「・・・・」 くそっいつまで、俺はここにいるんだ・・・両腕と両足を高速具で動けなくされて 約7時間・・・いい加減イライラしてくる。禁忌はドッグに捕まっているせいで 次元層から呼び出せないし、どうしようもないな 「・・・む?」 「ヒース君、こうやって会うのも久しぶりですねぇ」 「ドラグノフ、俺は二度と会いたくなかったがな」 さて、どうした物だろうな・・・この拘束具、破り捨てようと思えば破り捨てれるのだが 電磁ネットを使っているせいで、完全に拘束が解けない使用になっている 「君のために作ったんですよ」 「悪趣味なプレゼントだな、お前らしいと言えばお前らしいが」 やれやれ、逃げれそうに無いな・・・後ろからスタッフがやってきて、滑車に俺を縛り付けてそのまま運んで行く NIの研究所・・・とは違う、何というか規模が小さいな 「あら、ドラグノフその人が?」 「アクアさん、えぇ彼が私の運命の人ですよ」 「気持ち悪いたとえはやめろドラグノフ」 女の科学者の前で足を止めると、ドラグノフは心底嬉しそうに俺の事を解説し始める。 話を聞いてると、女の方も薄気味悪い笑いをし始めるし、何なんだここは・・・ 「はじめまして、私はアクア=ビットーラスここの科学者の一人よ」 「リスコル君はもう待機してますので、これで」 「待って私も行くわ♪」 科学者連中は物好きだ、俺の何が楽しいんだか・・・ガラガラと滑車が動いて、重々しいドアを開けると そこには数人の科学者達が静かにこちらを向いていた。 「ドラグノフ先輩、彼が?」 「えぇ・・・素晴らしい性能ですよ、まぁテストで分かるでしょう」 「君がヒースか・・・僕はリコルス・ガルマーダ。よろしく頼むよ」 短い付き合いになるだろうなと、皮肉を言っておくと拘束具が外され始めた、長くても1ヶ月が限界か 脱走の手立てを考えなければならないだろうな・・・ 「タガメ・・・これが?」 タガメに連れられて来た、闇の国の城の格納庫・・・これが新しいアン・ギェーラの力 「ORとディオールのアンジェラ、さらに暗黒連合だけでなく連合国からの技術力をつぎ込んだ外装です」 「随分と早くできたわね・・・」 「元々はドゥの強化型でペーパープランがあったんですよ。」 アン・ギェーラに合わせた紫と白の装甲、けれど色合いだけじゃなくどこか妖艶で・・・ 羽衣ともドレスとも取れて鎧と呼ぶには綺麗過ぎるわ 「アン・ギェーラ・ドゥが2を意味するのは知っていますね?」 「えぇ、今度はトロワ?」 「1ランク程度では満足しないでしょう、名づけるならば・・・」 手のひらと無限 「インフィニティ?」 「そう、無限です。」 「・・・ふんっ名前負けして無いでしょうね?」 私が少しだけふざけてみると、タガメったら「それは貴女しだい」ですって 気に食わないけど良いわ。やってやろうじゃない! 「ただしインフィニティユニットは心に反応します。メンタル的に弱いと動かせないので注意を」 「・・・大丈夫よ・・・私そんなに弱くない」 アン・ギェーラにあの鎧が装備されると、残るは私が乗り込むだけね、と思ったらまだ準備が必要みたい パンツァーシュナイダーを使うの?パンツァーシュナイダーに追加パーツね・・・面倒なことね 「これで準備完了です、いつもと同じでトラクタービームが出ます」 「分かったわ。さてインフィニティのお披露目と行くわよ!」 「キャリコちゃんはすげーな、逃げまくりかよ」 「はい、かれこれ10回以上は」 すっげーなぁ普通の王族でもそんな経験ねーよ、人懐っこい性格で私とかなり早く打ち解けてくれた それにしてもすげーよ、27回ってギネス載る勢いじゃんか。 「キャリコはそういう体質で・・・」 「大変だねキャリコちゃん・・・」 「えへへ、少し大変です・・・ちょっと失礼させてください」 ペルソルナがしみじみしてると、キャリコがペルソルナの事を抱っこして座っていた そういや前にペルソルナの抱き心地が良いって言ったんだよな・・・ 「わぁ・・・ふわふわのお人形さんみたいですね♪」 「あぁ、ペルソルナはそのサイズになるとすっげー気持ち良いだろ?」 「あっキャリコ、ダメです!」 ん?何だ一体?なにも駄目そうじゃないし二人とも幸せそう・・・むっ?なんかルナの目が・・・ 「はりゃにゃほへぇ〜」 「あーっ!遅かったですか・・・」 「な、何が起きたんだ!?」 「キャリコは機械オンチなんです・・・いるだけで効果を発揮する」 そんなむちゃくちゃな!?体質まで希少なんだなと思いつつ、ペルソルナをキャリコちゃんが放すと 酔っ払ったみたいになってる・・・こりゃすぐには直りそうにないよなぁ 「ご、ごめんなさい・・・」 「あぁ泣かないでキャリコちゃん、なぁアリシア整備ドッグまで案内してくれるか?」 