■クレア・モーガン■ ■技表■ [ダッキング] ↓\→ + 弱or強K 姿勢を低くして相手との間合いを詰めます。ダッキング中は以下の技に派生可能です。   [ボディーブロウ](ダッキング中に)弱or強P    踏み込んでボディーに一撃します。気絶値が高めです。   [ローブロウ](ダッキング中に) 弱or強K    下段判定の打撃技です。ヒット時にはダウンします。   [キドニーブロウ](ダッキングで裏回り中に)↓\→ + 弱or強K    裏回り時のみ成立し、よろけを誘発します。   [アームバー](相手の立ちパンチ攻撃に対して)→\↓/←+弱or強P  腕関節を捕獲してダメージを与えます。 [ヒールホールド](相手の立ちキック攻撃に対して)→\↓/←+弱or強K  足関節を捕獲してダメージを与えます。 [R.N.B] (しゃがみ状態の相手に対して) →↓\+弱or強P  座っている相手に対してリバース・ネック・ブリーカーを仕掛けます。 強は小ジャンプして掴みかかります。 [戦慄の伏線](ダウン中の相手に対して)→\↓/←→\↓/←+弱or強P(1ゲージ消費)  ダウンした相手に対し、スピニングトゥホールド、ビクトル膝十字、  ヒールホールドのどれかを仕掛けます。成立時には、ジャンプの始めと着地の隙が増大します。 [マイクロセカンドの誤算](相手の投げモーションに対して) →\↓/←→\↓/←+弱or強K(1ゲージ消費)  こちらを掴む手をパリングし、  そのままボディーブロー・ショートアッパー・フックにつなぎ、よろけを誘発します。 ■オープニング■  相手は屈強な体格をした半裸の男だった。  盛り上がった筋肉の連なりを誇示し、凶暴なエネルギーを発散しながらこちらを睨み付けている。  対峙する燕尾服の女はそれと対比すればあまりにも細く見えた。  観客の目にはあまりにも無謀な組み合わせに写ったに違いない。  中には、これから手折られる花の叫びを耳にしたいという下卑た視線も混じっている。 「我が主。今日は拳闘の基礎について学んでいただきます」  男装の執事クレア・モーガンは傍らに立つ若き当主に言う。 「拳闘に必要なのはパワーではありません。スピードと精度こそが肝要なのです」  審判が試合の開始を高らかに宣言すると、男は一直線にクレアに向かって突進してきた。 だがクレアは振りかぶった男の腕を難なくかわし、講義を続ける。 「攻撃は出来うる限り避けること。どれほど鋭い刃物であっても、刃同士をぶつければ鈍 っていくように、身体で防御すること危険を伴うということを理解しておく必要がありま す。そして空振りさせることで得られる利点は膨大です。何より空振りは相手のスタミナ を大きく浪費させ、無防備な箇所へ一方的に攻撃するチャンスが生まれます」  当たればただでは済まないであろうその拳を、クレアは上半身の動きで巧みにかわしていく。 「攻撃の起点はジャブにあり。あらゆる格闘技において、ジャブに勝る速度の攻撃は存在 しません。闇雲に放っていいものではありませんが、隙あらば刻むように当てていくこと」  クレアの言葉とともに、乾いた音が響く。瞬きするほどの間に、二度。  いつ放ち、いつ戻したのかわからないほどの速さだった。  事前に説明がなければ、ジャブを放ったのだと理解できなかっただろう。  相手の瞼が腫れてきている。睨みつけるその顔から、遅れて鼻血が伝ってきていた。 「人間の目は、集中すればするほど視野が狭くなっていきます。  相手がジャブを警戒すれば死角が増え、攻撃の選択肢も増える」  クレアは立ち位置を変えながら、相手の出鼻を挫くように拳で牽制し、足止めする。  男の動きは次第に鈍り、散発的に腕を振り回すものの有効打どころか攻撃にさえなっていなかった。  まぶたの腫れでクレアの姿を追えていないのだ、と少年は気づく。  執拗に、しかし慎重に積み重ねられる布石。機械のような正確さで繰り出される拳。  そこに感動はなく、ただ冷徹に人を傷つけることの出来る女執事に対して、少年は畏怖 にも似た感情を抱く。 「拳闘の優れたところは格闘技で最速の攻撃手段を持ち、フットワークを駆使して常に空 間を把握できることです。常に相手の死角に回り、正確な打撃を加えること。そのための 冷静さを身に着けること。これがまず上達に必要なことです」  踏み込みと同時に身体を半回転させ、側面へ回り込みながら無防備な脇腹へ拳を突き入れる。  内臓に突き刺さる衝撃に男は膝をつき、苦悶の表情で喘いだ。 「脇腹は鍛えにくく、有効打を与えうる部位の一つです。特に内臓へ直接ダメージを与え ることが大きい」  クレアは男から少しだけ距離をとり、審判の判断を待つ。 