いましょう」 「はい、レイニアさんもお元気で。」 「あぁ・・・旅の無事を祈る」 もうすっかり夕暮れ時、そろそろ帰らないと間に合わないので、俺達は宿屋へと帰る事にした ヤカリがスケッチブックのページを一つ破いて、レイニアに渡すとレイニアが少し嬉しそうにしていた ヤカリのことだし、何か描いてレイニアが気に入ってたのだろうか。 「ヒース、あんた女運があるみたいだし、皆守ってやんなよ?」 「あぁ、頼まれてるしな。そっちも気をつけて」 ミストが俺の肩を叩いて、にっと笑うと乗せていた手で肩を押し、アリシア達の方へと歩かせた ヴェータ達も待ってる。皆乗ったのを確認して、バイクにエネルギーを送ると 寝ぼけたように少し動かなかった、さて帰るとするか・・・駐車場あるといいんだが。 「じゃーね、また会いましょう。」 「今度は可愛げがある女になれよ〜」 「煩いわね!ふんっ・・・」 「あー、メディナってばまた膨れてる〜」 ミストとメディナのやり取りに少し、口元を緩めながら、手を振るレイニアとシーリアに手を振って バイクを走り出させた、段々と3人が小さくなって門から出ると、門が閉じて見えなくなった 楽しいひと時だった・・・明日には出るし、帰ったら早くメシを食って寝る・・・必要は俺はないのだがな 「っと、駐車場・・・あった。」 駐車場にバイクを止めて、部屋を聞いてさっさと部屋へ向かうと、そこには・・・ 「ただいまヴェー・・・」 「っ!?」 「いたっ!!」 ヴェータがウェンディの耳掃除をしていた、驚いたヴェータがウェンディの耳に、少し深く耳かきを入れて ウェンディが悲鳴を上げていた。タイミングが悪いなと、少し申し訳なくなった。 「おかえり、どうだった?」 「楽しかったですよ、久しぶりに友人にあえて・・・」 「あの王女様キツそうだったけど、どうだった?」 「結構お茶目よ?」 メディナの一言で、気になると言う風にウェンディが目を輝かせるが、それにヴェータがストップをかける 「その前に夕飯だ、夜食になってしまうぞ?」 「腹減ったしね。行こー!」 ヤカリが腹の虫を鳴らして、うっとしてると皆、クスリと笑っている・・・さて 食べに行くか。と思ったとき頭の中で声がした。この声は・・・ 「グラディーン・・・」 「声に出さなくても良い。フィラがお前に最後に言いたい事があるみたいだ。」 スフィラ・ワーレが?なんだろう・・・彼女の声が、頭の中に響くと それは不吉な知らせだった。 「この先、何かが起こります・・・用心を」 「・・・警告、ありがとう。」 「貴方の力は凄まじいものがあります、どうか悪の手に落ちぬよう・・・」 ・・・まぁ、しばらくはその心配もなかろう。今は皆と食事を楽しみたい。 「さて、行くとしよう。」 「ここって美味しい物なんだろう?」 「主に野菜や果物などですね、肉類は少ないかと」 何とかなる、何かが起きても・・・きっと。今はそう思いたい 続く