「ふむ、なかなか面白い事になりそうだ。厄介事が嫌いなくせに巻き込まれると解決したくなるとはツンデレめ」 「姉さんは楽しそうですね」 自分以外の相手で楽しそうにするロウナに対してややむくれるキリノ。 愚弟こと鬼岩七郎の事は自分も嫌いじゃない、むしろLIKEである。LOVEでない所がミソだ。可愛い弟である武蔵はLOVEだが。 ロウナは独占的な狂愛主義者なようで博愛主義な面もあるので気に入った相手にはとことん入れ込む傾向がある。昔に比べれば 狂愛な部分は抑えられたが、自分に一番の愛情が注がれてないのは気に食わない。 「そんな顔をするなキリノ、可愛い顔が台無しじゃないか」 「別に・・・拗ねてませんよ。私は狭い心の女じゃないですから、姉さんよりちょっと心が狭いだけですから」 「やっぱ怒ってんじゃん」 キリノが自分に執着するように調教したのはロウナ自身なのだが、倫理や性的な部分で鑑みて後悔と背徳の間を波間にたゆたう 板のように心が揺れ動くのは愛情ゆえか。愛という言葉を言い訳に妹の純潔を奪い、褥を貪り、妹の体中の味を知り尽くし、 心すらも侵し尽くした。罪とは蜜であり、罰とは唾なのだと詩人的な解釈をしても気が晴れるわけでもない。 何事も前向きに考えなければいけないのだ、例えば妹が自分との間に子を欲したとして拒否はしない。 そんな先の事はどうでもよく、現在の不機嫌な姫君の機嫌を取らなければいけない。 「そんなに怒らなくてもいいじゃないか」 「姉さん、目が本気なんですけど」 「私はいつでもキリノに対して本気だ。爪を見る?丸いでしょ、キリノを傷つけないためだよ」 「さっきは私もやる気満々でしたけど賢者タイムっていうか・・・ひゃん」 指を見せて微笑んだ瞬間、ロウナはキリノを押し倒した。 首元に舌を這わせ、微かに感じる塩味を楽しむ。手は腹の辺りからへその淵をなぞり、スカートに手を入れて太ももをさすりながら 内ももの辺りを撫で回す。下半身の中心にある艶かしい花びらには触れずに、軟らかい山の頂にも触れずに、性感帯としては 一番感度が鈍い部分を丹念に攻める。賢者というならば淫売に貶めよう、愛という名の鎖に縛られ背徳という金貨を受け止める売春婦に 変えよう。姉という支配者の愛を、劣情を、一心に受け止める妹という性奴隷は蕩けた視線を向けた。 「姉さんはいつもずるいです」 「五分五分、イーブン、等価交換」 「そんなの・・・ん、はん、へひゃあ」 「難しいことを考えるのはそれぐらいにして身を任せてね」 「ね、姉さん、しょこ・・・りゃめぇえ」 ベタベタになった手を見てロウナは薄暗い笑みを浮かべキリノの舌に自分の舌を絡ませた。 夜は長い、朝は短い、楽しむのには充分だ。 自身の罪深さにロウナの花弁は蜜に濡れた。 日本分断YAOYOROZ TS勇SS・第2話 総長サイド 腰に剣を挿した剣士が草原に立っている。周りには小高い丘があり遠くには深い森が見える。 周辺を見回し、森の中へと入っていく。 2〜3度きょろきょろと周辺を見て森を抜けようとすると大きな羽音が聞こえた。羽ばたきの音が空から降ってくる舞い上がる土埃、 降下してきたのは漆黒の巨体に龍の頭と翼、山羊の頭、獅子の頭を持つ巨獣。キマイラなのだが背中から生えた紫水晶の剣板が 特徴的だ。 `合成凶龍神種アメジスマイラ´、G級ハンティングの中でも難易度が高いモンスターとして有名、どんなに強化した防具でも 凶龍の前では紙くずに等しい。 剣士は懐から腰に下げたアイテムポーチからマーキング用のダーツを取り出し投げつけた。 咆哮が響き渡る。凶獣の怒声に気圧されずに剣士は真っ直ぐに突っ込む漆黒の重装鎧を揺らし右手で片手剣を抜き放った。 横一閃の一撃から左手に装備した盾でかち上げる。凶龍の左手の一撃をバックステップで避けながら前転し接近そこから 縦斬りから横斬りに繋げ、シールドバッシュから回転斬りそして突きへと前足に連続攻撃を集中させていく。 