ヒースSS外伝 魔王と騎士王 従者の章 「むっ…動きやすいと思ったが、少し恥ずかしいな…」 今回の話はこの暗黒帝国の秘密部屋にて始まる。金髪青眼の少女が暗黒の国のメイド服を着て テーブルの上を拭いている、彼女の名はアゼイリア=グロリアーナ=スリギィランド 長い名前だが王族だから仕方が無い。何故彼女がこんな格好をしているかと言うと。 「困ったな…ジェラードはいないか…」 スリギィの王城にて、この日に限ってアゼイリアの仕事は殆どなかった、恋人のジェラードは外出 親友であるマリンに声をかければ、如何わしい事になってしまうかもしれない 「暇だ…外出…は難しいし」 今現在、口うるさい家臣がうろうろしているので、変装した所でお忍びで町にはいけないだろう 貴族制度などがあるので、やはりと言うか形式と言うものを尊重する所はあるのでお忍びはダメ出しされる 「となると…あそこしかないか」 窓の外を見ていたアゼイリアがくるりと後ろを向くと、無理を言って置いているクローゼットを開ける 衣服用の他のこのクローゼットには、剣や思い出の品などが入っている。庶民派である彼女らしい所である 「………」 人差し指を唇に当て、その人差し指をクローゼットの下に隠された魔法陣に当てると、魔方陣が光りだす この魔方陣は秘密のお茶会室へ繋がる、転移魔法の魔方陣なのだ。 「この方法はなれないな…」 まぁアゼイリアはこういうのは苦手なのか、ちょっとため息をついていたが。こうしてアゼイリアは 魔法人の中へと入り、親しくなった暗黒帝国が帝レヴィアへと会いに行くが… 「レヴィアいる…むっ?」 入ると同時にアゼイリアが立ち止まる、何時もなら綺麗なリビングに出るはずなのだが今回は違う 掃除道具が並んでいた。首をかしげているとドアが開いてそこから出てきたのは… 「あら?」 出てきたのは暗黒帝国が帝にして魔王、レヴィア=スペリオルなのだが…その姿は 「どうしたんだレヴィア?」 「あら? アゼイリアちゃんこんにちは」 メイドの格好だった、暗黒帝国特有の赤っぽい色をした、露出を極力控えた御しとやかな雰囲気の だが帝王が着るには少し首をかしげる、本職のメイドなんて何人もいるだろうに 「メイド服なんて着て…掃除でもするのか?」 「えぇ、明日はエリーさんが来るので」 「なんでまた? リルはどうしたんだ?」 メイド長のリルがやるような事だろうと、またアゼイリアが首を傾げるがレヴィアが手を交差させて バツの字を作り出した。ますますアゼイリアが首をかしげるとレヴィアが訳を話した 「リルはライトニングさんとデートなんです!」 簡単に言うとメイド長は恋人とデートだった、アゼイリアもなるほどと納得していた。 レヴィアもアゼイリアも人の恋路を邪魔するような人物ではない なら他の…と言いたいが、ここは一部のものを除いて秘密なのだ。 「それで一人で?」 「家事は慣れてますから、すみませんが1時ごろに…」 レヴィアが申し訳なさそうに掃除道具を取り、部屋を出ようとするとアゼイリアがモップを掴んだ 「まってレヴィア、私も手伝う」 「アゼイリアちゃん? けれどその…お掃除大変ですよ?」 「父上や母上から部屋の掃除は自分でするように言われてた、今もそれは同じだ」 フッとアゼイリアが笑うと、レヴィアが嬉しそうにお辞儀をしたがちょっと悩んでた そしてまた少しすると、アゼイリアをつれて部屋の奥のほうへと移動した 「アゼイリアちゃん、その格好じゃ流石に大変だからメイド服貸してあげます」 「あぁスマン…これか」 「あら? 暗黒の国のしかない…クリーニングに出したのかしら?」 そしてクローゼットの中にあったメイド服が暗黒の国のメイド服だった。ついでに言うとここは暗黒帝国である 暗黒帝国のメイド服は先に述べたように、露出が極端に低いが暗黒の国のメイド服は逆である 「ちょっと待ってて、どこかに無いか探してきます」 肩の露出やスカートの短さなど、暗黒帝国のメイド服と並べると差は激しい。