「ふぅ〜・・・・・・やっぱ運動した後のひとっ風呂は最高だねぇ〜・・・」 ・・・と、広い湯船に浸かりながら伸びをしているのは ストリートマルスの日本代表選手の一人、霧雨 渚であった。 「いや〜同感!まさかアメリカに来てまで足伸ばして入れる風呂があるとはねぇ〜」 「まさに極楽極楽です♪」 ・・・と、渚に同意しながら共に湯船に浸かるのは同じ日本から参加している 七瀬 零と古矛良奈であった。 ここはマルスタウンにある『デッドマウンテン』。 元々は日本の銭湯をモチーフにして製作された大衆浴場であったが、 現在ではジャグジーに薬湯、サウナなどの多種多様な浴槽に 各種マッサージに休憩所、ゲームコーナー、食堂、挙句に宿泊施設まで有する 大規模な療養施設となっており、観光客にも人気の施設である。 無論ストリートマルス開催時期には参加選手にとっても非常に人気のある施設となっており、 ファイト後の選手たちの憩いの場ともなっていた。 「良い風呂だ〜・・・あずましいわ〜」 「あ、あずま・・・何?」 「『居心地が良い』って意味だべさ」 と、朝里リムセと華奉ひのでの会話にも華が咲く。 一方では 「ほら瑠璃、背中流してあげる」 「うん・・・有難うお姉ちゃん・・・」 と、山口姉妹の仲睦まじい光景が繰り広げられており、 そのまた一方では 「これは天然温泉か?・・・日本のは何度も入った事はあるが海外のは初めてだ・・・興味深い・・・」 と、天野あかりがすっかり温泉の虜となっていた。 「しっかしすごいオールスターっぷりですね?」 周囲を見渡す限り、ほぼ全員ストリートマルスの参加選手全員で埋め尽くされている 浴場を見渡してリナが呟いた。 「そりゃ〜みんな戦いの疲れを癒しに来てるんだろうからな」 と、シャーロットが微笑む。 「ここで今日の戦いの疲れや遺恨を洗い流して、また明日の戦いに備えるんですよ」 ジェニスがシャーロットに続いて優しく微笑んだ。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 一方その頃、男性浴場では・・・ 「ぃよ〜〜〜し・・・それでは点呼っ!1ッ!」 「2っ!」 「パイッ!」 エロスをリーダーに柴犬男こと石ノ谷トオル、ソールの3名で 『楽園見学(要するに女風呂覗き)隊』が結成されていた。 「いいか?我々は只今より古くから楽園と呼ばれた地の探索に入る!まずは俺が先陣をきるから後に続け!!」 と、超ハイテンションなエロスに 「ま、マジか?マジでいくのか?」 と、若干おどおどしている柴犬男。 「ぱいっぱいっぱ〜い♪」 そんな二人などお構いなしに壁を登り始めるソールだったが・・・ 「やめろバカ!何考えてんだ!!」 「ガキじゃねぇんだから大人しくしてろよ」 と、天野京介とフィリップ・モディリアーニが探索隊を止めに入るが、 「バカヤロウ!この壁の向こうにはなァ・・・うら若き乙女が大挙して俺たちを待ってるんだ・・・浪漫が待ってるんだ・・・  それを覗かないなんて失礼の極みだろう?」 エロスが壁にへばり付きながら彼らを見下ろしてそう言い切った。 その目には一種の覚悟の様なものを感じ取る事ができる。 あまりの気迫に不覚にも京介もフィリップも気圧され沈黙しまったのであった。 「好きにさせておくか・・・アホらしい・・・」 フィリップは呆れて大きく溜息を吐くと京介を伴ってサウナへと入って行くのであった・・・ そうこうしている間に壁の頂上まで到達したエロスたち。 「全員止まれ!ここから観察を開始する!」 と、エロスは小声で全員に指示を下す。 「サー!イエッサー!!」 柴犬男もノリノリである。 「おっぱ!おっぱいっぱい!」 ソールはもう興奮が抑えきれなくなり始めている。 「待て!耐えるのだソール隊員!不意に動くと我々の命が危ないからな!」 エロスが何とかソールを抑える。 「それでは、ご〜は〜い〜け〜ん〜・・・♪」 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「何か妙な気配がしねぇか?誰かに見られてる様な・・・」 零が不意に妙な気配を感じ取り周囲をキョロキョロと見渡し始めた。 