前回のあらすじ 仲間達がヒースを助けるためにパワーアップ!ヒースもさらわれたNIでエキドナと綺羅の強化人間の少女に 外の世界の事を教えて、二人が外へ興味を示し脱走を企てるのだった 「おいおい、何だ?」 「本部へ輸送だ、喋ると舌かむぞ」 作業員の男が、俺を2人係で拘束台ごと持ち上げる。知らないフリをして相手に感づかれないようにしないと がちゃがちゃと拘束具を揺らして抵抗してるようなそぶりを見せて、相手を安心させると俺はコンテナに詰め込まれた 禁忌もどこかに詰め込まれてるだろう。脱走のタイミングは16時・・・ 「くそっどうなるんだ・・・」 エキドナたちがやってくれれば、後はナンとでもなる・・・俺は抵抗できないと思わせれば良い 皆もう少しで帰れる。待っていてくれ・・・! 黒騎士と奪還 「ふぅ・・・」 僕らは今、ヒース奪還の為にNIの輸送ルートまで向かうための準備をしていた。ステルスコートを施したマントを纏い 奇襲をかける為、に予定ポイント近くで待機・・・ではなく弾丸のように発射して、一気に襲い掛かる。 「皆さん準備は良いですか?」 「おう!さっさと発射してくれて良いぜ!」 皆はやる気満々だ、後は僕らがヒースを助けるだけ・・・あの時、力が足りなかったが今は違う 真正面からぶつかり勝つだけの力がある。バニア王エンマオー・・・感謝します 「インフィニティユニットの力みせてあげるわ・・・」 「ORAに異常なし、いつでも行けます!」 「皆いつでも行けるみたいだね!」 あの黒い騎士型、あれは最低でも複数でかかってくる。アリシアとメディナが二人で3人 後は一人4人、いやこの前ので1機ずつ倒したし数は減っているだろうか? 「ねぇ皆、ヒース助けたら1日ゆっくりしていこー、良いでしょ?」 「むっ?僕は別に良いが?」 「色々とあるし・・・ね?」 色々と・・・なるほど、アリシアとヒースを感動の再会の余韻に浸らせてやるのか アリシアは首をかしげていたが、まぁこれぐらいが丁度良いだろ。」 「皆準備は出来た?パワーアップは奇襲前に済ませるわよ?」 「分かってる、飛ばされて10分ぐらいの時間があるなら余裕!」 「それでは皆さん、時間がそろそろ来ます!」 ふぅっとため息をついて、一度落ち着くと僕らは大砲の中へ・・・考えてみれば、大砲で打ち込むなんて 無茶な作戦だよな。だがまぁ・・・これはこれで、実用性があるのだろうな。 「ねぇ、飛んでる途中で分解なんてないよね?」 「本物の弾じゃないんだし、だいじょーぶだって」 不安そうなペルソルナに、ヤカリがコックピットでぽんぽんと安心させるように軽く叩くと 早速大砲に・・・乗り込む前に、テレサ女王が手を振っていた、ズメウの手を軽く振ると 祈るように手を組み、僕らの無事を祈っているようだった。 「アリシア、お母様に挨拶しなくていいのか?」 「絶対に帰ってきますから、しなくても平気です!」 「へぇ、言うようになったねアリシアも・・・」 「アリシアもパワーアップしたのよ!行きましょう!」 大砲で出るのはやっぱりどうかと思うんだよなぁ・・・点火されて、ジリジリと近づく音が・・・  ドォオオオオオン! ドォオオオン! ドォオオオオン! ドォオオオン! ドォオオオオン 耳が痛くなるな・・・こんな事なら耳宛をしておくべきだった 「ヴェータ、準備は良い?」 私達がついに戦うときがきた。あの黒騎士型を倒せるか分からないけど・・・やれる気がする ソードマスター・・・お父さん・・・ウィンヴィント、どうか力を貸してください。 「あぁ、君は?」 「大丈夫!やれるよ!」 「ふっウェンディらしいな・・・」 こうやってヴェータが笑うと元気が出てくる、ヒースを取り戻して早く皆でまた旅したいなぁ アリシアだってきっとそう思ってるだろうし・・・きっとね 「ねぇアリシア、ディオールに戻ったらどうする?」 「はい?どうしたんです?」 