胸部の露出などは無いが スカートの短さゆえに大きく足が露出する。がその分動き安いと言えば動きやすい 「悪くない…か?」 とまぁ、こういうわけでアゼイリアがそそくさと暗黒の国のメイド服に着替えてみると 多少大きいが、ほぼぴったりのサイズでなかなかご満悦のようだった 「ごめんなさいここには…あら?」 「あぁ、動きやすそうだから着てみたがどうだ?」 「えっと…似合ってるんですけど、いいんですか?」 「あぁ、半そででも良いんだがな…まぁいいだろう」 上は肩だしの長袖なのだが、脇の下で繋がっている。長袖で腋と肩も見える今までの特徴とあわせなくとも 趣味的なメイド服である。だがスリギィなどのメイド服は丈が長いのでアゼイリアには新鮮だったのだろう 「それじゃあ、私はあっちを掃除しますからアゼイリアちゃんはここを」 「分かった。すまんなメイド服借りて」 「いえ、メイド服それだけでごめんなさい…着替えたい時は言ってください」 何でそんなに気にするんだ? と言いたげにアゼイリアは首を傾げるが、レヴィアはちょっと紅潮するだけ まぁいいかと、アゼイリアはその時は構わず別の部屋へと掃除しに移るのだった と言うわけである、最初は乗り気だったアゼイリアも今では少しだけ、短いスカートの気にし始めた 着てみて最初はいいが、しばらくして何時もは長いスカートを穿くアゼイリアには違和感があった 「まぁ私とレヴィアだけだし、注意すれば見られは…あっ」 そしてアゼイリアが最大のミスに気づいたのは、かがんだ状態で鏡を見たときだった。運悪く今日に限って 紐パンツだったが、紐パンツのリボン結びした紐がちらりと見えていたのだ 「み、見えてる!? だ、だからレヴィアは…」 驚いたアゼイリアが立ち上がると、すぐに紐が隠れた。レヴィアはアゼイリアよりも背が高いからか 立ち上がるとぴったりのサイズよりスカートが長いのが幸いしたようだ。 「ふぅ…今更になって変えるのもあれだし、このままでいいか…うん」 掃除開始からもう1時間程度、ナイトの誇りか騎士に二言は何とやらのようで今更、着替えてもあれだと このまま掃除を続けていた。秘密の茶会室と言ってもかなりのスペースがある 遊びのために設けられたか不明だが、この部屋もかなりのスペースがあり少し大変だった 「こんな所か? レヴィアこっちは終わったが次はどこを掃除する?」 「次で最後ですね、物置部屋を」 「お掃除おてつだいにきたよっ!」 掃除が終わりレヴィアとアゼイリアが合流した時、入り口から元気な女の子の声が聞こえてきた その方向を見ると暗黒の国のメイド服を着た、銀髪の少女がそこにいた 「あら?」 「ハーミットからきいたの! 何すればいーい?」 幼い感じの口調のその容姿、一般人が見ればメイドの格好をした愛らしい少女であるが アゼイリアには違って見えた。疼く様な感覚の後に自然と一方後ろへ動いた 「その子は…誰だ?」 「ダークエルダーちゃん、暗黒の国の当主です」 「えっ……ぅっ」 銀髪の少女が動きを止める、アゼイリアはこの少女と会ったことはない…そのはずだが まるで血の奥底に眠っていたような、そんな記憶が存在するような感覚だった 「ダーク…エルダー?」 「…レヴィアちゃん…」 「あの…二人とも?」 ダークエルダーはレヴィアの後ろに隠れ、アゼイリアは言葉も出さずただ、ため息のように深い息を 繰り返している、ダークエルダーは怯えこれにはレヴィアが困った 「二人とも…本当にどうしたんです? ほらエルダーちゃんあの人は…」 「………」 「アゼイリアちゃんもそんな怖い顔しないで…ね?」 国際問題に繋がりかねないかと、レヴィアが焦っていた初対面でこうまで怯えるダークエルダーもだが こんなに警戒するアゼイリアも初めてだからだ。