「ケーェケケェ!!我らが主が為!新たな世界をこの手にぃ!」 「・・・黙らんか、あの方のご前であるぞ。」 「早く食いちぎりたいぜぇ!」 「私の攻撃を、この時代の奴らは防げるかな?」 「ここに我らの侵略を開始する!さぁ!崇めよ!!」                         古の軍勢に栄光あれ!!               映画版・異世界SDロボSS  黒騎士と古代からの侵略 荒野を一台のバイク・・・と、それに繋がれた馬車が走る 「ヒースさん、今日は野宿しそうですね?」 「どうだろうな?案外、街に着くかも知れんぞ?」 「今日はヒースの運が凶とでるか、吉と出るか・・・ね」 「野宿でも別に良いけど、こんな荒野の真っ只中、迷ってない?」 「それはねーと思いたい・・・うん。」 「もう、そんな不吉な事は考えちゃだめだよ!」 「ペルソルナの言う事ももっともだ、次の街に早々とつけると良いんだが」 今回の物語はこの荒野から始まる。 「・・・あら?もうこんな時間ですか?」 「そうだな、昼飯にするか?」 今日も旅は続く、俺はヒース記憶喪失のロボット。記憶を求めて現在旅をしている 後ろで本を読んでるのはアリシア=エヴァック=ディオール、ディオールって国の王女だ 「今日は何を作る?」 「そうですね、パスタにでも。」 「僕の出番もありそうだな」 この緑色の髪の剣士はウェンディ、父親の仇を探している。黒い髪をした病的な白い肌のヴェータは女と間違われる 二人とも色々あったけど今は恋仲で時々、冷かしてしまう。我ながら悪趣味だ 「出来ればミートソースで頼むわ〜」 「もう、ヤカリも手伝うんだよ?」 この小さなぬいぐるみと少女は、ヤカリ・ミヒトとペルソルナ。旅をしてる少女とその相棒のロボットだ 意思のあるロボットで、有事の時はペルソルナが巨大化してヤカリが乗り込む。 「ったく、食べる事が好きね・・・」 このさめたような感じの少女、最年少のメディナは元々はディオールの王族の分家で、国家転覆を狙ったが 失敗して追放された親に反ディオールの教育を叩き込まれたが、今では自分の生き方を探している。 「ここで休むとするか。」 何時ものように次元層、別次元との間にある異次元の層から、調理具を取り出して 適当に置いて、ペットボトルから水を鍋の中へと流し込む。 「それぐらいで良いです、後はパスタを2袋出してください、あれで丁度の人数分になるので。」 「火加減は弱火でいいか?」 ヴェータが台の下に紙を置いて、特殊な装飾が施されたライターで、火をつけてから 火加減を操って弱火にしようとした瞬間、揺れが起きてヴェータが火を消し 鍋は倒れて水が零れ、地面に吸い込まれていく 「な、何!?地震!?」 「らしい!皆、伏せてろ!揺れが強い!」 普通の地震なら揺れが収まるはずだ。そのはずなのに・・・逆に強くなり 罅割れた大地はさらに皹を増して、直感で危険だと思い 皆を禁忌で掬うと、そのまま少し離れる・・・この判断は正しかったらしい。 「ギャォオオオオオオオオオン!!」 「ドラゴン!?なんでこんな所にいるのよ!」 「まって!ドラゴンみたいだけど違う、ロボットです!」 巨大なそれは龍に見えた、だがそれはよく見ると、装甲に覆われた龍の姿をした機械だった でかい・・・まるで要塞だ、なんでこんな物がここにいるんだ 「ケェーッケケ!ターゲット発見!」 「あれか、覇気を感じないが・・・」 「ハッ!ナヨナヨしぃ!」 「油断するな?私達より高性能だぞ」 そしてその頭上に、4体のロボットが立っていた。一体はライオンをモチーフにしてもう一体はワニだろう 鳥型は分かりやすかったが最後の一体が戸惑った・・・が、予感が的中すればムカデ型か。 「始めましてヒース。」 そして最後に、女性型のロボットが現れた、華奢で可憐な機体だがどこか邪気を放っている 自然と身構えて睨みつけると、笑いながら流されてしまった、こいつらは何者だ? 「私はイニシエ、そしてこちらは四天王の」 「豪腕冷血!ムカシクロコダイル!!」 「飛翔残酷!ムカシバード!!」 「孤高無頼!ムカシレオン!!」 「無限暴虐!ムカシセンチピート!!」 不気味に笑いながら、ロボットたちは俺を見つめてくる・・・だが、何か俺の記憶に関係があるのでは? 「おい!俺の事を知っているのか!」 「えぇ、この世界での活躍は聞いているわ。」 どうやら見当違いらしい、だが確実に分かった事がある、厄介ごとに巻き込まれたな こいつらの邪気は間違いなく悪事を働く。そう確信できるほど禍々しかった 「貴様ら何者だ!」 「後で分かるわ、その為にもヒース!来てもらうわよ行け!ムカシソルジャー共!!」 「ゴォオオオオ!!」 ドラゴンから何か出てきた、それは遠めで見れば単体だが足音で、複数形だと分かった 近づくに連れて、それが兵士のようなロボットの大群・・・なんて数だ。 「皆!戦う必要がありそうだ!」 「逃げ・・・れないな、戦うしかない!炎獄の火竜よ!我が呼びかけに答えよ!ズメウ!!」 「ご飯の前に敵襲なんて、運がないわね・・・剣の盟約により剣主よ共に戦わん!ソードマスター!」 「もうっ!なんなのよこいつ等!光より出でし闇に染まりし天使よ!目覚めろアン・ギェーラ!」 「仕方がありません!頑張りましょう!古き時より蘇りたまえ!光なれアンジェラ!」 「行くぞルナ!」 「OKヤカリ!パパッとやっつけちゃおう!」 「「はぁあああああ!!!」 「行くとしよう!禁忌!!」 フルメンバーだ、負ける気がしないな。ムカシソルジャーとか言うロボットが銃弾を飛ばすも 当たる前に弾かれるか、かわされるかの二つだった。さて反撃だ。 「先陣は僕らが、アリシアとメディナは後方で援護。護衛はウェンディに任せる!」 「OK!ルナ本気アップで行こうぜ!」 「うん!」 ペルソルナのバイザーが降りて、剣の構えも攻撃的な物になっている、ペルソルナの本気がこれという事か ならば俺も本気を使って盾を!と思ったが、それは流石にやりすぎだろう。 「ヴェータ!逃がしても大丈夫だから大暴れしてきて!」 「あぁ!行くぞ皆!」 ヴェータのズメウの槍が、まずは先手を打ってムカシソルジャーの大群を貫いた 5体ほど貫き、突き刺さった槍を取りにズメウが向かうがそれを別のムカシソルジャーが止めに入る が、ペルソルナが3機ほど切り伏せた、のこり4機が飛び掛るがズメウの胸のドラゴンの顔が噛み砕いた。 「弱いな?」 「だね、とっととやっつけよう!」 俺も遅れは取れない。敵の中に突っ込んでまずは盾で殴り倒した、こんな大人数は斧で一気に振り倒せば良い 斧を次元層から取り出して、勢いをつけて振り回すと襲い掛かってきたムカシソルジャーが4体 もう一振りで2体、真っ二つになった。さらに後ろから援護攻撃が始まった。 「ヒース!とっととやっちゃいなさい!」 「魔力は無限じゃありません!有効利用して!」 次々と倒れるムカシソルジャー、これなら・・・っ!?また増援か!しかもさっきと同じぐらい! やっと半分やっつけたのに、さっきよりも数が増して襲い掛かる しょうがない、皆にタイトゥンズオープンをかけて、さらに俺がロストエンスピートでパワーアップすれば! 「皆!タイトゥンズオープンでパワーアップだ!」 「数が多い!まだダメだ!」 「大丈夫だ切り払えばスペースは出来る!」 斧を回転斬りの要領で振り回し、周りの敵を切り飛ばした。これなら大丈夫だとコックピットを開くと 空から何かがやってきた、それは戦いに参加していなかった四天王だった。 「ヒースさん!光放てレイ!」 光弾が四天王に迫るが、ムカシレオンのクローによりかき消されてしまった、急いで反撃に出ようとしたが すでに遅く、ムカシクロコダイルの突撃が禁忌に炸裂。禁忌は倒れてその衝撃が襲い掛かる 「ごぁっ・・・」 「ガハハハ!コックピットをむき出しにするなんて、油断したな!」 だ、ダメだ・・・意識が薄れて、目の前が霞んで真っ暗に・・・ 「ヒース!このっどけ!」 「お嬢さん、お相手は私だ!レオンバグナグ!」 近くにいたムカシソルジャーを切り裂き、エネルギーを充電したペルソルナが青い剣で 一気にケリをつけようとしたが、ムカシレオンの奇襲に、剣を押し下げられ もう片方の剣でムカシレオンを切り裂く前に、殴り飛ばされてしまった。 「女と言えど、邪魔をすれば死ぬぞ?」 「メディナちゃんダメ!」 「放れろー!!」 今度はメディナが飛び掛ったが、ムカシレオンの前にムカシセンチピートが現れる。 だがあの細い身体では、いくらパワータイプでないと言えど、体がへし折れるのがオチだ 「センチピート百裂波!!!」 「きゃあああ!!」 それは背中の腕のようなパーツから、一斉に発射された、ムカシセンチピートの武器は 背中の腕から発射する銃弾のようだ。ごろごろとアン・ギェーラが転がると そこへ一斉に、ムカシソルジャー共が覆いかぶさり、動きを封じてしまった。 「放れろ!放れなさいよっ!ヒースっ!」 「撤退だ、自爆するぞ!」 「ケェー!アンティークリュウ撤退!」 「皆・・・逃げてくれ・・・」 「ズメウ踏ん張ってくれ!」 「ルナ!剣を振るえないのか!」 「腕まで潰されて・・・重い〜!!」 連れ去られていくヒースに、何とか手を伸ばそうとするヴェータ達だが届く事もなく 体の自由が守られてるアリシアも、ヒースを捕まえているムカシバード相手に 何とか攻撃魔法を当てようとしたが、鳥のごとき軽いステップで逃げられてしまう。 「ヒースさん!ヒースさんを返して!」 「煩い女め、ダイルターックル!」 「アリシア危ない!」 残っていたムカシクロコダイルのタックルを、間一髪ウェンディのソードマスターが防ぐも ソードマスターが変わりに吹き飛ばされ、アリシアの悲鳴が響くだけで ソードマスターもまた、ムカシソルジャーの数の暴力で、覆い隠されてしまった。 「帰るわよ!ムカシソルジャー自爆用意!」 「ケェー!ちょろいもんだぜ!」 自爆・・・だと?そんな事・・・くそっ・・・ 「っが・・・」 「アンティークリュウ起動!さらばです。」 ただでは・・・皆の荷物を最後に・・・ 「自爆!そんな事させない!」 「アリシアだけでも逃げて!死んじゃう!」 「そんな事できません!逃げる方法は一つ・・・我が魔力の全てを!バリアー!!」 「・・・・ここは・・・」 「ヴェータ!」 ウェンディ・・・ここは何処だ?僕は確か・・・そうだ! 「ヒースは!ヒースはどうなったんだ!」 「・・・連れ去られたわ。」 「そんな!?っ」 体が痛む、くそっあの時・・・あの時、アリシアがバリアを張ったおかげで、ダメージは最小限に収まったんだ だがそれでもあの衝撃には勝てなかったようだ、仲間をさらわれた挙句これか。情けない・・・ 「ウェンディ、皆は?」 「私は大丈夫よ、けどアリシアは疲労で寝ちゃってヤカリも寝てる、ペルソルナは大分良いみたい。」 この声はメディナ、もう立ち上がれるようだ。アリシアには借りが出来たな・・・なんていってる場合か こんなかすり傷に包帯はいらないと、包帯をさっさと外すとウェンディが怒るが、本当にかすり傷程度だ それよりも皆の傷や、ヒースの行方の方が何倍も心配だ。 「ヒースは・・・分かるはずないか」 「うん・・・」 「敵の姿は撮ってあるよ、私使ってよ」 ピョコンとテーブルの上に上がったのは、そんなに怪我を・・・いや、破損をしていないペルソルナだった 流石はアリシアの防御魔法、と言いたい所だが、外部が破損していないだけの可能性もあり得る。 「待てペルソルナ、その前にメンテナンスだ。」 「大丈夫だよ、急がないとヒースが・・・」 「急がば回れと言うだろ?内部がボロボロかもしれない。」 しぶしぶペルソルナが電源を切り、眠りにつくと内部を・・・やはり壊れてる。 駆動系が悲鳴を上げてる。さっさと直さないと、だが道具がないのに今更になって気づいた 道具は全部ヒースに任せてた。それが仇になったな、近くに店があれば何とかなるんだが 「道具ならあるわ、荷台の中に」 「本当か!ならヒースはまだ」 「多分、最後に私達のために頑張ったんでしょうね・・・」 メディナが俯いて、寂しそうにしているのを見ると、どうやらヒースが逃げてきたと言うのは薄い だが落ち込んでもしょうがない。グダグダやってて不安になるのは、ウェンディの時だけで十分だ。 「今はペルソルナを直そう。」 「えぇ・・・」 「私はアリシア達を見てるよ、二人ともなんともないと良いけど・・・」 荷台・・・ここはどうやら、宿屋のようだな。医者に見てもらった後にここに来たようだ。 さてペルソルナを直さないと、直してる間にメディナとウェンディに本国に連絡 奴らの事を知らせなければ。カリメアの時とは違う、奴らは確実に何かをたくらんでいる 「ただいま、二人とも頼みが・・・」 「あっお帰り!アリシアが起きたの!」 「はぁ・・・おはようございます・・・」 アリシアが起きた、ディオール側にはアリシアから頼めば早い。こっちが暗黒帝国に連絡さえすれば 後は芋づる式にドンドン情報が伝わり、奴らはそう簡単に動けなくなるだろう。 「アリシア、ディオールに連絡は入れたか?」 「いえ・・・」 「今起きたばっかりなのよ?まだ休ませまさいよ。」 「大丈夫、早くしないと手遅れになりかねません。」 アリシアが連絡を始めたし、ウェンディに頼んで姉さまに連絡だ。生憎ヤカリは動けないし アリシアもメディナも電子工学はムリだ。ウェンディも同じで魔法系剣士だしな。 ヒースはできたらしいが、いないヒースを望んでもしょうがない。 「頼むぞ?さて、基本部分は同じか・・・」 「レヴィアさん?大変なんです・・・えぇ、新手の武装集団か何かかと。」 「お母様ですか?大至急、防衛体制をAクラスに、ヒースさんが連れ去られました。」 こうして情報は広がるはず、こっちは後で必要になる情報のため、ペルソルナを本調子にしてやらないと。 暗黒英才教育に不可能の文字はない。その言葉に嘘はないと信じるぞティーチャー。 「ん・・・っ」 「終わったぞ、これで異常はない。」 修理終了。ペルソルナは完全に動くようになったし、これで下準備は出来た早く情報を・・・ その前に接続だ。コードを繋いで・・・しまった、画面がなければ意味がない 「ど、どうすんの?」 「何処かから借りるしかないだろう」 「あっ大丈夫、カーテン閉めて。」 都合がよく行けば恐らく、カーテンを言われたとおりに閉め、部屋を暗くするとペルソルナの目から・・・ 「わっ!?光線?!」 「・・・なるほど、映画館ってわけか。」 あの忌々しいロボット共の映像が流れる、奴ら・・・今頃どこに・・・ヒースを奪い返してやる だがその前に、奴らの存在を世界各国に知らせなくては、新手のテロリストだろうがかなりの資源を持ってる 今、映っているあの雑魚の大群・・・これを使い潰したんだ。まだ兵士を隠し持ってるだろう 「あっそこでストップしてください。