第七十一話 黒騎士とかぼちゃ 前回のあらすじ NIに連れ去られ、仲間たちと離れ離れになったヒースであったが、NIの研究所内にて 二人の強化人間と出会い、彼女達と脱走を企てるが失敗。だがその時 パワーアップした仲間達が駆けつけ、ヒース達は救われ再び旅が再会するのだった。 「こうやって風に切られるのも久しいが、村が見えないのも久しいな」 NIに囚われて一週間程度、その後に二日はディオールにいたんだ。 この風を抜ける感覚は懐かしい。が村が中々見つからないのも同じく懐かしい 「今日は野宿になるか」 「まぁ久しぶりに野宿も良いんじゃない?」 キルコプターで旅をしてたメディナ達だが、どうせならキルコプターをそのまま なんて事をしたら旅の気分が台無しだしキルコプターでは目立ちすぎると言われた 「そろそろ夕飯の支度をしないといけませんね」 「今日は何作る?作りおき出来る物が」 「…む?ヒースあれ村じゃないか?」 もう夕飯の話に入ったアリシア達の横で、ヴェータが窓から外を見ると確かに明かりが見えた どうやら野宿は避けれるようだな。進路を明かりの方へと変えてどんどん近づくと… ランタン?だがカボチャを顔のようにくりぬいた形をしている。何なんだこれは? 「こりゃハロウィンか?」 「はろうぃん?」 「そう言えば聞いた事があるわ、仮装してお菓子を強請るお祭りだっけ?」 「たしかバクフ国に同じようなお祭りがあったような…」 「正解、ハロウィンってのはバクフで言うお盆みたいなもんなのさ」 「そうねハロウィンは年に一度、霊界とこっちの世界が繋がるって言う話よ?」 随分と物騒な祭りだな、だが何故こんなカボチャを?食用に適さないカボチャのようだが と言うより仮装と霊界が開くのは何が関係していると言うのだろうか? 「ヤカリお盆って何だ?」 「あぁ、お盆ってのは死んだ人の霊が帰ってくるって言われてるのさ」 「なるほど。それじゃあハロウィンに仮装するのは?」 「それは私が、霊界からは良い霊だけが来ると限らないでしょ? それで悪霊を追い払うのが目的なのよ」 なるほど、見方によっては滑稽だが子供ぐらいの年齢なら怖いとも思うだろう。 古い祭りのようだし、今になって色が薄れる行事なんて結構あるしそういうわけか。 「丁度良い時にきたわね、何か面白い事でもあるかしら?」 「あるんじゃね?あーお菓子持ってないと危ない。悪戯されるぜ?」 ハロウィンパーティと言う物があり、子供はお菓子を貰って回りあげないと悪戯をされる 仮装のついでみたいな物だろうか?仮装はお化けの類だからやろうと思えば出来るのか? 「お菓子か、あっちに着いたら出すか」 「皆お菓子を食べちゃダメだよ〜」 流石にそんな食いしん坊じゃないと、ペルソルナの可愛げのある声に皆が笑ってると 郊外のランタンだけではなく、町の明かりも追加されてほんのりと明るいのが かなり明るくなった。町の中は夕飯の買い物や家に帰る者など、いろんな人が… 「皆、仮装してる?」 皆が皆、仮装している老若男女を問わずにだ。外から見ただけでもこれだけいるなんて 入り口には門番がいて、身分証明書などを見せて通れると思ったが持ち物検査で驚いてた 「何だ仮装の衣装が無いじゃないか!」 「む?」 「今日は外から来た人も仮装しなきゃいけない日なんだ、さっこっちに」 いや、持ち物の量に驚くわけじゃないのか…バイクをゆるゆると動かして 門番の後を着いて行くと、俺達が来たのは服の前だった。 「ここで着替えてくれ」 「わ、分かった…皆、行こう」 「何か変な決まりだなぁ」 「しょうがないじゃない、仮装っても何をきれば…」 「いらっしゃいませーお客様どうぞこちらへ〜」 俺達に仮想の経験なんて…と悩んでると、店の中から店員がやってきた。そして店内にある 仮装の衣装を見てちょっと焦った。膨大な数の中から選べだなんて酷な… 「どうしましょうか?」 「適当で良いんじゃない?」 アリシアとウェンディが適当で良いと、仮想衣装に手を付けようとした瞬間に店員が待ったをかけた この店では「おすすめを」しているから使ってくれと。ならそれでいいか?店の置くから店員が…何だろうな 凄く嫌な予感がする。皆が試着部屋にほぼ連れ去られているように連れて行かれ、俺も同じように… 「おいちょっと待て!行き成り脱がせるか!?」 「はい!じゃないと着替えさせられません!」 そ、即答!?いや脱がないと着替えれない、それは分かる…分かるがいろいろと違うだろう! 普通の服屋はこんな事は――待て!パンツまで取ろうとするか!?うぉおお!! 「ふ、普通じゃない…皆が心配だ」 恐ろしい事をしてくれた、第三者が見れば追いはぎにあってると間違えられるぞ。 こんなんで大丈夫か?間違われて警察呼ばれそうだぞ…いやそれ以外ので訴えられそうだが 「うん、良い出来!」 