まるで宿敵にでもあったかのようだ 「いや…こわい…」 「いったい…誰なんだ…」 ふるふると震え、レヴィアに泣きつくよう袖を掴み後ろに隠れるダークエルダーに アゼイリアはさっきと変わらず、これには流石にレヴィアも沈黙を破った 「二人ともどうしたんですか! アゼイリアちゃん落ち着いて!」 レヴィアが肩をゆすると、アゼイリアが何かから開放されたように疲れた目をしている ダークエルダーはさっきと同じで、怯えたようにアゼイリアを見つめていた 「何だ…すみませんダークエルダー殿、突然の無礼をお許しいただきたい…」 「あなた…誰?」 レヴィアの影から、ダークエルダーが尋ねると少し優しい声でアゼイリアが返した 「スリギィランド女王、アゼイリア=グロリアーナ=スリギィランドと申す」 「スリギィ…あそこの…王様?」 王? その言葉にアゼイリアが首をかしげた。アゼイリアは性別的に女王と言われるべきだし 流石にアゼイリアの着てるメイド服に浮き出た胸を見て分からないわけでもあるまい 「斬らない…?」 「…詳しく話してくれませんか? 私も先ほど何かを感じました」 アゼイリアがダークエルダーの前で腰をかがめると、ダークエルダーがビクリとして レヴィアの後ろに完全に隠れ、ちょっとだけ顔を出していた 「………すごく昔のお話、まだいろんな国が出来ない頃の………」 「話には聞いていたが本当に闇の神なのか…」 「エルダーちゃん、それ以上は辛いでしょうから私が」 ここからはレヴィアが事情を話し始めた、はるか過去にダークエルダーがまだ闇だった時 彼女はスリギィランドになる場所に存在し。その時の王との戦いに敗北したのだと言う 「それなら聞いた事がある、そうかご先祖様に斬られてそれが…」 「それがダークエルダーちゃんなんです、今でこそ女の子ですが昔の記憶は消えてません」 つまり、ダークエルダーはアゼイリアの事を過去のトラウマで恐れているのだ。 そして恐るべき敵として恐怖の記憶か、アゼイリアもダークエルダーを自然と恐れたのだろう 「…そういうことか、大丈夫、私は何もしない」 だがダークエルダーは黙ったまま、レヴィアの後ろで袖を掴んで隠れたままだった。 だがこのままではどうしようもないとアゼイリアは最後の部屋を掃除する事にした 「あっ私も行きます、エルダーちゃんは休ん 「ううん…お手伝いに来たしする」 ダークエルダーも後ろに隠れながらだが、レヴィアの後を突いていって 物置部屋へと歩いていく。がどこか空気がよどんでいたのだった 「随分と荷物が多いな…」 「皆が持ってきたお土産はここにおいてるんです、冷蔵庫に保温庫があるんですよ?」 物置部屋…と言うよりお菓子保存室とでもいうべき場所は、中くらいの保温庫と冷蔵庫 それにお菓子が沢山入った棚があった、それ以外に目立ったものは特にない。 「埃を落として掃除機で吸えばいいですからお願いします」 「なぁレヴィア、何でこんなにお菓子が…」 「皆が持ってくるけど、消費が追いつかなくて…私も、ついお菓子は手作りしちゃうし…」 女性に良くある、作って消費するよりあげるのが好きと言うことなのだろうが、そのせいで 大人一人が隠れれそうな巨大な棚に、お菓子がぎっしりと詰まるのは消費が遅すぎる 「生ものはすぐに消えるけど、クッキーとか意外と多くて…」 「今度からケーキを持ってくる…長持ちするものは出来るだけ減らそう」 金の縁取りとレリーフが入ったクッキー缶、桜色の梱包がされていたり材質のいい厚紙の箱のチョコ 黒に金文字で書かれた箱など…中身が焼き菓子などの箱は棚の中に綺麗に並んでいた。 異常なほどのお菓子の量に、ちょっとだけアゼイリアが考え込んで一人で納得している 「だがレヴィア、手作りするのを少し止めて客人に出せば」 「け、けどそしたらお菓子が作れないですし…」 「あぁそうだった、レヴィアは作るのが好きだし…それにパティシエ顔負けだからな」 お菓子作りが好きなレヴィアに、お菓子を作るなと言うのは酷だろう。