お母様、映写魔法の準備を」 「今、敵の映像が出たので送りますね?ちょっと待ってください。」 「りょうかーい、よーく見ててね?」 映像的な情報も行き渡る、これで安心できる・・・と、少しだけ致命的な部分があった ムカシバード・ムカシクロコダイル・ムカシセンチピート・ムカシレオンはいるし 僕らを人海戦術で追い詰めたムカシソルジャーもいる。だが・・・リーダーのイニシエがいない 「イニシエは?」 「ここだよ、ほら。」 ペルソルナが指差す場所に・・・小さな影、ズームできないかと聞いたが無理だった。 面倒な事になった。よりによってリーダー格が映っていないなんて 「ルナはドジだな・・・っと、おはよう皆。」 「ヤカリさん!寝てなきゃダメです!」 「だいじょーぶ、スケッチするからそれを送ってくれよ。」 「覚えてるの?アンタ記憶力ないし・・・」 「うん、何とかね。」 ヤカリが起き上がると、スケッチブックを取りに・・・フラついている。 「ヤカリ!」 「無茶をするな、まだ無理なんじゃないか?」 「うー・・・寝すぎて口の中臭い。立ちくらみもするし最悪だ・・・」 「何よ心配したじゃない!」 「ヤカリはいつもこんな感じだもん。」 皆、心配するほどでもないのが分かり、ずっこけかけた。だがこれで敵の大体の姿を伝えれる 大分時間はかかるようだが、それでも情報がゼロよりはよっぽど良いだろう。 「ウェンディ、姉さまと変われるか?」 「うん、レヴィアさん今からヴェータに変わります。」 「ヴェー君?話は聞きました。帰国を命じます。」 酷い衝撃を受けた気分だった、帰れ?だがヒースはどうするんだ。ヒースはまだ・・・ 「ヴェー君。ヒー君を探したいのは分かります・・・けど、今は何があるか分かりません、迂闊な行動は首を絞めるだけです。」 「・・・分かりました。」」 「1時間もすれば、迎えがそちらに行きます。それまで待っててください」 一度帰国、情報を集めてヒース探し・・・か。数さえ揃えばあんなザコの大群。おそるに足りないだろう メディナも帰る時、帰り道はほぼ一緒なので迎えに乗っていく事になる。 アリシアも同じでディオールに帰る。つまり一度、僕らは解散する事になった。 「えっと、私とヴェータとメディナが一緒だね」 「そうなりますね、また一緒に旅・・・できますよね?」 「当たり前だろ?っと私はヒースの後を追う。情報があったら伝えるよ。」 ヤカリの発言に、ほぼ同時にアリシアとメディナが待ったをかける。少し唖然としたがボクとウェンディも待ったをかけた ヤカリとペルソルナの二人に、負担をかけすぎるわけに行かない。どちらかの国で休ませるべきだ 「ヤカリさん、ディオールで休んでいってください。」 「でもさ・・・」 「休みなさいよ、あんたがぶっ倒れるの見たくないし・・・」 「皆もこう言ってるんだし、お世話になろうよ?」 ヤカリも納得して、一時的にディオールに世話になる事になった、ヤカリがイニシエのスケッチを完成させ イニシエの詳細を送れば、僕らにできる事は完了のはずだ。後は何か動きがあるまで待機 歯がゆい事になるだろうが仕方がない。ヒース奪還に備えて力を貯めなくてはならない。 「はぁ・・・こんな事になるなんてな。」 「ヒース無事かな?心配だな・・・」 ウェンディの頭を撫でて、気を紛らわせ・・・正直言うと、僕も心配でたまらない。 あんな訳の分からない奴らに、ヒースがさらわれたんだ。軍事的利用・・・なんて二の次だ ヒースが無事ならそれで良い。奪い返せば良い、だが解体なんてされていたら・・・ 「ヴェータさん・・・その、元気出してください・・・」 「むっ・・・すまん・・・」 「何、傷舐めあってるのよ・・・」 「メディナちゃんの言うとおりですね・・・元気出さないと!」 アリシアとメディナの言うとおり、僕らが落ち込んでも+になる事はない。非効率的だ 感情が高ぶる事で、士気が高まって冷静さを失わなければ+になると 暗黒英才教育でも習った、全てにおいて落ち込んで良い要素なんて何処にもなかったんだ。 「そうだな、落ち込むのはヒースを助けてからでも遅くない。」 「よっしゃ出来た!早く送ってくれ!」 ヤカリのスケッチブックには、あの忌々しい女型のロボットの姿があった。 完璧だ。ヤカリの技術のおかげで敵の姿を早くに知らせる事ができる 「でかしたヤカリ、これで先手が打てる!」 「へへっ!早い所あんたの姉さんやディオールの女王様に届けてやりな!」 映像魔法で、絵を姉さま達に絵を送り届けてる時、ヘリコプターのローターのやかましい音が響く 外を見てみると・・・キルコプターか。迎えが来たようだが、もう一つ何かの音がした 輸送機だがディオールの国旗のマークが入ってる、あっちはアリシア達の迎えか、意外と早く別れが来た 「もう別れか、皆。ヒースを早期に取り戻してさっさと旅の続きだ。」 「えぇ、また近いうちに会いましょう!」 「荷物を忘れないでよ?バイクは暗黒帝国で預かってもらいましょう。」 「うん、作ったのは暗黒帝国だしね。」 「荷台はディオールか、んじゃまた後でな?」 「皆元気で、今度はヒースと一緒に旅の始まりである事を祈るよ!」 こうして僕らは別れる事になった、少しの寂しさと大きな願いを抱いて。 ヒース・・・無事でいてくれ 「イニシエ様!解析完了いたしました!」 ここは龍要塞アンティークリュウの内部、怪しげな一室でヒースをさらった謎のロボット達が 禁忌ごとヒースを謎の機械へと、組み込んで動きを封じている 「能力は?」 「はっ!パワー・スピード・エネルギー共に未知数。話しどおり無限のエネルギーを持っております!」 「それで?エネルギーは取り出せるのか?」 謎のロボット軍団のリーダー、イニシエが腕組をしながらイスに座り、目を薄めていると 科学者のようなロボットが、浮遊モニターに何かを映した。これは・・・ なんとヒースの能力である。果たしてこのロボット軍団は何をする気なのだろう? 「洗脳は?」 「プロテクトがあまりに強固で、本当にこの世界のものなのかと疑いたいほどです。」 「むぅ・・・意識が戻ったら教えなさい、私が洗脳します。」 イニシエの言う洗脳の意味とは!果たしてヒースはどうなってしまうのか! 「・・・」 「後どれぐらい?」 「およそ2時間・・・寝てても良いんですよ?」 「ルナは寝ちまったけど、私は寝てたし。目が覚めてるよ」 あれから少し、迎えの輸送機で私達はディオールに向かって、真っ直ぐに帰ってました。 ヤカリさんと私も、ペルソルナちゃんも何だか口が進まなくて・・・ しんみりとした寂しい感じで。言葉が進まず・・・なんと言うか、多人数での旅が慣れてたし 「・・・早く皆にあいてーな。」 「はい・・・」 あんな別れで、仲間が恋しくなってたんです。もっとスッキリした別れならこうもならない そう思います。けど落ち込んで入られません手がかりがくれば、ヒースさんを取り戻せる 「アリシア様〜旅のご感想は?」 「いろいろ会ったけど楽しかったですよ、続きはしばらくお預けですけどね。」 「もう王宮に帰ってこられてはどうです?ボディガードもさらわれて良い機会です。」 何時もは礼儀正しいエマさんに、礼儀正しく返していたけど ちょっとムッとなり、嫌味を混ぜて強めに反論してしまいました 「ヒースさんは・・・彼は帰ってきます。エマさんと一緒にいるのは1ヶ月もないかと。」 ちょっと機嫌が悪くなって、そっぽを向くとヤカリさんが苦笑いをしつつ ペルソルナちゃんを渡して機嫌を直すように言い。ぬいぐるみのような抱き心地で ちょっとだけイライラは薄れました。ディオールまで少し長いですし雑談でもしましょう 「今日はどうします?なれないなら私の部屋に来ますか?」 「いや、大丈夫・・・だけどさ、話したい事があったらそっちで寝るかも。」 「そうですか、ヒースさんの事ですか?」 「あぁ、そうなるかな?何か良いヒントが出るかもしれない。」 こうして、2時間弱の雑談が始まって、エマさんは少し焦っているようですけど ちょっとはヒースさんを信用してもらうと言う意味で、反省してもらいましょう。 ・・・けどちょっと悪い事しちゃいましたね・・・ 「ちょっと怒りすぎでした、機嫌直してくれますか?」 「はい!もう機嫌が悪いわけないじゃありませんか!」 あぁ・・・けど、少しは反省してもらった方がよかったかも 「タガメ!何か情報は入ってないの?」 「そんな早くに見つかるはず無いでしょう?落ち着きなさいメディナ。」 はぁ・・・・イラつくわ。何だかんだでやっぱりイラつく。 「メディナ落ち着け、さっき落ち込むなと言ってたのは君だろう。」 「それはそうだけど・・・この、何とも動きが遅くてイライラするのよ!」 「無茶を言わんでください、これでも全速なんですよ?」 いつに無く冷静なタガメに、このパンツァーシュナイダーで殴り飛ばしたいけど、まぁ良いわ 落ち着いてやりましょう。イラついても早く着くわけじゃないんだし。 「レヴィア様からの伝言です、会議があるから目撃証言が欲しいとの事です。」 「今か?着いてからか?」 「今で、迅速にお願いします。」 まぁおしゃべりでもすれば気がまぎれるわ、今はあの忌々しいロボット軍団の事をタガメに話して 気を紛らわせましょう、容姿は分かってるから今度は性能についてね。 「まずはムカシソルジャーからだね、戦ったけど凄く数が多いの。」 「意思は無いらしい、使い捨ての突撃兵のようだ。」 「聞いてはいましたが、これだけの数を使い捨てれる・・・考えたくないですな。」 「けどザコはザコよ。こっちも数が揃ってれば自爆される前に倒せる。」 そうよ、あんなザコの大群なら闇黒連合でパパッとやっつければ良いのよ。 問題は四天王ね。あいつらは本当に強いわ。戦った者にしか分からないって奴よ 「四天王はどうなんです?」 「あぁ、もうそこまで伝わってるのね?私が戦ったのは・・・」 思い出すだけでも憎い、ムカデ型・・・ 「ムカシセンチピート、背中の管は銃口で本当に100連発の銃弾を発射する。射撃特化の機体よ。」 「後、私が戦ったムカシクロコダイルって言うのは、とんでもない馬力だった。」 「ヴェータ様は真っ先に人海戦術を受けたんですよね、よくあの数で潰れませんでしたね?普通なら死んでますよ」 「ズメウが頑張ってくれなかったら危なかったが。残りのムカシレオンは接近戦に特化してる。バードは・・・飛行できる以外は分からん」 私達がわかるのはこれだけね、イニシエとは戦えなかったし。アンティークリュウとか言う要塞は かなりでっかいってだけ。けどあの何千の軍団を無造作に格納するんだもの それに相手はロボット、サイズ的に言えばアイツ等の居住空間だってあるでしょうしね。 「火力の存在は不明、ですけどあるんでしょうねぇ・・・面倒だ。」 「タガメ、見っけたらフル戦力で吹っ飛ばしてやれば良いじゃない!」 「今は世界中テロリストに警戒ですよ?がら空きには出来んですよ。」 何だか何時もよりも、ずっと冷静で冷たい感じのタガメにイラっと来た。何よ!何時もと雰囲気が違う! 「っと、そろそろ暗黒帝国です。メディナは闇の国に帰還しますか?」 「お父様もお母様も勘当するでしょうし。タガメ泊めなさい。」 「今日は忙しいので、恐らく誰も家にはいませんがご了承を」 あー!もうっ!こんな事なら私もディオールに行けばよかった!アリシアとヤカリとペルソルナだっているし・・・ って待って!私はそんなに甘えん坊じゃない!はぁ〜本当にヤになるわ・・・ 「お母様、アリシアただいま戻りました。」 「始めましてテレサ女王。私の名前はヤカリ・ミヒト共に旅をしております。」 「同じくペルソルナ。以後お見知りおきを」 あぁ、こういうひらひらしたドレスは苦手なんだよなぁ、そりゃまぁ礼を尽くすために必要だけどさ 何もこんな、すっげーヒラヒラしたドレスはさ・・・しかも露出たけーしさ。 アリシアと良いお母さんのテレサ女王と言い。なんつーかこの国のドレスは露出たけーなぁ。 「お帰りなさい。そして始めましてヤカリちゃんにペルソルナちゃん。お話は聞いております」 「お母様、国家会議があるかと・・・」 「今から30分後にあるわ。用件は手短に済ませますが・・・」 なんて言うか、緊急事態だからだろうけど聞いてたのと違う。聞いてたのはおっとりしてて それでいて優しいんだけど、今は何だか緊張した感じで凄く頼れそうだ。 「まずは敵の詳細を。」 「はい、私達が戦ったのはムカシレオンとムカシソルジャー、前者はヤカリさんから。」 「ムカシレオンはスピードがあって、それでいてパワーもあるバランスが良いタイプだと思いますです。」 「ヤカリ・・・えっと、ヤカリが言うとおりです。ムカシソルジャーは人海戦術以外は弱いです」 げっ!恥ずかしいなぁ・・・まぁ。分かる情報はこれだけだ。アンティークリュウの事も聞かれたけど 全然分からない。けどでっけぇ銃口を発見したし、火力があるのは確かだ。 「ありがとう。時間ですのでこれで」 凛々しく、テレサ女王は移動し始めたんだけど・・・立ち止まってこっちを見た。なんだろ? 「ヤカリちゃん、ペルソルナちゃんどうか、どうか有事の際は力を貸してください。」 「当たり前さ!」 「ちょっヤカリ!?」 「そう、ありがとう・・・またね」 あぁ、最後に見せた姿は噂に違わない。優しくて少しドジなアリシアのお母さんのイメージがした さてこうして、私等は一時的に自由時間なんだけど。何しようか・・・ 「一度、お城の案内でも・・・落ち着けないので、何かしていたいです。」 「・・・私も、頼むわアリシア。」 「それじゃお城めぐりだね、ヤカリ抱っこして」 はぁ・・・ヒース、お前今どうしてんだ?解体とかされんじゃねーぞ?危険ロボランキング1位なんて 言ってたのに、簡単にバラバラにされましたー・・・じゃ。洒落になんねーよ 「お疲れ様です、3人とも下がって良いです・・・ヒー君を助けるのに全力でがんばります」 いろいろあったけど、これで私達の役目は終わり・・・じゃないよね。ヒースを助けないと 早く見つかってくれるかな?私達3人は一度、魔王の間から出て 今後について話し合うことに。私達にできる事って何があるんだろう・・・ 「捜索?」 「無理よ、弱点の研究は?」 「それも無理だろう、ろくな戦闘をしていないんだ」 私達が困ってると、後ろから・・・タガメさん?どうしたんだろ? 「3人とも、今は自由にしていてください。遊ぶなり何なりしていてください」 「ちょっと!タガメ何言ってるの!」 流石にちょっと戸惑う、何で?私達はもう用済みなの?そんなの酷いよ!私達はヒースの友達 ヴェータなんて親友なんだよ、タガメさんだって分かってるのに 「良いですか、貴方達はヒースと一番関わりが深い。思いの力が一番強いのです。」 「思いの力?」 「そう、貴方達は切り札・・・気負わないでください。コンディションを整えてください。」 そういう事か・・・納得すると、私達はまたどうするか悩んじゃう。