「はい、急ぎましょう」 ペルソルナも災難だよなぁこんな良い子なのに抱きしめられるとマシントラブルなんて ペルソルナを抱えると、さっさと私らは整備ドッグへと急いだ 「はぁ・・・」 インフィニティが動かなかった、理由は私の心・・・・心?一体何がダメなの? 「私はまだ未熟だけど・・・少しは成長したと思ったのに、本当はぜんぜん成長してないの・・・?」 「それは無いと思いますよ?」 声がして振り向くと、タガメがジュースを持ってきてた。こういう時は甘いものが良い そういうことね。ありがたく貰うとするわ 「ありがとう」 「・・・」 「どうかしたのタガメ?」 何よ、タガメったら動きを止めてしばらくしてから慌てて私にジュースの缶を渡したんだけど・・・ 「何よ、そんな顔して」 「いえ貴女が素直にありがとうと言うから、変わりましたね」 ・・・変わったか、確かにそうかもね・・・旅をしてて、ちょっとだけ変わった気がする ジュースを飲んでみると、私の好きなりんごジュース・・・タガメは分かってるわね 「ふぅ・・・」 「心の問題とはいいましたが、メディナは十分成長したとは思うんですが・・・」 意外な一言だった、資格はある・・・けど何が足りない・・・何なのかしら 「うぃーっす、元気だったかメディナ」 「ば、バルス様!?」 今度はバルス様・・・だけじゃない、狗威も一緒・・・どうしたのかしら・・・ 「聞いたぞ、新型の扱いに失敗したらしいな」 「い、嫌味でも言いに来たの?」 「それもある、ってのは冗談だが、どうしたんだ何か事故ったか?」 事情を話せば二人ともヒントが浮かびそうだし、一応は話した方がいいかしらね・・・ 「分からないのよ、タガメは私に乗る資格はあるけど心の問題だって」 「そりゃお前あれだよ」 あれ?あれって何・・・?私が首を傾げて待ってるとバルス様は隣に腰掛けて 独り言のように語り掛けてきた。 「焦ってるんじゃないか?ヒースを助けたいってよ」 「焦ってる?それに何の関係が?」 「なぁタガメ、その機体はメンタル面も重要なんだろ?」 「まぁパイロットの意思に反応しますね。」 バルス様がやっぱりと言うけど、私にはさっぱり。どうして焦ってると動かないのよ アン・ギェーラのときだって焦ったりはしたけどちゃんと動いたわ 「焦りってのは心を鈍らせる。強い力ってのはそんな状態じゃ動かないのさ」 「バルスもミグレビッチの時はそれで動かしきれなかったらしい。俺も同じ経験がある、ヘルキャットにそっぽを向かれた」 焦り・・・か、確かに私の仲には焦りがあるのかもしれない。けどそんなの直ぐに直るわ 「理由が分かったら出来る気がしてきたわ、タガメ行きましょう」 「分かりました。」 「二人ともありがとう、がんばってみるわ」 問題解決、さっさと頑張るとしましょう!せめて明日までに動かしておかないと 大丈夫よ私・・・落ち着きなさい、あれを動かすのよ 「・・・いや、焦りだけじゃねーだろうがな・・・」 「やはりか?メディナの精神は成長したがまだ子供だ・・・支えなしでは酷か」 「ねぇヴェータ、私達・・・」 「どうしたんだ?」 「私達、強くなれるのかな?」 少しだけ不安だった。だってヒースを助けるのは良いとしてその方法が、ヴェータは炎の一族の王様 私は風の神様に力を授かるだなんて、今まで考えてもなかったのに・・・ 「・・・慣れるさ。」 「本当の事を言ってほしいの」 ヴェータの目、一瞬だけ私から視線をそらした。嘘だって分かるよ・・・ 「私怖いの・・・ダメだったら、ヒースを助けれなくなっちゃう・・・」 「・・・ダメかもしれない、だがその時になったら考えれば良い」 「時間は待ってくれないよ・・・?」 ・・・もしも私達がダメだったら、ヒースはどうなっちゃうのかな・・・ 「そうだ、だが今から不安になってもどうしようもないだろ?」 「け、けど」 全部を言い終えるより先に、唇が動かなくなった・・・って言うのはたとえが変かな 正しく言えば塞がれてた。ビックリして最初は目を丸くしてたけど 少ししたら唇を塞いでたヴェータの唇は、ゆっくりと離れてヴェータの顔が目の前に来た 「ウェンディ、今は成功する事を前提に考えるんだ。」 「ヴェータは・・・不安じゃないの?」 そのヴェータの目は、頼れる目をしてたけど、私の一言でどこか不安げな悲しさを見せて 私を抱きしめたままくてん、とベッドの上に寝転んだ 「不安さ、早くNIを焼き尽くしてヒースを助ける力が欲しい」 「・・・」 「手に入れれない時、その時が来ないように信じていたいんだ」 ヴェータがすがるように、力をこめて私を抱きしめると、不思議と私の不安が薄れていった 「分かったよ・・・私も前向きに頑張る、ありがとうねヴェータ」 「いや、ウェンディがいなかったら不安に潰されてそうだったよ」 ぎゅっとお互いの不安を消し去るように、強く抱きしめあうけど私・・・少しだけ 少しだけヴェータが不安だった、ヴェータは壊す力を求める目をしてたから・・・ 「何でなの・・・動いて!」 