レヴィアが一安心すると 窓を開けてからパタパタとはたきを振り、棚の上から埃を落としたり某ハンディワイパーで 棚の上の埃を完全にふき取っているが、ダークエルダーだけは様子が違った 「んーっんーっ!」 必死に爪先立ちになるが、棚の上には届かない。最後にはピョンピョンとはねてみているが 届いていない。よりによってダークエルダーがやろうとしているのは、棚の上の箱の上と言う無理がある場所だった 「えいっ! えいっ!!」 「あぁエルダーちゃん無理は…危ないっ!」 その時だった、ダークエルダーが無理やり払おうとしたためか箱が落ちてきたのだ、ダークエルダーが 上を向いた瞬間、アゼイリアが箱を片手でキャッチしてダークエルダーを抱えていた 「大丈夫か?」 「あっ…ご、ごめんなさい!」 アゼイリアの腕の中、ダークエルダーが縮こまってしまいアゼイリアが少し困っていたが ちょっと考え込んだ後、ダークエルダーへと手を伸ばす。ビクッと目を閉じるダークエルダーだが… 「大丈夫、何もしないから…」 「ほ…本当?」 恐る恐るダークエルダーが目を開くと、アゼイリアがダークエルダーの頭をなでていた その硬いけど暖かな手にダークエルダーは、先ほどと違い気持ちよさそうに目を閉じていた 「本当だとも、だから怖がらないで…」 「本当に本当?」 「あぁ、本当の本当だ」 「じゃあ…ゆびきり」 弱弱しくダークエルダーが小指を出すと、アゼイリアがその細く白い小指を包むように小指で絡ませ 指きりをした。ダークエルダーも優しげなアゼイリアに少しは警戒を解き始めたのか さっきよりは安心したような顔を見せる、その行動にアゼイリアは少し疑問を感じていた 「本当にあなたが闇の…」 「うん」 「とてもそうと思えない、目が純粋すぎて…」 伝承で聞くような存在とは思えない、スリギィの建国の話では全てを飲み込む邪悪と描かれたが 純粋無垢と言う言葉が人間になったような、アゼイリアをもってしてそれを思わせるほどだった 「とても闇と思えない…」 「深くは分かりませんが、エルダーちゃんは沢山の人に触れて変わったそうですし…それに」 「それに?」 「光と闇は正義でも悪でもない、夜行性か昼行性かで恐れるものは変わりますもの」 これにはアゼイリアが目を丸くした、レヴィアの治める暗黒帝国は闇と正義は直結していると思っていたが 闇や光を正義や悪と別個として考えている事にだった。アゼイリアは光と正義を結び付けているからだ 「そう…なのか?」 「光や闇で正義や悪が決まってたら、今頃エルダーちゃんと一緒にいないと思います」 「ねぇねぇ何のお話?」 「何でもないですよ? さぁお掃除の続きです」 ちょっとアゼイリアが考えさせられながらも、棚の上から埃を落として掃除機をかけるのだが レヴィアがもってくるとダークエルダーがレヴィアのほうをジーっとみていた 「ねぇねぇレヴィアちゃん」 「掃除機かけたいの?」 「うんっ!」 「よく分かったな?」 嬉しそうにレヴィアから掃除機を借りると、ダークエルダーが隅まではかけてない。いや 故意にかけれないのだろう。掃除慣れてないからしょうがないと言えばしょうがない 「付き合いが長いですからね、ちょっとお手伝いしてきます」 「………なんだろうな、レヴィアを見てると子供の時を思い出す」 今は亡き母と自分のやり取りを思い出し、ちょっとだけアゼイリアが懐かしそうな顔をしていた 「いえ、もしも私の考えが正しければ、ちょっと違います」 「どういうことだ?」 「ふふっ、もしもそうならエルダーちゃんは妹です、アゼイリアちゃんはお姉ちゃん」 そういうとレヴィアはアゼイリアの肩を押した、最初は呆気に取られたアゼイリアだったが レヴィアの言いたい事が分かると、ダークエルダーの後ろへと回った 「隅のほうができてない、ほら」 「あっ本当だ」 「気をつけてすれば、難しくは無いさ」 ちょっと一緒にやってあげて、そうレヴィアは言いたかったのだろう。