だって 遊ぶにしても。何をするかなんて考えてないし・・・ 「・・・私は闇の国に行くわ。久々に狗威や蒼紫に会いに行く」 「そうか、僕等はこっちで少しゆっくりするよ。」 メディナは闇の国に行くんだ、私達はどうしよう・・・と思ったら。ヴェータが私をいきなり抱きかかえて 何処かへ向かってる、驚いて目を白黒させてると・・・ヴェータの部屋?何で? 「久しぶりに帰ったんだ、少し抱かせてくれ」 「っヴェータ!?だ、ダメ!まだ日が出てるってば!」 ちょっと!誰かに見られたらどうする気よ!ヴェータってば!あぁっ流され・・・ あれ?抱きついたまま・・・あぁ、抱かせてくれって。抱っこの事か 「もう・・・驚いた・・・」 「はぁ、そうガッつくかよ?暖かい・・・」 ヴェータとこうやるの、旅をしてると中々難しい。別行動すれば良いけど皆といるのも楽しいし 今のうちにこうやって堪能するのも悪くないよね・・・ 「ヴェータ・・・皆でまた旅が出来るよね?」 「あぁ、絶対にヒースを取り戻して7人で旅が出来るさ。」 「ここは・・・」 俺は・・・そうだ、くっ体が動かない!禁忌の中じゃない、だが何で動けないんだ! 「おはよう、気分はどう?」 「貴様っ!今すぐ放せ!」 手足が壁に埋め込まれて、動く事ができなかった。禁忌を出してしまえば早い話だ このまま脱出して、こいつ等のアジトを盾で壊してやる 後は皆に頼んで潰せば良い、今すぐに 「ハッ!!」 「うわぁあああ!?」 ここは・・・どこだ?暗い・・・くそっ!変な術を使ったようだが構わない! 禁忌!!・・・何故だ、禁忌!来てくれ!!くそっ何なんだここは!! 「イニシエの闇。貴方の本来の世界よ?」 「訳の分からない事を言うな!出せ!ここから出せー!!」 ダメだ、この空間・・・終わりが無い、壁が無いのに壁があるようで 歩いても闇の中を行くだけだ。出口は何処だ・・・ 「貴方の本来の世界、つまりあの世界は貴方の精神世界。貴方の本来の世界はここなのよ。」 「ふざけるな!俺はここから出てもとの世界に帰る!」 走り抜いてやる、こんなふざけた空間・・・絶対に抜けてやる!! 「イニシエ様、奴は?」 「えぇ、洗脳はほぼ完了よ意識を保ったまま、近いうちに壊れるでしょうね」 恐ろしい事に、イニシエはヒースの精神を砕く気だった、だが悔しげにイニシエが舌打ちをした 「能力の盾、使いたいけど無理よね?」 「はっ、残念ながら・・・」 「そう。はったりに使うか・・・エネルギーはこれで吸収できるだろう。頼んだわ」 「こんにちわ、昨日振りねテレサ」 「えぇ、皆が集まるからお茶会でもしたいですね」 ここは某所の国家会議室、秘密の会議室に王族が集まりつつあった。目的は謎のロボット軍団 彼等の事である。次々と集まる王族なのだが一部は欠席していた。 「ストゥリガ、ただいま参った。」 「アゼイリア=グロリアーナ参上、カリメアのファットマンは欠席だ。」 「エリー・アリエッタ・・・空気洗浄してあるか?少し息苦しい・・・」 「今回はこれだけ?まぁいいわ、始めましょう」 こうして会議が始まったのだが、今回集まったメンバーは偶然にもヒースと面識がある。 全員が席に着くと、まず動いたのがテレサだった。まずは謎のロボット軍団の捜索 発見後の処遇などを決め、迅速に行動に移すべきだと訴えた 「テレサ女王、すまんが私情が入っていないか?」 「ヒースさんの戦闘能力は、ストゥリガさんも知ってるかと。放って置いて何か起きてからでは遅いです。」 「ふむ・・・私も彼が軍事利用された場合。手が出せないだろうし賛成だがな。」 「私もです。ヒー君が敵に回って恐ろしいと思っていたのは、皆さん同じでしょう?」 「まったくだ、それに奴にはロンドムの夜を救ってもらった。」 早々に会議が終わろうとしたその時。誰かが会議室のドアをノックした 「失礼いたします。緊急事態であります。」 「ファータ?」 ファータ・トワイライト。暗黒帝国の将軍でレヴィア=スペリオルの幼馴染である 何時もはしっかり者でレヴィアをサポートしているのだが この時は焦っていた。その理由はこの後に明かされるのだが 「敵の声明です。空に映写系の魔法か何かで。」 「こちらに移せます?」 「ハッ今から送るので、そちらのモニターをご覧くださいませ」 ファータが液晶テレビのほうを見ると、そこに映りだされた画像はイニシエの姿と その後ろには何かの機械に組み込まれ、虚ろな目をしたヒースの姿があった 「繰り返す!我等はこの世界で最も危険なロボット。ヒースと禁忌を捕縛し洗脳した!」 「ヒースさん・・・」 苦虫を潰したように、苦しそうな顔をテレサがするとそれを察してか レヴィアが肩を叩くその間にも、イニシエの演説は続くのだが 「我らが力は今や無敵!汝等に猶予を与える!明日までに降伏せよ!歯向かう時はヒースの手で死を迎えるだろう!」 「古代侵略ロボ軍団は全世界に戦線を布告する!我らにひれ伏すのだ!!」 「「「「ハイルイニシエ!イニシエに栄光あれ!!」」」」 「勝手な事を・・・どうするのです?私は抵抗を選ぶぞ。」 「・・・少し迂闊なのでは?ヒースの盾への対処法は?」 レヴィアがアゼイリアの一言に待ったをかけた。確かに現在のヒースは何時ものヒースと違うだろう 洗脳されていては優しさなどあるはずも無い。ヒースの盾は莫大な戦闘能力を持っているのだ 「奴等はなぜ、戦線を布告したと思う?」 「恐らく洗脳は完璧ではなかろう。洗脳できぬ部分があり。ただ攻めるだけでは不安だから脅しで戦線を布告したと考えて良い。」 「二人とも私のセリフを取らなくても・・・まぁ良いでしょう。そういうわけです。」 3人とも考えが同じだったらしく、意見が揃った。話を聞き終えたレヴィアはフッと小さく微笑み 少し溜息をつくと、何時もと違うキリっとした凛々しい目をしていた。 「テレサ・・・あら?テレサ?」 「・・・魔法系、恐らく古代魔法でしょうね。救出には解術士が必要でしょう」 「もうその話ですか。まぁいいでしょう」 少し何時ものレヴィアの目に戻りつつ、レヴィアがビシっと最後に決めた 「今回の会議、ウィズラド・闇黒連合・ディオール・エルフィーナ・スリギィは反攻作戦を決行いたします。」 「さて、奴等の居場所なんだが・・・」 アゼイリアが問題点の一つ、敵の居場所の事を話そうとしたときであった。 いきなり画面に何者かが乱入。銃声と警報音がイニシエの近くから鳴り響き ドラゴンの雄たけびが聞こえ、アンティークリュウの顔の近くだという事が分かった 「HAHAHA!!イェーイ!聞こえるかー!!」 「落とせー!えぇい何だあの飛行機は!」 「ここはボルバルザー高原!聞こえたら返事はいらん!UHUHUHUHUU!!カリメアは断固!このスクラップ軍団に反抗する!」 それは今回の会議に出席していない、カリメアのファットマン駆るジャスティスカリメア2世であった 最初はポカーンとしていた女王達も苦笑しつつ、作戦を立て始める・・・ 「だが数が少し不安だ、全部の戦力は裂けんぞ?」 「私の国も同じだ。円卓の騎士を全て動因したいがテロリストの・・・」 「その反抗。参加させていただきます」 その時であった、部屋の片隅にあった魔方陣から、誰かが入ってくる。 装飾の施された涼しげなワンピースタイプのドレスを着た 少女のような女性は、病的なまでに白く氷のように透き通った目をしていた。 「雪の姫ではないか!」 「雪の姫・・・お初にお目にかかります。アゼイリア=グロリアーナ=スリギィランドです。」 「始めまして。ザイクリンデ国頭、雪の姫です」 「先ほどの言葉から、わらわ達にうぬが協力すると?」 「えぇ。ヒースはまだ終わる事は許されませぬもの・・・」 こうしてまた一人、女王が増えるのだが、エリーが少し首をかしげている。 その理由はなぜか雪のマナを感じない事であった。いやマナはあるのだが 何処かへと運ばれているようだった。 「ここに来るために、外出用の指輪を嵌めてきたんです。タイムリミットはあるけど中々の優れものです。」 「便利だのぉ・・・のぅ、どこで売っておる?」 「待ってくれエリー女王に雪の姫。先にするべき事があろう?」 「まぁ待って。リルお茶の準備をお願いします。少し落ち着きましょう?ファータも混ざる?」 「わっ!ドア開けっ放しはやめい!埃が!げほっげほっ!」 こうして女王達の会議は佳境を迎えるのだった。この暗黒帝国にあるレヴィアの秘密お茶会室で。 「おー、何か敵さんすげーのな?」 「冗談じゃないわ!アイツらヒースを洗脳した挙句!」 冗談じゃないわ!あいつ等ヒースを洗脳したですって!もう許さないわ 今すぐアン・ギェーラで殴りこんでやる! 「落ち着けメディナ!一人でどうするんだ!」 「放してよ蒼紫!」 あいつ等!ジタバタするけど蒼紫の腕力は意外と強くて抵抗できないし、挙句に狗威まで止めに着たわ! 何よヒースがあんなになって、なんでそんな落ち着いてるのよ!! 「おいおい、落ち着けって。な?」 「バルス様!何とかして!行かなきゃ!」 「落ち着け。」 一瞬ビクリとなって、寒気がした・・・怖い。バルスがまるで一昔前の悪魔と呼ばれてた時の 片鱗を見せていて・・・兎に角落ち着いたわ。そうよね・・・突っ込んでいっても あいつ等を何とかできない、上の指示を待つとしましょう 「ヒースを洗脳するとは・・・油断できんな。」 「ばーか、ありゃ洗脳なんて高等なもんじゃねーよ、ちゃちで中途半端な精神崩壊系の魔法だ」 バルス様が少し怒るような、イライラした声でやっぱり怖かった。怒ってるバルス様 昔にディオールで見たきりで。帰ってきたら優しくなってたけど・・・ 「メディナすまんな、帰ってくれ・・・今から緊急の八武将会議だ」 「バルス、お前も交戦を考えるか。」 「僕も同じ意見です。奴等はヒースを洗脳し切れてない・・・いや。洗脳できるもんか!」 「馬車はこっちから出す。気をつけろよメディナ」 帰るってもタガメの家しか・・・いえ、その前に私にもできる事がある、ヒースの近くにいたんだし 弱点の一つや二つは分かるわ。それを生かせばヒースを助けるのも早くなる・・・はずよ 「ヒースさん!ヒースさんっ!!」 「落ち着けアリシア!」 ど、どうしよう!ヒースが洗脳されたの!?ヤカリもアリシアも大慌てだし 私も慌てそうだよ!けど慌てたらダメ。私達がしっかりしないと! 「二人とも落ち着いてよ!」 「でもヒースさんが!」 「ペルソルナの言うとおりだ!慌ててもどーしようもねーよ!」 しばらくして、アリシアが落ち着いたから良かったけど。アリシアがこんなに騒ぐなんて始めてかも それだけ心配なんだろうけど、ヒースを救うにはまずは別のことかだよ 「私達が出来るのって、どんな事だと思う?」 「私達ができる事・・・ですか?」 「アリシアなら何か良い考えが浮かぶと思うんだ。」 アリシアが考え込んでいると、何かを考え付いたみたい。 「ヒースさんの欠点、つまりヒースさんと戦う際にどうするかです。」 「なるほど、対策が分かれば作戦は立てれるか。」 けど何があるだろう?私達が知ってるヒースの弱点っていえば 「「「周りの心配で盾が・・・」」」 皆、考える事は同じだよね・・・けど洗脳されてたらそれは無いよね。 それじゃあ何だろう?あっ遠距離攻撃ができない!それに 「それも飛べないよね?」 「あぁ言ってたな・・・それでNIに捕まったとか。」 「なら戦力は空戦ができるものを、ムカシソルジャーも空中戦は出来なさそうでしたしね。」 大丈夫・・・無敵と謳われるヒースだって、弱点はちゃんとあるんだもん。 「・・・」 「レヴィアさん早く戻ってこないかな・・・」 僕等にとって、この時間はあまりにも長かった。姉さまのいる秘密のお茶会室の場所は 僕でも分からない。分かれば今すぐにでも・・・むっ? 「アリシアからだわ、待ってて私が出る」 手紙だ。アリシアから・・・何は分からないが、この時期にだからかなり重要なはずだ さらに部屋をノックする音。入ってきたのはメディナだった 「ヒースの弱点よ!これさえ研究すればあいつ等はただ多いだけの集団よ!」 入ってくるなりいきなり、ビックリしたが話の内容は飲み込んだ。横にいたウェンディは驚いて 少し可笑しいような顔をしていた。 「アリシア達と同じね」 「考える事は一緒ね!それじゃ早速まとめましょう!」 何だかんだで、さっきの宣戦布告で皆さっさと動いてる。落ち込んでるかと思ったが安心した 5分程度で纏まって、これで姉さま達の助けになるだろ・・・誰だ? 「失礼いたします。レヴィア様より緊急のご報告でございます」 「リルさん!丁度良かった!」 リル・プレリッテ。ここのメイド長で姉さまに会う権限を持っているし、姉さまからも何かあるらしい 「ヒースに関しての情報を・・・?」 「もうまとめた。考える事は一緒か」 「ありがとうございます、それではレヴィア様の下にお持ちいたします」 「頼む。」 こうしてヒースの情報は秘密のお茶会室にいる女王達へ送られ、すぐさま対策が始まった 「カリメアの空軍は必須だろう。運がいい事にファットマンはやる気満々だ」 「遠距離攻撃が出来ぬなら、結界で動きを封じるのも良いだろう」 情報が送られて数分もすれば、だいたいの対策は完成していた。ヴェータ達の知っている弱点 それは空中戦が出来ない・遠距離攻撃が出来ない・そして何よりも重要な 「電気系など、直接パイロットにダメージを与える武器が有効打になると?」 「はい、ヒー君の弱点は衝撃をコックピットにそのまま与える事でしょう」 「まてレヴィアよ。それを試そうとした輩は、ことごとくヒースの性能の前に倒れてるだろう?」 エリーが言うように、ヒースへの電撃攻撃が成功した例はわずか。しかもそれは地の利があるなど 状況に左右される場合も多い。周りを気にせず戦える平原でしかも、思いやりを持たないヒースが相手なのだ 「そこは考えてあります。衝撃を与えれば良いのです。」 「だからそれをどうするのじゃ?」 「私達で一気にヒースさんを攻撃すれば、流石の禁忌も衝撃を殺せないかと。」 つまりレヴィアが言っているのは、ヒースを相手にこのメンバーで攻撃という事である 一人一人が最強クラスの彼女達ならば不可能ではないだろう。 「なるほど、撤退の時は私が担当しましょう。目晦まし程度の吹雪ならいつでも出せます」 「待って!いくらなんでもヒースが死んでしまうのではないか!?」 アゼイリアのいう事はもっともである、いくら禁忌と言えども無事ではすまないだろう だがヒースを取り戻すために、ある程度ヒースが傷つくのは仕方が無くはある ヒースはそれだけ強いのだ。それは今までの戦いで実証されている。 「仕方が無いか。だが死んでしまえば下も子も・・・」 「いえ、ヒーくんは死にません。」 「だってヒースさんですもの、私は彼を信じます」 アゼイリアも少し考えていたが、ザ・リッパーを倒したヒースを信じる事にした。 