一度それを振るい、その力を恐れる貴方にしか預けられません。                         ――――少なくとも今は。                              <六道宗主より厳霊隊長へ>               ■オーバーラップ・コロッセオ■                 ■マヨイガ・コンパクト■  ディルキール・ベスカリオは死を恐れない。少女と呼んで差し支えない年齢の彼女が生物と してはある種の異常を抱え込んでいる理由は二つある。  一つは彼女が死霊術師と呼ばれる技術者であるからだ。それは死んだ者の魂だとか残留思念 だとか呼ばれるものを操る技術であり、それには死者との、死者が残した『念』との感応を必 要とする。死者が強く残す念というのは何がしかの思い残しであったり、憎悪憤怒、あるいは まさに死者とならんとする自らに降りかかった死に対する強烈な思いだ。だから死霊術師であ る彼女は、そういう死の感覚というものを間接的に経験している。いた。  しかしその一つ目の理由はもうほとんど意味はない。  なぜならもう一つが、“彼女が『コロッセオ』にいるから”だからだ。  『コロッセオ』は、そこを通らずして各々行き交うことのできない、コロッセオの発見以前 には全く接触のなかった三つの世界を繋ぐ異次元建造物だ。繋がれた世界のうちの一つ『鉄の 国』と呼ばれる世界の住人たちが理論づけ、今では三世界で共通認識となっている『重奏次元 の弾性保存力』によりコロッセオ内部では定期的に生物の記憶情報を除いた現象の時間的・因 果的巻き戻りが起きる。  コロッセオ内での死亡は数時間後に生存状態で復活することを意味するのだ。  ゆえに彼女もまたコロッセオ内で本当に数度死んだことがある。そして、いかなる衝撃に対 しても慣れは存在するのだ。慣れる余地さえ残っているのならば……。  だから、彼女だけではなく、コロッセオに出入りする人間なら新参者以外はほぼ誰もがその ように一種壊れてしまっており、慣れてしまっている。  たとえば今、彼女のはるか前方から疾走してくる男もまたそうだろう。  目元以外をあせた青と黒の装束で覆い隠したその姿はオオ! なんとニンジャ! 彼はディ ルキールが向かわせた死霊を舞じみた跳躍で躱すと、空中で手首の下から黒いスリケンを連続 射出! その数は秒間十五枚。この驚異的レンシャ・ジツを支えているのが鉄の国の義体化技 術である。ギジュツリッコク!  両者がいるのは硬質な床以外何もないだだっ広い空間である。しかし両者の距離の間には、 ディルキールの呼び出した質量ある死霊が大量に漂っている。それらがスリケンを受け止め断 末魔を上げながら爆散! 「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」「グ ワーッ!」  いささかブザマともいえるカワリミ・ジツが攻撃を防ぐ間も、ディルキールは軽やかに後退 していく。顔の一部を隠すほど長いディルキールの黒髪が、ボクジュウのように流れた。だが 着地したニンジャもすぐさま前にジャンプ! サイバネ化された脚部が与える決断的速度の前 には多少の距離など意味を成さない! ディルキールは追いつかれる他ないというのか!?  だが見よ! もはや一足飛びまで距離が縮まったその瞬間! ディルキールがその手に持っ た大鎌をぐるりと回転させると、なんとニンジャの足元から突然霞がかった腕が伸び、その足 を掴みとったのだ! ニンジャはとっさに腕を前に突き出し、地面に叩きつけられることを防 いだが、一瞬無防備な上半身を晒すことになる。 ゴウランガ! 上半身だけとはいえこの姿 勢は鉄の国において最上級の屈辱とされるドゲザに酷似しているではないか!  すぐさま鎌が横に放たれる。それはニンジャの頭を狙ったものではなく、ディルキールは後 ろっ飛びに距離を開けながら宙を薙いだ。そのような行為に何の意味があるのかと疑問に思わ れる読者もおられよう。だが鎌に溜められた怨念が斬撃とともに放たれ、呪詛的なエネルギー となって空中に留まったのだ。脚部装甲を速やかにパージし戒めから逃れたニンジャが、踏み 込んでくるであろう相手にカウンターのテッコブレード突きを放とうとした、まさにその瞬間 であった!  狙いが外れ、自ら暗黒の力に突っ込んだニンジャの左上腕が弾け飛ぶ! 「グワーッ!」こ れでもはやマシンガン・スリケンは失われた。一部をパージした脚力も低下した。「なるほど。 冷徹に距離を保ち、こちらのテクノカラテと正面からぶつかることはしないというわけか」だ がニンジャは焦り一つ見せず、しっかりした声で告げる。「しかもこちらのスリケン射出は不 可能になった。