あれから何回もやった、焦ってなんかない・・・そのはずなのに、アン・ギェーラ・インフィニティは動かない 魔力を注ごうとするけど、魔力が注がれないし魔力コンバーターで魔力が上がる事もない 「速く動いて!じゃないと私・・・」 「何で動かないんでしょう・・・メディナはあんなに必死なのに、メンタル面ではもう焦りなんて・・・」 「ターガメ、お前さんも意外とメディナが見えてないな」 「バルス様!?いったい何のようで?」 そんなメディナを見て、悩むタガメの後ろに現れたのはバルスだった。彼の言う見えてないとは果たして 「メディナは確かに人を感謝するとか、そういう事を覚えたが・・・タガメよ」 「何です?」 「メディナはまだガキ何だぜ?一人じゃ苦しいだろう」 バルスの一言でタガメはハッとなった。確かにメディナは前よりずっと性格は良くなったかもしれない それにメンタルでも親元から離れ、自分の生き方を探しに旅立っただけでもずっと成長しただろう だが・・・だが、メディナはまだ子供、一人だけで恩人を助ける事を背負い込んでしまってもしょうがない 「ヒースの事を背負い込んで、一人でどうこう出来る歳じゃねーさ」 「確かに・・・ですがどうすれば・・・」 「簡単だ、ヴェータ達を呼べば良い・・・と言いたいが、少しメディナを休ませて明日にするべきか」 バルスはそれだけ言うと、ドッグから出て行った・・・タガメは直ぐにメディナを止めようと アン・ギェーラへと向かったが、メディナはヘトヘトになりながらも奮闘していた 「ふぅ・・・ふぅ・・・」 「メディナ、今日はもうやめましょう・・・魔力だって尽きかけてるじゃないですか」 「えぇ、けどもう少しだけよ。もう少しやりたいの・・・」 一見すれば、この少女の心がまだ弱いとは思えないだろう。だが本当はまだ仲間の励ましや アドバイスが欲しい年頃なのだ。タガメは無理にでも・・・と思っていたが、やはりもう少しだけ 好きにさせる事にした。今言ってもきっと踏ん張るだろうし、何より動くと信じたかったからだ 「メディナ・・・貴女は強くなった、ですがまだ幼いんですよね・・・今日は労ってあげなくては」 親の元を離れた彼女には、もう親はいないのだ・・・メディナは薄々気づいていたが、メディナはもう 勘当されている、いや旅立つ時にはそれを分かっていただろう。 「魚介類が好きでしたね、作れないし出前か」 そんな彼女にとっての、闇黒連合での頼れる存在で一番頼れるのは何だかんだでタガメなのだ 懸命に動かそうとするメディナに、タガメは仲間達が早くメディナの下に来る事を望んでいた 「やれやれ、あいつも俺みたいに先が短いならともかく、あの歳じゃ酷だぜ・・・」 そしてそれに気づいたバルスも、何だかんだでメディナの事は気遣っていたようである メディナの心が分かったのは恐らくバルスの精神が強く、メディナの精神がどうなっているかが分かったから・・・かもしれない 「ルナ、もう大丈夫か?」 「うん・・・バグで酔っ払った気分だった」 ペルソルナちゃんはもう大丈夫なようです。良かった・・・ヤカリさんがペルソルナちゃんを撫でて 一安心していると、キャリコが少し距離を置いてペルソルナちゃんに謝ってました 「あの、ごめんなさい・・・」 「ううん、気にしなくても良いよ。いきなり距離を縮めなきゃ大丈夫だし」 「本当?もう少し大丈夫?」 恐る恐るキャリコが近づいても、平気と腕を振るとキャリコも安心したのか。万遍の笑みを浮かべて 距離を縮めました、ペルソルナちゃんが戻ればパワーアップも大丈夫でしょう 「これで一件落着か。」 「そうだね〜」 流石に革命派の人たちは、私が釘を刺したから手出しは出来ませんでした。こんな時にペルソルナちゃんを弄られてはたまりませんし 一安心していると、後ろから誰かが・・・革命派のミーナさん・・・ 「ご機嫌麗しゅうございます。」 「ご、ごきげんよう・・・」 「王女、アンジェラの件なのですが」 す、少しだけ嫌な予感がします・・・ミーナさんはアンジェラの開発主任の一人なんですけど もう・・・凄い何というか、あれな人でアンジェラの改造で何か言うんじゃ・・・ 「王女、今度のアンジェラなのですが」 「か、改造プランは聞いています!ORのデータを下に改造していると」 「そうですが、それだけでなくですね」 つ、捕まっちゃう!ヤカリさんの手を引いて逃げようとしたら、ミーナさんがまた待ったをかけました 「め、メディナとか言う分家の娘のアン・ギェーラも同じような強化が・・・」 「そ、そうなんですか?」 「ですが精神的な部分が弱いと動かないとか、果たして動かせるのですかね?」 メディナちゃんが・・・?