剣士の頭上から甲高い鳴き声が響く、それに反応して後退、剣士のいた場所には雷が降り注ぐ。 山羊頭からの魔法攻撃を間一髪で避ける。ダメージを受けての反撃と見えるが、片手剣の威力で与えられるダメージは微々たる物。 例え最上級の威力を持つ「聖帝剣・剛皇」と高い防御力を持つ覇天冥王の鎧を装備していても不安が残る。 そろそろ大きなダメージを与えたい所なのだが、必殺技を使うための気力が足りていない。 「さて、どうしたものか?」と考えていると、凶龍の獅子頭から爆炎が上がった。右即頭部から太刀で斬りつける剣士、 背後から大剣を振り下ろす女剣士。後方の安全な場所から矢を放つ女弓使いが二人。 「やっと揃ったか」 片手剣の剣士が呟く。頭上にはSEIとアイコンが付いている。太刀の剣士にはNAGIと女剣士にはMAYU、弓使いにはSOUCHO、 WAKAと付いている。 総長一派の3人と帝神の2年生2人は、流行の「ゴッドハンターオンラインP3Gバースト∞」に興じていた。 帝神では連携や協力などの連帯意識、仲間としての絆を深める娯楽として総長である彩陶羅?が推奨し学園内でも 流行、普及率は90%以上と他のゲームより高く暇さえあれば教室内や寮などで顔を突き合わせゲームに興じる生徒達が 見られる。 生徒同士の親睦を深めるのに配慮した総長の発案だと思われているが、実際は流行のゲームをプレイした総長がドが付く程 下手でネットワーク接続プレイで学園外のプレイヤーに手伝って貰おうとした際に何故か組んだパーティに聖護院の生徒会長が おり、こちらも負けず劣らず下手だったが装備は上位で初期装備しか持っていない事に敗北を感じ、リベンジと楽がしたい為、 学園内を巻き込んで狩り学年、狩り学校を築き上げたのだ。 現在時刻はPM11:30、帝神学園の会議室で総長の彩陶羅?、副総長の鬼柳凪、総長補佐の法月星志郎、高等部2年の 八王子真由と源若真がパーティプレイで遊んでいた。 作務衣の法月、ルームウェアの鬼柳と男子二人はラフな格好だ、対して女子の三人はイモジャージの総長、色違いのスエットを 着た2年女子二人。親密といえば親密なのだが、サバサバとした倦怠期の雰囲気すらある。 「さて、俺と法月と八王子さんとで部位破壊をしてきますんで総長と源さんは、適当に後ろからちまちま矢を撃ってて下さい」 「副総長の言うとおり敵の攻撃の当たらない所で攻撃してて下さい。後はみんなのHPが減ったら回復魔術か全体回復アイテムを 使ってサポートお願いします」 「二人とも最後の一撃は自分とか考えないで下さい。二人ともカスなんですから、二人揃って一人前どころか半人前以下のゴミが 役に立つと思いますか?近づいたら容赦なく攻撃しますからね」 何とか総長を立てようとする副総長と総長補佐。そんな二人の言葉も含めて核兵器で根絶するかのように容赦ない毒を吐く ドSな後輩。一方、ド下手の二人はというとバツが悪そうな顔をしている。きっと真由の言った事が当たっていたのだろう。 「べ、別にトドメさそうとか考えてないから・・・トドメさすとレアアイテムの入手確立が上がるからとか考えてないから!」 「そ、そうだよ!みんなを出し抜いてレアアイテムゲットだぜ!なんて考えてないから、気が付いたとしても真由ちゃん大剣だから 動き遅いから楽勝だよねなんて思ってないから!」 図星を突かれて訳の分からない事をわめき散らす二人。 やれやれといった面持ちの二人に対してドSは虫けらでも見るような目つきの無表情で黙々とゲームを進める。 総長と源若真を除いた3人は、帝神内でも指折りのプレイヤーでランキングがあるとするなら上位10人に入る実力者だ。 残りの2人はドベ1・2を争うぐらいの酷さ。 「遠間からの攻撃でもダメージ与えられますし、ガンナー系はサポートがねえ・・・なあ、法月」 「俺に振るの?