「拳闘には人生において必要なことが全て詰まっていると言っても過言ではありません。 位置の把握、的確な手段、攻撃の回避。そして何より足場の重要性。拳闘が他の格闘技と 一線を画すのは哲学と非情さ、そして優雅さを兼ね揃えているからに他なりません」  少年の目には凄まじい運動量にも見えたが、クレア自身はいつものような優雅なたたず まいを崩しておらず、着衣の乱れさえなかった。  男は脂汗を流しつつも、腹をかばうようにやや前屈した姿勢で立ちあがる。 「頭はそれ自体が精密機器のようなもの。頭部への高精度な打撃は最小の労力で一撃必倒 を可能にします。鼻、顎、耳の裏。これらの部位に対する攻撃は体格の有無を問わず有効 です」  構えを取ったのを確認するや、クレアは人間離れした速度でその懐へと踏み込んでいる。 「クレアもう止めて!」  止まらない。  男装の執事の拳は半弧を描いて男の顎を打ち抜いた。その容赦のない一撃は断頭台とな って男の意識を断ち切る。  歓声も何もない。糸の切れた人形のように男の肉体から力が抜け、崩れるように地に倒れた。 「紳士たるもの、弱者には寛容であるべきですが、全力で戦う相手に対して手心を加える のはむしろ非礼に当たります。いかなる相手も戦う意志ある限りは全力で叩く。勝負とは そういうものです」  相手の男は俯せになって痙攣したままだ。  クレアは相手を一瞥することもなく、主へと向き直った。 「今日はこのあたりでおしまいですね。つかみに来る相手への対処については次の課題と しましょう」  その表情には、勝利の喜びさえなかった。 ■インターミッション■ 「クレア、いつまでこんなことを続ける気なの」  少年はホテルに着くや否や詰問するように女執事を見つめた。 「いいですか、我が主。あなたはいずれ一人で立って歩かなければいけません。私が出来 るのはそのお手伝いだけ。来るべき日までにあらゆることを学んでいただかなくてはなりません」  対するクレアは動じることもなく淡々と口を開く。 「それに優勝できれば賞金を返済に充てられますし、事業のスポンサーの見込みもありま しょう。機会があるなら、それは最大限に利用すべきです。格闘大会で名をあげることが 目的ではありませんが、少なくとも借金返済の役には立ちます」 「それなら屋敷と土地を売り払えば」  少年の提案にクレアは首を振った。 「王が領地と城を明け渡したら、それはもう王ではありません」 「あんなものには何の価値もないよ。それにもともと家は火の車だったじゃないか」 「一度失った物は、そう簡単に取り戻せません。それに、先代は私にあなたの行く末を託 されました。人が死に臨んで交わした約定の重さは、私自身が誰よりも知っております」 「父さんとの約束は大事な物なのかも知れないけれど、それじゃあクレアがあんまりにも 可哀想じゃないか。あんな屋敷のために傷ついて……それじゃあ一体、クレアの幸せは何 処にあるのさ」  この優しい少年が心底自分の身を案じていることは分かっている。  彼の言うように全てを投げ捨ててしまうのは簡単なことだ。見捨てていくことも容易い。 安楽な道ではないが、彼一人を養うこともたいした苦労ではない。今ある「階級」という 名の壁も難なく壊せてしまう。  だが、そんなものは誰も望むまい。先代も、自分自身も、おそらく彼自身も。  クレアは鉄の意志でもって誘惑を撥ね退け、まだ華奢な主の体を押しやった。 「聡明な我が主。私は御身の剣であり、盾であり、鎧です。どうか存分に使われますよう」  そして滅多に浮かべぬ微笑みを見せて寝室の扉を開けた。 「さあ、今日はもう遅いです。ゆっくりとおやすみなさいませ」   ■エンディング■ 「まさか優勝出来るとは思いませんでしたが……案外なんとかなるものですね。いくつか スポンサーのあてもできましたし、万全とは言えませんが少しは道筋がつきました。首尾は上々と言えそうです」  けれども、傍らの少年の表情は暗い。得られた賞金、名声、展望。それら全てが無価値 であるかのように。 「こんなことをして僕が喜ぶと思っているのかい、クレア? 僕は君が傷ついたりする姿 を見たくはないし、君が僕のために擦り減っていくのもいやだ。こんなのは間違っている」 「あなたが怒ろうが不快に思おうが、私は私の在り様を変えるわけにはいきません。私は 私の役目を果たすのみです」 「どうしても?」 「はい。失礼ですが、あなたはまだ自分の力で何かを成すほど強くはありません。他者の 在り様を変えたいのであれば、力をもってそれをお示しくださいませ。理想だけで物事を 変えられるほど現実は甘くはありません」 「なら、僕がクレアより力があれば、君はそれに従うというんだね?」 