「どうか分からないが、これで良いのか」 今の格好は人造人間の怪物らしい。目の下にあるラインに縫い目のような物をメイクして 肩や腕に鎧のようなプロテクターを着けて、少し胸が開いたコート… 「某ドッガ風か…」 外の皆も同じような感じで、疲れたように出てきた。皆もあれをされたんだろうな。そりゃ疲れる 「はぁ…酷い目にあった…」 ヴェータはヴァンパイアか、雰囲気的にも無理が無い。一部にドラゴンの意匠があるあたり ズメウに乗るヴェータの雰囲気を捉えてる。が何で服屋はこんな事を知ってるのだろう? 「もふもふで気持ち良いな、ルナも随分とかわいくなっちまって」 「えへへ似合う?」 次にヤカリだが狼女だった。尻尾や耳などふわふわと可愛らしい物を使っているが どうやったか知らないが、付け牙やファーなど何処か活発な雰囲気がしている ペルソルナもカボチャで作られた仮面とポンチョでお化けの姿へと変わっていた 「私が一番オーソドックスかしら?」 メディナは魔女になっていた。話に出てくる魔女そのままと言う感じではなく可愛らしく作られて 幼いメディナの雰囲気と噛み合っていた。パンツァーシュナイダーは箒のパーツを付けられ 可愛らしくアレンジされたアン・ギェーラのマスコットが先に付けられていた。 「た、確かに何時も体のラインが出るレオタードアーマーだけどさ…」 ウェンディはマミーか?体中が包帯だらけでボディラインが包帯では隠し切れず 肌を晒していないが何処かアリシアと同じ感じで。ウェンディが顔を真っ赤にしていた 「うわっエロいなそれ…上に鎧着せてもらうとかは?」 「したいけど包帯が隠れると意味がないからって…」 「うぅ…ウェンディもですか…」 アリシアの格好でビックリしたその、コルセットだとか大人っぽい装身具をしていて 紫と黒の色で固められた妖艶な衣装の胸を隠す部分は、両乳房に斜めに掛けられた布だけ アリシアの胸じゃそれだけじゃ不十分だろう…下のスカートだってスリットが大きすぎる 見えそうなぐらい長いスリット、ガーターベルトとストッキングも何時もに比べて色っぽい 「さ、サキュバスだそうです…あまり見ちゃいやです…」 「そうか…す、すまん」 サキュバス…い、幾らアリシアが魅力的だからって、淫魔の仮装だ何て…どっちかと言うと天使だろ 講義しようとしたが、流石に天使はこのおどろおどろしい日には似合わないかと諦めた。 「これじゃ恥ずかしいです…零れちゃう…」 「あぁ、翼で隠せますよ?」 店員がそんな事かという風に言うと、胸より上は隠れていないが翼がクロークのようになり 胸を隠す事が出来てアリシアも少しだけ安心していた。これでも十分色っぽいのだが 「何だか胸が大きいってだけでこんな感じに…」 「大変だなアリシアとウェンディ、私は特に心配しなくても良いから楽だぜ〜」 「そんなに動くとパンツ見えるわよ?」 「へ?うわあぁっ!スパッツ!スパッツくれ!」 女って不便だな、メディナは布面積が一番多いから恥ずかしくないようだ。ヴェータはヴェータで デザインが吸血鬼と龍だなんて、カッコイイモチーフだからか恥ずかしくは無いし俺は胸が出てるがそんなに そういえばヴェータは?少し姿が見えない気がした。こんな時は真っ先に着そうなのに、と思っていると 「ウェンディこっちに来るんだ、僕も翼が使えるから隠せる」 「あ、ありがとう」 体のラインが出て、布一枚下が素肌のウェンディは恥ずかしくて体を隠していたが ヴェータがウェンディを抱えて、翼で覆うと何というかこんな風に言うと失敬なんだが 美女が吸血鬼に連れ去られてるように見える。まぁ俺が言うところではないだろう 「宿を探すとしよう。御代はどこに置けば良い?」 「はい、合計して…」 金を払って外に出ると、外は仮装した人で溢れかえっていた。子供達も走り回っていて 楽しそうだ、お菓子はちゃんと持ってるし強請られても大丈夫だろう…だが気になるのは アリシア達への視線だった。魅力的でもジロジロ見られてアリシアも恥ずかしいだろう 「アリシアこっちにメディナとヤカリも囲んでくれ」 「は、はい…助かります」 「OK、アリシアのは何時もと変わんないけど雰囲気があれだよなー」 「何時もの露出は多いですけど、ちゃんと隠せてるから…」 アリシアの何時もの衣装も十分、露出はあるが確かに隠してる事は隠しているし こっちの見えそうなサキュバスの仮装よりずっとしっかりしているだろう。 「ったく男ってのはスケベね…」 「私らはそんなに格好が」 「アンタは色気が無いんでしょ」 メディナが箒と合体したパンツァーシュナイダーでアリシアを隠したりしヤカリが怒って尻尾を立てたり 二人が少し喧嘩をしつつも、アリシアを隠しているあたりは何だかんだで本気で喧嘩はしてないのだろう 「二人も見られてるけどな、ヴェータはさっきから逆鱗に触られたみたいだぞ?」 