こうして作戦は決まった、ヒース以外はたいした脅威ではないと見なされたので ヒースが出るまでは正攻法、出てからはヒースまでの道を掃討。遠距離からの攻撃で晦まし 最後に王族による一斉攻撃である。 「反攻作戦の決行は先ほど言ったとおり、午前の10時に。」 「早すぎても奴等はロボット、早朝に攻撃を仕掛けても効果は無いか。」 「各国の戦力を合わせ、侵略者への勝利を・・・幸運を祈ります」 こうして女王達は自らの国へと帰っていく。こうして古代侵略ロボ軍団との戦いは近づくのであった 「今回の討伐において、残念だが円卓の騎士が集結とは行かない。」 スリギィランド円卓の間において、古代侵略ロボ軍団の討伐へ向かう騎士の選別が始まってた。 ヒースが囚われてる・・・僕はヒースを見捨てれない。 「今回の討伐、我こそはという者は・・・と言いたいが。全員が行くと言うだろう?私が決めておいた 今回の戦いでは空戦力が欲しい。エルザそれにヒースと戦ったランスロットに来てもらう」 言葉が詰まった、僕は選ばれなかったんだ。けどヒースを助けに・・・僕は騎士だ 友を見捨てる騎士が何処の世界にいるんだ、陛下に進言すれば何とか・・・ 「陛下、すまんがガラハドも連れて行ってくれぬか?」 「ガラハドは・・・ショックが大きいだろう、戦友が洗脳されたのでは・・・」 「陛下このガラハド・バン、友を救うための覚悟は出来ております。どうぞお供を」 陛下も考えていたが、うんと首を振ってくれた。良かった・・・作戦の決行時間やら 作戦の内容を聞いてから、解散となって僕は父さんにさっきの事を感謝してた 「ありがとう父さん。助かったよ」 「何、友を見捨てるような息子になって欲しくないからの。」 こんな時は本当に頼りになる。見直したよと言おうとしたら・・・マリアさんにナンパしてる 困ったものだと今回は笑って流そう。今日ぐらいはいいや」 「ガラハド!」 「エルザ?」 父さんがハリセンで叩かれてるのを見て、苦笑しているとエルザが少し心配そうにやってきた なんだと思ったら、本当に大丈夫なのかと言ってくる 「大丈夫に決まってるじゃないか、心配性だな?」 「ガラハドは優しいし、不安なんだ・・・」 「ふっ・・・公私混同はしない。侵略ロボ軍団は倒してヒースは絶対に生きて助け出す。」 何だかんだでエルザは優しい、これで女らしかったら男もよって、浮いた話もあるんだろうが 「もう少し女らしくすれば良いのに」 「ば、バカ!」 本当、こうやってかわいい所もあるのに。明日は大切な日だしあの店で食べていくか エルザも誘って。父さんは・・・いいか皆で騒ぎたそうだし。 「はぁ・・・私、大丈夫かな・・・」 「おっ?シルヴィどしたんだ?」 あっリシューさんだ・・・ 「私不安で・・・」 「問題ないだろ?あんた最強クラスなんだし」 「そういうのじゃないの、私・・・ヒースさんを傷つけないで戦えるかな?」 ヒースさんを傷つけたくない。あの人にはお世話になってるし けど・・・けどヒースさんは強いし、もしもの時はこの子の封印を・・・ 「甘いよ、あいつは少しの怪我ぐらいどーでもないよ。」 「けど・・・」 「それに、傷ついてもアイツは自由を求める。それに無傷でなんて無理だ。戦った私は分かる・・・」 無傷で助けるのは・・・無理なのかな?私・・・けど、リシューさんの言うとおりだよね 私が傲慢だったかもしれない。傷ついたってヒースさんはあんな奴等の言い成りになんてなるはず無い 「二人ともまだ起きていたのか?」 「「女王陛下!?」」 エリー女王が何で!?確かにエルフェリーナもここにいるけど、いきなりで二人して慌てていると 楽にして良いって言われて、少しだけ安心して膝をつけた。 「明日の事で不安なのか?」 「いえ、そのような事は・・・」 「隠さなくて良い。私も少し不安でな・・・」 エリー女王も?少しだけ意外そうな顔をすると、エリー女王は笑いながら近くに座って ふっと笑ってから、ヒースさんとの事を話し始めて、NIの撤退の手助けの事や 色々なヒースさんとの事を話しました。ダークエルフの一件も関わってるんだ・・・ 「・・・怖くはある。ヒースを殺める事も己が危められる事もの」 「不吉ですよエリー女王、折角お姉さまも戻り始めたのに!」 リシューさんが声を荒げると、落ち込んだような顔でエリー女王が笑って それから何か吹っ切ったような、清清しい顔で笑顔になりました 「そう、私はまだ死なぬ。不安はあるが必ず生きて帰りヒースも取り戻す」 「それでこそ女王です、あたし等も全力で援護いたします」 「あぁ、必ず生きて帰ろう、終わればパーティだしの」 私も・・・・私もヒースさんに今度もっと、お話を聞くと約束したんだし頑張らないと! 「頑張りましょう!」 「おっシルヴィが珍しく元気いいな?」 「大人しいシルヴィも、頑張ると言うのだし女王の私も頑張らねばな」 ヒースさん待っててください。明日にはまた会えます・・・! 「明日ですな女王」 「うむ、体調は万全であるな?」 ヒース・・・にわかに信じられん、この前は元気だったお前が捕まるなんて あの得体の知れないロボット共からお前を取り戻してやる・・・ 「ウォルズ、お前らしくも無く随分と興奮してるな?」 「いえ・・・いや、興奮もします。ヒースを早く助けたいのですから」 「なるほど、お前も奴に入れ込んでおるのだな?」 俺も?まぁ入れ込んでいる奴は多いだろうな。奴は不思議と楽しい男だ だからだろう、こんなに胸がうずくのは。出来れば戦わず取り戻したい 「お母様!」 「レイニア?どうなされました?」 「明日の戦力に私がいないのは何故です!」 レイニア様が随分とご立腹だ、まぁ明日のメンバーに自分がいないからだろう 「まだ早い、とだけ」 「私の友人が捕まったのに、指を咥え見ているなど!」 「しかし・・・」 「私はレイニア様の出陣を賛成したしますが?」 レイニア様は前回、立派に政を終わらせた。それに力も並みの魔道師ではかなわぬほどだ 荒野とは言え力がそれほど衰えもしないだろう。何より今の俺と同じ気持ちなのが分かる 「ウォルズ!これは家族の事だ口を・・・」 「お母様!友が為に戦わずして何が王女です!精霊もお笑いになるでしょう!」 少しの沈黙の後、負けたと言う風に溜息をついた。俺も安心で溜息が出てしまった レイニア様は一度頭を下げると、女王が最後に聞いてきた 「何故そこまで?」 「奴のおかげで私はシーリアやアリシアとまた会えたし、それに奴とは友人です。」 「分かりました。下がってよろしい」 なんとなく笑っていると、女王は何だか不機嫌そうだった。いや娘が戦場にでて楽しいはずがないか 「女王、お言葉ですが過保護はいかがな物かと」 「・・・分かっておる、だが複雑だ・・・娘を守ってくれ」 「当たり前です、まぁ女王がいれば一千億力ですけどね」 俺が笑うと世辞がうまいと言われた、世辞ではないのだがな・・・まぁ 何だかんだと祭り上げても、女王は女性なのだ。私達が守りぬかねばな・・・ 「シャーワ、プテラプターの追加武装したのかい?」 「あぁ、バクフ国の神秘の武器NAGINATAらしい。お前のオメガジェネレーターも?」 「うん。これでヒースは救ったも同然さ!」 ヒース、もしもこの声が届くなら待っていて欲しい。必ず救い出しに行こう あの得体の知れない俗物を倒し。カリメアでの約束を果たそうではないか 「この超出力のジェネレーターなら・・・いける」 「プテラプターに素直に乗り換えたらどうだ?良い機体だぞ?」 「私はイーグルリミットに誇りを持ってるのでね。」 グレンの言うイーグルリミットは、魂にも等しい事を忘れていたよ。腹に比べて脳みそはダメだな私も 「ヒース・・・必ず戻ってくるよな?」 「当たり前だ。奴はカリメアにまた観光に来てもらわんと」 「そうだったな、約束したんだ・・・戻ってくるさ」 その時だった、頬に誰かがコーラを・・・整備班の奴等だった、粋な真似をしてくれる コーラを一気に飲み干して、ゲップを抑えるとグレンとこぶしをあわせた 「そして私達も生き残ろう、絶対にな」 「言われるまでもない。あんな時代遅れのスクラップはジャンクヤードに捨ててやる」 「・・・不思議だな、シャーワは戦ったんだろ?」 「あぁ・・・だがヒースは不思議な男だ、楽しいのだからな」 赤い流星の私らしくも無い・・・が、本当に奴は楽しい男だった。あれきりなんて勿体無い 「私達があのスクラップを必ず粛清してくれる・・・!」 「おう!」 さて、そろそろシャワーの時間だ・・・明日は何時間かシャワーが浴びれない。覚悟しておかねばな 「姫。どうしてもですか?」 「この国は広くないのです。後を任せます」 トーイにも困ったものですね、過保護なんですもん・・・明日のヒースを取り戻す戦いは 私と親衛隊だけで行くと言うと、団長クラスかネメシスを連れて行けと・・・ 「姫!私は姫のためを思って・・・」 「私は大丈夫です・・・トーイ、どうか後を頼みますよ?お仕事だったあるんですし」 トーイも渋々了承して、部屋を出て行くとちょっとソファで一休み。 彼は・・・いえ、彼の未来の敵はあんな物ではない 「そしてまだ終わる事も許されません・・・」 ヒース、貴方はここで終わってはいけない。なぜか知らないけどそんな気がするんです 私の中の魔王が呼びかけてるんですもの・・・脅威に立ち向かえるのは貴方だけだと 「よっしゃ、全員行けるな!」 やったぜ、何とか八武将が全員揃って戦場へいけそうだ。親父は甘いから無理やり丸め込めば良い 「ねぇバルス君、どうしてそんなムキになるの?」 久々の白亜、コイツはめっちゃ強いんだけどどこか気負いすぎてる、短命でも楽しくいきりゃいいのに まぁそうできないって事もあるし、どうこう言う気はないんだけどな 「アイツは俺の恩人で兼用してダチだ、たすけてーんだよ」 「ふぉふぉふぉ・・・まさかバルス様がこんな素直になるとは」 「ヌイイ爺さんそれはナシだろ?」 こっちはヌイイ、怪しい爺さんで裏のパイプが多い。絶版になった本とか頼む時に有効利用させてもらってる こんな爺さんを働かせすぎて過労死させるつもりかと、文句を言うけどまぁ最もだよなー 「それでバルス、どうするんだい?作戦は?」 「突撃あるのみだろ?フォーメーションはアイツが死んで使えねーし・・・」 「なら突撃あるのみか?何時もらしく」 狗威の言うとおりだ、突撃しときゃ役立てるだろう。俺等なんていつもそんなもんだしな 「けどよ、蒼紫はディオール側の援護に・・・」 「断ります、皆と戦いたい。」 「きゃー!やっぱり蒼紫は良い子だね〜!」 「わっやめろ!胸を乗せるなー!」 へっ蒼紫のやろーもいつの間にか一丁前になりやがって。死んでから悔いがまた一つ減ったぜ これでヒースを救えれば悔いは消えるし、借りも消えて一石二鳥だわ。 「・・・バルス、まさか終わってから死のうなんて考えてないよな?」 「狗威の鼻はするでーのな・・・まぁ、大丈夫だよ生きれる間は生き抜いてやる」 へっ狗威のやろー嗅ぎつけやがった、だが言ったとおり俺は死ぬまで生きてやるつもりだ なんたって俺は天才、戦場で死ぬかよ・・・まぁ、機士団の副団長相手だとむずいがな 火力重視型アンジェラを落とした時は死ぬかと思ったぜ、何でアイツが団長じゃねーんだと・・・ 「・・・・」 「そいやブックストン、お前はどーなんだ?」 まぁ聞くまでも無いよなぁ・・・ブックストンは無口なイエスマン、アホみたいに周りを見ないし イエスマンな所もある。さて今日は宴会・・・だな。明日もあるけど今日は決戦前夜だ 「よっしゃ!今日は食うぞ!」 「えー!明日早いんでしょ?」 「年寄りに遅寝は辛いのー」 「バルス!その前にイリを何とかしてくれ!」 「やっほー!私は賛成だよ!」 「まぁ・・・バルスらしいな、俺も別にいいぞ?」 「・・・・」 へっヒースよ、一足先に楽しい事してるから助けてやったら、一緒に楽しく飲み会と行こうぜ! 「私達が・・・か。」 「どうするシオン、降りるか?」 「とんでもない!ヒース殿はすばらしい戦士だ、邪な輩に囚われなど許せん!」 あー良かったよかった、俺と団長とシオンが行く事になったけど 異論は無いみたいだ。団長は団長で何時もどおり転びそうになってる 「ったく、怪我しないでくださいよ?」 「ごめんなさ〜い・・・」 「そのまま押し倒せば良いのにねーパラム?」 「何で僕に振るんだ!?」 ナオミの一言でパラムが慌ててるが、ナオミよー・・・パラムとアリスには早いだろう 近頃のガキはマセてるけど、二人ともマジでわけーんだし 「僕とアリスは健全な付き合いだ!お前のようなふしだらなのと一緒にするなガンビッチ!」 「なんだとコラ!誰がガンビッチだ!」 ははは、アリスの奴は恥ずかしさで卒倒してやがる。俺等はあっちの部屋で・・・っと? 「ローザ団長!お願いです私も連れて行って!」 「リーゼロッテちゃん?」 このごろ保護下を離れたリーゼロッテだ、親の所でナナミと仲良くしてるって聞いたが、何でここに・・・ まぁヒースを助けに行きたいんだろうな。気持ちは良く分かるがテレサ陛下も言ってた 「ダメだ、お前にはナナミも親もいるんだ。もう戻る必要は・・・」 「イヤです!ヒースを助けたい!」 「このチャーリーからも頼みます、リーゼロッテは本気なんです」 「でも・・・良いの?生きて帰ってこれるか・・・」 団長も今回ばっかりは首を縦に振らない、リーゼロッテはもう戦う必要なんて無いんだ けどリーゼロッテも意思はかてーし・・・まぁ、そんな簡単に死にはしないよな 「いいだろう、けど一つだけ約束しろ」 「グリフィスさん!?」 「生きて帰れ、無理なら来るんじゃない」 直ぐに首を縦に振ると、リーゼロッテに作戦時間を教えて帰らせた。団長は少しご立腹だが アイツは止めても着いてくるだろうし。いっそメンバーに加えたほうがまだ良い 「・・・グリフィスさんのバカ」 「良いじゃないっすか、絶対に生きて帰りますよ・・・あの目ならな」 「こんな時はカッコイイけど、メガネ萌えは無くすべきです」 「あのなぁ・・・言っとくが俺は団長そのものが好 「明日の準備、出来てるかアリシア?」 「はい!」 「ヒースを絶対取り戻そう!」 準備は万全、ヒースさん待ってて・・・明日・・・必ず取り返します。だから待ってて・・・ 「むっ?誰だろ?」 「お姉さま、キャリコです」 「キャリコ?どうしたんですか?」 妹のキャリコが入ってくると、後ろに何かを隠してるようです。なんでしょうか? 「あの・・・お守り、お姉さまの無事を祈って」 「あら・・・ありがとうキャリコ、大切にしますね」 少しつたないけど、一生懸命作ったのがわかる紋章に、少しだけ嬉しくて・・・涙が出そう こんな良い妹もいるんですもの、絶対にあんな悪いロボットたちに負けれない! 「お姉さま・・・無事に帰ってきてね!」 「よしよし・・・大丈夫です。」 抱きしめて頭を撫でてると、キャリコは安心したみたいで。