ヤカリさんもそれを聞いて、ちょっと心配そうにしてました けど今日はもう時間が時間ですし、また後で行く方が良さそうですね・・・ 「ありがとうございます、それでは」 「へっあっアンジェラの話も聞いてください〜!」 「はぁ・・・ダメだった・・・」 結局、私じゃインフィニティユニットは起動できなかった・・・何でなのかしらね・・・ 「私、まだぜんぜん成長してなかった・・・」 「そんな事ないですよ、メディナ貴女は」 「もう良いのよ、ありがとうタガメ」 ヒースごめんなさい、私は貴方の力になれそうにないわ・・・私ってば、本当に成長してなかったのね ふっ・・・ORを使いこなせる分、虫さされの方が上・・・か 「メディナ、聞いてください」 「いいのタガメ、慰めないで・・・その方が惨めよ」 私はインフィニティユニットを扱いきれない。それだけが確かな真実なんだから 気を使ってくれて私の好きな物、いっぱい作ってくれたけど逆に惨めよ・・・ 「結局、私はダメだったのよ・・・」 「メディナ、諦めるのは早いです。」 ヤケにタガメが強気ね、何時もなら縮こまってたりあたふたしてるのに・・・ 食後のバクフ茶を飲みながら、少しだけタガメの話を聞いてあげる事にした 「メディナ、明日・・・明日だけでも頑張ってくれませんか?」 「・・・」 「明日は必ず、必ず貴女は動かせます。」 静かだけど、力強い言葉遣いで何時もの長いものに巻かれてたタガメと違う 頼れる感じがして・・・もう一日だけなら、頑張ってもいい気がした。 「分かったわ、結果は同じでしょうけどね」 「それでこそメディナです、頑張ってください」 タガメには自信があるみたい、信じてみても良いかもね・・・私がインフェニティを動かせるって けれど・・・皆、明日来た時に私がインフィニティを動かせないって知ったらショックを受けるかしらね・・・ 「タガメ、もしもダメだったら・・・その時は、強化薬を取り寄せて」 「・・・分かりました、もしもダメだったらですけど」 私は最後の手段として、強化人間用のドーピング剤をタガメに頼んでおくと、今日はもう寝る事にした タガメの家に泊まってるから、今日はソファで寝る事になるけど、旅でなれちゃったわ 「タガメ、先にお風呂入るわね」 「えぇ、行ってらっしゃい。」 本当に・・・私はインフィニティを乗りこなせるのかな・・・? 「なぁ、アリシア・・・」 「何ですヤカリさん?」 大体用件は分かってるんだろうけど、相槌を打つようにアリシアが振り返った メディナがアン・ギェーラのパワーアップに手間取ってるみたいだ 「大丈夫かな・・・?」 「どうなんでしょうね・・・応援に行きたいけど、今からでは遅すぎます」 もう夜の9時、体力的にも私らは限界に来ていた。メディナ何てもう寝ちまったんだろうな アリシアの妹さんのキャリコも、私らについてきてウトウトしてる。 「メディナちゃんが心配ですけど・・・今は信じましょう」 「それしかないしな・・・」 それもそうだ、信じるしかねーんだし。私らが落ち込んでもメディナが強くなるわけじゃない 明日にでも行けばメディナの応援は出来るんだ。大丈夫・・・きっとあいつならやれる 「皆、何だかんだでメディナが好きなんだね」 「ったり前じゃねーか、メディナは私らの仲間でその・・・妹分なんだしさ」 「そうですよ、ずっと一緒に旅をしたんですもの・・・心配じゃないわけ無いです」 アリシアも私もメディナが何だかんだで好きなんだ。そういうとペルソルナがクスクス笑い出しやがった 何だよそんなに変か?と思ったら何時もの様子を思い出してらしい 「喧嘩ばっかりなのにね・・・ヤカリらしいや」 「なっどういう意味だよ!」 「そのままの意味だよ♪もう遅いしお風呂にでも入ろうよ」 そのまま流されちまったけど、ルナの奴なんでそんな・・・まぁいいか、喧嘩するほど何とやらってな キャリコちゃんも一緒にって事で、でっけー浴場に案内される事になった。ルナも一緒でな 「私はいいよ〜!ヤカリ大人気ないよー!」 「ふぅ・・・」 気持ち良いお湯だった、疲れた時ってお風呂のお湯や温かいものがイヤに肌に染み渡って 気持ち良いのよね・・・湯冷めする前に体を拭くと、ドライヤーで髪を乾かした 時間がかかるけど伸ばしていたい。我侭でずっとこうやって伸ばしてたのよね・・・ 「・・・綺麗だってほめてくれた時、嬉しかったわ」 タガメがそんな事を言ってたのを、ふと思い出すと急に頬が赤くなった 嬉しかったの、本当に・・・あんな風にうまく行けば良いのに・・・ そう思いつつ、ソファへと腰掛けたけど毛布が無かった 「タガメ、毛布は?」 「メディナはベッドで寝てください、明日のためにぐっすり寝てもらわないと」 タガメ・・・何だかんだで、今までタガメに色々助けられたわね・・・ううん、皆にかしら 皆が・・・皆がいれば良かったのに。