異世界SDロボ外伝〜葡萄月の継承者たち〜 ---------------------------------------- 「彼らのことか? ああ、よく覚えているとも。話せば長い。そう、古い話さ」 「知ってると思うが、当時のロボ乗りたちにはこう命令されていた」 『エーテルの宇宙(うみ)でガス溜まり、あるいは悪魔(バフォメット)と遭遇したら直ちに退避すべし』 <<ランスの艦隊か。数だけは揃えて来たらしいな>> <<クレアール(イスト大統領)のチキンめ! 援助を渋りやがって>> かつて、世界を巻き込んだ戦争があった。 <<デブリ帯で大規模な戦闘!>> <<チクショウ! 上も下もドクロだらけだ!!>> <<これは演習にあらず! 繰り返す。これは演習にあらず!!>> <<おい聞いたか? ヒルデリアの銃士団が壊滅したらしいぞ>> <<敵機動艦隊発見! 直ちに向かい攻撃せよ>> <<敵艦視認、これより攻撃に移る>> エースも名も無き兵たちも、漆黒の宇宙を泳いだ。 <<速い!? ハイボックじゃないぞ!>> <<ランサーだ。ボサっとしてると風穴が開くぞ!>> <<チクショウ! まるで艦とロボの墓場じゃねぇか! チクショウ!!>> <<ここは鉄屑の海峡だ。艦とロボの残骸で舗装されてるのさ>> 人は、戦うことに未だ終止符を打てないでいる。 <<祖国のためとか何とか言ってるけど、本当は家族とか恋人のために戦ってる奴が大勢いるんだ>> <<自分の未来のために戦うってのも悪くないだろう?>> ランス帝国本土で、戦闘の幕があがる。 <<この戦争が終われば、また退屈だけど愛おしい日常が待ってるぜ>> <<もうすぐ子供が産まれるんだ。死んでたまるかってんだ>> 「忘れもしない。あれは太陽と月が重なった、とても、とても暗い日だった」 彼らの交わす言葉は唯一つ。 <<奴ら死を恐れないのか!? 突っ込んでくるぞ!!>> <<応戦しろ! こんな所でくたばりたくないだろう!>> 「また会おうぜ、相棒。生きてたらな……」 この宇宙で、戦争があった。我々の忘れてはならない戦争が。