抱きしめる力を弱めてから 手を振って部屋を出て行きました。このお守り・・・旅の時も放さない 「良い妹さんだね、キャリコちゃんって」 「話には聞いてたけど、しっかりしてるよ」 あっ・・・少しお恥ずかしい所を見せてしまいましたね。謝ったけど良いものを見せてもらったと 別に気にしていないようで一安心でした。明日の決戦に備えて今日は早く寝ましょうか 「ねぇ、寝る前に皆で旅の思い出を語ろうよ?」 「むっ良いな、士気が高まるぜきっと」 「それではベッドに入りましょう、クィーンサイズだと皆入れますね♪」 ヒースさん・・・帰ってきたら、皆でこうやって会話をしたいです・・・ 「・・・本当に良いんですか?」 「だいじょーぶさ、任せておきなよ」 「そうですよファータさんは将軍ですよ?」 はぁ・・・ファータには残ってほしかったけど、やる気満々だし・・・ こうやってお茶を飲んでるけど、リルって意外とマイペースですよね 「うー・・・」 「私はレヴィアを守るために将軍してるの、ね?」 「こういってるし、戦力になりますよ!危ないのはいつも同じだってファータさんも言ってましたし」 しょうがない・・・今回はファータにお留守番して欲しかったのは、何も危ないからだけじゃなかったけど ファータは一回こうなると折れないし、しょうがないと諦めた。ファータは強いし心配は要らないですよね 「あっ・・・このケーキ美味しい。」 「ホットケーキにクリームとジャムを乗せただけだよな?」 「あっそれは・・・いえ、なんでもないです」 アルバイト先のおばあちゃんとおじいちゃんがくれた、天然の果物を使ったジャムなんて言えば怒られちゃいますよね お忍びなんだし・・・兎に角。今は美味しいお菓子を食べて明日に備えましょう 「レヴィア・・・また、こうやってお茶会やれるよ・・・ね?」 「はい、絶対にできます!」 「暗黒帝国は私達が守ります。絶対・・・絶対帰ってきてください」 ヴェータの友達の事ばっかり気にしてたけど、私にもこんなに良い友達がいるんですよね ファータもリルも・・・ふふっ、帰ったらパーティのお菓子一緒に作っちゃおう、ファータも誘って・・・ 「・・・タガメ、アンタも出るの?」 「はい、戦力は多いほうが良いですからね」 まさかタガメまで出るなんてね、少し頼りないけどいないよりマシだわ 美味しくないけど淹れられた紅茶を飲んで、砂糖で文句を言ってやると何時もみたいに持ってきて 「ヒース、無事だと良いですね?」 「当たり前じゃない、助け出すんだから・・・」 けど・・・少しだけ心配、洗脳されてるから戦って・・・勝てるかな私・・・ 「・・・弱気になるなんて、らしくないですね?」 「弱気になんて!むっ!」 何これ?甘い・・・チョコ?いきなり口に入れられて驚いたけど、チョコレートだわ 美味しい・・・何処のかしら?今日は忙しいって言ってたのに帰ってきたり・・・嬉しい誤算だわ 「メディナ、いいですか・・・」 「何?」 「必ず生きて帰りなさい。それだけ」 何当たり前のこと言ってるのよ、当然じゃないと言い返すと、何だか安心してから紅茶を淹れなおして タガメもチョコレートを一切れ食べて、紅茶で押し流してた 「ふぅ・・・良かった、落ち込んでないみたいですね。」 「ふんっ落ち込むもんですか」 私だけ落ち込んでられない・・・皆、必ずヒースを取り戻して旅を続けましょう・・・絶対! 「ねぇ、ガラハド・・・」 「んっなんだいエルザ?」 肉にがっついて、私の事を見てないようなガラハドに少しヤキモチを焼いてる、あー・・・ガラじゃない 絶対にガラじゃない!私も肉にがっつこうと思ったけど。先に言わないと 「・・・・」 だ、ダメだ・・・いえない言いたいんだけどなぁ・・・きっかけがねーよ 適当に話をそらして忘れよう・・・ 「あのさ、ここどうなったんだ?」 「特に問題は無かった、店長は残念だって言ってたけど立ち直ったし」 「そか・・・なら良いんだ」 ・・・全然良くない、はぁっと溜息をついてると。ガラハドが何だかこっちを見てやがる 「な、何だよ?」 「そうやって、女らしくしてるのかわいいのになって」 「なななな!?」 な・・・何言ってんだよ女らしくってどうしろと・・・・とっ/////だ、ダメだ頭がパンクしそづあ! 「う、煩い!どうでもいいだろ!」 「ご、ゴメン・・・」 「ば、罰として今度買い物付き合え!」 あっ・・・言えた、案外あっさりと・・・返事は・・・ 「そろそろ寝ようか?」 「えぇ・・・」 もう12時、そろそろ寝ておいた方が良い。心配そうなウェンディを抱きしめると ウェンディも抱き返して、そのままベッドへと寝転がる。暑いからタオルケットはいらない 「・・・ヴェータ、怖いよ・・・」 「僕もだよ、けど大丈夫・・・絶対に。」 皆の旅は終わらない、終わらせるもんか・・・眠りに着くウェンディにキスでお休みを言うと 僕も眠りの中へと落ちていく。この眠りの後に待ち構える戦いの為に・・・ さまざまな思いが交錯する中、ついに古代の侵略者達との戦いは幕を切ろうとしていた・・・ 果たして勝つのはイニシエ達か。連合軍団か・・・ ついに10時、決戦の火蓋は切られようとしていた!ついに揃った連合軍団の数は軽く1万を越えていた! 戦力が裂けないとはいえ、集まればこれだけの戦力になるのだった 大してイニシエは未知数、アンティークリュウの内部から無数のムカシソルジャーが出てきて布陣を組んでいた 「私達はこれより女王連合を結成します!この世界のため完全な勝利を!」 レヴィアの駆る神帝機クレウブレイザーが剣を掲げると、それにあわせてアゼイリアの聖王機キャリバーンがエクスカリバーを テレサの女神型アストレイアが聖剣を掲げ、膨大な魔力を放つストゥリガのスフィラ・ワーレは魔力で作り出した剣を マナを剣の生成に利用し、本来は吹雪で見る事が出来ないはずの雪の姫のキノスラが氷の剣を掲げ エリーのエルフェリーナはロッド型ビームランチャーからビーム刃を出していた。 「HUHUHUHUU!全国の皆さん!これぞまさにドリームチーム!!世界征服はされないので安心していただこう!」 最後に叫んだファットマンは、女王だけの方が良いと自ら外れて、近くにいた根性のあるテレビリポーターの前で ジャスティスカリメア2世で全国にアクロバットを披露し、お茶の間の皆様を安心させていた。 「これより攻撃を開始する!全軍前へー!」 「魔法攻撃隊!一斉に攻撃魔法で敵の先陣を崩すのだ!」 「エルフィーナの力を見せよ!全軍攻撃準備ー!」 「私達の出番は後です!切り崩された所で突撃を!」 「どうかお怪我の無いように・・・皆さん、お気をつけて」 「氷の加護を・・・戦闘準備」 「我々はいち早く敵に爆撃を仕掛ける!攻撃後にモタモタするなよ!」 そしてついに決戦の火蓋は下ろされた、火薬と魔法の怒号が鳴り響き、風が火が土が水が雷が! ムカシソルジャーの大群を一気に吹き飛ばし、弾丸は残りのムカシソルジャーを打ち抜いた 「私に続け!プテラプター!スカイーグル隊出撃!」 「イーグルリミッツの意地を見せるぞ!GO!!」 そしてカリメアの軍勢がまずは先陣を切る、地上にしかいないムカシソルジャーには不利・・・に見えたが 一機、それを遮る機影があった、ムカシバードである。 「ケーッケケェ!」 「噂の鳥か!フライドチキンにしてやるぞ!」 「ケンタネルの出来損ないになるのが見えるがな!」 立った一機で勝ち目は無い、と思われたその時、轟音を上げて何かが近づいてくる。それはなんと ムカシソルジャーだった、違うのは空を飛んでいるということである 「ジェットパック!ずいぶんと高等な物をもっているではないか!」 「私たちの相手ではないがな!こちらグレン!敵も空中戦力があったが支障はない!」 そう、彼らは空の勇者カリメア空軍である。爆撃を行いつつもムカシソルジャーの攻撃をかわし 華麗に接近戦を仕掛ける、シャワーのスカイーグルの新武器長刀が敵を一閃! ムカシソルジャーが一気に2体、地へひれ伏した。後ろから襲い掛かる者もいたが 「ムカシッ!」 「見える!敵が見えるぞ!」 くるりと一回点して、ムカシソルジャーを今度は4体切り倒した。グレンを遅れをとらず新ジェネレーターの 膨大な出力で巨大化したライトセイバーの一撃は、ムカシソルジャーを次々と叩き落した 「ふっ・・・今日の私はドラゴンよりも強いぞ!!」 「ケェーッ!調子に乗るな人間めー!!」 だがそこへ襲い掛かるムカシバードの鋭い爪!すばやいだけでなくかなりのパワーでイーグルリミットを襲うも 赤い流星が流れ、ムカシバードを吹き飛ばした、シャーワの加勢がやってきたのだ! 「ふっ・・・カリメアのエース二人が相手だ!」 「覚悟してもらうぞ古代侵略ロボ軍団よ!!」 そのころ地上ではムカシソルジャーが吹き飛ばされていた、二筋の土煙はリシュー・エルグウエィトの ブラストランサーとランスロット・バンのアロンダイナーの突撃である!! 「いやー!振り返らないって楽だわ!」 「いやーリシューちゃんの乳はいつ見てもいいのぉ〜」 セクハラ発言をするランスロットだが、リシューは軽く流して突き進んでいく、その進路を遮るムカシソルジャーは あっという間に吹き飛ばされていく。面白いほどにサクサクと進んでいく二人の後を追い エルフィーナの量産型、フェアリーライトとスリギィのスリギリィッシュ・アーミーが残存した敵を倒して行く 実弾・ビームが襲い掛かり一度防げたムカシソルジャーも、装甲が弱った所を貫かれて行った 「やるね!あたしらも負けれないよ!」 「イリ!先走るな!」 「・・・・」 別の場所では大暗黒八武将の活躍が見られた。イリのナインファイヤの必殺武器ビットによる鮮やかな攻撃で ムカシソルジャー達は自らが知らぬ間に、風穴をあけられるも、数に任せてムカシソルジャーが・・・来たのだが 鋭い剣で焼き斬られ、ある物は凍り砕き切られた。それはディレオライザーの剣の魔力が原因であった さらに一部はズタズタに切り裂かれた、ブックストンのブレイブノートの武器。想像で形を変える文字ビットである 「あぁん!やっぱりやさしいねぇ蒼紫は〜!」 「にゃー!乳狐はまじめにやれニャ!」 「今回は同意だな!」 横で文句を言うのはヘルキャットと狗威だった。ヘルキャットが回転で一気に周りの敵を引っ掻き 装甲をズタズタにすると今度は変形、ビーストモードで頭に乗っかり完全に潰し壊していた それを一気にバズーカで消し飛ばそうとしたムカシソルジャーもいたが、後ろからの凶暴な叫びに砕き壊された 「キャハハハ!よわっちいねコイツら!」 「まったくだな!よっと!」 骸竜哭、白亜の駆る恐竜へと変形できる骨の装飾をした機体に、現在のバルスの愛機ミグレビッチが乗り 高粒子銃で遠くの敵を撃ち抜き、近くの敵は骸竜哭が噛み砕き。踏み潰し。そして投げ飛ばしていた さらに二人への攻撃は、ミグレビッチのシールドのほかにも、魔術で防がれていた 「こいつらプロテクトが固いのぉ、魔力が流しこめないなんてな」 「ははは!ヌイイの爺さんの十八番が見れないのは残念だ!」 ヌイイのパンデモが魔術で攻撃が通る前に防ぎ、攻撃を叩き落しているのである さらに自らも魔術で攻撃し、ある程度のムカシソルジャーは破壊されていた 「そこまで、私がお相手だ」 「あっムカデにゃの!」 「センチピート百裂波!!」 ここで現れたのはムカシセンチピート、あの強力な連続攻撃を行う四天王の一人である。 流石に逃げ切れず、数発くらい吹き飛んでいった 「きゃあああ!」 「くそっ強い!」 「ヘルキャット、行けるか?」 「行けるけどずるいにゃの!逃げれにゃい!」 「・・・」 流石のヘルキャットもあの数からは逃げれないのだ、悪態をついている仲間たちの前に出るのは バルスの駆るミグレビッチであった。 「バルス君・・・一人ってことは、昔モード?」 「そーなる。」 「みんな逃げるよ!バルス君に玩ばれちゃう!」 骸竜哭がナインファイヤを回収、ディレオライザーは分離して龍となった両腕のトウオウとセイオウに乗り ヘルキャットはビーストモードで撤退して行く、周りにはムカシソルジャー数体とムカシセンチピート バルスに不有利なはずなのだが、バルスは薄ら笑いを浮かべながら、周りを見渡していた。 「気でも狂ったか、素直に私のセンチピート百裂波で・・・」 「おー、バッカじゃね?俺と戦うのに雑魚を並べるのは一番効果的じゃねーのに」 そしてそのころ、さらに別の場所では機士を主軸にした混合部隊が大暴れしていた 「団長、来ますよ?」 「えぇ!あっちからですね!」 「ガラハド!置いてくわよ!」 「できればそうして欲しいね、数が多い」 ムカシソルジャーの大群の中に、輪を描くように4機の機影。アンジェラのローザ仕様にウィンディアルファ それにペリノイアにバルガーハだった。これは囲まれたからではなくわざと突撃したのだった それほどムカシソルジャーが弱いと確認した彼らは、一度円を描くように敵を倒して行き後続と合流する そんな作戦を考えたが見事に成功していた、ローザ仕様のアンジェラに落とされるか ウィンディアルファに斬られ撃たれるか。ペリノイアに突き刺されるか。それともバルガーハに斬られるか 「ドラフィリア!やっつけて!」 「団長!副団長!遅れました!」 「おぉ!早いな!流石は騎士団団長と高等魔術師か!」 「来た来た!ペリノイアの尾羽を狙える奴なんていないけど、これで完全に狙われる自信ないわ。」 「戦力過多なぐらいですものね〜」 だがムカシソルジャーたちの選択肢は増えた。今度は焼かれるか斬られるかが増えたのだ 重く鋭いバクフ刀を振るう武者行武刃、魔龍ドラフィリアとプリンセスアンバーの増援である かなりの数を相手に一方的な試合を見せ、その場所はどんどんと敵が減って行っていた 「己!我が相手になるぞ!」 「あーライオンさんだ〜」 ここではムカシレオンが出現したが、数があまりにも多い、だがそれを気にせずにムカシレオンは飛び掛る その実力のほどやいかに!そしてさらに別の場所ではレイニアが苦戦を強いられていた! 「アイスブラスト!」 「はーっはは!効かないなぁ!」 「レイニア様、下がってください!」 ムカシクロコダイルの猛攻に立ち向かうのはレイニアにウォルズだった、超パワーで敵を粉砕するムカシクロコダイルは レイニアの魔法を物ともせずに突撃、ウォルズのヘッドレスは受け流すので精一杯であった 「くそっロウディーンになるには時間がない!」 「ここで増援を呼べるほどまだ余裕はない、持ちこたえるぞ!」 倒れたムカシソルジャーを投げつけるムカシクロコダイル、かなりの勢いで投げつけられた為か これはレイニアのスノウドロップの氷の壁を突き抜けて襲い掛かる ヘッドレスも間に合わず、スノウドロップは運動能力が低い。絶体絶命と思われたそのとき 「何!」 「レイニア!大丈夫だった?」 「間に合ったね!アーススラッシュ!」 