少しだけ急かしておこっと、何だかんだで触れないように触れるって感じだったら 大丈夫だろうし。アリシアは押しが弱いからこういう時に力抜かせないとね 「ヒースの事凄く心配してたし、しばらく二人でいたら?」 「えっあの・・・出来たらそうしたいです・・・」 ふふっアリシアってば可愛い、頬を赤くするアリシアに冗談と嘘をついてウィンクをすると アリシアも深呼吸をして、がんばろって返してくれた。本当に頑張らないとね・・・ 「ヴェータ、帰ったらデートしよ!」 「ウェンディ?ふっ・・・あぁ、君からの誘いを断るわけないだろ?」 こうやって、好きな人といるのって本当に幸せなんだよね・・・アリシアもきっとそうなって欲しい だから頑張らないと!ヒース幸せ物よ貴方・・・あんな可愛くて献身的な王女様に愛されてるんだから ヒースが奪われて1週間ぐらいかしら?ついにこの日が着たわ・・・ ヒース待ってなさい、助けに行くわ・・・今すぐに 「メディナ、何かやる気まんまんだね」 「ウェンディもでしょ?」 ウェンディがウィンクで返すと、こっちも笑って返してあげた。ヤカリにも冷やかしをいれて置こうかしら 「ヤカリ聞こえる?」 「ん?なんだメディナ?」 ヤカリは何かのほほんとしてるけど、いつもの事ね・・・挨拶だけしておけば良いわね。 そう思って頑張ろうと言おうとしたけど、何かヤカリってば本当にのほほんとした感じで 「のほほんとしてるわね、大丈夫なの?」 「当たり前さ、そうカッカするなって」 「何よ!カッカしてるって言うの!」 そっちがのほほんとした感じなのが悪いんじゃない!もうっ!けど・・・ふっ ヤカリらしいわね。こっちの方が焦ったりするよりもずっと 「まぁ良いわ、がんばりましょう」 「おうっ!」 「何だかんだで仲が良いね二人とも〜」 ペルソルナの言うとおりかもね、さっがんばりましょう!ヒース待ってて! 「へっ可愛い所あるんじゃんか・・・」 「喧嘩するほどなんとやらだね〜」 「ははっ冗談」 メディナも出会った頃と比べて、大分可愛げがあるようになったよな・・・それでもまだ生意気だけどさ はーあぁ、考えてみりゃヒースと出会って色々とあったけど、すげー楽しかったな 「楽しかったなぁ・・・」 「これからもだよ!」 「あっ?それもそうか・・・うん」 なんで昔の事にしてんのかね私、これからもあるんじゃんか。よっしゃこの面白道具で ヒースが驚く所でも見るかな!帰ってきたら・・・な けどアリシアと一緒にいさせたいし、こりゃ明日か明後日になりそうだわ 「よっしゃ!やる気でたぜ!」 「出てなかったの?」 「ヤカリってば不謹慎だね」 「もっとやる気がでたんだよ!ったくぅ」 そこにウェンディとメディナの茶々が入って、ぶっーっとなるけどまぁいいか 軽く笑うと二人もまた後でと、一度通信を切った。私らも頑張って行くか この無茶苦茶な移動方法はまぁ・・・実用性あるのか疑問に思うけど 「皆さん!頑張りましょう!」 「おっアリシアやる気だしてんな、がんばるとしようぜ!」 さぁっ行くとするか!待ってろよヒース!今助けてやる! 「・・・」 ヒースさん私・・・必ず、必ずヒースさんを助けます・・・ お母様、キャリコ・・・必ず帰るから、挨拶はただいまだけにしておきます・・・ 「皆さん!頑張りましょう!」 「おっアリシアやる気だしてんな、がんばるとしようぜ!」 「うん!私達、絶対に負けないよ!」 「NIの悪趣味な連中に、これ以上やられたりする気はないわ」 「やってやるさ、僕らは旅を続ける・・・ヒースと一緒にな」 「よしっ!行くよ皆!」 大砲に入ると、点火して着火までなぜか時間が長く感じれました、早く会いたいからでしょうね ヒースさん・・・胸が張り裂けそう・・・助けれるか本当は不安です・・・けれど 今の私は素直になりました・・・だから!この思いを必ず伝えたい!助けてみせます! 「っ!」 