急に何だか寂しくなっちゃった・・・ 「ありがとう・・・」 「久しぶりに寝る前に何かお話でもしますか?」 お話・・・そういえば、タガメに寝る前に何か面白い話をしろって強請ってたんだっけ 戦争中だったのに随分と暢気だったわ・・・お話・・・ 「じゃあ、この本読んで」 「ディオールの童話ですか?良いでしょう」 今はヤカリもアリシアもペルソルナも、ディオールにいるし闇黒帝国にヴェータやウェンディがいる 旅で一緒だったこの童話を読んでもらえれば、きっと皆の事を思いながら夢を見られる 「随分と古いんですね、しかし物持ちがいい人もいた物だ・・・ページに染み一つ無い」 「アリシアがくれたのよ、それじゃあお願いねタガメ」 ベッドに入ると、不思議と暖かさは包み込むように柔らかくて、直ぐに眠れそうなのに 童話が気になって、話が始まるまではまだ寝れそうになかった 「・・・明日、頑張るわね」 「えぇ、できますよ・・・だから安心してください」 皆・・・おやすみなさい 「いい湯だなぁ・・・」 「お姉さま、ヤカリさんメディナって言う人も今頃はお風呂でしょうか?」 「きっとそうですね・・・ふぅ・・・」 「はぅう〜ヤカリ熱いよぉ〜」 程よい湯加減、4人でお風呂に入っているとキャリコがメディナちゃんの事が気になるみたいです 深く話せば長くなるんでしょうし、キャスカが入れば分かりやすいんですけど・・・ 「少し長くなるから、今日は10数えなくても良いですよ」 「本当?楽しみです!」 それじゃあキャスカとの関係を・・・と思ったら、大浴場の扉が開いて誰かが・・・ エマさん達メイドさん?だと思ったら・・・お母様!? 「もう、私だけ仲間外れなんてズルイです」 「もう一人だけでも大丈夫じゃ・・・」 「一人は寂しいの!久しぶり何だし良いじゃない・・・うぅ」 「お母様、寂しそうです・・・お姉さま、一緒でも良いでしょ?」 流石にこれは・・・しょうがないです、けどヤカリさんの前なんだし何時もみたいに甘えたらダメ と言うと、お母様も了承してくれて身体をさっさと洗って湯船につかりました 「ヤカリちゃん、ペルソルナちゃんも一緒なんですね」 「はい、こいつお風呂嫌いなんだけど今回は無理やり」 「敬語じゃなくても良いわ。ねぇ私も抱っこしていいかしら?」 お母様は可愛い物に目がないから、ペルソルナちゃんを抱っこしたいって、まぁこれなら良いですよね ペルソルナちゃんを抱きしめると、思いっきりぎゅっとしたせいかお母様の胸に埋もれてました 「きゃ〜埋もれちゃうよ〜!」 「ん〜ペルソルナちゃん可愛い〜!」 お母様・・・まったく。ペルソルナちゃんにはかわいそうだけど少し耐えてもらいましょう・・・ メディナちゃんの事を話し始めて、最初のうちはキャリコは怖がってたけど旅の話になると しだいと打ち解けていってくれました。妹の宿敵が今では妹分・・・何だか皮肉ですね 「メディナさんは本当はいい人なんですねお姉さま!」 「はい、とってもいい子ですよ・・・少し意地っ張りな所もあるけど、そこも愛嬌です」 「だな本当はルナを抱っこしたりするのが大好きなんだぜアイツ」 メディナちゃんは今頃、もう眠って明日に備えてるんでしょうね・・・さっきまで 心配だったのは・・・薄れてはいませんね、まだ心配・・・ 「・・・二人とも、メディナちゃんの事が心配?」 「はい・・・」 「心配だな・・・アイツ、抱え込んでないかなって」 それだけ言うと、お母様はペルソルナちゃんを抱えるのをやめて、私とヤカリさんの間に入って ぎゅっと抱きしめてくれました、最初は何だと思ったけど段々と心が安らいでいきます・・・ 「明日、行くんでしょう?きっと大丈夫よ応援してあげれば・・・」 「お母様・・・はい」 「ちょっとだけ私らも心配されちまってたな・・・ははっ」 きっと大丈夫。そう思えてきました・・・ヒースさん、私達必ず強くなって貴方を助けに行きます! だから待っていてくださいね・・・きっと 「それにしても、アリシアもちゃんと言いたい事がいえるようになったのね・・・」 「ふふ、ヒースさんが助けてくれたんです・・・だから何でしょうね」 「あっそうだ、アリシアの話をだな」 「ヤカリってばもう馴染んじゃって・・・」 ペルソルナちゃんがクスクスしてると、私の隣にいたキャリコが顔を真っ赤に・・・あぁ もう温まったんですね、キャリコを抱えるともうお風呂から上がる事を伝えて帰ろうと 「えー、ねぇヤカリさん今日は皆で寝ましょうか」 「良いんですか?王族以外の人が寝たらヤバイんじゃ・・・」 「大丈夫です♪さぁ行きましょ」 お母様は強引なんだから・・・と思いつつも、キャリコも寝る前まで一緒にいたいと、ペルソルナちゃんと ヤカリさんを見てたし、これも良いかなと思えました。さっ湯冷めしないうちに体を拭かないと 「本当かバルス?」 