突如現れた壁に、ムカシソルジャーは防がれてしまった。そして現れた二つの人型 片方は女性的なラインの周りに盾を纏わせた、もう片方は白黒の魔女型の機体だった 「アイアンドールにモノクロームトーン!?」 「レイニア!私達も力を貸します!」 「ヒースが捕まったんだ、助けに着たんだよ!」 思わぬ邪魔が入り、ただでさえ短気そうなムカシクロコダイルは怒り狂い突進を始める それを防ごうとするのは、土から練成された小人たち。アイアンドールのビット「リトルレギオン」である だがムカシクロコダイルのパワーに吹き飛ばされ、盾が何とか押しとどめている状態であった 「いまだ!コシュタワバ!ロウディーン!!」 しかしこの隙を逃さず、愛馬と合体したヘッドレスが聖騎士型のロウディーンへと合体 ムカシクロコダイルへ対抗するパワーを手に入れたのだった。 「第二ラウンドだ爬虫類!」 「えぇい!次から次へと貴様らー!!」 こうして一通り戦いが激化している頃、女王たちは最後列で出番を待っていた 「・・・遅いのう」 「ヒースもイニシエも出ない、となるとまだ敵は戦力が・・・」 ストゥリガは負担を考えて、機体の機能をすべて停止していた。敵の要塞アンティークリュウに行くには 真正面を突破するしかないのだが、敵はとにかく数が多く、質が悪いが量は本当に多かった 「・・・私達が出たほうが早いです」 「レヴィア落ち着いて、私たちは最後の切り札なんですから」 「歯痒いな・・・」 こうして彼女たちは、減らない敵に焦りのような物を感じている頃。一人突っ走ったファットマンは すさまじい勢いで敵を蹴散らしていた。それはもう羽毛を吹き飛ばすかのように 「hey!!弱くて話にならないな!フゥウウウウウウウウウウ!!」 「ムカシーッ!!」 悲鳴を上げて吹き飛ばされるムカシソルジャーだが、数は一向に減らない。それどころか増え始めていた この数の秘訣は何か、ファットマンはそれを破壊しに突き進んでいるのだった 「hahaha!お前たちの母艦のカタパルトを粉砕してやる!」 一見、無駄に弾を撒き散らしながら進んでいるようだがそれは違う、なぜなら前に確実に進んでいるのだから アンティークリュウをさりげなく射程に入れ、もはや準備は完璧に整っていた 巨大なメガビームキャノンを明らかに質量を無視し、コンテナから取り出すと標準をあわせていた 「さて、あそこから出てるな・・・っ!シット!邪魔をされても私はやるぞー!!」 四方八方から銃弾を浴びながらも、ジャスティスカリメア2世はメガビームキャノンのトリガーを引き アンティークリュウのカタパルトを粉砕し、爆風にまぎれて帰ろうとしたのだが・・・ 「・・・NOOOOOO!囲まれてるではないか!パーティせざるを得ない!」 そう、ムカシソルジャーの大群に囲まれていたが、そこは超頭領の腕の見せ所であった ステルス機に変形すると、一気に爆撃をしながらムカシソルジャーの上を突き抜けて行く 「いぃいいいいイイイイイイイイイヤァアアアアアアアアアアアアア!!」 爆風で道ができている、それを見たカリメアの兵士はそれがファットマンだと一目でわかり 手の空いている者は援護へと向かった、空のほうは大体制圧し終えていたのだ 「ケェ・・・」 「ふっ強い・・・が、踏み込みが足りないな」 「出来損ないのフライドチキンの限界だな?」 バルスとムカシセンチピートの戦いも終わりを迎えようとしていた。もちろんバルスの勝利で 「ぐぅっ!死体を使うなんて背徳者が!」 「ははは、オマエは何言ってんだ?死ねばみんな道具だ」 人を人として扱わない、そんな頃のバルスの戦いでムカシソルジャーの残骸を利用 百裂波をかく乱させながら、確実に反撃で体力を奪い取る先方に出ていた 「えぇい!センチピート百裂波ぁ!!」 「ワンパターンだな、おいっ!」 百裂波が防がれる中、ムカシレオンもまた苦戦していた、こちらは数でも負けているのである 「レオンバグナグ!」 「っ!居合い!」 シオンの扱う、バクフ国の剣術で間合いに入った敵を切り倒す居合い、これをムカシレオンが防ぎ 空中へと飛び出たが、それは飛行能力を持たないムカシレオンに不利に働く 「甘い!カースフレイム!」 「何っぐぎゃあああ!?」 「団長決めますよ?」 「は〜い!」 「エルザ落ちてきたら一気に行くぞ!」 「わーってる!!」 空にはドラフィリアが待ち構え、ムカシレオンを焼き上げてさらに上空にいた、ウィンディ・アルファとアンジェラの 連携攻撃が炸裂、すさまじい火力を叩き込まれたムカシレオンはそのまま地面へと叩きつけられるが その前に待っていたのはバルガーハとペリノイアの、強力な刃の二撃であった。 「ぐぅ・・・がぁああああああああ!」 「甘い、パワーが同等になれば受け流すこともできる!」 「まんまと来たね!エアロシューター!」 「アイスソード!」 ムカシクロコダイルもシーリアとミストの加勢が加わったレイニア達に、得意のパワーファイトが通用しなくなり あせりで突撃に切れがなくなっていた、これをチャンスとばかりアイアンドールが リトルレギオンを張り付かせて、身動きを封じた所に高威力の攻撃を叩き込む作戦を決行していた 「行きなさい!動きを封じて!」 「ぐぉおお!このぉっ!放せぇ!!」 じたばたと暴れるムカシクロコダイルに、止めを刺すべくロウディーンに剣に光が集まり ムカシクロコダイルの邪悪な鎧を貫く、強力な斬撃が放たれ、それに合わせてレイニア達の魔法も牙をむいた 「ホーリジャスティス!」 「ガイアスクラッシャー!」 「ブリザードインパクト!」 大地が悲鳴を上げるように地響きを立て、ムカシクロコダイルに山となり突き刺さり さらに追い討ちをかけるように氷の刃が爆発、ムカシクロコダイルを貫きムカシクロコダイルが断末魔をあげた 「四天王が全滅・・・見くびりすぎたな・・・」 イニシエはあせっていた、カタパルトの内部にあったムカシソルジャー製造プラントが爆発で壊され ムカシソルジャーは次々と倒されて行く、挙句の果てに強力な四天王すら倒されてしまった 「こうなればヒースを出す!ヒース出撃準備!」 「素手しか使えぬようですが、それだけでも強力かと」 イニシエの合図で、アンティークリュウの頭部から何かが出てくる、それはアンティークリュウの額に 埋め込まれるように取り込まれた禁忌だった。 「ヒース・・・オマエから自由を奪う者がいる、目の前にいる敵すべてを倒すのです・・・」 「・・・・」 その中にいるヒースは、目が虚ろになり魂を抜かれたようである、暗闇に閉じ込められた精神は 考える事を忘れさせられ。言われた事を耳に入れて動くだけの人形へとヒースを変えてしまったのだ 「・・・・」 「頼むぞ・・・あれだけが頼りなのだ・・・私は邪魔なやつらを消しに行く!四天王に搾り取ったエネルギーを送っておけ」 「ヒースさんが出たようです!皆さん行きますよ!」 ヒース出撃の報を受けた女王たちは、ついに戦場へ足を踏み出した。ムカシソルジャーの数はだいぶ減り 邪魔をするものは、触れるまもなく凍りつくか、蒸発するか、それとも切り裂かれるかのどれかの運命をたどった 「女王様の行き先を邪魔するなんて不届きなやつらだな・・・」 そのほとんどは、女王の手にかかる事もなくファータの騎士型ロボ、ハイウィンドの手で切り裂かれるのだが こうして一歩、また一歩とヒースに近づき、もはや距離を縮めなくてもよいほどになった 「・・・盾は装備してないです、今なら行けます!」 「素手では流石に勝ち目はあるまい!行くぞ!」「・・・いやな予感はします、ストゥリガよ気をつけてくださいませ」 「スフィラ・ワーレの言うとおり・・・なんだか悪寒がしますね・・・」 「怖気づいたら駄目じゃ!ヒースを救うには今しかない!」 「戦い方は心得てる!行くぞ!」 「ダークシャウト!!」 無防備な禁忌への最初の一撃は、クレイブラウザーの闇属性の呪文だった。闇の波動が禁忌を包み吹き飛ばし 禁忌が転がっていく、さらにそこへ間髪いれず迫撃が開始された 「エレメンタルストライカー!!」 「続くぞ!マナティックシューター!GO!!」 ストゥリガの放った魔法は、四大属性の最上級呪文を合わせたむちゃくちゃなものだった で禁忌が津波で流され、次にできた山の土砂崩れに飲まれ、竜巻で打ち上げられた後、火柱になり叩きつけられる だが終わりではない、強力なマナの集積された閃光が禁忌を包み込んだ。 「まだ動いている!?テレサ女王あれを!」 「はいっ!」 「私も続きます、ヒース・・・どうか死なないで・・・」 マナを一度解除して、氷の剣を消し去ると辺りがふぶきに包まれる、不気味なまでに呆然と立っている禁忌を 包むように吹雪は荒れて、そしてまた消えて行く。それが最後の合図であった 「行きます!ジャスティス・レイ!!」 「ホーリネスキャリバー!!」 「出現せよ北極星!我がマナを代償に燃え上がれ!!」 アストレイアの翼から羽が舞い、その羽は意思を持つように魔法陣を描き始める。これはアストレイアのビットであり これが切り札の準備である。魔方陣を砲門にして放つ最強の一撃。ジャスティス・レイの発動であった さらに同時に放たれた斬撃は地面を抉り突き進む光、ホーリネスキャリバー。キャリバーンの切り札である そして最後に雪の姫が放ったキノスラが放った星、それは北極星と言うマナにより莫大な熱を発する切り札である 「・・・・っ!!!!」 「これで気を失うだろう・・・早くつれて帰ろう、怪我だって・・・」 「そうじゃの。レヴィア暗黒連合が一番近いしそこに」 「えぇ、ヒー君がやっと戻って・・・嘘・・・・」 土煙の後から、動かないはずの禁忌が立ち上がったのだ、今までの攻撃を受けながら ヒースはまだ気絶していないのだ。これには流石の女王たちも焦り体勢を立て直す 「くっレヴィア!私とあなたで先陣を切りましょう!」 「はいっきゃああああああ!!」 クラウブレイザーとキャリバーンが先頭へ出たのだが、それと同時に禁忌が二体の頭をつかんで持ち上げたのだ すぐに抵抗してエクスカリバーと大剣が振るわれたが。それをあっさりと禁忌は装甲で受け止めてしまった 「そんな!パワーでクラウブレイザーが負けるなんて!?」 「流石・・・だが!コックピットががら空きだ!」 今度はコックピットを狙ったが、それよりも早く禁忌が加速して、二体を地面へと叩きつけてしまった 「がはっ・・・・」 「ぐぅっ・・・そんな・・・ヒー君が・・・」 「貴様ぁああああああ!」 そこへ飛び込んだのはファータのハイウィンドだった、意思を持つ為か搭乗者とシンクロし、怒りでパワーがあがっていた だがそれすら意に介さぬように、禁忌の掌がハイウィンドの腹部に炸裂し吹き飛ばしてしまった 「ぐぁっ!?ハイウィンド・・・ハイウィンド!動いてくれ・・・ハイウィンド!」 「ヒースやめるんじゃ!」 エルフェリーナのビームランチャーも、ふらりと幽霊のようにかわして、禁忌がエルフェリーナへと手刀を決める エルフェリーナもそのまま地面へひれ伏した。残りの3人も反撃を仕掛けるのだが 「もう一度ジャスティス・レイで!」 「その暇はないぞ!フィラ!全力だ!」「はいっ!力のぶつかり合いは自身がないですけど!」 「ヒース・・・ここで終わりなの?」 禁忌が飛び上がり、アストレイアへとキックを放つ、ビット攻撃を意に介さず突き抜けて 聖剣ガーディアンズ・ハートを蹴り飛ばしてそのままアストレイアを。スフィラ・ワーレの魔法攻撃も2段攻撃で 風の刃が襲い掛かり、それをかわしたヒースへ大地の槍が襲い掛かるが。それがあっさりと折られて 棍棒の要領でスフィラ・ワーレを殴りつけた。そしてキノスラへと攻撃は続いた 「ヒース!あなたはそんな人ではないっ!」 「っ・・・」 かすかにだが、動きが止まった。だがかすかに出しかなく岩の棍棒と、氷の大剣がぶつかり合い 氷の大剣に棍棒が壊されたが、そのままパンチを打ち込んでキノスラを吹き飛ばしてしまった 「・・・・ヴぁ・・・・ハッ・・・ッハッ・・・ハッ」 気味が悪い笑い声で、勝利を喜ぶようにヒースの声が響く。女王たちをたった数分で倒したヒースは 生存反応を消そうと、ゆっくりと歩き始めた 「ファ・・タ・・・聞こえますか?」 「レヴィア!何とか動ける今助けに」 「ヴェー君達に・・・応援を求めて」 「見捨てろって言うの!?イヤよ!」 拒絶の色を出すファータだったが、ハイウィンドは命令に従い、ヴェータたちのいる場所へと飛び始めた 負けず嫌いのハイウィンドは、戦いではなく勝負に勝つことを優先したのだ 「レヴィア!レヴィアっ!!生きて帰るって言ったじゃないか!」 「大丈夫よ、私達は・・・負けません。」 再度立ち上がるクラウブレイザー、そしてそれに反応するように、別の機体もまた立ち上がり始める 女王たちはまだ負けていない。たとえ力で勝てなくてもヒースを倒す方法はあるのだ 「倒れてたらアシリアに笑われちゃいますね・・・」 「私はレイニアに、母は辛いな?」 「そんな風に、冗談が言えるなら我らも戦えるようじゃな!」 「エクスカリバーとスリギィの騎士の魂にかけて、まだ負けれない!ジェラード私に力を!」 「ヒース・・・あなたは悪なんかじゃない!」 今度はクラウブレイザーが剣を大きく振るい、さすがに禁忌もバックステップで逃げさる それを狙ったように、羽のビットが周りを囲んでビームを乱射するがあまり効果は・・・ 「バーニングアップ!」 「ヴォガァ!?」 しかし飛んだ先、あまりにも無防備な禁忌は火柱に突き上げられ、そのまま地面へと叩きつけられる 「ヒースは遠距離攻撃はできません、今なら!」 「あぁ!破魔一閃-ホーリブレイブ!」 迫撃を仕掛けたアゼイリアの一撃が、ヒースを真正面から切り裂こうとしたが、騎士の運命 真後ろならある程度ダメージが狙えたが、正面だったのが仇となり捕まってしまった 「ヴァヴォァアアアアアアアアアア!!」 「何!?うぁああああああ!」 「アゼイリア女王っきゃああああ!」 助けようとしたクラウブレイザーであったが、力をつけて投げつけられた為、受け取るのに失敗してしまった すかさず落ちてきた禁忌がそれを狙うが、吹雪が襲い掛かりヒースを吹き飛ばした 「ヴァゴァ!?」 「させんよ!少なくとも近づけさせなければ!」 「エリー女王、お二人を頼みます」 「分かった、援護は頼んだ!」 女王たちが戦っている頃、消耗しきった戦士達は休んでいたのだが、ヒースとの戦いを聞きつけて 女王たちの下へと向かっていた。ムカシソルジャーの大群を部下に任せながら 「くそっ!お母様が危ない!」 「こんな時こそ騎士の出番、早く付くと良いんですけど 「シーリア!ヒース倒せるかね?」 「何とかがんばりましょう!」 そんな中ムカシソルジャーを吹き飛ばす二筋の土煙。 「陛下ぁあああああああ!!」 「ぬぉおおおお!陛下待ってて下さいませぇええええ!!」 