ついに着火して、私達は凄いスピードでヒースさんの場所まで向かっている。 NIの戦艦が相手だと聞きましたが、必ずヒースさんを取り戻すんですもの、関係ないです! 「ヒースさん・・・待ってて・・・」 「・・・・」 ガラガラと揺られて何時間だろうか?随分と暇だ・・・脱走の時間まで後どれぐらいだろう? エキドナたちは上手くやれただろうか?そんな事を何時間も考えてる気がする。 「俺は子供か・・・」 だがこうもなるか、そう思ってしばらく待っているとついにチャンスがやってきた。 外が騒がしくなって、爆音が響く・・・綺羅とエキドナが暴れ始めたのか 足音が近づくと、コンテナが粉砕されて光が差し込む・・・眩しいな・・・ 「迎えに来たよ!機体も今コンテナ壊してる!さっさと行って!」 「すまんな、んっう〜久しぶりの自由だ」 拘束具を綺羅のスライム型が握り怖し、俺ははれて自由の身・・・さて早く行かないと エキドナのオルトロス型が壊したコンテナに、俺の禁忌が鎖でがんじがらめにされていた 何時も禁忌に乗ると鎖で縛られるが、これはこれで皮肉に感じれるな。 「早く・・・追ってくる」 「分かった!鎖を壊してくれ!」 オルトロス型が無造作に鎖を引きちぎると、禁忌のコックピットを開いて乗り込むと準備完了 二人の案内で壁の脆い部分を見つけると、ケルベロス型がビームで壁を叩き壊した さぁ久々の・・・眩しい、太陽の光なんて何日ぶりなんだろうな本当・・・ 「さっさとして!僕らが動いてもう5分!あと2分もあれば大軍団で追いかけてくるよ!」 「分かった!ここの地形は?」 「草原だよ!さっ早く!」 草原・・・盾は使えないか、俺達はさっさと開いた穴から飛び降りるこれは・・・ダイノフォートか プレシオサウルスとティラノサウルスの合体したような陸上戦艦だ。 「何でトンボイジャーじゃないんだ?」 「空、ヒース盾使って逃げれる・・・陸、周りを気にして使わない。」 なるほど、空なら確かに汚染が少ない。盾を使っても陸地ほどの被害は出ないだろうな・・・ 試した事がないから分からないが、最悪の場合は使ってみても悪くはなさそうだ。 「NIの方が俺より賢いな・・・うん」 「感心してる場合じゃない!もっと逃げて!」 綺羅に怒られながら、禁忌を走らせるともうダイノフォートは見えない。 このまま走り続ければ、奴らも追いかけてこれまい・・・ 「近い国とか分かるか?」 「港町が近い!そこで身を潜めてれば何とかなる!」 「・・・追いかけてこない」 電撃的すぎて追いかける暇もなかったか、それとも・・・いや、後者の可能性は考えたくない 二人も後者の可能性を捨ててるわけではない。最悪の事態に備えて逃げないと 「もうダイノフォートからかなり離れたな。」 「・・・大丈夫・・・?」 「だと良いんだが・・・っ!?」 何かが来る、早い!?考えれないほどのスピードで何かが俺達の前を通り過ぎると、通り過ぎたそれは俺達の前に降り立った これは・・・黒い騎士型、この前の奴らだ・・・数はこの前ヴェータ達が倒した4機が復活して15機にもどっていた 「くそっ!?デカいのになんて速さだ!」 「ノヴァンシュタイン=レイヴァン・・・」 「ハッチは潰したのに早すぎる!」 「やはり欠陥品でしたね、自尊心が激しすぎるし薄々は分かってましたが」 この声は・・・ドラグノフ、あの黒騎士型の機体から通信しているようだ、厄介な騎士団を持ってきたな・・・ 「帰ってきなさい、今なら間に合いますよ?」 「絶対にイヤだね!僕らはもう外で生きるって決めたんだ!」 「・・・もう実験・・・イヤ・・・」 「はぁ・・・やはり欠陥品ですね」 盾・・・はダメだ、周りの被害もあるが二人を巻き込む。だとしたらどうする? スピードでは勝てない。盾が使えないのは知ってる・・・ならランスオブダークネスで! 