しかし重要なことを忘れていないかな? ディルキール=サン」  不敵に笑うニンジャの視線の先にはディルキールと壁が見えていた。ナミアミダブツ! 広 いとはいえ区画ごとに区切られたこのコロッセオでは、四方を壁が覆っている! このままで はディルキールが距離を保ちつづけることは不可能! 両者は動きを止めたまま対峙した。  残る右義手の「切れ味」「DG社」「精密な」と彫られたセラミックカタナの下から巨大な レンズが覗く。だがディルキールは臆さずに、「…………ミツヨシ、貴方にはもう遠距離攻撃 手段はない」「ふん、無論ここはコロッセオ。俺が君の死霊術をある程度知っているように、 君が俺の装備を知っていても驚きはせんよ」会話を続ける両者の間に、鉄の国西部開発時代の ウェスタン・サムライじみたアトモスフィアが立ち上る。  地面にはミツヨシと呼ばれたニンジャの左腕が千切れて落ちている。だがその義手部分には 何のダメージも見られなかった。「俺の方といえば、君の死霊術で起こす力は物質化していな い場合生命体にしか影響を与えられないことを知っているわけだな。瞬間的に壁を超えて逃げ るスベはなかろう」ミツヨシがスリアシで一歩距離を詰めた。ディルキールも半歩下がり、重 心をやや後ろに持っていく。  更に一歩、ミツヨシが前に出た。その瞬間! 落ちていたミツヨシの腕が突如動いた! も はやミツヨシの義足を直接掴むような霊腕を出す時間的余裕がないため、ディルキールが落ち ている腕の生身部分を利用して操ったのだ! 「Wasshoi!」だがその動きをミツヨシは読んでいた。操られた腕の掴みとりは虚しく空を切り、 ミツヨシが飛びかかる。「ニンジャに同じ手は二度と通じぬッ!」ディルキールもまた腕の操 作と共に最後の後退を行っていたが、もはや背後に余地はなく一気に距離が縮まった。「イヤ ーッ!」  だが一足飛びで距離を詰めようとしたミツヨシの行動は、速いとはいえ長い滞空距離を必要 とし、その間動きは大きく制限される。後ろに倒れこむようにして限界までマアイを稼ぎなが ら、ディルキールが下から上に鎌を振り上げた。破壊力は相手の速度が生み出してくれる。   その一撃が届くことはなかった。いや、鎌の刃は確かにミツヨシを下から切り裂いた。だが なんたることか! 鎌はミツヨシをすり抜けて上へと通り過ぎたではないか! 投影装置によ る光学分身である! 本人はホログラフィを囮として蛇めいた匍匐前進でディルキールに迫っ ていたのだ! 匍匐状態から下半身の力だけで己を跳ね上げ、右腕を突き出すとレンズが煌め いた。「イヤーッ!」近距離において爆発的威力を発揮するレーザー火遁! ディルキールの 竜の骨でできた鎧でもこれを防御することは不可能!  ミツヨシの右腕がディルキールを突き破り、爆裂を放つ。……突き破り? ミツヨシは何の 手応えも得ていなかった。まさか! 「確かに私の死霊術は物理的破壊を得意としない。だからお前に破壊してもらった」レーザー 火遁がコロッセオの壁を爆破し、ディルキールが霞と消える。囮を用意していたのはミツヨシ だけではなかったのだ。あの睨み合いの間に、ディルキールもまた死霊術で己の姿を模した生 霊を作り出し、姿を隠していた。  ミツヨシは失敗を悟った。腕を破壊された直後にしばしの停滞。追い詰めたディルキールを 逃さぬよう己のバイタル情報と残存武装をチェックし、なおかつ光学分身による奇襲作戦を行 う為に稼いだ時間だったが、むしろそれはディルキールに時間を与えてしまった。体内に埋め 込んだ機械を体内のパルスで操作する自分たちと違い、竜の国の人間は儀式的な魔術を使うの で、見た通りの状態だと思ってしまったのである。睨み合いなどせずに一気に突撃していれば、 カラテの差でミツヨシが勝ったはずだった。 (((視覚情報に頼りすぎるとは……ウカツ!))) 爆煙の中で隣の区画に滑りこんでいくディル キールを追う以外の選択肢はなかった。次に距離を空けられては敗北は必至である! 半ばヤ バレカバレだが遅れて壁の穴へと突っ込む。 (((カラテは俺が上だ! 視界を赤外線に変更! この煙のなかでケリをつける!))) サーモ グラフィがディルキールの体温を捉えた。「逃がさんぞディルキール=サン!」越えた壁の淵 を蹴り速度をアップ! 虹色の視界の中、現在のヴァイタル状態で可能な最速の突きが放たれ る! 掠める程度であってもレーザー火遁の爆発がディルキールをネギトロに変えるだろう!  だがミツヨシは忘れていた。睨み合いの中で、囮を作り出して己の動きを隠したディルキー ルには時間が与えられていたということを。にも関わらずディルキールはミツヨシの腕を操作 するという不確実な攻撃しか行なっていない。せっかく手に入れていた余裕は一体何に使われ たのか?  