「そう言うが、ウェンディをジロジロ見られていい気分な分けないだろ?」 ヴェータはヴェータでウェンディを守るのに必死で、ウェンディはウェンディで抱っこされてるのが ちょっと恥ずかしいが嬉しそうだった。女の視線がヴェータに行ってるのは気づかないらしいが 「…うぅ、何かさっきからスカート見られてる気がする…」 「ヤカリさんも見られ始めたんですね…」 ヤカリが尻尾と手でスカートを押さえて、何だか恥ずかしそうにしている、スパッツを穿いて安心 と言っていたが恥ずかしいものは恥ずかしいのだろう。そんな二人を見てメディナは少し不満そうだった 「何でやカリまで…」 「私はお前と違ってスカート短いんだよ!スパッツはいてるけど見えたらはずい!」 「私は格好が格好だからよね、えぇそうよきっと」 「み、見られて気持ちいい物でもないですし、恥ずかしいし私はメディナちゃんが羨ましいです…」 困ってるやカリとアリシアと、安心してるメディナに少し笑いつつも流石に面倒なので 男共の視線をさり気ない警戒の気で返しておくと、やっと宿屋に着いた、明かりはランタンだけか 「随分な凝りようだな?」 「まったくだ、けど姉さまはこう言うの好きだろうな」 レヴィア閣下なら確かに好きそうだ。店の奥から幽霊の格好をした店主が出てきて、なりきりながら 部屋の数や場所を言うと、一つで二人分しかないようだ。組み合わせは一つは決まっているし… 「私はメディナとで良いや」 「良いやって何よ!まぁ仕方が無いからヤカリとペルソルナでいいわ」 ふむ、そうなると俺とアリシアが一緒か。護衛ならこっちのが簡単だし好都合ではあるな 荷物を置いたら夕食と行くか、カボチャを刳り貫いたランタンが多いんだし きっと今日はカボチャを使った物が多いんだろうな。そんな事を思いつつ部屋へ向かった 「ヒースさんさっきはありがとうございます」 「いや、お前をジロジロ見られて何だかイヤだった」 翼を縮めて…何でも出来るな、ヴェータとウェンディが世話になったクゥルセルヴェの科学者にも似た あの店の店員達の事に少し驚きつつ、俺は荷物を適当においてアリシアにお菓子を渡しておいた 後でヴェータ達にも渡さないとな。それにしても…むぅ、こんな事を考えてる場合ではないだろう 「ヒースさん?」 意外と良いかも知れない、何時もの清楚なアリシアと雰囲気が違って、色気があるのが新鮮だった だがこんな事を考えては俺もあのスケベな男共と変わりない。だが本当に新鮮な感じで 「ヒースさんってば!」 「むっ!?」 呼ばれていたのか、一人で考えるのも少し落ち着かないとな…何だと思ったら、もう行こうと 皆を待たせるのも悪いしアリシアの言うとおりだ。馬鹿な事を考えてる暇なんて無いぞ またアリシアをいやらしい視線から守らないと。店員め少しだけ恨むぞ 「ヒース行くぞー」 「すまん今行く、以降アリシア翼は忘れるな?」 「はいっ」 アリシアが翼で胸を隠すと、ドアの外で待っているヴェータ達にお菓子を渡しておいてから 何処か食事が取れる場所を探す事になった。直ぐに見つかるといいんだがな… 「野菜が多いな、うん」 近くの店で食事を取ると、野菜が殆どで肉類は無かった。収穫祭の意味もあるとの事だが 本当に野菜だけだ。野菜が嫌いな子供はねだったお菓子で腹を満たす事だろう 「けど美味しいじゃない。私は好きかな」 「私は狼だけどこれ美味いな」 ヤカリの一言で皆が笑いながら、野菜スープやサラダを口に運んで、久しぶりに皆で食べる飯を楽しんでいた 俺達だけで食べるのも久しぶりか。シャキシャキとした歯ごたえの野菜を噛みながら、ふと昔を思い出す こんな風に元に戻れてよかったと安心と喜びをもう一度、再確認しつつゴクンと野菜を飲み込んだ。 「これから如何する?少し遊んでいきましょうか?」 「少し遊びたいかもね、アリシアも視線には慣れた?」 「はいヒースさん達が守ってくれてますから…」 「ウェンディは僕に任せろ、ヒースどうする?」 ヴェータは本当に龍の血を引いた吸血鬼のように、頼もしくウェンディを側にに寄せると 俺はアリシアに大丈夫だという風に笑っておいた。 「俺は別に良いぞ?それじゃあ遊んで行くか」 「お菓子めぐりしよーぜ!」 「子供じゃないんだからやめよーよ!」 「ふふっルナに言われるなんてこどもねぇ」 メディナの一言でヤカリがしょんぼりと耳や尻尾を下げてると、メディナも言い過ぎたと反省… したらメディナが謝るなんてと言って耳と尻尾をパタパタしながら笑っていた。 「あっ騙したわね!」 「メディナもこういう所があるのなぁ」 「もうっ!何よ何よ!」 メディナとヤカリもすっかり息が合うようになったな。喧嘩するほど何とやらか 楽しそうな感じに言い合う二人を見てたせいで、まだ少しスープが熱いのに飲んで 舌がひりひりした…俺も不注意が出てきたな。