「ランスオブダークネ 「はぁ・・・しょうがない、無傷が良いのですがね」 一瞬だった、一気に10機の黒騎士型が襲い掛かり、抵抗するまもなく重量で動きが取れなくなった。 如何に禁忌の豪腕でもこの攻撃は太刀打ちできなかった。 「ヒース!5機で私らに勝てるかー!!」 「・・・!!」 あの名前を噛みそうな黒騎士型、流石に強化人間が相手では・・・そう思ったのは、俺の大きな誤算だった オルトロス型のビームを回避し、オルトロス型と取っ組み合いになったが1機でもパワーが上なのだが それを後ろからもう一機で切りかかる。ビームの迎撃があるも分厚い装甲を焼かれながら突き進み 「っ!?」 エキドナの機体が叩ききられた。次に綺羅のスライム型は柔軟性がウリだったが その柔軟性も限界があるのか、突き進んできた黒騎士型がスライムで出来た体を 突進で強引に・・・そう、ただ強引に突き破り、コックピットと思われるユニットを抉り取った 「嘘・・・こんなのって・・・うぁああっ!」 「っ!!」 「エキドナ!綺羅!」 コックピットをクローで引き裂かれて、二人が引きずりだされた。何とかしようと抵抗するが 一向に体は動かない、こうなればロストエンスピートで無理やり! 「ロストエンスピート!」 「あれですね、残りの機体も行きなさい」 「っがぁっ!?」 最後の希望のロストエンスピートも、起動したがさっきよりもやかましくパワーをあげた黒騎士型と 残った3機が乗りかかり、パワー差を埋めてしまった。 「映像に残しておきましょうか、見せしめには丁度良い」 「見せしめだと!?何をする気だドラグノフ!!」 いやな予感がして、必死になって乗りかかる黒騎士型を避けようと動くが、動く事も出来ない 冷や汗が流れてくる・・・ドラグノフの性格は知っているし、見せしめの言葉で最悪の結末しか浮かばない 「うあぁああっ!」 「ぅうううう!!」 「綺羅!エキドナ!やめろ二人とも子供だぞ!殺すつもりか!!」 「まぁ・・・これから反乱者が出ないようにする為に丁度良いかと」 「二人には罪はない!俺がそそのかしたんだ!やめてくれドラグノフ!!」 動け!動いてくれ禁忌!このままじゃエキドナも綺羅もあれに握りつぶされてしまう! 何も出来ず、二人の悲鳴が木霊する約束したのに・・・二人に約束したのに! 「うあぁああっ!あぁああああっ!」 「くっ・・・・ぅう・・・痛い・・・痛いっ!!助けて・・・」 「やめろ!本当に死んでしまう!!」 「まぁ代わりは作れば良いですし、また反乱を起こしたら面倒でしょう?中々の良い響きですねぇ」 ミシミシといやな音がする、二人が潰れて行く音だ。今の俺じゃどうする事もできない・・・ 頼む・・・誰でも良い・・・二人を助けてくれ・・・ 「ぅあぁあああ!!いやだぁああ!まだ・・・まだ僕!!」 「死にたくない・・・死にたくな・・・・ぁぁああああ!!」 「綺羅!エキドナ!うあぁああっ!やめろぉおおお!!」 もうだめだ・・・許してくれ二人とも・・・ 「悪趣味ね、NIは本当に悪趣味だわ。」 「む?誰ですか?」 「悪党に名乗る名はないんだがな・・・」 「正義の味方よ!」 この声は・・・そらして閉じた目を、ゆっくりと開くと黒騎士型の機体は崩れ落ちて エキドナと綺羅を手にした、紫色の衣を纏った美しい堕天使型のロボットと 騎士と龍を混ぜたようなロボット、そしてソードマスターに似た風の装飾が施されたロボットがいた 「一瞬でレイヴァン2機を・・・」 「ついでに2機追加だ!」 「てりゃああああ!」 更に俺の上の負担が減って、何とか乗っている黒騎士型を吹き飛ばせるようになって 禁忌をフルパワーにすると、黒騎士型が転がるように散らばっていった 「大丈夫ですかヒースさん!」 「まさか・・・」 少女のような靴から翼を生やしたロボ、それにアンジェラに似た大天使型のロボット・・・ そしてこの声、夢なら覚めないでくれ。夢じゃないならありがとう・・・ 「皆!」 「えぇい!こんな簡単にレイヴァンを落とすなんて化け物か!」 