ランスロットとリシューのむちゃくちゃな進行の後ろ、息子のガラハドが苦笑いしてたり 機士団やらが後に続いて、平らな道を歩くことなく浮き進んでいた。 「間に合うんでしょうか!?」 「ヒースの良心かテレサ様達を信じるしかない!」 「くそっこんな時に遅いなんて!」 「捕まってください!私が乗せます!」 「アゼイリア様無事だよな?なぁ・・・」 「当たり前だ!あの人が簡単に死ぬもんか!」 そして最後にカリメアの軍勢が空から邪魔される事も無く 「超頭領!護衛をいたします!」 「弾はまだあるので、そちらは?」 「OK!ガンガン撃てるさ!」 ヒースの下へ向かうのだが、一人絶体絶命の男が 「あー・・・やべぇ、血出てきた」 最終決戦の中、バルスは絶体絶命の危機に陥っていた。持病である 体力を使い果たし、口からは血を吐き出していたのだ。 「すまねーヒース・・・俺無理かもしれね・・・あっ、迎えの足音だ」 バルスが聞いた足音は、約5人分。仲間達が迎えに来たのだが立つ事ができない ミグレビッチを立ち上がらせず、半分諦めかけていたが 「・・・やっぱダメだ、借り返さないと・・・な」 超人的というべきか?その精神は、ふとした事でバルスに力を与える、どうでもいいような態度であるが だからこそバルスへ力を与えたのかもしれない。 「バルス!最後の戦いが始まってるようだ」 「急ぐとするよ!」 「おーおー、んじゃ行くとしようぜ」 こうして大暗黒八武将も動き出した、残るは圧倒的な敵の数に翻弄されているヴェータ達であった 「くそっ!数が多すぎる!ここだけ多すぎないか!?」 「敵の防御の要だったようです。困りましたねこれは・・・」 ここではヴェータ・ウェンディ・メディナ・ヤカリ・ペルソルナ・アリシア・リーゼロッテ・タガメが戦っていた だがここだけは明らかに敵は多く、どうやらタガメの言うように防御を固めていた場所らしい 「斬っても終わりが見えない!」 「まったくだわ!あの時と同じじゃない!」 メディナが悲鳴を上げ、ムカシソルジャーを魔法で吹き飛ばすが、穴を埋めるようにすぐにムカシソルジャーが集合 そこへタガメがロードも水系の魔法を撃つも、減っているはずなのにまったく減っている気がしなかった 「ベアビットも限界よ!あっ最後のが壊された・・・」「どうしよう!?ベアビット全滅だよ!」 「落ち着いてリーゼロッテちゃん!今は1体ずつ確実に落として!」 「外からの援軍はどうなってるの!」 スレイベアの特殊武器の同型機型ビットが数に負けてしまい、ビーム砲だけになったリーゼロッテのスレイベアに 助けに入るようにアリシアノアンジェラとペルソルナが合流する。がやはり数が多すぎる 「くっ・・・このままじゃ押しつぶされる!」 「冗談じゃないよ〜!ヒース助ける前に死んじゃうなんて!」 数に押され始めたヴェータ達、だがそれを砕くかのように現れた一体の騎士、ファータのハイウィンドが駆けつけたのだ 「ファータですか!?レヴィア様たちは!」 「やられてる!ヒースをとめれるのはヴェータ達だけだって!」 ヴェータ達に戦慄が走った、レヴィア達が危ないのだ。何とかしてこの状況を切り抜けたいが 切り抜ける術はない。絶体絶命とはまさにこのことなのだろうか 「どうすればいいんだ!姉さまたちを見殺しになんてできない!」 「私にいい考えがある!今は外側からも攻撃してる、この数を一点に絞って行けば何とか!」 ハイウィンドの剣の先、そこに援軍がいるらしいのだがそこまでどうやって行くか。 強大な威力の攻撃で吹き飛ばすのが無難なのだが、そんなに大きい攻撃ができるのは・・・ 「どうすればいいの!?必殺技なんて後1回やったらエネルギー持たないよ!」 「せめてもう少し早かったら・・・」 「こいつ等エネルギーそんなに無いから斬ってもあんまりエネルギーが・・・」 「アクアサイトクローム使いのに後30体は斬らないとダメだよ!」 もはやどうしようもないのかと、絶望的な雰囲気が漂っていたが、一人だけ前に出てきた タガメガロードである。彼もそんなに余裕は無いはずなのに。 「タガメ無茶よ!下がりなさい!」 「やれやれ・・・使いたくなかったんですけどね?」 いつものような、だが影を含んだタガメのため息の後、タガメガロードの背後に烏賊のような 禍々しい悪魔が映り、体についている触手をユラユラと動かしていた 「精霊イーヴィカル。私の魔術の形は精霊はいらないんですけどね。」 どうだろう、タガメガロードの魔力が上昇しているではないか。 この禍々しい精霊の力なのだろうが?いつものタガメと違いこの時は凄まじさがあった まるで恐怖で敵を包み込むかのように、魔力を集中させると。一気にそれを放った 「このタガメガロードが相手です!タガメテオー!!」 ムカシソルジャーは何が起きたか、ぜんぜん分からないまま大多数が消え去った。 魔力で作り出した水属性の隕石。それがタガメガロードの切り札だったようだ 「行きなさい!早く!!」 「タガメ・・・分かった、いくぞ皆!」 こうしてヴェータ達は、その開いた大穴から、ムカシソルジャーの包囲網を抜け出すことができた 突撃してきた援軍、ウィズラドのポーンエレメントにザイクリンデのフローズンサード これだけの戦力なら大丈夫だろうと、安心しながらヴェータ達は先へと突き進んだ。 「っ・・・使いすぎですね・・・」 「タガメ・・・あんた、無茶したでしょ?」 「ははは、無茶なんて言ってられませんよ」 ヴェータ達が去った後、タガメが少し苦しそうに息を吐いて、ファータがやれやれとタガメガロードをかばうように ハイウィンドを前に出した。援軍が来るまで少しだけ厳しい戦いになりそうである。 「ヒース!思い出さんか!ワシじゃランスロットだ!悪党になるなんてお前らしくない!」 「そうだよ!あたしを思い出してよ!リシューだよ!ちょっうひゃあ!」 その頃ヒースは援軍に駆けつけた仲間達を倒していた、リシューとランスロットの駆るアロンダイナーとブラストランサーの 槍を持ち上げて叩きつけ、横から切りかかってきたウィンディ・アルファとアンジェラ、武者行武刃が そしてロウディーンとバルガーハ、ペリノイアさらに空中からイーグルリミットとプテラプターも襲い掛かった 「ヒースさーん!帰ってきて〜!」 「お前はヒースじゃない、ヒースを返しやがれ偽者!」 「あなたの力は邪ではない!思い出して!」 「ヒースおめー!何で本当に敵やってやがるんだよ!」 「君は瘴気に犯されてもおかしくならなかった、思い出せヒース!」 一瞬ふらりとフラつくも、ヒースはすぐにウィンディ・ハイローから銃剣を殴り奪い。 アンジェラのおさげブレードを斬り飛ばし。武者行武刃から太刀を奪い取った 最後にペリノイアの攻撃をするりと避け、後頭部を殴り倒しバルガーハと切り結んだ 「ヒース!一緒にロンドムを守った事を思い出せ!」 「っ!?ヴァァアアアアアアアアアア!!!!」 思い出を思い起こすような一言一言に、ヒースの脳をかき回す力があるらしい。何度もフラフラとヒースが揺れ その度に錯乱したように暴れまわり、バルガーハが銃剣で殴り飛ばされた。 「ヒース!カリメアにまた来るんだろう!?」 「そうだ!また私がハンバーガー奢る!だから私達の元へ!元の君で!」 「剣を合わせたオマエじゃない、お前のままで戻って来い!」 イーグルリミットとプテラプターが足で禁忌の腕を掴むが、すぐに振りほどいてしまう。 だがロウディーンが切り込むタイミングを作るのに十分であった 「ヒース!!忘れたとは言わせない!私と戦って旅の事を聞かせてくれたではないか!」 「ヴァァアアアアアアアアア!!ヴォァアアアアアアア!!」 獣のように叫びを上げ、ロウディーンの剣を弾くが、その隙にプテラプターとイーグルリミットが ナギナタと大出力ライトセイバーで切りかかった。掌低でナギナタは片方の刃が折られ イーグルリミットの大出力ライトセイバーも消えかかった。だがまだ刃は残っている 「やった!」 「いやまだだ!通用していない!?」 禁忌の装甲は悲鳴こそ上げているが、壊れる気配は無く二体を殴り飛ばしてしまった 最後に突撃してきたシルヴィのドラフィリア、だが雰囲気がいつもと違う 「ドラフィリア!心放!ふぅ・・・はぁああああ!!」 ドラフィリアの装甲が外れてると、中から出てきたのは新たな魔竜・・・ドラフィリアは 本来邪悪な存在であるが、外装でその邪悪な心を封印していたのだ。 「ヒースさんお願い!約束したじゃないですか!またお話聞かせてくれるって!」 「ヴァ・・・ヴァガァアアアアアアアアアア!!」 だが張り付いたのが運の尽き、両腕を掴まれたドラフィリアが抵抗するも、逆の方向へどんどん押し込まれ 「うそっ!?ドラフィリア!あぁああ!」 ドラフィリアが悲鳴を上げて、両腕をブラリと垂れ下げると、そのまま動きを止めてしまった ついにほとんどの機体が倒されてしまい、ドラフィリアは投げ飛ばされてしまった 「お母様!姫!しっかりして!」 「ヒースは・・・思い出に反応してます。」 「レイニア・・・シーリアとミストを・・・二人なら、旅をともにした二人なら・・」 「プリンセスレイニア・・・ここは私が時間を稼ぐ」 「超頭領・・・だが私も行く。二人のほうが時間を稼げる!」 防衛線がなくなり始め、女王の機体をヒースから放していたファットマンと、ストゥリガを心配がっていたレイニアが ついにヒースへと立ち向かう。シーリアも行こうとするがそれはミストに止められてしまった 「落ち着けシーリア!皇子様たちが来るのを待て!」 「シールドぐらいなら出せます!」 最後の防衛線、レイニアのスノウドロップが氷属性の魔法で禁忌の足を止めると、ジャスティスカリメア2世の レーザーやビームの嵐が暴れまわり、ヒースへと確かな衝撃を与えていた 「YES!オマエが前に受けた攻撃だ!」 「この凍てつく感覚もだ!」 「ウゥウウ・・・ウゥウウウヴァァアアアア!!!」 禁忌が頭を抑えるような動作をして、ひどく暴れる・・・だがまだである。 ヒースの心はまだ動かず、ジャスティスカリメア2世に襲い掛かった 「させない!エリクシル!」 「NICE!プリンセNOOOOO!?」 アイアンドールのシールド。エリクシルが防御に回ったのだが、それを貫いて禁忌の拳がジャスティスカリメア2世を殴り飛ばし 狙ったかのようにスノウドロップを狙うが、もう4つのエリクシルがスノウドロップを包み込んだ 「GUHE!だがナイスだプリンセスシーリア!」 「すいません・・・っ来ます!」 「氷河の槌!!」 走りよってくる禁忌へ、スノウドロップが氷の塊を落とすが、落ちるより早くスノウドロップに接近 パンチでエリクシル5枚をまとめて貫いて、スノウドロップをダウンさせてしまった 「そ、そんな!?」 「くそっ私が時間稼ぐ!シーリア逃げろ!」 ついにシーリア、ミストだけになってしまい。もはやダメかと思われたその時! 「うぉおおおい!ヒースてめー!!」 「っっ!?」 何かが突撃してきた、漆黒の機体。ミグレビッチが魔術を使ったシールドアタックを仕掛けたのだ いきなりの突撃に流石の禁忌も横倒れになる、そこへすかさずナインファイヤのビット、ブレイブノートのビットが襲い掛かった。 「っっ!?」 「ヒース!何だい何だい!私を忘れたのかい!」 「・・・・」 ビットを物ともせず、立ち上がる禁忌であったがそこへ飛び掛ったのは、ヘルキャットとディレオライザーだった 「にゃー!ヒースお魚取ってくれたにゃの!思い出してにゃの!」 「ヒースお前は違う!俺との事を忘れたのか!狗威だ!」 「僕の友達じゃないか!思い出すんだ本当の君は仲間を傷つけなんてしないはずだ!」 「っ!っ―――――!!!」 さらにヒースが苦悩し始める、錯乱状態のように禁忌が頭を振りながら爪と剣を弾き飛ばす 次に遅い来るは骸竜哭が飛び掛り、上にまたバルスが乗ってミグレビッチの重粒子砲を禁忌へ乱射した 「ヒース!バルスだ!おめーに借りがあるバルスだよ!てめぇ何で洗脳されてんだ!!」 「バルス君コイツすごい!言われたとおりザウルスモードで戦ってるけどパワー負けしちゃう!」 限界だと骸竜哭がバックステップで逃げる、禁忌はパイロットの精神状態を表しているように ガクンガクンと震えている。バルスがまだ行けると重粒子砲をさらに発射するが 今度は叩き落とされて、禁忌が走りよってきた。 「ヒース!忘れんな思い出せー!!」 「バルス君あいつ早すぎる!ダメっ!?」 飛び掛った禁忌であるが、それを妨害するように結界が張られる、ヌイイのパンデモの魔法が炸裂したのだ 「シーリア皇女と魔術師ミストじゃな?まぁワシ等も時間を稼ぐからあんしんせい」 禁忌が結界を破るのを見ると、パンデモもバルス達へと加勢するため浮遊して接近した 杖で切りかかるも、禁忌があっけなく杖を折り掌低がコックピットへ叩き込まれた 「ヒース!ヌイイは爺さんなんだから労われ!初めて会うにしてもひでーぞ!」 「ぬぅ・・・早い所ヴェータ皇子らがこんと・・・やばいのぉ」 「わー!ヌイイおじいちゃんが!」 パンデモが動きを止めると、次の獲物はナインファイヤとブレイブノートであった。結界を張るブレイブノートだが あっけなく壊してナインファイヤの首を掴み上げて、力をこめ始めた 「ヒース思い出しておくれよ!あぁああああ!」 イリの説得もむなしく、ナインファイヤはブレイブノートに叩きつけられて、一気に二体が倒された 「こうなりゃヴェータ達が来るまで戦えるだけ戦うっきゃねーよなぁ」 「あぁもう!地味なのは苦手なのに!」 再度攻撃を仕掛ける骸竜哭だが、今度の禁忌は受け流すように骸竜哭の下半身を掴んだ だがそれが狙いなのか、骸竜哭が変形して禁忌へと剣を付き立て 「っ!!」 「うそっ!?イヤぁああああ!」 だが骸竜哭の剣が届く前に、地面に叩きつけられて動けなくなっていた。最後の砦はバルスだけである 「ヒース!おめーは殺人兵器じゃねーんだ!暴れなくても良いんだよ!!」 「ヴァァアアア!」 力負けして、ミグレビッチが一度レーザーソードでのつばぜり合いをやめて、また重粒子砲で対抗するが 禁忌がそれを気に留めることも無く、一気に接近して殴りかかった 「っヒース!おめーは・・・おめーは大事な者を傷つけて苦しんでる!戻ってこいよ!」 「・・・・」 一瞬攻撃の手が緩んだが、最後にミグレビッチを殴り倒して、ついに大暗黒八武将まで倒してしまった 今のキリングマシーンと成り下がったヒースの刃は、シーリアたちを狙った 「これで最後かね?何とか取り戻すよ!」 「まってミスト!まだ大丈夫みたい・・・皆が来たよ!」 「見えた!ヒースだ!!」 やっと、やっとヒースを見つけたが今の状況は、悲惨を極めぬいたようなものだった 仲間達は皆全滅。生き残っているのは途中参戦のシーリアとミストだけだった 「姉さま!?嘘だろ姉さま!!」 「お母様!いやっイヤー!!」 姉さまが倒されていた。アリシアも母親の乗るアストレイアの敗北に悲鳴を上げていた 「レヴィアさん!