もう少ししっかりしないと 「仲がいいですね二人とも…」 「本当、喧嘩するほど何とやらだね」 「喧嘩しなくても仲が良いのがいるがな。」 さり気なくヴェータがウェンディの肩に手を伸ばして、抱き寄せるとウェンディも嬉しいのか すんなりと身を寄せた。まぁ確かに喧嘩しなくても二人は…と思ったが 「喧嘩は一度したろう?好きだっていえなくて」 「むっ確かにそれもそうか」 「あの時は大変だったよねぇ立ち止まってて良かった」 メディナ達にもその時の事は話したりしたし、なるほどと笑ってた。ウェンディが路地裏で泣いてなかったら ヴェータがウェンディを引き止めて本当の事を言えなかったのを思うと中々ロマンチックだな 「天も二人の祝福を望んだか」 「よせ、そんな大それた事じゃないさ」 「ヴェータが好きって気持ちとヴェータの好きって気持ちが引き合わせてくれたのよきっと」 女の子ならそんな恋に憧れるのだろうな、アリシアがちょっと赤くなって話を聞いてるのを見て アリシアもまだ17歳なんだなと再確認した。テレサの事だから恋愛結婚をさせたいだろうが 政略結婚はあまりにもかわいそうだ。アリシアなら受け入れそうだがその時は何とかしてやりたい 「ごっそさん、私が最後だった?」 「そうだね。皆いこうか?」 ヤカリが食べ終わって、いよいよ外に遊びに行く事になった。金もまだあるし金がかかる事でも 何か出来るだろう。さて町の中をブラブラと…アリシアへの視線は相変わらずあるからアリシアは もう俺の隣に隠しておいた。あんないやらしい目線の中にアリシアを放置はできまい。 「んー私に良い考えがあるんだけどさ、ごにょごにょ」 ヤカリがアリシアの耳元でごにょごにょと何か言うと、アリシアが驚いて首を振るが横からメディナも来て 如何するかを聞いたら、するように薦めてアリシアがちょっと悩んだが… 「ヒースさん…」 「あ、アッアリシア!?」 くっついた、いや待て俺に何でくっつくんだ?ヤカリとメディナは何を吹き込んだんだ! 「おいっ!?」 「ご、ごめんなさい…」 「良いじゃんかよ、そうすりゃ視線が変わるぜ?」 「ヴェータとウェンディみたいに諦めがつくかも知れないじゃない」 むぅ、確かにウェンディはもうヴェータが明らかに恋人って感じで翼で隠してるし、視線が集まらない だがアリシアと俺の場合は違うだろう…と思ったが、意外と視線がアリシアから俺に代わっている 「嫉妬って奴さ、ヒースが羨ましいって」 「そういうことよ」 「イヤそれって良いのだろうか…」 ちょっと考え物だよなそれも。男共の視線を自分に集めて少し悩んだり、アリシアの柔らかな肌に 一国の王女に何をしてるんだと、エマあたりに怒られそうな現状に悩んだりしつつも 何処か休めるような場所を探す事にした。何処かに丁度よく人が少ない場所は無いだろうか 「ヒースそう急ぐとアリシアが着いていけないぞ?」 「そ、そうは言うがな…」 「あの、気にしないでください…」 「ダメよアリシアはか弱いんだから、ヒースが優しくしてあげないと」 そうは言うがこれでは足が速くもなる。アリシアの今の格好は何度か言ったが、あまりにもあれなのだ 上は布をもっと使うべきだ、斜めに掛けた布の面積はアリシアの胸を完全に隠せる大きさと言えないし 腹部はコルセットだけ臍が見えたり、スカートのスリットが深くてストッキングとガーターベルトを付けた 細い足が見えたり…俺は何でこんな事を考える?性欲など無いはずなのに。色っぽいのは確かだが 「あの離れましょうか?」 「い、いや…このままでも良い」 離れればアリシアに視線が向いてしまう。それはイヤだから俺に視線を向けさせておこう。 しばらく歩いていると、小さな怪物たちが俺達の前にやってきた。 「「「トリックオアトリート!」」」 「お菓子か、ほら分けて食べるんだぞ?」 「こういうのも良いかもね、はい。」 「1日だけならね、毎日チビから強請られたら大変よ」 「メディナもサイズ的に変わんなくね」 「確かにそうだね〜」 皆がお菓子を上げると、子供達はまた何処かへと行ってしまった。いや行く前に 立ち止まって俺達をジーっと見ている。如何したと言うのだろうか? 「そこのおっぱいの大きなおねーちゃんと青い髪のおにーちゃんもカップル?」 「そっちのヴァンパイアのおにーちゃんとミイラのおねえちゃんはカップルだよね?」 さり気なく何を言うんだこの子達は!? ビックリしてアリシアが目を白黒したり俺がフリーズしてると 子供達が何かひそひそ話をしていた。さて何を話しているんだ?冷やかしでもするのか? 「町外れにあるお墓、絶好のデートスポットなんだな」 「ちびと小さいのとねーちゃんはおすすめしないぜ!」 「チビって何よ!あっ待ちなさいったら!コラー!」 近頃の子供は随分とませてるんだな…墓か、何も無いし行ってみるのも悪くないか? デートスポットなら綺麗な景色があるのかも知れないし。