二人ともまだ距離が離れているし レヴィアなりの気づかいだろう、レヴィア本人は脚立で棚の上を拭いていた。 「ありがとうアゼイリア女王様」 「アゼイリアでいいダークエルダー殿。」 「それじゃあ私も殿はつけなくていいよ」 このやり取りがおかしく、二人ともくすりと小さく笑った後、笑いをこらえれなかったか 大笑いをすると、それに驚いたのかレヴィアが足をすべらせていた 「きゃあああ!?」 「あぁっレヴィアちゃんが落ちた!?」 「レヴィア危ない!」 それを救おうと飛び出したアゼイリアだが、飛び込んだタイミングが早すぎてレヴィアの下敷きになっていた だがその様子がおかしく、ダークエルダーが笑うと二人もつられて笑っていたのだった 「えへへ、アゼイリアちゃんのおひざの上あったかい」 「エルダーは柔らかいな。」 「私太ってないよぉっ!」 「いや、そういう意味じゃなく気持ちいいって事なんだ」 掃除が終わり、3人は手を洗い棚の中にあったお菓子とレヴィアの作ってた シュークリームやタルトでティータイムと洒落込んでいた。 「今日はヴェータが言ってた、ファラプトのハイビスカスティーをどうぞ」 「ファラプトの? あぁ…良い香りだ…」 「わーい! いただきま…」 ハイビスカスティーを口に含んだ瞬間、三人がすっぱい顔をした。文字通りすっぱい ダークエルダーなんて涙を浮かべる始末で、三人とも上品なんて言う暇もなかった 「っぐ…ふぅ、すっぱかったぁ」 「ハイビスカスの花は知ってるが、茶にするとすっぱいのだな」 「ば、バクフ国の梅干みたいです…」 びっくりしたという風に、シュークリームを3人とも1口…で食べれるのはダークエルダーだけだった レヴィアは4分の1、アゼイリアは半分といったぐらいを一口で食べて安心していた 「梅干? あぁあのすっぱい…」 「ねぇねぇ梅干ってなーに?」 「さっきのよりすっぱい、バクフ国の食べ物だ…」 「ゼリーにしたら美味しかったんですけどねぇ」 はむはむとシュークリームを食べていると、アゼイリアが青ざめたような顔をしていた 彼女の想像では梅干の入った、ピンク色に近い紫のようなゼリーが浮かんでいたからだ 「あぁ、違うんですそれの素で作ったゼリーなんです」 「素? 梅干に素なんてあるのか?」 「えぇ、木の実を塩漬けして干すとか」 「うぅ…その木の実、見ただけですっぱくなりそう」 「けどその木の実で作るゼリーは甘酸っぱいんですよ? そうだ今もってきます!」 すっぱい思いをしたが、レヴィアが美味しいというなら大丈夫だろうと、二人は顔を見合わせ レヴィアが梅のゼリーを持ってくるのを待っていた。 「レヴィアちゃんの作るお菓子だから、きっと美味しいよね?」 「楽しみね、さっきのですっぱくて堪らなかったしな」 ダークエルダーが、アゼイリアの膝の上でニコニコとしていると、部屋に入るための 魔方陣が光る。誰だろうと二人が顔を見合わせ、また魔方陣を見てみると… 「あら? エルダーちゃんにアゼイリアちゃん?」 「テレサ! わぁーいっ! 久しぶりだねぇ」 「今日はお客さんがいっぱいね、よしよし」 ぴょんっと膝の上から降りたダークエルダーに、少し名残惜しさを感じるが 自分よりも、どこか母親…実際に母親だからか母性を感じるテレサが恋しいのも なんとなく分かると、特に何を言うわけでもなくアゼイリアはそれを見てた 「今日ね、アゼイリアちゃんとお友達になったの!」 「まぁそれはいい事ね、あっち行きましょう」 そういいテレサがダークエルダーを連れ、アゼイリアの隣の席に座ると、ダークエルダーがまた膝の上へ そっと座ると、嬉しかったのかダークエルダーの頭を撫でていた 「こんにちはテレサ、ちょうど良い所に着ましたね」 「ふふっそうみたいね。」 