「嘘言ってどーするんだよ」 メディナが今苦しんでいるらしい。直ぐにでも行きたいが明日にしろって・・・もう遅いし寝てるのか そんな事になっていたなんて・・・闇の国はすぐ近く何だしこんな時は助けに行くべきだった 「明日の朝だな、分かった。」 「頼むぜ?メディナの奴はお前らがいないと本領発揮できないだろうしな。」 そういうとバルスは通話をきった。僕も手紙をしまうとベッドに寝転がり明日に備えた。 まだ寝ないが、数分もするとシャワーの流れる音が止まり。ウェンディが帰ってきた 「おいでウェンディ、暖めておいた」 「ありがとう・・・ふぁ」 ぼすんっとウェンディが倒れるようにベッドに寝ると、その横に寝てウェンディの腰や背中に手を回した 今日は一緒に寝る時にお互いを抱き枕代わりにする事にしたいたんだ。 「暖かい・・・」 「あぁ、ウェンディは湯上りだからほこほこしてる・・・髪、良い匂いだ」 一応同じぐらいの背丈だが、僕の方がちょっとだけ大きいからか、抱きつくとウェンディの頭に 鼻の当りが近く、シャンプーの心地良い匂いが鼻をくすぐるんだ 「・・・メディナ、大丈夫かな・・・」 「今は寝てると思うが・・・明日になるまで待とう」 心配・・・なんだが、心配するだけならどうとでもなる。今は疲れをちゃんと取り除いて 明日の朝からちゃんと動けるようになる事を優先するべきだ。 「そうだね・・・お休みヴェータ。」 「あぁ、お休み」 ウェンディを抱えて、目を閉じていると時々ふと思う。僕はもしかしたらウェンディに依存してるかもしれないなと だが・・・だがそれならそれでも良い。姉さまやウェンディが死んだら後を追うと心に決めているんだ。 「・・・ウェンディ」 それにだ、依存していたとしても弱くなるわけじゃない、ウェンディが入るから強くなれる 僕はそう思っている、メディナもきっと仲間が側にいれば強化機ごとき扱えるさ・・・ 「ヒース待っているんだ、少ししたら必ずNIを叩き潰す」 「はぅう・・・」 酷い目にあいました・・・まさかヤカリさんが遭難したときの事で、私が鎖で縛られたとか下着だけにされたとか むちゃくちゃな事を言われるなんて・・・(間違ってませんけど、ずっとじゃない)はぁ・・・・ 「ZZZ・・・」 「ふみゅ・・・柔らかい・・・」 ヤカリさんとペルソルナちゃんはもう寝て、キャリコは話を聞いても良く分からないらしくて 途中で寝ちゃってました。キャスカぐらいの歳だったら分かっちゃうかも知れないし少しだけ安心 「旅は大変らしいわね・・・」 「少しだけ、けど皆さんが助けてくれるから平気です」 笑ってお母様に言って見せると、お母様も月明かりでよく見えないけど、確かに優しく笑ってくれてました それから少しだけ目を開くと抱えてたペルソルナちゃんの頭を撫でながら・・・ 「アリシア、言おうと思ってたけど・・・恋をしましたか?」 一瞬、大声を出しそうになったけど我慢して顔が真っ赤に・・・こ、恋?恋・・・・ 「そ、そんな事・・・」 「昔、家庭教師さんが好きになった時と同じようなうっとりした目で、ヒースさんが抱え込むなって言ってくれた事を話してましたよ。」 必死に否定してみるけど、確信をもう突かれて立ち向かうすべが殆どなくなっていました・・・ 「それにね、恋をすると分かるんですよ?アリシア前より大きくなったけど、それよりも綺麗になりましたもの」 「ぅう・・・だ、大丈夫です・・・ちゃんと跡継ぎは位の高い人にしますから・・・」 そう、私は思いを伝えちゃいけないんですもの、これだけ言うとさっさと目を閉じて寝てしまいました だって悲しいんですもの、子供の時と違って想いすら伝えられないのが・・・ 「アリシア・・・好きな人を好きって言っても良いのよ、貴女の人生ですもの・・・」 「・・・私は第一王女、好き勝手は許されません」 「権力なんてどうとでもするわ、ヒースさんに本当の事。思いっきり言って好きあっても良いのよ」 ・・・お母様の優しさと、もういないヒースさんへの恋しさで、不思議と涙が流れてきました お母様がペルソルナちゃんが起きないように、脇に下ろすと優しく包むように抱きしめてくれました 「アリシア、泣くのは嬉しいときだけにして、ね?キャスカも同じように悩んで結ばれたもの。貴女だけ何てダメよ」 「はい・・・お母様。ありがとうございます・・・」 お母様はきっと本気、ヒースさんを好きでいても許してくれる・・・けれども、私・・・本当にこれで良いのかな・・・ それ以前にヒースさんは私のこと、どう思ってくれてるんでしょうか・・・・ 「タガメ、行くわよ・・・」 「メディナ頑張ってください!」 もう一度インフィニティに乗って、もう一度だけチャレンジしてみるけど、昨日と同じで順調じゃない 魔力を注いで受け付けてくれるようになったけど、動かす事はまだできなかった 「魔力を受け付けた・・・もう少し・・・もう少し!」 