ヤカリは遠慮気味だが 皆はOKを出したし多数決で行く事になった。ヤカリは怖いのが苦手なんだろうか? 「こういうのってさ、悪霊の吹き溜まりになってたりするかも知れねーぜ?」 「ありえなくないけどこっちには魔法使いが二人よ?」 「いたら結界を張りますし安心してください。」 結界を張ると言われると、どうやら安心したらしい。町の外れまで少し歩いていき 人気の無い荒地…うぅ判断を誤ったかもしれない。綺麗な景色は期待できないな 墓地に着くが当然、綺麗な景色なんてあるはずも無く殺風景な墓地があるだけだった。 「失敗したな…スマン」 「いや、気にしていないさ」 「歩いただけ楽しかったよ」 慰められると助かる…それにしてもアリシアって怖がりだったか? 「アリシア、人もいないし離れても良いぞ?」 「えっあっ言え寒いからこのままでいいです!」 「寒い?ならコートでも…」 「このままが、このままが良いです…」 むぅ…まだ涼しい程度の温度だが、アリシアに熱でもあるんだろうか?帰ったら調べてみるか だがコートを拒んだ理由が分からない。流石に俺の上半身が裸なのは見るのが恥ずかしいか? 「如何する?帰るか?」 「まった!少し見て回ろうぜ!」 「何よさっきは怖がってたくせに」 「幽霊もいないみたいだし、デートスポット言うなら良い景色あるかも!」 人もいないし、アリシアをもう少し抱き寄せて暖めながら、ヤカリが提案した 墓場の近くで何か無いかの旅、うっ俺のネーミングセンスを疑った墓場探検でいいか。 それをする為に少し墓場の奥、背の低い雑草が汚く生える場所へ足を踏み入れていった。 あぁっお母様ごめんなさい…はしたないアリシアをお許しください。ヒースさんにこうやってくっついていると あまりにも優しくて暖かくて、ヒースさんが好きな心が揺れるんです… 「アリシア、顔が赤いしやっぱりコートを」 「あの、その…こうしておきます」 肌を重ねていたい。王女として、はしたないけどヒースさんの肌のぬくもりがどうしても欲しくて この恥ずかしい衣装の唯一、いい所はきっと言い訳が出来る所でしょう。翼を少し大きく体を包み 暖かそうにしておくけど、ヒースさんにまだ一緒が良いから近づかせてと嘘をついてしまいました 「風邪でも引いたか?」 「違うんです、本当にただ肌寒いだけで」 「そうか、こっちの方が楽じゃないか?」 そういうと、ヒースさんは無造作に私を抱えて…お姫様抱っこ、何度かしてもらった事はありますが その今までよりも格別と言うか、好きになってから初めてだから…幸せなんです… 「あったかい…」 「街中じゃないしな、これでも大丈夫だろう」 ヒースさんは時々ずるい、こっちの気持ちに気づいてるのか気づいていないのか分からないような行動をして それでいて分からず仕舞いなんですもの。今だって私が好きなのを知ってるのか、本当に暖める為なのか どっちだか分かりません。けど何時もみたいに後者なのでしょうか…前者だったら嬉しいのに… 「やっぱり顔が赤いな…恥ずかしいか?」 「少しだけ…ほんの少しだけですからこのままで…」 ストレートに好きって言えたら楽なんですけど、そんなに簡単に言えるはずも無く。 ヒースさんに本当の事を言うにはまだ時間がかかりそうです。 「二人ともー何かあったー?」 「いや、何も無いー」 今はお墓で何か無いか探しているんですけど、本当にいい景色なんてあるんでしょうか? お墓の奥へ行けば行くほど、だんだんと暗くなってきて何だか不気味ですね。早く帰りたくなってきちゃった… 「何も無いなぁ…帰るか?」 「そうね、もう暗くて暇だわ」 「せめて明かりでもあれば良いが、まぁ贅沢はいえまい」 「お墓なんだし追い出された悪霊がいるかと思ったんだけどねぇ」 「あはは、霊が出ても私たちだとやっつけちゃうよ」 「まぁ…それが出来そうなのが多いのは確かだ。」 もう少しでこれも終わりですね、ちょっと残念だけどいつかお姫様抱っこをねだれるような関係になりたい 心の奥にその思いを残しておくと私たちは帰路に…あら?さっきの火の玉は何でしょうか? 「メディナか?バクフっぽい事するなぁ」 「違うわよ、ヴェータじゃないの?」 「僕ではない。アリシ 本物!?」 本物?何?まさか…ヤカリさんが 「幽霊ですか!?」 「まさか本当に出るなんて!」 「逃げる方がよさそうだな、皆走るぞ!」 本物の幽霊!?あぁっ皆走り出して…折角もう少しこのままでいられると思ったのに 幽霊のせいですぐに終わってしまいそうです。じゃない!幽霊なんてそんな! 私たちが入ってきたから?けど幽霊なんてそう簡単に出るはず無いのに! 「アリシア、しっかりつかまれ!」 「はいっ!」 「羽は飾りなんだ、実際に使えない…」 「実際に飛べたらすげーよ!ちくしょーちっともスピード上がってねぇ!」 