「出来ますか?」 「やるさ。クレアは僕の大事な人だ」  不意打ちに動機が早まる。思いもかけぬ言葉にクレアは目眩がした。  効いた。大会の最中に受けたいかなる打撃よりも。  それでも感情を押し殺すのは慣れたものだ。表面上は平静を装う。  大事な人、の意味をここで問うのはルール違反だ。 「ではその日を楽しみにしておりますよ、我が主。見事私を打ち倒して御覧なさいませ」   ■勝ち台詞集■   ■汎用勝ち台詞■ 「貴方の拳には優雅さが足りません」 「筋を少々のばしただけです。3日もすれば治りますよ」 「貴方が一撃する間に私は三度打てる。勝敗は自明の理です」 「本日の講義はこれで終わりです」 「負けられぬ理由があるのはこちらも同じです」 ■[マイクロセカンドの誤算]での勝ち■ 「その一瞬の隙が私に勝ちを呼びました」 「掴めば勝てる、そう思いましたか? 強者は賭などしないものです」 ■キャラ別台詞集■ vsジェニス 「掛け方を知るということは、外し方も知っているということです。際どいところでしたがね」 vsヒューリー 「女性をあまり心配させるものではありませんよ」 vsセルジュ・アンドレイ・アレクサンドール 「騎士でしょう? 立ちなさい」 vsアヌビス 「面妖な……!」 vsゲドー・センヌキー 「おとなしく膂力のみで勝負すれば勝ち目はあったものを」 vsグリフ・マイヤー 「聞きしに勝る腕前、感服いたしました。ところでイギリスでの興行に興味はありませんか?」 vsムハンナド・ザファル・シャーヒーン 「良い余興でした。それではビジネスのお話をしましょう」 vsアオイ=リットリバー 「フットワークを甘く見ていますね。タフネスに頼りすぎなのはいただけません」 vsマルセル・ストロングスター 「パワーはあなたのほうが上ですが、精度と速度は私の勝ちです」 vsピューマ・ストロングスター 「躊躇ってはいけません。意志の強い者だけが目的に辿り着くのです」 vsアクセル・ビアード 「殴り合いではなく、仕事の話でならお相手しますが」 vsレイジ・ユーノ 「……消えた? そんなまさか」 vsモア・イーグレット 「なるほど。まさしく「母は強し」ですね」 vsマスクドエロス 「……胸を揉む手で私の顎を狙えば勝てたものを。酔狂な人だ」 vsシュラゴ・エアハート 「見た目にだまされるところでした。大いに学ぶところがありそうです」 vsシャーロット・マイヤー 「負けてなお眩しく、か。その道を外れないことを祈っていますよ」 vsラ・ティグレ 「貴女との組み合いはこちらに分が悪い。付き合えなくて申し訳ありませんね」 vsアレック・スパイビー 「幻惑の効果は認めますがそれに頼りすぎです」 vsザ・コピーキャット 「己が敵ならば手筋は読めている。容易い相手でした」 vs魔法少女ミラクルマイク 「趣味をとやかく言うつもりはありませんが、まずは痩せなさい」 vsヴァニラ・スカイウォーカー 「あなたの酔い方から察するに、カウンセリングに行くことをお勧めします」 vsシャドー・トム 「音に聞こえたニンジャの技、確かに噂どおりです」 vsケイス・リバーグ 「コックと聞きましたがただ者ではありませんね……危うく腕を持っていかれるところでした」 vs霧雨・渚 「これほどの速さと重さを両立させるとは……興味深い」 vs根賀 鼎武 「負けることが恥なのではなく、戦わぬことが恥なのです。胸を張りなさい」 vs古矛 良奈 「その技は本当に格闘技なのですか?」 vsペンカイザー 「レスラーの打たれ強さにはいつも手こずらされます」 vsレオポン仮面 「熟練の技、堪能させてもらいました」 vsマスク・ザ・フェニックス 「気の毒ですが制空権は私が頂きました」 vs玄武 「残念ながらその手の「殺す技」には慣れております」 vsファウナ・バクスター 「貴女を見ていると昔を思い出しますが、足を洗うなら早いほうがいい」 vsトムヤム 「……わざと顔を殴りませんでしたね?」 vsリナ・ミズノ 「リズムは悪くない。貴女に足りないのは場数です」 vsネプチューン 「このような場所でお会いするとは思いませんでした。仕事のお話はまた後ほど」 vsビアンカ・ユリウス 「私の体は主のものです。お引き取りを」 vs白雪 姫 「寝技同士では決着がつきそうもありませんので、外から仕留めさせていただきました」 vsイルカ 「夕食にするには少し大きすぎますね」 vsゴンザレス 「動物虐待は趣味ではありませんが、立ちふさがるなら倒すまでです」 vsスカイサイド関係者 「業務提携? 私とですか? かまいませんが、お安くはありませんよ」 vsマフィア関連 「どこにでもつまらぬ小悪党はいるものです」