あと少しで動く、昨日よりも前に進めたのを確信すると、また魔力を注ぎ込む・・・けれど一行に動かない 「動きなさい!」 「メディナ落ち着いてください!」 動け!動け!って何回も何回も魔力を注いでたけど、段々と魔力が注がれて行く量すら減って行く 焦ってるって気づいた時にはもう遅かった。魔力は完全に注がれなくなってしまった・・・ 「・・・ダメだった・・・」 「メディナ・・・」 結局ダメだった、私じゃヒースは助けれないのね・・・ 「メディナー!」 声がする・・・この声、ヤカリの声だわ・・・ 「メディナちゃ〜ん!」 皆が来たのね、皆になんていえば良いのかしら・・・私じゃダメだったって、謝れば良いの? 「メディナ、大丈夫?」 「ちょうど皆そろったな、バルスから聞いたが手を焼いてるそうだな」 「私・・・ごめんなさい、ダメみたい・・・ぜんぜん成長してなかった・・・」 うつむいて、皆の顔を見たくなくてカメラをオフにすると、ヤカリの声が装甲越しに聞こえてきた 怒ってる・・・怒鳴るみたいな声だった。ぎゅっと目を閉じたけど・・・ 「メディナ!!お前そんなんじゃないだろ!何時ものメディナはどうしたんだよ!」 「・・・・」 「メディナちゃん、お話は聞いてます・・・メディナちゃんは成長してなくなんか無いです。」 アリシア達の言葉で、一瞬だけ顔を上げると皆の声が聞こえてくる・・・ 「メディナ、貴女と始めてあった時を覚えてる?覚えてないでしょうけど死にそうな顔だったじゃない」 「あの時と比べて、ずっと素敵になった。僕らが保障する。」 皆・・・ 「メディナ、話聞いてるけどさ・・・俺らが諦めたらヒースがダメになっちまうだろ?」 「もう少しだけ頑張ろうよ、ね?」 ・・・皆がいれば、少しだけ頑張れる気がしてきた。もう一回・・・もう一回がんばろう 皆が応援するんですもの、きっとやれるわ! 「はぁあ・・・」 不思議と力が沸いて来るみたい、魔力が思うようにアン・ギェーラ・インフィニティに送り込まれて行く お願い動いて・・・ヒースを助けるために皆の力になりたいの。 「・・・あぁ・・・」 灰色のローブとその下の黒い礼服は、薄い紫色のドレスへと形を変えて、私の魔力を一気に増大させて行く これがインフィニティの力なのね・・・魔力が本当に無限に増えて行く・・・ 「やっと動きましたね、おめでとうございますメディナ」 「やったわ!動かせたわ!」 やっと動いた、パーツが追加されたパンツァーシュナイダーの操作性も抜群だし 魔術の方は言うまでも無くパワーアップしてる。文句なしに最高のコンディション 「よっしゃ!メディナやったな!!」 「お疲れ様ですメディナちゃん!」 外から皆の声がする、ほっと一安心してると分かった事があった、私が強かったのはきっと 皆が励ましてくれたからだったのね・・・ 「あの・・・皆、ありがとう」 「いえいえ、本当に良かった・・・と言いたいのですが」 「何だタガメ、そんな深刻そうな顔をして」 「テストですよ。最終検査・・・メディナ、ワープは使えますか?」 そうか、最後という最後でアン・ギェーラ・インフェニティの性能テストというわけね 皆に一度別れを告げると、私はタガメの言われた場所へとアン・ギェーラ・インフェニティを転移させた 「た、タガメと戦うの!?」 「そうです。まぁテストですから」 何よ・・・聞いてないわ、こんなの酷い・・・けどやらないと、タガメとは戦いたくなかったわ タガメガロードが出現するのを確認して、インフィニティは戦闘の合図を感じた 「行きますよ!」 「ふんっ・・・直ぐに終わらせてやるわ!」 先制はタガメガロードにとられた、水のミサイルが迫るけど難なくクリア、と思ったら追尾してくる ホーミング性能があったのね・・・けれど不思議とミサイルがドンドンと遠のいて行く 「何?不発?」 「アン・ギェーラのスピードに追いつけないんでしょうね」 それにしては負担を感じない、きっと魔力で守られてるのね・・・けれど油断して もう一回ミサイルの大群が真正面へと撃ち込まれた 「嘘っ!?」 「さぁどうします?」 前も後ろもミサイル、だとすると最良の方法は・・・一度立ち止まると、インフィニティの魔力増加と 詠唱縮小のおかげか殆ど無詠唱で結界を発動して、ミサイルを何とか防いだ 「いい感度です、次はそちらからどうぞ」 「OK!行くわよタガメ!」 今度はこっちから、適当な魔法を吹っ飛ばしたら凄い速さで決まった、何よこれ威力まで上がってる ちょっとだけインフェニティの過剰なまでの力が怖いけど、これだけあればあの黒い機体と戦える そう確信できた。現にタガメの結界が少しだけ罅割れてる・・・タガメはあれでも暗黒帝国の名の知れた魔道師 「流石ですね、インフィニティユニットを完全に扱いこなせるようで」 「ふんっこれぐらい、どうって事ないわ!