やっぱり衣装は衣装、狼の力や飛ぶ力が宿るはずも無くひたすらに逃げて 逃げて…ヒースさん暖かい…こ、こんな事考えてる場合じゃないっ! 「もう少しでお墓の外です!」 「そうだわ、アリシア魔法よきっとあれに通用する!」 けど、けどヒースさんに、こうして抱きついてると何だか幸せで 非常識なはずなのに何だかイヤじゃなくて…どうしよう。 「あら?暖かい…ひぁあああ!?」 「アリシア!?くそっ着いて来た!!」 しばらく走るけど、横に火の玉は憑いてきて逃げても逃げても、ぜんぜん振り切れなく このままでは…そうだこれを使えばよかったんだ。何で気づかなかったんでしょう 「ホーリー!」 「アリシア襲いわよ! あぁっダメもうへとへと…」 「ったくしょーがねぇな!この箒そら飛べねーのか!」 どうやら頼まれてたのに気づかなかったようです、ヤカリさんがメディナちゃんを抱えると そのまま走って、何とか村の近くまで逃げてきました。もう霊はついてきません 「アリシア、立てるか?」 「はい、ありがとうござました」 これで一安心。皆も無事なようですしハロウィンが終われば帰って周辺の人にも被害は無いでしょう 「はぁ〜大変だったねぇ」 「あのガキ共なにが絶好のデートスポットよ!」 「幽霊が出て抱きつけるって事じゃない?怖くてそれ所じゃないと思うけど」 流石に鍛えてるだけあってか、メディナちゃん以外は皆そんなに疲れた感じはしていませんでした もう町に帰ろう…そう思ったんですけど、何か足音が…ただの足音ではなくかなり大きな足音… 「このサイズだとロボットだね、旅人かしら?」 「かもな、まぁ僕らは宿に帰ろう」 その時は何も無いと思って、私たちは安心していたのですが、どうやら足音の正体は私たちが考えるより 厄介な者だったようです。足音がドンドン近づくけど考えてみれば私たちの後ろは墓地なんです それなのにこんなに沢山足音がするなんて、墓地を通ってくるにしては少し数が多すぎます まさか 「振り向きたくねーなぁ…」 「しょうがないでしょ? 私もイヤだけど」 「きっとあれなんでろうね」 「はぁ、あの悪がきなんて事を教えてくれたのよ」 「嘆いてる暇は無いか」 「魔法がどれぐらい通用するか…」 後ろを振り向くと、そこにいたのはバンブギンが何十機か、闇黒連合などでも採用された事がある機体で コックピットがむき出しだからあまり好まれず、埋め合わせ的に使われたり資金の少ないテロリストに使われたり そんな話を聞いた事はありますが、ハロウィンのカボチャにあわせるなんて何とも感情深い事を… 「サーチしたが、明らかに人が乗ってない。エネルギーは感じるが」 「幽霊がロボット操縦するなんて雰囲気ぶち壊しじゃん!」 「そういう問題じゃないでしょーが!?」 メディナちゃんがヤカリさんに突っ込みを入れる前に、バンブギンの斧が私たちの上に振り下ろされようと 刃を夜空へ向けるけど、そんな簡単にやられません。直ぐに皆が機体を呼び出して反撃に転じました 「くそっ幽霊が嫌いになりそうだ!」 「元からじゃないの?」 装甲は多少は厚いですが、ガチガチに硬いわけではなく切ろうと思えば切れるカボチャのような装甲で むき出しのコックピットを狙えば簡単に壊せるとも聞いています。ヤカリさんはそれを知っているのでしょう ペルソルナちゃんがジャンプして、そのままコックピット部分を貫くとバンブギンが動きを止めました 「カボチャスープは好きか?」 それだけではなく、ヴェータさんのズメウは加熱して脆くなったバンブギンを貫き、ドロドロに溶かしてしまいました ズメウには炎を操る力があるから出来るんでしょうね。色は違うけど形状は確かにカボチャスープでした 「アリシア危ない!」 「きゃっ!?」 見とれてる場合でもなく、今度は私にバンブギンが襲い掛かるけどヒースさんの禁忌が間に入り その隙にメディナちゃんがのアンギェーラがメイスでバンブギンを叩き壊し、まるで動物に 食い荒らされたような姿へとバンブギンを変貌させ、私とメディナちゃんの周りにバリアを 「二人とも援護は頼む!」 「任せなさい!早くこのお化けを倒さないと!」 「行ってらっしゃい、お気をつけて!」 ヒースさんもお化け退治に行って、私たちは何時ものように援護。バンブギンではヒースさん達に勝てるはずもなく 次々と倒されて、残骸になって行くのですが…何故でしょう、魔力に似た何かが消えていない。 「何かおかしくない?魔力…みたいなのが渦巻いてる」 「僕だけじゃないか。」 どうやらヴェータさんとウェンディも気づいているようで、確かに魔力…いえこの場合はもしかして けど悩む前にバンブギンを倒さないと、魔法を直撃させなくても掠るだけでだいぶダメージが 「しゃれになんない弱さね!コックピット剥き出しの伝統ね!」 吹き飛んだパーツはまるでカボチャの種のような小ささに砕け散り、本物のカボチャを壊してる気分 ヒースさんの禁忌の剣が振り回された丸太を斬り飛ばし、そのままバンブギンまで切り裂いていました 「まったくだ、んっ!?