【異世界SDロボ外伝妄想・タウロキ戦線】 「我が蘇芳の勢力圏の境は、多くが帝国に閉ざされている。  この状況を打破しなければ、やがて帝国の大兵力を前にジリ貧となるは必定である。」 「であるならば、地理的に帝国領であるタウロキ州の占領を目指すべきですな。  ここを押さえれば同盟国と勢力圏が接し、戦略的な相互扶助が可能となります。 」 「待て待て、ホビロン州の帝国軍はどうするのだ。  烏合の衆とはいえ敵の指揮官はあの闘将キエロだぞ。戦力をタウロキ州へ割けば  戦線が崩壊する可能性が出てくるのではないか。」 「ご安心を。軍としては六波羅大将を司令とする主力100個艦隊で戦線を維持する所存です。」 「・・・六波羅では逆に勝ちすぎてしまうのではないか」 「結構な事ではないですか。ですが六波羅大将と言えど  100個艦隊では一時的な攻勢に出る事は出来ましょうが  総督府へ攻め上がるには余りに兵力不足です。無難に現状を維持して下さるでしょう」    ※地味に攻め上がって総督府までいきました。(第一次ハロイ要塞門攻防戦) 「なるほど・・・それではタウロキ州を攻めるとして展望はどうか?」 「ハッ、皇太子殿下を総司令官としミケタ(第101攻撃艦隊)以降の全艦隊を  タウロキ占領軍として編成し直し、兵力の優位をもって速攻をかけます。  幸いタウロキ州の総督は有能ではない様子で、昨今の情勢となっても傭兵の参集すら  行っておりません。」 「それは・・・思わぬ味方がいたものだな」 「ハハハ、天佑でございますな」 「よろしい。軍の意見は承知した。直ぐに皇太子を『あじさい』より呼び戻せ。」 「ハハッ!!」 そして準備期間を終えると皇太子尊仁大将を司令官とする蘇芳国の大艦隊が 帝国領タウロキ州へと進行。 タウロキ州総督シナイは、慌てふためくと寄せ集めた軍勢を前線へ派遣したが 精鋭たる蘇芳国軍を前に一蹴されてしまう。 さらに・・・ 「カシマ司令。レーダーに反応ッ!」 「何ッ!?艦砲一斉射用意ッ!!」 「あ、ちょっと待ってください。これは・・・味方です!同盟国のローランドの艦隊です!」 「ローランドだと・・・」 「先方艦隊より通信入ります。」 『ハッハッハ。識別前に艦砲を向けてくるとは流石は武士道のお国柄ですなぁ。』 「何分戦時でありますからなぁ」 「(悪びれもしないのは流石だよなぁ司令)」 蘇芳国軍の動きを察知したローランド王国は連動してタウロキ州への進行を開始しており 両軍は握手しあうと、歩調を合わせ帝国への共同戦線を張った。 連携のとれたローランド・蘇芳同盟軍に帝国軍はまったく歯が立たず、蘇芳国軍上層部の目論見通り 速攻は成功したかに見えた。 だがローランド王国の要請を受け、惑星エルペゲなどの各惑星の攻略にとりかかると 戦線は泥沼化した。 「コロセ将軍!貴官にエルペゲの死守を命ずる!いいかね!1日でも多く時間を稼ぎたまえよ!」 「感嘆符の多い方で・・・それで援軍は送っていただけるのでしょうな」 「もちろんだ!準備が出来次第、私自ら1000個艦隊を率いて  背信者供に裁きの鉄槌を下してくれよう!」 ※最後まで出しませんでした。 惑星エルペゲの防衛司令に着任した帝国軍コロセ将軍は巧みな人心掌握術で 原住民の協力をとりつけると、同盟軍に対して文字通りの死守戦を演じた。 コロセ将軍の奮闘にタウロキ戦線各地の帝国軍も役に立たない総督に見切りをつけ 各自の意志で抗戦を開始。 宇宙では帝国軍マッケル少佐率いる歩兵掃討用の小型機カチテー部隊が 補給線上のデブリ帯でゲリラ戦を展開し、少なくない被害を同盟軍に与える活躍を見せた。 思わぬ(ある意味わかってはいた)反撃に対応を迫られた同盟軍だったが 帝国軍は緒戦の速攻戦によって微量な戦力を保持したまま各地に散らばっており 全てを掃討するには時間を要する事になりそうだった。 が、ここで蘇芳戦艦「ほうせんか」の艦長セツがマッケル少佐率いる部隊を鎮圧した との朗報が舞い込む。 その鎮圧方法というのがデブリ帯ごと主砲で吹き飛ばすという豪快なものであり、 しばらく物事をあっさりと解決する事の代名詞として「セツる」がという言葉が流行ったという。 「これはこちら側もセルらねばならんな。」 宇宙での帝国軍の抵抗はマッケル少佐の死後、沈静化し各地の帝国軍は降伏あるいは逃亡。 惑星エルペゲの帝国軍も抵抗を続けていたが、故郷を戦火とする事に耐えかねた原住民と 勝ちが望めなくなっている事を悟った兵士達の陳情を受け、精も根も尽き果てたコロセ将軍は 蘇芳国軍への降伏を決意。 惑星エルペゲは陥落した。 「これで最早同盟軍の進路を阻むものは無し!全面攻勢に出よ勝機は今をもって無しッ!」 皇太子尊仁は第101攻撃艦隊のカシマ少将、第108攻撃艦隊のオナー中将 それにローランド王国からの援軍である蘇芳派遣艦隊のツクタ中将に先鋒を命じ タウロキ州総督府であるソクオッチル要塞門への攻撃を開始した。 これに帝国軍のシナイ総督は 「例え100万の敵が来ようと此処が落ちるものか!どれだけの時間を防備に費やしたと思っている!」 と豪語したが僅か1週間でソクオッチル要塞門は陥落した。 防備は確かに強固なものとなっていたが、自分の足元が戦場となっている恐怖に怯えたシナイ総督が 4日目で軍の高官達を引き連れ、本国へと脱出してしまった為、 残された傭兵と義勇兵との間で内ゲバが起こり、数に勝る傭兵側が内ゲバに勝利し 同盟国へ降伏した為だという。 ※尚、義勇兵によるワープゲートは破壊されてしまった。 「あまり締まらないが、まぁ勝利にはかわりあるまい。勝ったぞ諸君!勝ち鬨ぞ!」 「「「エイエイオー!エイエイオー!」」」 「・・・いいお国柄ですなぁ」 「どこだって同じでしょうコンナもんは」 「帝国なら略奪劇が始まりますよ少将」 「やるのは流れ者だけだろ。あんたはそんな事するのかい」 「いいえ、愛する妻と子に誓って」 「はっ、さっさと国籍取っちまえよノロケ野郎が」 「「ハハハッ」」 「・・・私も早く結婚したいですなぁ」 宇宙世紀20××年。 タウロキ州総督府スグオッチル要塞門の陥落の報を受け、 タウロキ州の全帝国軍・住民が武装を解除し、ローランド王シリル2世への再忠誠を宣誓。 蘇芳国の占領地は名目上、シリル2世のジェルミナール派ランス帝国領とされたが シリル2世は惑星エルペゲで蘇芳国皇帝と会見し、タウロキ州の2/3(蘇芳国占領地)の 委託統治を蘇芳国へ依頼。これをかわきりにタウロキ州においての権益の切り分け交渉が開始されるが それは勝利の喜びに沸き、愛する者の待つ家への帰路についた兵士達には 関心の無い事であった。 おわり