テレサ用にお皿を出して、その上に梅ゼリーを載せるとダークエルダーがまずゼリーを突く そして口に運ぶと…最初はすっぱそうに目をつぶるが、すぐに嬉しそうに口の端を緩めた 「美味しいっ!」 「良かった、二人もどうぞ」 「梅ゼリー? 梅干はダメでもこっちは好きよ。」 いただきますと、テレサも早速その黄緑のゼリーを口へと運び、すっぱい様な顔をして美味しそうにしてる アゼイリアは梅干の固定概念から逃げれないのか、少しだけスプーンが戸惑うが口へ運ぶと… 「甘酸っぱい…本当に同じなのか?」 「元々は同じですね」 すぐにその味を堪能し始める、スプーンを突いてるとテレサが今度は話題を降り始める 「今日は何かあったの?」 「3人でお部屋を掃除してました」 「えぇっ!? いいなぁ楽しそうです…」 テレサがずるいという風に拗ねるが、アゼイリアはずるいというのが以外だったらしい 「いや、掃除ですよ?」 「私だって掃除ぐらい出来ます! 昔は駆け落ちを考えてたんですから」 しかしびっくりさせられる結果に終わった、テレサの恋も一筋縄ではないのだなと ついでに疑問に思うダークエルダーにはしっかりあやふやにしておいた 「皆でかわいいメイド服、着てたの?」 「レヴィアちゃんとアゼイリアちゃんのメイド服はかわいかった!」 「エルダーちゃん暗黒の国のメイド服?」 「うんっ! アゼイリアちゃんとおそろい!」 見たかったと、テレサが落ち込んでいたが、すぐに立ち直った。 「今からまた着て下さい!」 「な、何でそうなる!?」 「あぁ…あの、お洗濯に出しちゃいました」 えぇーっとまたテレサが落ち込むと、少しまた考え込んでそうだと何か浮かんだらしい 「二人とも私のあげたドレスまた着て下さい!」 「えっあれですか!?」 「今からじゃ時間がかかるし…」 「ねぇねぇドレスってなーに?」 流石にレヴィアとアゼイリアは、太ももや胸元を大胆に露出したりする服を着て欲しいといわれると どこか恥ずかしいようだ。だが何の事か知らないダークエルダーは興味津々でテレサに尋ねる 「いいなぁ、二人ともドレス…」 「ならエルダーちゃんのドレスも今度持ってきます!」 「本当!?」 「テレサ待って! 胸元が見えるのは控えてね?」 「まだ小さいんだし頼むぞ?」 喜ぶダークエルダーを横に、恥ずかしがってた二人はあたふたするが、あわてる理由の分からない ダークエルダーは首をかしげている、クスクスとその様子をテレサが笑った後に テレサがカタログのような本を取り出したりして、ダークエルダーにドレスを選ばせているようだ。 「ふぅ…まったく…今日は忙しいな」 「けど、今日も平和でいい事です…それに」 「それに?」 「ダークエルダーちゃんと仲良くなれてよかったじゃないですか」 わいわいとはしゃぐダークエルダーを見て、アゼイリアは確かにと頷いていた。 「確かにな…それに、色々と勉強になった」 「?」 「闇と正義が悪と正義と限らない、それの事だ」 「持論ですよ、エルダーちゃんは優しい闇なんです。きっと」 確かにそうだ、そういいながらアゼイリアはハイビスカスティーを飲んで、また顔をすっぱくしていた 続く? 次回予告 突如現れた最強最大の敵! その名はゴッドキングデビル!! 「がーっはは!」 「レヴィアー! エクスカリバーの力をー!」 「レヴィアちゃーんっ!!」 倒れるキャリバーン! 「がははー!」 「レヴィアちゃん…後をお願いね…」 「エルダーちゃんっ! あなたの存在は私が受け継ぎます! 最強の敵を倒すためについに現れる救世主! 「ぎゃーっ! なんてパワーだ傷ひとつ付けれない!」 「エクスカリバーとエルダーちゃんの力を合わせた私は!」 次回ヒースSS外伝! 最強誕生! その名は聖魔神帝レヴィア! 「次回も必ず見てくださいね!」 嘘である