イヤよレヴィアさん!」 「その声は・・・来たのね、大丈夫よ・・・ヴぇー君、ヒー君を説得できるのはあなた達だけよ・・・」 「姉さま・・・けどどうやって!?」 駆け寄ると、絶望的な状況である事が完全に分かってしまった。今のヒースは周りを気にしていない ただの戦闘機械だ。周りがむちゃくちゃなのがそれを物語っていた。 「ヴェー君、声よ・・・ヒー君は思い出に反応して動きを止めていたの」 「声ですね、呼びかければ・・・分かりました!」 「がんばって、ヴェー君!」 クライブレイザーの手を握り、空元気で応援する姉さまの期待にこたえる為にも。 ヒースを取り戻すために。僕らは負けれない 「ヴェータ!行こう!」 「あぁ!!」 「分かりました、お母様・・・私やってみます!」 「アリシアやろうぜ!私らでヒースを助けるんだ! 「ヤカリ!腕の一本ぐらいなら許すからがんばろう!」 「今度は私が助ける!ナナミ待っててね・・・」 「ヒースいい加減、帰ってこないと許さないわよ!」 「短い間でしたけど、やってみせます!」 「シーリア、無茶すんじゃないよ?」 こうして僕らの最後の戦いが始まった、ズメウで禁忌に張り付いて、ソードマスターも同じように張り付いた 振りほどこうとするが、その前にペルソルナやアンジェラ、スレイベアも張り付き とどめにアイアンドールとモノクロームトーンが抱きついて、禁忌の動きを止めることに成功した 「ヴァァアアアア!ヴァァァアアアアアアア!!」 「ヒース思い出せ!オマエがいたから初めて友人ができたんだ!ヒースお前だ!」 「私!ヒースに会えたおかげで大切な者、いっぱい思い出したの!」 暴れまわろうとするが、それを無理やりズメウ達で押さえつける。確実に錯乱している もっと、もっとヒースの本来の姿を思い出させれば、きっと戻ってくる! 「忘れるなよ!私ら一緒に旅してたじゃねーか。いやこれからもだ!」 「戻ってきてよ!また一緒に旅に出よう!」 「あんた!私に行き方がどうのこうの言ったのに!一人だけ消えるなんて許さない!」 「ウァッウァァァアア!ァァアアアアア!!アァアアアア``!!!!」 「ヒースのおかげでナナミが助けれて、ナナミも落ち着いてきたんだよ!また会いにきてっ!」 「あなたのおかげで私友達に再会できた!だからヒースも帰ってきて!!」 「お・・・オレハ・・・」 「ヒースさん!帰ってきてください!!また・・・一緒に旅をしましょう!!」 そうだ・・・オレは、オレはヒース・・・そうだ。オレは・・・俺はあんな奴らの言いなりになったりしない! 「皆・・・」 「ヒース?ヒース何だな!やった!戻ってきたぞ!」 俺は・・・俺はとんでもない事を、操られたからといって、皆を傷つけてしまった・・・俺はもうだめだ・・・ 「俺はもう・・・皆を傷つけてしまった・・・」 「落ち込むな、お前が帰ってくるのが何よりも皆うれしいはずだ。」 「ヴェー・・・タ」 「ヒースさんっ!!」 罪は償わなければならない、けど今は喜んでいてもいい、そういう事なんだろうか 皆を抱き返したいが、この状況では抱き返すこともできないと 皆が一度離れた。皆に機体越しに抱擁すると、自然と涙が流れてくる・・・かえってこれたんだ 「ふっまさか洗脳がとかれるとは」 「イニシエ!」 オレを洗脳した張本人、敵のリーダーのイニシエがついに出現した。もはや許さない! 禁忌が次元層から剣と盾を取り出すが、それに待ったをかける4機の影があった 「イニシエ様!ムカシクロコダイルただいま復活しました!」 「ムカシバードも同じく!」 「ムカシレオンただいま参上!」 「ムカシセンチピート復活完了!」 四天王だ、だがあのときよりもエネルギーが増加している、まるでオレのタイトゥンズオープンを受けたように まさかイニシエはオレを取り込んでる間にタイトゥンズオープンを!? 「そのまさかよ、今の四天王はあなたの力を取り込んだハイパー四天王よ!!」 「何がハイパーじゃ・・・ネーミングセンスがないのぉ?」 「何!その声はまさか!!」 後ろの振り向くと、ボロボロになったエルフェリーナが立ち上がっていた、いやエルフェリーナだけじゃない スフィラ・ワーレもクレイブラウザーも、アストレイアやキノスラもキャリバーンだった。 「ヒース、お久しぶりですね?脅威はまだのようです。」 「雪の姫!それにストゥリガ女王にエリー女王!レヴィア閣下にテレサやアゼイリア女王まで!」 さっき俺の攻撃を受けて、装飾はボロボロになり美しかったボディもボロボロ、そんな状態の女王専用機 そして女王達が立ち上がったのだ。それをあざ笑いイニシエ達は高笑いをしていたのが気に食わんが 「私達であの人たちを倒します。ヴェータ本当にご苦労様・・・ヒー君。おかえりなさい」 「無茶だ!ボロボロじゃないですか!?僕らは戦えます!」 「そういう事じゃないの、流石にやられっぱなしは・・・ね?」 レヴィア閣下が鋭い口調で話すなんて初めてだ、ピンピンしてる敵に対して、勝てるかは分からないが 不思議と負ける所が想像できなかった。 「まぁいい、軽く倒して来い四天王よ」 「でりゃぁああ!クロコダイルタックル!!」 ムカシクロコダイルが突撃して、一番ひ弱そうなエルフェリーナへと襲い掛かるのだが それをふわりとかわすと、ビームマントを振りかけられてムカシクロコダイルが叫びをあげた 「ぎゃちゃあああああ!?」 「なら涼しくしてあげましょう。」 次に雪の姫のキノスラが凍るはずの無いビームマントすら、キノスラで凍りつかせて ムカシクロコダイルを動けなくし、その場にばたりとムカシクロコダイルが倒れた 「貴様!でぇえええい!レオンバグナグ!」 「センチピート百裂波!」 次に襲い掛かったのは、ムカシレオンとムカシセンチピート、キノスラに襲い掛かるのだが それよりも早くアゼイリアのキャリバーンがムカシレオンのレオンバグナグを防ぎ エクスカリバーで切り返し、100の弾道もスフィラ・ワーレが結界で防ぎきってしまった 「ば、バカな!なぜそんなボロボロでパワーアップした我のレオンバグナグを!」 「本当の獅子と戦った身としては、この程度で獅子を名乗るとは笑わせてくれる!」 「ぬがぁあああ!?」 そのままレオンバグナグごと、ムカシレオンが斬り飛ばされた。それを見ていたムカシセンチピートは スフィラ・ワーレは接近戦ができないと踏み、急速に接近したのだが 「うわっ!?ぬ、ぬかるみだと!!」 「ずいぶんと舐められたな?」 「少なくとも私達はあなた達には負けない!」 ぬかるみに足を取られたムカシセンチピートが、反撃で百裂波を放とうとしたのだが それよりも早く、泥濘が大爆発を起こした。水属性と炎属性と地属性をあわせたのだ 本来なら相反する属性ばかりで、発動すらしないがここは流石に王族というべきか 「ぎゃわぁあああ!?」 「ケケェ!!」 その後ろから、襲い掛かるのはムカシバードであったのだが、スフィラ・ワーレは動かず そのまま立ち続け、爪が襲い掛かる・・・と思われた。 「ギャゲゲェエエエエ!?」 「はぁ・・・本当、舐められてるな私達?」 「まったくです、ストゥリガ私達、戦績悪かったですか?」 ムカシバードが突如出現した竜巻に、高く高く打ち上げられ、炎が混じった竜巻に焼かれ 挙句その中に岩石が現れ、何度も何度もムカシバードを叩きのめされた 「ゲギャア・・・」 「そ、そんな!?わ、私達は有り余るほどエネルギーを吸収しているのに!」 「分かりませんか?あなた達では性能がヒー君の足元にも及ばない、戦闘においては私達に劣っています」 「これで最後ですイニシエ、もしも山奥でひそかに生きるなら逃がしてあげます!」 最後のイニシエも、アストレイアとクラウブレイザーの前に、ジリジリと後ろへ下がったのだが だが怒りに任せてイニシエは闇雲に突っ込んで行く。 「黙れ人間がぁ!」 「ふんっ!!」 「えい!」 だが見事にカウンターが決まった、アストレイアの流れるようなカウンターと 凄まじいパワーで、ただ力任せに大剣で叩くようなカウンターを受けて、イニシエが吹き飛んで行く 「ぎぁああああ!!お、おのれぇ!!四天王コイツラを皆殺しにするのよ!合体!!」 虫の息の四天王が、最後の力を振り絞り立ち上がると、イニシエへと飛びより 体の形を変えて・・・イニシエの体へとへばりついて行った 「ハァーッハハハハ!これぞイニシエンジェル!!ぶっ殺してやる!!」 怒りに身を任せて、完全に相手を見ることを忘れていたイニシエは、せっかくの合体を水の泡にする事になった なぜなら合体する事によって、アストレイアが魔方陣を描き終えて。ブレイクラウザーは大剣に 闇の力を纏わせて。完全にイニシエンジェルを倒す準備を終えていたのだから 「ジャスティス・レイ!」 「ビヨンドオブダークネスっ!!」 先ほどより、光をましたジャスティス・レイと闇を纏った大剣を、地面に突き立てたクラウブレイザーが 巨大な闇の波動を撃ち放つ。イニシエンジェルが逃げようにも、逃げる事ができるはずもない あまりにも巨大すぎる波動は、交じり合いながらイニシエンジェルを吹き飛ばして行く。 「「えっと・・・名づけてレジェンドオブカオス!!」」 「こ、こんな事が!?うがぁああああああああ!!!」 「これで終わり・・・だよな」 やっと終わった、皆も意識を取り戻して、ハッピーエンドに終わりそうである ムカシソルジャーは全滅したし・・・・ 「貴様・・・らぁ・・・」 「っ!?」 まだだ、まだイニシエンジェルは生きていた、えぇいハッピーエンドだと思ったのに だが様子がおかしい、翼を広げるとさっさと空に向かって逃げている。 「はぁ・・・貴様ら!いつか復讐してやる!」 落とすより先に、イニシエンジェルが空のかなたへと消えてしまった。 皆疲労しきってもう動けないというのに・・・ 「シット!奴め宇宙へ逃げたのか!」 「もう少し早ければ吹雪で遮れたのに・・・」 「無茶をするな姫、私達にはほとんど力が残ってないんだから」 レイニアと雪の姫が悔しそうにして、シャーワとグレンも空の人間として 空の上に逃げられたのを悔しそうにしていた、俺には空は・・・ 「ヒース、お前なら追いかけれる!」 「ストゥリガ女王、ヒースは空は飛べれないのでは・・・」 「魔術書に飛翔魔法がある、21ページだ!」 「本当か!だが魔力は・・・そうか、さっきのでだいぶある!」 飛べる!魔術書を開くと、確かにそのページの魔法は俺を飛ばしてくれるようだ 「ヒース、宇宙は空の上だ・・・気をつけるんだぞ?」 「せっかく帰ってきたのに、すぐにお陀仏なんてなるなよ?」 ヴェータとガラハドに手を振ると、詠唱を唱えて・・・できた、これが俺の新しい呪文 「フェザードアップ!」 ふむ、なかなか趣味のいい機械翼だ。真っ黒なステルス機のような翼を背中につけて 一気に空へと上ると、なかなか心地が良い・・・なんていってる場合ではないか 「っと!大気圏ってやつか!熱いっ!」 まったく、こんな時ばっかりは黒い色は失敗だったな。そして熱さを超えると今度は・・・ 驚いたな、真っ黒なのは知ってるが温度が無いようだ。 「なっ!?貴様なぜここに!」 「いたか、お前には色々されたしな・・・」 逃げようとするが、逃がしはしない。皆にされた分も俺にした分も返してやる 剣を構えてブースターで進むと、イニシエンジェルを射程に捕らえた 「さて、地球に帰るぞ!!」 「ヒッ!?」 まずは剣で一撃、地球へ向けて叩きつけると、すごい勢いで吹き飛んで行く さて、追いかけてやるか・・・盾に差し込みながら近づくと ナイトメアサークルの一撃を食らわれてやり、大気圏へ突入すると今度は斧だ 「カルマティックブレイク!!」 「がはぁっ!?」 「次だ!アンフェリターンズ!!もう一撃!クラッシュアンカインド!!終わらないぞ! 「ひぎゃああああああ!!」 どんどん地球へと戻っている。次々と必殺技を叩き込んで、地表へと叩きつけるべく 必殺技を連続して叩き込んでいく。もう少しで地上だ・・・だが 「ランスオブダークネなっ!魔力が!くそっ嘘だろ!!」 「はぁはぁ・・・ふははは!残念だったな!」 もう少しで倒せたのに、耐久力のあるイニシエンジェルに手を伸ばすが届かず、飛んで逃げていく もう少しなのに・・・だんだんと俺の体は地表に近くなり、イニシエンジェルと遠くなる・・・その時だった 「レッツパァアアアアアアリィイイィイイイ!!ィイイイヤァアアア!!」 「なっ!?みぎゃああああああああ!!!」 イニシエンジェルが吹き飛んで星になった、最後という最後でジャスティスカリメア2世が決めた! だが俺はもうだめだ・・・地表が本当にドンドン近く・・・近く・・・ 「ひー君!」 「ヒースさん!」 だが大丈夫なようだ、レヴィア閣下のクラウブレイザーとテレサのアストレイアが俺を助けるべく 俺の下に来て手を広げてる、これで地表への直撃は避けられ・・・ 「ぐはっ!!」 ・・・二人とも着地地点を間違えてた、あぁ・・・地面にめり込んで 「・・・ここは・・・」 目が覚めると宿屋にいた、どこか知らないが・・・ 「ヒースさん?ヒースさぁん!!」 「わっアリシア!?」 「ヒース!やっと起きたのね・・・」 アリシアに抱きつかれて、少し苦しかったが何だか暖かく、ひどく懐かしく感じれた しばらくして離れると、皆が部屋の中に入ってきた 「ヒース!よかった無事だったか」 「おはよう!もういつ起きるかと思った!」 「ヒースってばもう!おはよー!」 「よっしゃ!もうヒースお前ってば!」 皆いる、良かった・・・ベッドから立ち上がると、立ちくらみもしなかった。 意外そうに見ている、何故なんだろうか? 「もう、2日も寝てたんですよ!」 「二日?」 「もー、心配で心配で・・・」 二日か・・・ずいぶんと皆に迷惑を・・・ 「すまなかった、迷惑を・・・」 「気にするな、帰ってきたのがうれしいんだ。」 「まぁ、すまないと思う気持ちがあるなら・・・」 メディナが何かを渡した、えっと・・・手紙?何でだろう? 「各国に謝罪の文章を送るのよ?」 「・・・まぁ、しょうがないよな」 「運転は僕がする、エネルギーをためておいてくれよ?」 ・・・あぁ、けどこの量を?いつごろまでやるんだろう、まぁ早くやらないとダメなんだろうな バイクにエネルギーをチャージしておかねば・・・ 「皆、ありがとう」 「水くせーよ、よっしゃ次はどこ行こうか?」 「暑いし海に行かない?」 「海か・・・僕はいいぞ?」 「海ね、私は賛成よ」 「久しぶりですねぇ・・・海」 海か・・・さて、行こう・・・今度からこんな事がないといいが、いや今度からはさせない ちょっとだけ、色々と皆に会えそうだったのにと、残念がるが・・・まぁいい 「いつか会えるか。」 さて、今はこの旅を・・・っておい、あの反省文・・・本当どうしようかなぁ夏が終わるまでに書き終わるだろうか? 映画版ヒースSS、黒騎士と古代からの侵略 終わり