ディルキールが消えていた。ミツヨシが脚部ブーストを全開にした状態にまさるとも劣らぬ スピードだった。「バカナーーッ!?」驚愕の叫びを上げるミツヨシの横に回りこんだディル キールが蹴りを放つ。「ドルッ」「グワーッ!」スモトリの体当たりじみた一撃を受けてミツ ヨシは爆煙から飛び出る!  ミツヨシが吹き飛ばされた先に驚異的速度で回りこんできていたディルキールが再び蹴りを 放つ! 「ドルッ」「グワーッ!」ミツヨシは更に蹴り飛ばされ、その衝撃で右の義腕が砕け 散る! (((一体どういうことだ!? このようなカラテがあるなら遠距離攻撃の必要はない! これ ほどの身体能力、奴らの国の中でも一握りの竜の血が濃い人間以上ではないか!))) 混乱する ミツヨシに更にディルキールが蹴りを放つ! 「ドルッ」「グワーッ!」空中に打ち上げられ る! 「ドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルッッ!!」煙の外、通常視界で見たディル キールは鎌も手放し素手でミツヨシに連撃を叩きこむ! その全身には黒く輝くオーラをまと い、瞳は竜眼に輝いている! 「こ、これは…………」落下するミツヨシをディルキールが見上げた。「…………私達の国は 竜。竜の血を継ぐもの。私も当然祖霊は竜…………降ろす時間はお前がくれた。たった数秒で も、決着を付けるには十分」輝きを失い膝から崩れるディルキール。その呟きを聞いたのかど うか、「オタッシャデー!」ミツヨシは爆発四散した。  しかし、今の高速で行われた交錯の結果もまた数時間後にはなかったことになっている。彼 らの記憶を除いては。そして再び相まみえることになった時、その結果が同じくなるとは限ら ない。  それがこの『コロッセオ』で数えきれぬほど行われてきたことだった。名前の示すそのまま ここは闘技場であり、闘技場でしかない。  ほんの少し考えるだけで、あらゆる実験を何のリスクもなしに行うことができると気づくは ずだ。あるいは接続された三世界が協調して利用すれば、三世界は揃って超爆発的な発展を見 たかもしれない。しかし有用すぎるゆえに三世界は揃って最大幸福を追求するようにはなれな かったし、かといってその特性とそれぞれの世界が勢力的にある程度均一だったためにどこか 一世界が全てを牛耳ることもできなかった。そういうことらしかった。  外から見ればたかだか長径188m短径156mの建造物に過ぎないそれに詰め込まれたも のはあまりに多すぎた。  だからそこは『コロッセオ』にしかなれなかった。  無制限な暴力の行使地帯。それによってあまりにもケチのつけようのない白黒をつけるため の裁決地帯。三世界の駆け引きの中で許容される範囲での実験地帯。それらを大衆に見せるこ とで成り立つ娯楽地帯。  『コロッセオ』。個人対個人、あるいは少人数での戦闘という超限定戦争のための戦場。  ディルキールは爆散したニンジャの残留物に歩み寄ろうとした。彼女もまたコロッセオにい るのならば、戦うため、戦って何かを得るためにここにいるのだ。  が、それを中断してディルキールは周囲を見渡す。数度ぐるりと見て、そしてゆっくりと、 か細い声で零すように呟いた。 「…………ここは?」  眼前には輝く板のようなものが浮かんでいる。中央に『通信途絶』と書かれたそれの端を撫 ぜるように手を動かすと、輝く板は消えた。  由々しき事態であった。六道専用回線が不通ということは帝都最高の神力演算機である『神 座(カムクラ)』が機能不全に陥っていることを意味する。想定をはるかに上回る危機的状態 であるのかと焦燥が膨れ上がる。  しかし、である。『逆』ではないのだろうか? 相手が応答しないのではなく、自分が連絡 できていないのではないか? と彼が考えなおしたのは至極当然の帰結であった。 「ここは…………?」  思わず呟いた周囲、前後左右そして上下の六方は全て壁だった。扉はもちろん窓もないし、 模様も柱も継ぎ目もない、のっぺらで薄く黄褐色がかった白い壁に全方位を囲まれている。無 意味に広く千畳をはるかに越えているのではないかと思われた。  そんな閉じただだっぴろい空間にこれまた何だかわからないものが転々と転がっていた。日 用品サイズから中型式鬼神や戦車以上の大きさのものまでがその保存状態すらバラバラで乱雑 に放置されていた。  それは例えばヒートプラチナと呼ばれる特殊な金属で作られていたり、コロニー連合のパイ ロットスーツの胴体部分であったり、GRAND MASTER X FIREというレース で走るため電動車であったり、ホモの使っていた携帯電話だったりしたが彼がそんな事を知る よしもない。  何故なら彼は建造物のなかに入った記憶すらなかったのだから。 (落ち着いて確認する必要がある。私は東国から帝都へ帰還している最中だった。あちらは朧 ヶ崎に任せたから大丈夫だろう。飛脚用の捷疾術印を使っておよそ二日、炎了山を越えるため に山道に入った所までは覚えている……確かに不眠不休だったが前後不覚になるほどの疲労を 感じた覚えはないのだが。あの山にこんな場所があるとも思えない。一体これはなんだ? 幻 覚なのか? 敵が追いかけてきたか、待ち受けていたか、発見されて結界か何かに取り込まれ た可能性も考えねばならない。その場合、いまだ神座が健在だとしても由々しき問題だが……)  思考しながら周囲を確認する。 (一見はどこかの工廠に見えるな。二号多脚戦車の開発現場の隅っこがこのようになっていた 覚えがある。む、拳銃が……魔石式、ではない。侍銃か。帝都様式でもないが……?)  無造作に積み上げられたガラクタらしきものの山からあれこれと掘り出しはじめる。 「飛鳥九九式? 絡繰義肢用の腕にしてはサイズが大きい。絡繰義肢化する妖怪は珍しいはず だが……」  次々に掘り起こしていくが、彼の知るものはない。 「こっちの巨像は稲荷の顔に、裸婦の胴体……? 装飾は連合のアンティーク人形というのに 似ているな……」  そうして速やかに手近なガラクタ山を観察し終えた彼は、「わからない」と結論して一歩踏 み出した。  爆音がした。  彼から見て右手の方の壁が向こう側から破砕され、何かが飛び込んでくる。と、同時に彼は 両の空手を構えていたが、遅れてやってきた二つ目の影が一つ目に飛び掛り高速で交錯するに 及んで、そのまま動かないことにした。すぐさま気配を殺す。  とりあえず判明したことは、ここは無人ではないということと、破砕された壁の向こうに似 たような景色が見える以上は外もこの殺風景な景色が続いているらしいということ。そして幻 覚だとか結界だとかそんなチャチなものでは断じてないということだった。 (……どうも『敵』の罠でもないようだ)  この場がそれまで彼が向かおうとしていた敵の関わる場所で、自分がそこに捕まってしまっ たのであれば、このまま何も無く閉じ込めようとするとか、逆に彼に攻撃をかけるとかいった 動きがあるのが当然である。突然彼を置いてけぼりにして見知らぬ人間の戦闘が始まる理由が わからない。 (次は壁を破壊するつもりだったが、それも果たされ、さて?)  そのまま臨戦態勢で隠形を続けているうちに片方が妙な叫びを上げながら爆発四散したので、 彼は残る一人に対してどのようなアプローチをとるべきかを考え始めた。 (……今の絡繰義肢化した忍姿の男、自爆は機密保持のためか? 陸軍の人間には見えなかっ たが……残ったほうが東国風の衣装というのは――――)  と、そこまで考えた所で当の相手が周囲を見回し、「ここは?」と呟いたので、彼は意を決 して隠形を解き、足音を響かせながら真っ直ぐ歩み出た。  相手は黒い服に野生的な装甲をつけた少女だった。  ディルキールが思わず呟いたのは、ガラクタがそんなにごちゃごちゃと積み上げられている 場所というのはコロッセオにも珍しいからだった。  そしてその言葉を待っていたように現れた男を見て、戦闘態勢に入り直したものの動きを止 めた理由はそれぞれ一つずつある。  それは今まで戦っていた『ニンジャ』と同じ鉄の国の人間に見えたからだ。さきほどのニン ジャとは違うが、コロッセオに現れる鉄の国の人間の結構な割合が着ている軍服というやつを 着ていて、これはディルキールの住む竜の国の騎士たちの衣装とは大きく違う。無機質なその 服からところどころ金属製品が見え隠れするのも、同じく鉄の国の人間らしく見えた。  もう片方の理由は、彼が兜をかぶっていたからだ。こちらは鉄の国の人間がよくつけている ようなヘルメットとは違った。顔を全て覆い隠すクローズドヘルムで、馬の尾のような長い飾 り毛がついた黒塗りのものだった。竜の国の騎士の兜のように見えた。  敵か味方かわからなかったため、ディルキールは躊躇した。実際にはそういう時はとりあえ ず攻撃しておこうというのが大方のコロッセオ常連の判断だ。何故なら誤って味方を殺しても 基本的には取り返しがつく。コロッセオとはそういうところだった。  が、ディルキールはとりあえず殺やってから考えようという思考回路には至っていなかった ので、迎撃の態勢はとりつつも、相手の動きを待った。 「戦闘の意思はないといったら受け入れてもらえるだろうか?」  低い、といっても底から響くような威圧的な声ではない、落ち着いた大人の男の声だった。  そこでディルキールは相手が無手で、腰にも背にも武器らしきものを持っていないことに気 づいた。無論それを隠したり、そういうものを使わない戦闘者もコロッセオには沢山居る。