今度のは空を飛ぶのか!」 「ババンブギンか、僕に任せろ」 ババンブギン、たしかバンブギンの上位互換機でしたね。そんな物まで出すなんて 随分といいスクラップ置き場があったようですね。ヴェータさんのズメウがそのまま飛んで 槍でババンブギンの鎌を弾いて、きわめて優勢…ヴェータさんの方がやっぱり一枚上手です 「所詮はバンブギン、パイロットも霊では僕には勝てないか」 「こっちはあらかた片付いたよ!やっちゃえヴェータ!」 「いや、逃げるようだ」 ババンブギンが遠くに逃げよう…それにしては、動きが逃げるようでない。まるで何処かに移動するような がむしゃらに逃げるような感じはしなくて、ヴェータさんたちも気づいたけど、時すでに遅く… ケタケタケタケタケタ 種のように砕け散って欠片になったバンブギンが、ババンブギンに集合して巨大なババンブギンの胴体を作り そのコックピット部分にはババンブギンが下半身を埋め込み、巨大バンブギンが出現してしまいました。 「デカイ!何だこの大きさ!」 「すまん僕のミスだ!」 「こんなにでっかいと…けどこれ食用じゃねーんだよなぁ」 大きい。けど大きいだけなら大丈夫、それに手足も無い…と思って皆が油断していました ヤカリさんとヒースさんが切りかかったけど、突如地面から柱のような腕が出現して 二人を吹き飛ばしてしまいました。敵は隠し武器をまだまだ持っているようです 「ねぇアリシア、あのカボチャの口なんか動いてない?」 「えっ?あっ本当…なんて言ってるんでしょう?」 メディナちゃんが魔法の標準をバンブギンに定めていると、口が動いてるといって見てみると 確かにバンブギンの口は動いている。喋っているように不恰好な口が上下左右に 「何か分かりませんが、あの腕を壊しましょう」 「えぇ、あのデカ物ったら迷惑すぎるわ、本当にカボチャ頭ね」 何を言ってるかなんて後回し、今はあのバンブギンの巨大な胴体を破壊しなきゃいけません また変身を使う必要があるかもしれませんね、まさかこんな早くに使うなんて 「…よっしゃいい考えが浮かんだ!」 「ヤカリ?如何するって言うんだ?」 ヤカリさんが集まるように言うと、なるほど考えとしてはありえなくは無いですね、巨大な腕を 魔法で何度か吹き飛ばし、そして再生されのイタチゴッコを繰り返し時間を稼ぐと ヤカリさんの言っていた事を実行に移すべく、まずヒースさんがペルソルナちゃんを持ち上げました 「滑走路は大丈夫!」 「発射準備いつでもいいぞ」 ヤカリさんの考えは、ヒースさんがペルソルナちゃんを投げて、加速にウェンディとヴェータさんが 炎と風をあわせて爆発させ、そのままペルソルナちゃんが巨大バンブギンを貫くと言うものでした ペルソルナちゃんの闇の剣にはエネルギー吸収能力があり、相手のエネルギーを利用しようと言うのです 「よっしゃヒースやってくれ!」 「おう!」 魔法であの腕の妨害をさらに膨大すると、ペルソルナちゃんの後ろで爆発が起きて衝撃に乗るように 加速が早まり一気に巨大バンブギンの額に突き刺さると、私たちができる事は遠くから援護するだけでした 「わっ凄いパワー!?」 「よっし開放もやっとけ!」 柱のような腕を壊していると、今度はペルソルナちゃんのもう片方の剣から光が、エネルギーを開放しているようです またしばらくすると、ボロボロと巨大バンブギンの体が砕けて行く…これで終わりのようです。ボロボロに崩れて 顔が虫食いになった巨大バンブギンには最早、柱を出す力も無いのか一気に崩壊を始めました 「へっ生憎その誘いには乗れねーよ」 「そーだね!お墓に帰って!」 ババンブギンとペルソルナちゃんが落ちて行き、ババンブギンも崩れてペルソルナちゃんを ウェンディのソードマスターが風で受止め、これですべて終わりのようです。 「いやー、最後と言う最後で怖かったぜ」 「どうしたの?」 「あいつら私らを引き込もうとしてやがった「こっちに来い」って声がしてさー」 「やだ、随分と不気味…」 何はともあれ、これで全部終わりです周りには…残骸はありませんでした。きっと霊の作り出した 霊的な物だったんでしょうね、ハロウィンに合わせてバンブギンだ何て遊び心がある霊でしたね 皆もうクタクタのようで、もう帰ってシャワー浴びて寝ましょう…あの子供達にお菓子を渡したのに 「逆に悪戯より酷い目にあいましたね…」 「まったくね、はぁ疲れたぁ」 ウェンディがあくびをしたり、ヤカリさんが子供たちの事で文句を言ったりしながら 私たちはやっとの事で宿へと帰っていくのでした。疲れたなぁ… 宿で聞いた話ですけど、あれはきっと悪霊の類で霊界と繋がるこの日にやってきて 仮装で驚かされた悪霊たちが仲間を増やそうと襲い掛かったんじゃないか。