ダメージを食らわないで俺TUEEEで・・・完全勝利がですね。八王子さんはどう思う?」 「防御力がカスですね。ガンナー系は遠距離からの間髪入れない射撃攻撃と一撃死を防ぐのが重要なのに何でスキルも揃えずに 矢の強化とかしてないんですか?馬鹿なの?何なの?死ぬの?死なないで下さいね。死んだら面倒な事を繰り返さないといけないんで、 何時になったら人に頼る寄生虫から害虫に進化するんですか?」 「酷いよ!私の事を寄生虫って言ったり、総長を害虫って言ったり!」 「え?寄生虫じゃなくて害虫扱いされてたの!?」 慈悲も何も無い言葉に打ちひしがれる2人。 何と言ってフォローしようか考えているが言葉が出ない2人、無表情に毒舌を吐きまくる1人、それでもゲームは進んでいく。 片手剣の斬撃が獅子頭の牙を破壊、太刀の一閃が山羊頭の角を破壊、大剣の一撃が紫水晶の剣板を破壊、的を大きく外した矢が 四方八方へと飛んでいく。毒舌を吐こうがフォローしようが凶龍から一撃も食らわず、回復薬も回復魔術も使わずに追い込んでいく。 そして本当に役に立たないサポート役。 「好き放題に言いやがって!RPGならRPGなら得意なのに!」 「猿でも出来るゲームじゃないですか、レベル上げとか無駄に無駄を重ねる・・・何て無駄」 「グサッと来た!心にグサッときたぞ、私は総長だぞ偉いんだぞ!」 「入門ボスを倒せないで総長ですか・・・それなら私は宇宙大統領ですね」 「そこまで言わなくても良いじゃないか!うわあああん!」 毒の言葉に耐え切れず思わずべそをかき始める総長。 総長とかドピンクとか言われても心は乙女、例え自室に置いてある漫画の殆どがスカーフェイスやら腕にカラフルなイラストが 書かれた仁義を重んじる熱い男達の不良ドラマであってもだ。 そんな総長の事を知ってか知らずか真由の同室で親友の若真が諌め始めた。 「真由ちゃん、総長に対して辛辣すぎるし毒吐きすぎ!」 「若真、質問なんだが、何で私がちょっとイラついてるか分かる?」 「イラついてたんだ!」 「イラついとったわ!」 真由の手刀が若真の頭頂部に打ち込まれる。手刀を打ち込みながらもゲーム内の自キャラを安全圏に動かす辺り流石だ。 なにやら不明瞭な呻き声を上げる若真をよそに役立たず2人が再起不能な所を狙ってゲームに集中する駄メンズ。 「若真、私はな、睡眠を邪魔されるのが一番嫌いなんだ。お前、何したか分かってるよな?」 「え、添い寝しただけじゃん」 「抱き枕が無いと眠れないからって私のベッドに入って抱きつくな!しかも私の服の中に手を入れて何をする気だ!」 「温い所を求めて!心が冷たい人は体が暖かいって、ぎゃおおおん」 大きく振りかぶった拳が痴女のリバー(肝臓)に突き刺さる。ボクサーがもっとも辛く重い一撃と呼ぶリバーブロー、腰の回転に 肩のスイングを加えて右わき腹に放つ、響く衝撃に肝臓が揺さぶられた。青ざめてのた打ち回る若真を冷たく睥睨する真由の耳に ゲームからミッション終了を知らせるBGMが聞こえた。精神的に自分達の総長が追い詰められてたり、自分の派閥の後輩が 苦しんでようと任務を完遂する、それが副総長と総長補佐の役目・・・というか心配してやれよ! 「はあ〜何とかミッションコンプ。お疲れさん、副総長」 「お疲れ様、補佐。クリアタイム15分か・・・最後は2人がかりか、イレギュラーがあったとはいえ安定が欲しい所か」 「私は悪くないですよ、悪いのはこの二人です」 「私をまだ責めるのか!本当に泣いちゃうぞ!」 「真由ちゃぼげはぼぇげえええ」 「ん〜、ネットワークランキングの上位ランカーに助っ人に入って貰いますかねえ」 法月は腕を組みながら思案している。 自分と鬼柳、今日は不参加の神室ケイトは他者に比べて総長に優しい。大甘と言っても良いだろう。色々な修羅場を 生き抜いてきた同志としての甘さというか駄目人間に対する共依存なんだろうか?