さ しあたっては獣の国の人間には格闘を得意とするものも多い。あるいはあの兜の中は犬や猫や 獅子に似ているのだろうか。  竜。鉄。獣。コロッセオにて接触した三世界は『何故か言語が通じる』ので、今の言葉だけ では相手の所属を推し量ることもできない。それに他の世界のものを積極的に取り入れる進歩 派の/物好きな人間というのはディルキールの身近にもいて、そういうタイプの獣か鉄の国の 人間という可能性も高い。 「…………一応は」  警戒だけは続けたままディルキールが答える。相手はしばし沈黙したあと、言葉を探すよう にゆっくりと話を再開した。 「ここがどこか教えて欲しいのだが?」 「…………コロッセオ」 「闘技場? ここが? 今さっきのように戦う場所と受け取ってよいのだろうか?」 「…………そうです」 「私は帝都に帰りたいのだ。地理を知りたい」 「…………テイト?」 「そうだ。帝都を知らないということはないと思うのだが」 「…………知りません」 「君は東国の人間では?」 「…………私は竜の国の人間」 「リュウ? 龍というと空を飛ぶ鱗に覆われた角の生えている龍でよいのかな?」 「…………ええ」 「竜蛇族の妖怪国家があるとは寡聞にして……いや、国……郷か?」 「…………竜の国は竜の国、三つのうちの一つ」 「三つ……三つ? 国の数が三つということはないと思うのだが」 「…………竜と鉄と獣だけです」  ディルキールも途中から話が噛み合わないことに気づいてはいた。  ディルキールは死霊術師だ。そして死霊術は死せる念と感応する技術である。そこに言葉で の対話というものはない。更に彼女は若くして優秀な死霊術師なのである。彼女の幼少も青春 もその習熟に費やされた。  つまり彼女は口下手だった。 「私は万唯だ。ヨロズが姓でユイが名前だ。帝都陸軍の少佐をしている。ある作戦任務のため 帝都に帰還したいのだが、ここが何処かわからないのだ。そもそもこの場所に入った記憶もな い。君が壊してきた壁以外出入り口もないだろう? 迷子になったと言ってしまってもいいか もしれないな。ところで君は私がここから出ることに対して異議などあるだろうか?」  しばらく問答した結果、少しずつやっていては埒があかないと気づいた万は、自己紹介から 仕切りなおして洗いざらいを喋った。といってもその身分は実は表向きのものだったが。 「ディルキール・ベスカリオ。竜の国の死霊術師(ネクロマンサー)…………別にない」 「言ってしまうが、あるいは君が全て空とぼけていて時間を稼いでいるのではないかというこ とも考えていないわけではない。ところで君はこの場所について特に疑問を感じていないとい うことでいいのだろうか?」 「…………ある程度は」  はじめは最警戒状態だった万だったが、実際の所もう少女が敵である可能性は低いと判断し ていた。確かに彼女は霊脳術士(ニューロマンサ)に近い名乗りをしたが、さきほどの戦闘で 使っていた力を指しているのだろうし、たばかりにしては無意味で自然すぎた。  結局、三世界の接続とコロッセオの性質を聞き出した後も、とりあえずはそれを信じてみる ことにした。念のためにディルキールを殴り倒してみるか信じて外に向かうしか選択がなく、 万は急いでいるとしても後者より先に前者を選ぶ人間ではなかった。 「まぁ、コロッセオに出入りする人間でもよくわからない内部というならばとにかく動いてみ る以外に手はないということか……」  そういうことで、ディルキールが空けた壁の穴から出ることになった。  ややディルキールが先行する形で壁を越えた時、万の兜が何もない中空で停止しなければ、 とりあえずディルキールが帰る方についていっていただろう。  パントマイムを始めた万を見たディルキールは器用だなあと思ったが、そのうちそれがパン トマイムではないらしいと分かってディルキールも困惑してしまった。自分はなんの抵抗もな く割れた壁の間を行き来できるというのに、万は何かに弾かれて出来ないというのだ。  まさに壁が割れていなければそこが壁の表面だというところから万は出られなかった。 「仕方ない。他の場所も通れないか試してみよう……」  いくらかディルキールの割った場所から離れると、同じ面の壁に向かって万が無造作に拳を 叩きこむ。何も起きない。 「…………痛くないんですか」 「そうだな。音もしないし、なんというか当たったという感じがない。ただ何もなくそれ以上 は進まないという感じで奇妙だ」  言ってから万は大きく構え、 「次はもう少し派手にやるので気をつけていて欲しい」  と言うなり拳が消えた。地面で爆音がして、しかし壁に放たれた拳は結局そこで静止してい る。 「だめか……他の壁でもやってみよう」  言って万は駆け足で四方を回り始めたが、ディルキールはただ床を見ていた。  