との事でした あの子供達、あんな事を言ってたけど悪霊に連れ去られてないと良いですね…(汗) 「棺か、ヴァンパイアらしいと言えばらしいか」 僕らの部屋のベッドがいつの間にか棺に変わっていた、まさかこんなベッドメイキングがあるとは ウェンディのと僕のは同じデザインで、中はふわふわで結構広いあたりベッドの役割ははたしてる 「お風呂入ったしもう寝ようか?あはは…」 「永眠になりたくないが、この分ならそうならないだろう。」 おきて朝日で灰にならない?というウェンディの問いに笑って「今の吸血鬼はそう簡単に灰にならない」 と返すと、ウェンディも笑って棺をあけて中のふわふわ具合と広さを確かめていた 「ねぇこれって、二人で寝れないかな?」 「二人で?まぁ寝れるだろうが」 十分な大きさもあるし、二人で寝ようと思えば十分寝れるだろう。少しだけ狭いが ウェンディと肌を合わせるのは慣れている。少し抱き合う形になるが 暖かいし悪くない。ウェンディをこっちに寄せると棺の中へと誘い込んだ 「きゃっまだ一緒にって…」 「殆どOKだろう?こういうのも悪くない 暖かな棺ベッドの中で、ウェンディの胸に顔をうずめると心地よくて眠気がしてきた が同時に…あの店で良い物を買ったし、少しだけ悪戯するのも…悪くは無いか 「ヴェータ子供みたい…おやすみ」 「お休みウェンディ。」 卑怯だがたまには刺激が欲しい。ただの刺激よりも趣向を凝らした刺激がな 「凝ってるのなぁふわふわだー」 「ふわふわー」 私らのベッドは随分と犬っぽかった。人間サイズの猫や犬の寝床って感じでその中で寝るんだけど これが中々良い感じだわ、バクフ国の布団みたいに敷くって感じでルナを抱えると 犬なった気分だった。毛布を被れば暖かいしこりゃいいや。今の私の格好にぴったりだ 「そんなベッドで寝れるの?」 「意外と気持ちいいぜ?来るか?」 「何か犬くさいから良いわ」 何だよ入りもしないでー、メディナのは普通のベッドだけどベッドの横には魔女帽とかを掛ける 棒があってただのベッドで終わらせないあたりにこだわりを感じた。 ここってハロウィン版のクゥルセルヴェ見たいだなぁ。店員の目があそこと同じだった 「あったけーのに」 「私はこれで十分なのよ、それにしても今日は災難だったわ」 「ったくだな〜本当に疲れたー」 欠伸をしつつ、今日の疲れを癒そうと寝ようとしたらメディナがこっちにやってきた 何だやっぱり一緒に寝たいのか?へへっこのふわふわの布団みたいなベッドに 「あんた憑かれてない?」 「あぁ疲れてるぜ?」 「そっちじゃない」 「どっちだよ?」 「ヤカリそれってもしかして」 ペルソルナがバクフ文字で…えっ?憑かれてる? 「ちょっマジかよ!?」 「除霊するから服脱いで、眠いのに面倒をかけさせるわね〜」 「好きで疲れたんじゃねーやい!はぁ…」 けど何で脱ぐんだ?と思ったらメディナが筆を…うひゃあっ!?冷たいっ! 除霊って体に文字書いて洗い流すらしい。あーそういえばこんな話をバクフで… 「耳に書き忘れるなよ?」 「何それ?」 「耳無し何とかってのでな、こういう除霊で耳に書き忘れて耳とられる話」 そんなへまはしないと、メディナが筆で腹とかに文字を書いていくとペルソルナが 書いてない部分に突っ込みを入れてた、大丈夫か少し不安になったけど 何より不安なのが眠いって所なんだよな、早く寝たい…くすぐったいし冷たいなぁ 「はぁ災難だぜ」 「本当災難ね、あのガキ共…」 まっしゃーねーや、少し眠い目を擦りつつ私は体の文字を見て霊が早く帰るように祈った。 「寝床が凝ってるな」 「そうですねぇ…」 帰ってきて、お風呂に入るのが先で見てなかったけどベッドが新しくメイクされていて ヒースさんのベッドは実験台と発電機を合わせたようなベッド、私の薄いカーテンが張られ 淡い紫のベッドは、枕が二つあって淫靡な雰囲気が…はぁ。何でこうなるんでしょうね… 「寝る時まで服はこのままか、まぁいいか」 「ヒースさん今日はお疲れ様でした。」 寝る時もこのままだけど、旅でなれたせいか疲れたせいか、それともベッドが柔らかいせいか 簡単に体がベッドに沈んで直ぐに眠りに付けそうでした。枕が二つ…ヒースさんを誘って なんて事はするはずも無し、二つの枕のうち片方は抱き枕代わりにしておきました。 「サキュバスか…」 男性の夢の中に入り込み、精を貪る淫魔サキュバス、もしも格好だけじゃなく その力があったら夢の中だけでもヒースさんに好きって言えるのに… 「…こんな事を考えてもしょうがないですよね」 けど直ぐにその考えに頼るのはやめました。いつか私はヒースさんに自分で好きって いつかきっと…その時まで頑張るって決めたんですもの。眠い目を深く閉じると 私はヒースさんの夢の中ではなく、自分の夢の中へと沈んで行くのでした。 まさかあんな夢を見るなんて誰が思ったでしょう?