皆の機体はパワーアップしているんだ、サーチアイを使ったらズメウ ソードマスター アン・ギェーラ ペルソルナ アンジェラだと 分かった、俺を助けに来てくれたらしい、それにしても凄まじいパワーだ・・・あの機体を簡単に倒すなんて 「ヒース、この子達は?」 「俺の脱走を手伝ってくれたんだ、けど失敗して危なく殺されかけて・・・」 「酷い・・・ヒースさん、今はあの黒騎士を倒すのが先決です。この子達をお願いします」 「そうね、さぁ行くわよ・・・この前のお礼・・・たぁっぷりしてあげるから。覚悟しなさい!」 アンジェラとアン・ギェーラが結界を張ると、依然と比べ物にならないほど強固な物で驚いた 二人の魔力そのものが大分強化されている・・・兎に角、俺は俺のやるべきことをしないと 「っ危ない!」 「ふんっ今の私達の結界を破れると思って?」 黒騎士が2機で襲い掛かるが、結界が破れるどころか逆に弾き返されてしまった。 前なら皹が入っていたであろうが、今回はあの剛剣の一撃を物ともしていない 「凄い・・・」 「私らも大分パワーアップしたんだぜ?」 「うん!凄いよこの靴!スピードでぜんぜん勝ててる!」 ヤカリとペルソルナは滑空するように飛んで、黒騎士3機を翻弄していた。アクロバティックな動きで すれ違いざまに赤い剣で切り裂き、じわじわと黒騎士型のエネルギーを奪い取っていた その為か、ドンドンと黒騎士は動きを鈍くして行く、大剣は当る事もなくペルソルナにかわされる 「へっ!遅いぜ!」 「体が大きいから動きも遅くなっちゃったね!」 まるで踊るようだ・・・翻弄される黒騎士達が光の弾を翼から発射したが それすらも舞わせて、最後には赤い剣でエネルギーを奪い取ってしまった 「試練の成果はダテじゃないね、凄いパワーだよ!」 「まったくだな、自分で怖くなる」 ヴェータとウェンディは6機を相手にして、一歩も引かないどころか逆に押していた。 一撃一撃が重く突き刺さるズメウの槍で、黒騎士型が何度も後ろに下がって行く。 ソードマスターはパワーでは勝てないが風の魔法の力を利用して、一気に吹き飛ばしている。 「正しい事に使う力は百番馬力って事ね」 「そうだな、なんたって正義の味方だったからな!」 「ははっあの時の格好は恥ずかしかったね! 反撃の手段を奪うべく、ズメウの槍は剣を弾くと必ずクローへと攻撃を仕掛けた その為ズメウを襲う3機のクローはボロボロになっている、ソードマスターは 接近されると風の防御壁を張るだけでなく、反撃に風の防御壁で装甲を斬り刻んだ 「ヒースを取り戻すために皆がんばったのよ?」 「皆・・・」 「ありがとうは助け終わってからですよ?メディナちゃん決めますよ!」 「えぇ!さぁっこの前の仕返しよすばやいおデブさぁん・・・」 たっぷりと怒りの篭った声のメディナと、強い声のアリシアがアンジェラとアン・ギェーラに杖を構えさせると 周りの魔力が膨らんで行く。こんな力見た事がないぞ・・・ドンドンと膨らむそれを見て 黒騎士型が光の翼を出し、そこから光の弾を連射して止めようとしたがバリアで防がれ最後には切りかかる 「行きなさいディストラクションバスターダークネス!」 「ホーリーシャインインパクト!!」 あまりにも巨大な闇の波動と、光の巨弾が放たれると切りかかった2機の黒騎士型は その中へと消えていき、完全に消滅してしまった・・・なんて威力だ・・・ 「こっちも終わらせる!ルナエネルギーたまったか!」 「うん!行くよヤカリ!」 靴が変形した、何が起きたかわからないがグニャリと形を変えて両腕のガントレットとなったのだ エネルギーを奪われ、動きの鈍い黒騎士型の機体へと青い光が発射されようとしている それは俺の知っている青い光とは完全に別物の、圧倒的なパワーを持ったものだった 「いっけぇ!」 「ガントレットジェネレーター出力マックス!ハイパーアクアサイトクローム!」 