「まぁまぁ〜これだけたくさんストマル参加者がいるんだし、少しくらい妙な気を持つ人もいるだろうさ」 「そうそう。お風呂に入ってる時くらいリラックスしようよ?」 と、そんな零を渚とシャーロットが宥める。 「そりゃそうだけど・・・・・・ん?おーい、梅っちー!そんな端っこにいないでこっちに来いよー」 ふと大浴槽の端っこで自分達の輪から離れて縮こまってる梅を見つけて 零は声をかけた。 「わ、私は良いよ!だって・・・その・・・ゴニョゴニョ・・・」 零に声をかけられて彼女達の方を向くも、そのすぐ傍にいる渚とシャーロットの姿を見た梅は再び縮こまってしまった。 「何だよ〜せっかくなんだし一緒に入ろうよ〜」 「わ!だから私はいいって!やーめーろーよー!!」 「お?なんかこっちは賑やかアルね〜お邪魔するアル♪」 「私もお邪魔させてもらいま〜す♪」 嫌がる梅を渚が半ば強引に輪に入れる。 それを皮切りにして紅花、リナたちも話の輪に加わってくる。 今日の試合の話、それぞれの故郷の話、趣味などの雑談に花が咲く。 そしてそんな時だった。 「あの・・・さ・・・どうしたらシャーロットや渚みたいに・・・む、胸が大きくなるの・・・かな?」 と、梅が少し恥かしそうに聞いてきた。 「や、どうしたらって言われても・・・ねぇ?」 「別に特別な事をしている訳じゃないしなぁ」 渚とシャーロットはお互いの顔を見合わせ、少し赤面しつつ梅の問いに応えた。 「まぁ梅ちゃんはまだまだこれからだと思うし、そんな心配する必要はないと思うよ?」 「そうそう!気にする事はないと思いますよ?」 ジェニスと良奈が梅を慰める。 「まぁそれでもドコでどーやって何を食べたらソコまで大きくなるアルかねー?」 紅花がニヤニヤしながら渚とシャーロットの胸の果実に手を触れた。 ポヨンと音が聞こえてきそうなほど大きく弾む二人の胸の魅惑の果実。 「な、なななな何するんだッ!」 「いや〜つい興味本位アルよ〜ゴメンゴメン。・・・って言うか凄っ」 顔を真っ赤にして思わず後ずさる渚とシャーロットに対して紅花は笑いながら謝罪した。 「ま、とりあえず適度な運動と規則正しい生活、バランスの取れた食事は必要かもなー」 零が梅の頭をクシャクシャと撫でながら彼女なりに励ましていた。 「うん・・・が、頑張ってみ・・・」 「ふふふ・・・どうしてもすぐに大きくしたい!・・・と言うのであれば方法が無い訳じゃないわよ?」 梅の言葉を遮る様に突然話の輪に乱入者が現れた。 大浴槽の隣のジャグジーで話を聞いていた市河海斗が突然話に分って入ってきたのだ。 「ケッ、アンタの事だからどうせロクでもない事だろうさ」 零が彼女を見るなり鼻で一笑する。 そんな零の態度に対して海斗はニヤリと笑うと 「ほほう?・・・それじゃあ実践を見せてその身に分からせてあげるわね?」 そう言って指をパチンと鳴らした。 次の瞬間、まるで打ち合わせでもしていたかの様にビアンカとロビンが現れ 零の両脇をガッチリと捕らえ身動き取れない状態にしてしまった。 「なっ?!ちょっ・・・何をする気だ!やめろ!!」 逃れようと必死になってもがく零だが、流石に試合の疲れもあってか 脱出不可能な状態に陥っていた。 「止めろと言われて止める程度ならこの世から争いなんてなくなりませんわよ?」 「こんなオイシ・・・もとい、楽しい状況を逃すなんてできる訳ないじゃないですか〜」 「「ね〜♪」」 ロビンとビアンカは顔を見合わせてニッコリと満面の笑みを浮かべている。 流石は同じイタリア出身同士、妙なトコで息がピッタリだ。 「さ〜て・・・覚悟は良いかしら?子猫ちゃん♪」 海斗が両手をワキワキと動かしながらジリジリと近寄ってくる。 「ちょ・・・嫌・・・やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜っっっ!!!」 零の絶叫が浴場内に響いた・・・ (後半へ続く!) ------------------------------------------------------------------------------------------------------------