壁と同じかより厚いのだろうか。万が踏ん張った箇所が沈み込み、周囲の床が放射状にめく れ上がっていた。 (え? え? え?)  コロッセオの素材は硬い。何でできているのかは鉄の国の研究者でもわかっていないらしい が、硬いのは確かだ。無論こうしているように破壊できないわけではないが、ディルキールが 壁を壊すために鉄の国の強力な破壊兵器を利用する程度には硬い。祖霊を降ろして攻撃しても かなり大変だろう。 (……………………)  ダメージに対する恐怖は麻痺気味とはいえ、それは中々の衝撃だった。  ディルキールがほとんど変わらない表情の首筋に冷や汗を流している間にも、何度も何度も 爆音が壁ではなく床の方から響いてきて、そして結局どの壁も傷ひとつ付かなかった。  床以外は。 「――――あ」  床は割れているという事実にディルキールが気づいた時、万が床を思い切り踏み抜いていっ たので、数秒考えてからディルキールもその穴から飛び降りることにした。  落ちた先は薄暗い部屋だった。それで万は上の部屋が『全面が壁にも関わらず明るかった』 という事実に気づいたが、深く考えないことにした。恐らく少女も考えていないだろうと思っ たからだ。  そこにもあいかわらずガラクタが積み上げられていたが、明るくないこと以外にもう一つだ け違いがあった。 「ああ!?」  先客がいた。 「む、玄武族か」  というのは万の知る妖怪の六大系統の一つで、竜蛇以外の水棲系種族のことだったが、薄暗 がりで振り返った顔はまさしく鯨であった。  といってそのまま鯨が泳いでいるわけではない。鯨の顔をした身の丈十尺ほどもある二足歩 行の生き物が、青っぽい服を来て立っているのだ。 「失礼、もしや獣の国の御仁か」 「なんだァテメェ! なんだァ! ここは立入禁止だぞオラァ!」  言っていることが基本的に矛盾していたが、とにかく敵意だけはわかりやすいほどにはっき りしている相手をどうしたものかと考える間もなく、上方から声がした。 「“カロン”ハープーン!」  ディルキールの声だ。 「ディ、ディルキール!? 竜のランカーがなんでこんなとこに……」 「君はもしかして有名なのか?」  カロンが慌てた声を上げる中、着地したディルキールが万に問われて無表情のまま動かなく なる。 「…………………………………………………………………………………………………………… ………………………………………」 「…………?」 「…………???」  ディルキールが照れているということは残る二人には全く思いもよらない事実であったので、 しばらく続いた沈黙に耐え切れずにカロンと呼ばれた鯨人がまたわめきはじめた。 「おいィ、なんだコラァ! なんなんだコラァ!」 「あっ…………なんでココにいる、カロン」  ディルキールが我に返る。それでようやく調子が戻ったか、カロンは大きな口でギラリと笑 い、面白そうに巨体を揺すりはじめた。 「なんでェ? それはアレかァ? テロ容疑で捕まって保釈され、コロッセオで闘わせて貰っ ているはずの俺様が、あろうことか“ここ”にってことかァ?」  ニヤニヤと続けるカロン。 「まぁなあ、そりゃァまさかってやつだよなァ。なんせ、ここは……」 「…………え、ここって何?」  得意満面な台詞の途中で少女が首を傾げたので、万は両者を交互に見た。 「ブッ」  カロンがそう吐き出した瞬間、ディルキールはひとつのことを思い出した。正確にはさきほ どカロンが立入禁止という言葉を使っていたので、今ようやくある記憶にたどり着いた。 「ッッ殺すぞオラァァッ!!!」  怒号と共にカロンが腕を振り上げる。暗い闇に溶け込んでいたのは、巨体のカロンの頭より も巨大な真っ黒なトゲ付き鉄球のようなものだった。鎖が繋がっており、その一端をカロンが 掴んでいる。  巨体にふさわしい膂力をもって振り下ろされたそれは、真っ直ぐディルキールに向かってき た。無論そのまま受ければ、ディルキールなど一瞬で粉微塵になってしまうだろう。  とはいえディルキールは先程熾烈な戦いを繰り広げたコロッセオ参加者であり、他国の人間 であるカロンがその名を呼ぶほどの戦闘経験者、そして、円滑なコミュニケーション能力を犠 牲にするほどに人生を死霊術に捧げた熟練技能者であった。  霊を物質化するのは死霊術の基本技術だ。会話中も最低限の備えは怠っていない。カロンが 攻撃に入るのとほとんど同時に浮かび上がった人魂は、すぐさま寄り集まり大きな輝く盾とな る。  その時にはディルキールが一歩を踏み出している。  死霊術で用意した『壁』で攻撃を受け、一瞬の猶予をもってカロンの懐に潜り込むことを選 択した。3m近い巨体にも一切臆することなく踏み込む。踏み込もうとする。  