そんな事は置いとくとして、 ネットプレイで知り合った何人かは上位ランカーだが、特にNo1と言われる「Queen・D」率いる上位ランカー集団「TEAM・本気狩」は 別格で弱者救済と完全攻略の旗を掲げ、多くのプレイヤーから支持を得ている。 法月自身は「TEAM・本気狩」と面識は無いが、初心者のサポートや新規モンスターの攻略レクチャーなどを見ており、 戦略性の高い戦闘やテクニックの完成度の高さを見ても彼女達の右に出る者はいないと考えている。 しかし、腕がよく初心者でも無い自分が「TEAM・本気狩」・「Queen・D」と渡りがつけられるとは考えられない。 首を捻りながら、ふと1人の男を思い出した。高等部1年・鬼岩七郎、学内ランカー中堅だが近接武器ならば得物を選ばない器用な奴。 「何でそんなに得物を選ばないのか?」と聞けば「幼馴染の姉ちゃん達に合わせなければいけない」との回答、実際にプレイしている のを見た時にパーティを組んでいたのが「TEAM・本気狩」のハンマー使い「HIME・C」だった。 「提案なんですけど、ネットワークプレイで上位ランカーに助けてもらうってのはどうです?」 「補佐、上位ランカーと知り合いなのか?あいつら一癖も二癖もあるような奴らばかりだぞ?」 「そこら辺は一番マシな人達、「TEAM・本気狩」に頼むから大丈夫だと思うんだけどなあ」 「連絡はどうやってつけるんだ?俺ら助けてもらえない側だぞ?」 「鬼岩君がメンバーとパーティ組んでたから頼めば渡り付けてくれるでしょ」 「あいつ顔が広いな・・・押しに弱いからいけるかね?最悪、むう坊をダシにするとかな・・・総長に怒られるな」 「鬼柳!なに悪い事を考えてるんだ!その前に私の意見を聞け!答えはNO!嫌だ!ヤダヤダヤダ!」 半べその羅?、アウアウと何気にガクブル状態。 そんな状態の総長を見て何か満たされたような顔をする法月、フォローとかメンドそうなので微笑む鬼柳。 忠誠値とかMAXな状態だがそれとコレとは別なのだ。 「どうしたんです総長?そんなにガクガクブルブルして?」 「ふええええ、だってネットで失敗したらフルボッコなんだぞ!掲示板で罵詈雑言書かれて「総長(笑)」とか 「総長と書いて駄目人間」とか言われちゃうんだぞ!ネットってばマジ怖ぇええ!」 「大丈夫ですから失墜しまくってる権威は上げれば良いだけですから!」 「八王子!私は総長なんだぞ!偉いんだぞ!」 「はいはい総長(笑)」 「うわあああん、また馬鹿にされたああああ」 悲鳴を上げる総長を見つつ携帯電話をとる法月。タッチパネルを操作して電話帳を開き、ア行の項目にある 大槍・ロウナ・ウォーデンハイムのアドレスにタッチして通話ボタンを押す。 一応、自分達の派閥の人間なので大丈夫だと思うが、さて・・・・。 電子音からプツリと相手と繋がった音が聞こえた。 「もしもし、こんばんは、法月だけど」 「もしもし、ロウナだけど・・・・取り込み中なんだけど?」 「そうだった?そりゃあすまない、手短に済ませたいんだが」 「30秒で・・・キリノ、ちょっと30秒我慢ね?え?10秒?吹く?」 「何が吹くの?その前にテメェら何やってんだ!?」 「うわ、素に戻ったよ、こいつ。手短にすませろ、デリカシーないな」 「けっ、鬼岩と話がしたいからお前ら姉妹も同席しろ」 「おお、グッドタイミング!明日あいつに会うから一緒にどう?何か面白い事になってるよ」 「へええええ、そりゃあ面白そうだ。みんなで行くわ」 「OK、それじゃあ・・・・よく我慢できたね。ご褒美・・・」 「切ってから続きしろ・・・・」 軽い頭痛を感じて電話を切った。 明日は、面白いというか大変な事になりそうな予感がするが、酷い目に会うのは鬼岩なので場の収拾の為に動くのが自分だ。 嘆息を一つしながら、次のクエスト依頼を張り出した。 続く