ペルソルナのゴーグルが下がって、一気に青い剣からエネルギーが解放されていく。 青い光があたりを包み込むと、動きの鈍い黒騎士型へと集中して中に閉じ込めるようにすると あまりにも膨大なエネルギー圧縮による爆発で黒騎士型がその場から消え去った 「最後は僕達だけか」 「合体技やっちゃえ!」 最後は二人の番だった、3機ずつで襲い掛かる黒騎士型を振り払って距離を取ると ズメウの槍が炎に包まれると刃のない剣のようになり、ソードマスターは剣を天に掲げた 「ヴァニッシングセイバー!」 「サイクロンエッジ!」 サイクロンエッジは風を纏い、ヴァニッシングセイバーは形が違えど刀身は確かに炎の宝剣だった その二つの剣をズメウが立てに、ソードマスターが横に振ると片方は炎の衝撃波 片方は風の真空波を放ち、黒騎士達へと向かって行く。それを真正面から迎え撃つも 「「クロスインフェルノディザスター!」」 二つの刃は重なり、それは風と炎の十字となって黒騎士達を全滅させてしまった・・・ こうも簡単にあの黒騎士達を全滅させるなんて・・・凄い・・・ 「終わったな、さっさと帰るか」 「証拠隠滅です」 最後にアリシアが魔法であたりを元通りにしてしまい、これで戦った形跡どころか戦闘データすら取れなくなった 何も出来ず見るだけだった俺は、ただ皆の力に驚くしかなかった。 「ヒースさん・・・その・・・」 「ありがとう皆・・・助けに来てくれて」 「当たり前だろ?それより逃げるぞ早くしないと追っ手が来る!」 アリシアが何か言いたげだったが、ヴェータの言う事はもっともだった、今のところ皆飛べるようだし 禁忌もさっきの余波で魔力がたまっている。余波でこれほどなのも驚くが後にしよう フェザードアップで翼を生やすと、皆に連れられてディオールまで行く事になった。 「この二人なんだが・・・リーゼロッテなら匿ってくれるか・・・?」 「きっと大丈夫ですよ、帰ったら治療も施さないと」 頑張ってくれた二人を撫でて、一安心していると皆を見てみた。形だけじゃなく中身も強くなって 俺を助けるために・・・本当に俺は幸せ物だ、こんな沢山の仲間が全力になってくれたんだ 「有難う皆・・・強くなったな・・・驚いたぞ」 「へへっまーな、帰ったら色々と話してやるよ」 「大変だったのよ?皆がヒースを助けたいって頑張って」 「まぁ助けれたから全てよしだな」 「そうだね・・・本当によかったよかった♪」 皆、大変だったんだな・・・帰ったら話を聞きたい、そしてまたありがとうと言いたかった そして俺の脱走を助けてくれた二人との約束も果たさないとな・・・・ 「ヒースさん・・・帰ったら時間・・・あります?」 「アリシア?あると思うが?」 アリシアから頼みごととは珍しい、あっちで何かあるのだろうか?そう思いつつ俺達は翼をディオールへと急がせた 久しぶりの体の自由、そして皆の声・・・こうやって逃げる事が出来て本当によかった・・・ 「リコリス君ですか?まさか全滅でしたよ」 「全滅・・・レイヴァンが・・・・」 その頃ダイノフォートでは、ドラグノフが本社のほうの研究所へと連絡を取っていた リコリスは心底悔しそうにしていたが、リコリスの発明した機体だったため無理もないだろう 「試作型だったんですけど、あぁも簡単に・・・これは改良が必要かな、やっぱり雑魚の魂じゃダメか・・・」 「強化人間二人も奪われ、大失態ですね・・・これは始末書が大変だ」 「まったくですよ、手抜きは行けませんね」 恐るべきNIの科学力と執着心はまたヒースを狙うだろう・・・だがヒースを奪い返したのだ さらに彼らの損害も大きい、しばらく魔の手を癒す為NIは影を潜めるだろう・・・ 「ヒース君・・・ますます欲しいですよ・・・」 「はぁ技術の一部ぐらい解析するべきでしたね」 「そのうちチャンスは来ますよ・・・さて、私は本社の方へ向かうのでこれで」 続く