■異世界SDロボ〜魔石の巨兵〜■ ネタ「食文化妄想と見せかけて深夜の嫌がらせ」 --------------------------------------------------------------------------------  ラザローナ。ラザロポリスの首都として知られる活気溢れる街だ。大通りには幾つもの 店が軒を連ね、カフェやレストランからは食欲をそそる匂いが風に乗って鼻をくすぐる。  しかし、“あれ”だけはここラザローナでもお目にかかることはできない。  そう、レイクラーケンである。  レイクラーケンはザラ湖に生息するイカとタコを合わせたような水棲の魔獣だ。  魔獣といっても小動物程度の大きさで、体内に宿す魔石は使い物にはならない程小さい。  そんなレイクラーケンだが食材としては最高に美味い。  難点は非常に傷みやすいため長距離輸送ができないことだ。ザラ湖近くの飲食店でしか 味わうことのできない名物として、観光客はもちろん国内からもわざわざ食べに来る程の 人気ぶりだ。  一年を通して供されるレイクラーケンだが、旬は何といっても初夏である。  産卵期を迎え、卵を抱えたメスや精巣の発達したオスはいつもと一味違った美味しさで 我々の舌を楽しませてくれる。  一口大に切ったレイクラーケンをパプリカと一緒にソテーした物や、トマトソースで煮 込んだ物が人気だが、是非とも食べて欲しいのがフライである。  中でもカラマリと呼ばれる胴体部分のフライは絶品である。  丁寧に皮を剥いだレイクラーケンに十字の隠し包丁を入れた後に輪切りにする。  それに塩を混ぜた小麦粉をつけて油でサッと揚げただけのシンプルな料理だ。  それ故に素材の味がダイレクトに伝わってくる。まずは何もつけずに食べていただきた い。一口頬張ればふわふわの触感にほのかな甘味が口の中に広がり、衣の塩気がそれを引 き立ててくれる。  店によって衣の味が微妙に違うのでそれに合うソースを探すのも楽しい。  レモンを絞ったりトマトソースやタルタルソースをつけるのもいいが、ヤギの乳から作 った水切りヨーグルトに細かく刻んだキュウリ、おろしニンニク、ミントやハーブを加え 塩コショウとオリーブオイルで味を調えたザジキと呼ばれるディップで食べるのが地元で 人気のスタイルだ。  さて、フライもいいが酒のつまみになるもっとシンプルな料理がある。  炙りゲソと呼ばれるその料理はレイクラーケンの腕が主役だ。  調理は至って簡単。ボイルした腕を炭火で炙り、表面に焼き色をつけるだけだ。これが 実に美味い。腕のコリコリとした食感と肉の奥からしみ出してくる旨味がたまらないひと 品だ。  この炙りゲソには辛目のディップが合う。ニンニクを使ったアイオリソースも人気だが、 オススメは何と言っても一味マヨである。  唐辛子のピリッとした辛さとマヨネーズのコクが腕の旨味と合わさり、いつまでも味わ っていたい極上のハーモニーを口の中で奏でるのだ。  レイクラーケンはその見た目から敬遠する人も多い。しかしこのザラ湖の幸を食べずし て観光だけするのは余りに勿体ないのではないだろうか。    おわり