本来ディルキールは距離をとっての戦いを基本とする。身体能力では先程のような鉄の国の サイボーグや獣の国の人間に劣る。その上、先程祖霊降ろしをしたせいでかなり負担をかけて もいた。しかしこの位置からでは取りうる選択肢は多くなかった。  が、ディルキールの霊盾に当たるより先に鉄塊が止まった。 「一つ訊くが」  万がいつのまにか前にいる。  ガルシア“カロン”ハープーン。三二歳。獣の国出身で、同地を本拠とするテロ集団『プラ ネタ』の幹部(サテライト)。コロッセオの発見以前の故郷世界の状態を理想と考え、他二世 界のものを排除しようとする原理主義者たちは三世界全てに存在するが、プラネタはその規模 と急進性ともに最大のものである。鉄の国の技術である火薬と爆破装置を使用することで鉄の 技術への拒否感を煽ることが彼の目的であったが、破壊活動を続けるうちにその目的は見失わ れたようだ。半年前、三世界の統治機関が合同で組織している警察機構の手で逮捕されるも、 巨額の保釈保証金によって勾留を解かれている。現在裁判が続いている中、カロンは三年に一 度コロッセオで行われ、上位入賞者に高額賞金や特権が与えられる『キングオブキングス』の 参加資格を得るためにコロッセオでの通常試合で規定戦績を目指しはじめた。無論、彼が狙う のは裁判の停止による無罪放免である。  彼が瞠目したのはその攻撃を受け止められたことではなかった。確かに巨体の力で振り下ろ された重量物は恐ろしい衝撃力を持ってはいたが、受け止められることがありえないというわ けでもない。カロンもまた珍しい方だとはいえ、獣の国の人間の中には彼と同じぐらいの巨躯 がいないわけではなかったし、はるかに強い筋力を持った人間も知っていた。竜の国にも似た ような身体能力の人間はいたし、鉄の国では身体を機械と取り替えて同様のパワーを得る人間 もいたのだ。  問題は受け止められたものは鉄球ではなかったということだ。 (コイツ、触角を避けて……!)  トゲ付き鉄球のようなそれは機雷だった。それも鉄の国ではやや古い型に属する。突き出た 棘のような棒は接触センサー。ただしハイブリッド型のため、接触と磁気反応センサーが同時 に反応した際のみ起爆する。カロンが手元に隠し持っている装置で特定の磁場を発生させ攻撃 すると、その場合だけ球が爆裂するという爆弾だ。  相手はその触角を綺麗に避け、3本の指だけを立てて受け止めていた。 (鉄の国の人間でも、意外とこいつには馴染みがない。なんせ元々は水中で船がひっかかるよ うに使う武器だし、俺のは白兵戦用に改造済みだ。それをコイツは一発で見ぬいたのか!?)  回避・防御、いずれもハンマー自体の爆発によって奇襲の二撃目とし、残った鎖や彼自身の 巨体、あるいは他に隠し持っている別の小型爆弾でとどめを刺す。というのが彼の接近時の戦 法だった。コロッセオの性質上、奇襲型の攻撃はすぐに手の内が広まってしまうが、複合セン サーを使い分ければ使いやすい上に爆発条件を見ぬかれにくくなる。一見乱暴なだけのカロン だが、鉄の国の爆破技術を使いこなすだけあってかなり理論的な男なのだ。 (そのうち鉄の国のやつらにとは思っていたが……)  触角を避けたのが偶然ではないというのは、男が受け止めたまま機雷を落としたり弾いたり する気配がないことから確定的だった。  その男が言葉を続けた。 「私が間に入ったのがルール違反というようなことはないと思ってよいのかな?」  やはり鉄の国の人間の人間なのか、それとも兜は竜の国のものに見える、などと考えていた カロンが聞いた言葉は、彼を得心させた。 「そうかテメェ…………」 「…………マレビト」  男の行動に一旦動きを止めていたディルキールも、さきほど思い出した通り事態を把握した ようで、その言葉はカロンの得心を裏付けた。 「ここは『空穴区画』……そういうこともあらぁなァ?」  カロンは再び牙を見せた。 「クウケツクカクとは?」 「『ルール』ってこたぁそっちのガキにある程度は説明されたようだな。だが自分はそんなこ とは聞いたこともない。そうだろ?」  万の疑問に、鎖を引いて機雷を手元に戻しながらカロンが答える。 「三つの世界が重奏(オーバーラップ)したコロッセオ……だが例外があんだよ」  言って、足元のガラクタ山を蹴り飛ばすカロンを見て、万は彼が腰になにかをさげているこ とに気づいた。 (アレは…………しかし普通の人間サイズでは、彼には使えないと思うが)  疑問に思う間にもカロンはガラクタを足先で弄りながら 「ここに転がっているもん、なんだと思うよ? テメェにはわからないが、俺様たちなら知っ てると思うか? わかんねぇんだなァこれが」 「む?」 「獣でも鉄でも竜でもねぇ世界の『何か』。