タガメ今度のでキメるわよ!」 私の使える大き目の魔法、この内のどれかがあれば結界を壊せる・・・ 中級呪文でひび割れが入るなら、上級魔法で壊せるのは当たり前の結果のはず 「・・・・・我が前に立ちふさがる敵を討て、エビルヴェノム!」 猛毒のように当った相手を蝕む闇の牙、私が使える呪文で大きいのだし通用するはず・・・ タガメの結界に黒紫の毒々しい刃が突き刺さると、凄まじい溶解音の後に大爆発が発生した 「うわぁあっ!?」 「た、タガメ!」 やりすぎた!?タガメから応答が無い・・・まさか、嘘でしょ!?ねぇタガメ返事をしなさいよ! 「タガメ・・・」 「まったく、驚きましたよ」 はぁ驚いた・・・タガメは爆発の寸前に結界をもう一度張りなおしたみたい。流石って所かしらね・・・ それにしても驚いたわ。後で思いっきり文句言ってやるんだから・・・ 「これで完成ですね、これでNIへの襲撃も可能でしょう」 「ありがとうタガメ・・・」 帰ったら皆にまたありがとうって言わなきゃ、それにタガメにも・・・ね 「・・・・」 テストの内容は身体能力や耐久性、その他もろもろの性能を調べるために通電やら浸水させられた 他にはランニングマシンやら吸収ジェルに体当たり、色々と俺の身体能力を調べられてた 「・・・・」 「・・・・」 そしてだ、収容施設のような部屋に戻されると、なぜか同居人が増えていた。 一人は茶髪の少女、犬の様だが狗威のように獣人ではなくつけてるだけの様だ もう片方は緑色の髪で腹部を露出したボディスーツを着ている。 「私パス、こんな奴の見張りなんてごめんだね!エキドナやっといてよ」 「・・・分かった」 だが犬の少女は出て行って、俺と緑色の髪の少女だけが取り残された。さて この無口な少女はサーチアイで見た所、強化人間のようだな 「何で俺を?」 「ドラグノフが言ってた、ヒース暴れたら私達の出番だって。」 なるほどな、強化人間の力なら俺と互角と考えたか、罪悪感で小さい子供を殺せないと考えたか 何はともあれ話し相手が出来ただけマシか。 「君の名前は?俺はヒースだ」 「エキドナ」 エキドナという少女は俺から眼を背けて、最低限必要なことだけをやり取りするようになった。 「随分と警戒されてるな、無理も無いだろうが」 「貴方嫌い・・・私からリーゼもナナミも奪った」 ・・・リーゼロッテとナナミを?どういう事なんだろうか?俺は何かしたとでも言うのか? 「どういうことだ?」 「二人とも友達だった・・・八神は傲慢、他の皆も変」 俺を心底恨むような声だ、これは1から話すべきか・・・ 「二人を奪ったのは俺じゃないよ、いやナナミは俺が奪ったようなものか」 「・・・・」 「だがな、少なくとも二人ともここにいるよりは幸せだった。」 「二人に会ってるの!?」 エキドナが驚いてる、話すチャンスは出来たと見た。エキドナと話し相手になるべく 二人の現状を話し始めた。運がよければ信用させて逃げるチャンスを作れるかもしれないしな・・・ 「アリシア・・・どうかお気をつけて。」 「お姉さま、ヤカリさん。ペルソルナさん・・・頑張ってきてください」 「はい、行って参ります!」 「ありがとうございます、またいつかお会いしましょう」 「その時はヒースも一緒で、土産話も沢山持ってきますよ」 「アリシア・・・ヒースさんを助けたら、素直になるんですよ?」 それぞれの決意を胸に 「姉さま、行って来ます。」 「ウェンディちゃんもヴェー君も・・・必ず帰ってくるんですよ?」 「分かってます。大丈夫ですよ私達きっとヒースを取り戻しますから!」 「姉さま・・・帰ったら、姉さまのお菓子また食べたいです。」 「えぇ・・・その時はいっぱい作ります、お気をつけて」 今ヒースを取り戻すため 「メディナ、気をつけていくんですよ」 「もう私は何とかなったし、皆の援護ね・・・」 「無茶はしないでくださいよ?」 「大丈夫よ、もう心を強くする方法は分かったんだ物・・・タガメ、本当にありがとう」 「変わりましたねメディナ・・・綺麗になりましたよ。行ってらっしゃい」 戦いが始まる 「皆、準備は良いか?」 「はい!ヴェータさん今回はこれで?」 「うっひゃ〜、これで行くのかよ」 今回の一行の旅はスピードを重視するため、キルコプターが使用される。 操縦はヴェータが出来るようだが、その巨大さに一行は驚いていた 「次はどこに行くの?エベリウス?それとも遺跡?」 「バニアが一番近いからバニアだって、ヴェータの所だね」 「あそこ凄く熱いから、私ドロドロにならないか心配だなぁ・・・」 ペルソルナの不安を笑うように、ヤカリが抱えあげると、キルコプターのローター音が次第に激しくなって行く 果たして一行を待っている力は・・・そしてヒースを救う事が出来るだろうか? 続く