空穴区画はそれが流れてくる場所なのさ。三世界 以外とも重奏する場所がここだ」 「物品だけでなく生物もというわけだ」 「理解がはええじゃねえか! そのくせ今まで自分の状況がわかってなかったみたいだなァ、 ディルキールちゅわぁぁ〜〜んん?」  嘲笑を向けられたディルキールが鎌を構え直す。 「何が現れるのかわからないここは非常に危険…………封鎖されているここに何故お前がいる」 「真面目っこちゃんがよぉぉおおお! 俺様は保釈中なんだぜぇぇぇええ? 犯罪者が自由に 行動すんなって言いたいのかよぉお〜〜? だが裁判は終わってねぇぇぇんだよぉぉぉおお〜 〜〜!! まああと二年は終わんねぇだろうなァァ〜〜? フシャシャシャッ」  カロンの言いたいことは万にはよくわからなかったが、ディルキールがかすかに目を細めた のを見て、なんとなくの空気を察する。 「ここに入ったことによるペナルティは存在するのかね?」 「…………一応は」 「てめぇええだって入ってんだろうがよォ〜〜ディルキぃいいいるちゅわああんよぅう! 大 体、封鎖だの立入禁止だの形だけだよっ、形ぃ! どの世界のやつらも入ってんだよお、ここ はゴミと宝の山だからなァ」  笑うカロンを制するように万が声を入れた。 「私はよそ者だ。それぞれ別の世界に所属し、関係を築いている君たちにあまり口を挟むべき でもないのだと思う。そして三世界のルールの中で君はまだ司法的に犯罪者ではないようだし な。しかしカロン君」  やや遠慮するように言葉を区切り、 「君は好ましからざる人物のようだな。――――そして、それを外に持ち出すべきではないの ではないか?」  万の指が腰のものを指した瞬間、カロンの笑いが消えた。                                       【続く】 補足  突然ニンジャスレイヤーが奥ゆかしくなく始まった理由は特にありませんただニンジャだったのでなんとなくです  あくまでマレビトとは別の人間が描いた別の話であるため、二重説明化してるのがちょっと悩み  なお、これが2で終わるのか3で終わるのか4で終わるのか終わるのかとかはよくわかりません  以上です  以下は使用設定です ■ディルキール・ベスカリオ■ http://wikiwiki.jp/overlap-c/?%A5%C7%A5%A3%A5%EB%A5%AD%A1%BC%A5%EB%A1%A6%A5%D9%A5%B9%A5%AB%A5%EA%A5%AA 竜の国出身、死霊術使いの少女 全身を竜の骨を使用した鎧に身を包み、黒髪の長髪に瞳の色は黒色で左目を髪で隠している 武器は巨大な大鎌で、戦闘時はこれを使用した広範囲攻撃と死霊術を使って先祖の霊を呼び出しダンデム攻撃を繰り出す 性格は一見すると根暗そうな雰囲気だが実はかなり生真面目でいつも自分が闘った相手には敬意を込めている しかし格好が格好なのですごく誤解されやすい事がもっかの悩みである ■ミツヨシ■ http://wikiwiki.jp/overlap-c/?%A5%DF%A5%C4%A5%E8%A5%B7 鉄の国出身の戦闘用サイボーグの男性 モチーフは鉄の国に伝わる「ニンジャ」というもの 軽い装甲で防御は低めだが、その分俊敏性が高い 立体映像を利用した分身の術や光学迷彩による不可視化で隠れ身の術を再現することができる 両手の装甲には毒が塗られた刃物が仕込まれており、近距離戦で使用 それ以外にも煙玉、まきびし、手裏剣などが両腕に仕込まれている コロッセオ外では常に天井に張り付いたり水に潜ったりしている。彼曰く修行とのこと ■ガルシア"カロン"ハープーン■ http://wikiwiki.jp/overlap-c/?%A5%AC%A5%EB%A5%B7%A5%A2%A1%C8%A5%AB%A5%ED%A5%F3%A1%C8%A5%CF%A1%BC%A5%D7%A1%BC%A5%F3 テロ組織『プラネタ』の幹部であるサテライトの一人 身長3mの大柄な鯨の獣人、三十四歳、男性 『プラネタ』の幹部として様々な爆破事件に関わっている爆弾魔 構成員として参加した当初は神聖自然主義を世に知らしめるために活動をしてきたが、今では破壊そのものが快楽となっており、手段が目的と化してしまった危険人物 国際警察によって逮捕され勾留中の身であったが、匿名の高額保釈金が支払われ一時釈放、コロッセオにて恩赦を求める戦いに参加する 武器は機雷に鎖を繋げただけのハンマーを操り、大量のダイナマイトも常に所持している、また、無痛覚症を患っており相手の攻撃に対して怯むことがない厄介な男である ■万唯■  スレ初期の頃にあったシリーズ「帝都」のキャラ  私は自身の精神的安寧のために帝都まとめをできる限り見たくない  いいね?